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2011年4月20日水曜日

ゼオライトとは何なのか

 福島原発の事故で大量に発生した放射性の汚水ですが、ゼオライトがこれの浄化に役立つらしいとの事でにわかに注目を集めております。

 ただし、これは何も特別な事をしているわけではなく、ウランの核分裂によって生成するセシウムやストロンチウムを、その化学的な性質を利用して捕集しようというものです。
なので、セシウムやストロンチウムであれば放射性など無くても吸着しますし、化学的な性質の異なる他の種類の放射性物質は吸着しません。

小官は大学時代に使っていた無機化学の教科書の表紙にこいつの構造図がでっかく印刷されていたのを覚えております。

で、こいつが何故にセシウムやらストロンチウムやらを吸着するのかと言えば、それは基本的に活性炭が水の中の不純物を吸着するのと同じ事が起こっているものと考えていただければ問題ないです。
ただし、ゼオライトの場合は活性炭と違ってこれに開いている微細な孔のサイズがセシウムやらストロンチウムやらのイオンの直径と近いためにこれを吸着する作用が強いわけです。
…まあ、一口にゼオライトと言ってもモノによってこの孔のサイズに違いがあるため、どの物質を吸着しやすいかは変わってきます。
詳しい話はこの辺にありますが。

で、化学屋さんはこいつを分子のサイズの違いを利用して物質をより分ける目的で使いますが、一般用途では水分や有機溶媒を吸着する性質を利用して乾燥剤に用いたり、或いは銀イオンを吸着させてプラスチックに練りこむなどの方法で抗菌剤として利用するようです。

ただし、化学屋さんが使うのは孔のサイズを管理しやすい合成ゼオライトですが一般向けとなるのは鉱物として産出する天然モノとなります。

…無論水に溶けた特定の種類のイオンを選択的に吸着して沈殿させるという今回のような用途には前者の方が都合が良いのですが、天然のゼオライトでもそこそこ良い成績を示す事が判って汚水の処理に使えそうだとの事なので、これは良い話であります。

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