ラプたん帰りましたよ。
で、琉球新報は素直に喜びゃいいものを、一面トップで
「轟く爆音未明に離陸強行」
ですって。
ま、あえてそういう物の見方をすることで飯を食ってる人たちですから、放置しときましょう。
しかしアレですな、物言いが好戦的とまでは言わんが、このテの記事を読むと
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」との印象を抱いてしまいますね。
もっとも、小官がアマノジャクなせいかもしれんが。
さて質問です。
広島型原爆は64キログラムのウランを使用し、おおよそ15キロトンの破壊力を発揮しました。
それでは15トン相当の破壊力を発揮する核兵器をこさえるにはウランがどれくらい要るでしょうか?
64キログラムの千分の一で64グラム?
そんな事言ってる人は前の講義から読み直して下さい。
そもそも「核物質」は「超臨界状態」にならんと「核爆薬」として機能しないのです。
そして「超臨界状態」にできる最低限の量が一般的にはウランで15キロ、プルトで4キロと言われているというのが前回の講義の要点です。
では、爆発力の大きな原爆と小さな原爆では何が違うのか?
それは平たく言うと、燃焼の効率です。
例えば広島型だと、実際に「燃焼」したのは全体のせいぜい1%、つまり640グラム程度だと言われています。
単純計算すると、全部燃焼した場合、1.5メガトンの破壊力を発揮したことになりますが、リトルボーイはごく一部が燃焼してそれなりの熱量が発生した時点で爆弾自体が蒸発・爆散して超臨界状態が消滅し、連鎖反応が進行しなくなった結果、15キロトン止まりだったというわけです。
そして2の7乗が128ですから、リトルボーイでは連鎖反応が完了する7~8世代前にだいたい反応が停止したと考えてよいでしょう。
この燃焼の効率を高めるためには、当然連鎖反応途中まくりの核物質を爆散しないように十分長い時間狭い空間に閉じ込めておく必要がありまして、そのためにはとても重くて硬い物体でこれを閉じ込めておくという方法が一般的です。
そのための重くて硬い部品をタンパーといいまして、ファットマンなんかですと、中性子を反射して臨界量を小さく抑えることや、連鎖反応で発生した中性子で二次的に反応させることなども狙ってこの部品は劣化ウランで作りました。
当然、タンパーが軽く軟らかい物質だったり全く無かったりすると同じ量の核物質でも反応が十分に進んでいないより早い段階で核物質が爆散して威力低下となります。
要するに、不完全なタンパーを使えば核兵器の威力はいくらでも小さくできるのです。
一方、核兵器のサイズを小型化するためには、いろいろなアプローチがありますが、主となるのはコアの小型化と爆縮方式の簡略化です。
まあ、核兵器のサイズや重量を小さくすればそれだけ運用性も向上するので、じつを言うとこれはかなり研究が進んでいます。
コメ国の例で言いますと、1965年に重量177キログラムの核地雷をこさえ、後に重量70キログラム、破壊力0.1もしくは1キロトンの可変で歩兵がリュックに背負って歩けるというブツを作る。
ちなみにこいつは日本のテレビにアメリカの「核ミュージアム」が出てきたときに全国に紹介されていたはずです。
で、280ミリ核砲弾が後には小型化されて普通の榴弾砲から発射できるようになったり、
有名どころでは核バズーカの「デービークロケット」でしょうね。
こいつの開発が始まったのは1958年。
重量は35.5キログラムで破壊力はTNT20トン相当。
1961年から1965年までの間に400個生産され、実際に試し撃ちも行われております。
http://www.sonicbomb.com/modules.php?name=Content&pa=showpage&pid=56
まあ、現実的に鉄板原爆に近いのはこのあたりでしょうね。
こいつらは基本的に爆縮方式の簡略化によって小型化を達成しているみたいです。
具体的には「リニア・インプロージョン方式」といいまして、鉄パイプの両側にそれぞれ臨界量の半分のプルト半球と火薬を仕込んでおき、同時に点火して合体と爆縮を同時並行に行うと…
この辺のメカニズムは鉄板原爆に通ずるものがありますが、これとても核物質を臨界量以上用意しないといけないという点ではテロリストが簡単に製作できるようなシロモノではありえません。
加えて言うならば、誰でもすぐに推測できるように軸方向から来た衝撃波が周方向へ逃げる構造なので、当然爆縮効率もよろしくないです。
今ひとつのアプローチであるコアの小型化については、タンパーを中性子反射効率の高い素材(例えばベリリウム)で作ったり、爆縮効率の向上で達成できますが、特に後者である爆縮効率の向上については、これは爆縮レンズ系を大型化させぬように…とか考え始めると爆弾の小型化のためにはどうしてもトレードオフになりますんで、実験もなしに一回こっきりの特攻で確実に爆発させたいテロリストにとってはやはりハードルが高すぎると言わざるを得ないでしょう。
と、ゆうわけで、小官がテロリストならば俗に言うスーツケース原爆(平たくてスリムなロシア版の核地雷)を入手してそのまま使いますね。
小官が科学者ならば興味本位で鉄板原爆を作るかも知れんが、(臨界量の兵器級プルトを入手する時点で数十回はブタ箱行き確定だが)科学者だけに当然ハゲが怖いので製作は最低でもグローブボックスを使用し、爆発実験はタイマー付けて海溝にドボンし、地震計とにらめっこくらいの安全策はとりたい所です。
とりあえず核物理の講義はこれでおしまいと致しましょう。
ではでは。
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