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2007年12月29日土曜日

ハンス、フォースを使え

よーし、始めようか先任。
今年最後のコントだ、たまには貴官が始めの挨拶をしたまえ。

はっ、電波解析シリーズえせ科学編「超不都合な科学的真実」
これより開始します!

なんだ?
なん…というか、個性のない台詞だな。

ほっといてください。
それより艦長、イランがロシアの対空ミサイルを導入するをだとか、しないだとかホットなネタもそこそこあるのに、なんだって似非科学本の批判を持ってきちゃうんですか?

先任、貴様は知らないのか?
正月楽するためには年末…

ってか艦長、正月も私をコントに付き合わせるつもりでしょう?

…よくわかったな。
だが、萎えている時間はないぞ。
今この瞬間も、救世主の皮を被った香具師が誤った科学知識を世界に広めるべく水面下で暗躍しているのだ。

言うに事欠いて陰謀論かよ、で、何ですか。
今日は「ソマチット」だとか?

その通り。
例によってケイ・ミズモリは章末で逃げを打っているし、まあ、少々科学的な知識があればソマチットの提唱者であるガストン・ネサン氏の胡散臭さは看破できるだろうが、それをやる前にまず例によって「ソマチットって何?」という話をやろうか。

血液中のゴミなんでしょう?

一般的にはそう言われている。
だが、連中はソマチットとは要するにまあ…ミディクロリアンみたいなもんだと考えているらしい。

いかにもスペースオペラっぽくなってきましたねぇ。
艦長、こういうの好きでしょう?

好きだが、小官とて科学と妄想を混同するほどバカじゃあない。
まず、「超不都合な科学的真実」には、ネサン氏が倍率三万倍で分解能150オングストロームの「ソマトスコープ」という超高性能光学顕微鏡を作って観察した結果、それまでは血液中のゴミとして無視されてきたものが、実は生物であった事が判ったという話が出てくるんだがまあ、この時点で「ソマトスコープ」とやらはかなりデタラメっぽいということが判る。

スペックから判るんですか?

うむ、光学顕微鏡ってのは、一般的な「いわゆる顕微鏡」の事だ。
可視光線の波長は390ナノメートルから770ナノメートルと言われていて、どんなに性能の高い光学系を使ってもその分解能の限界は大体100ナノメートルくらいだと言われている。
…まあ、学生実験で使うような光学顕微鏡なんかだと、だいたい500ナノメートルあたりでどうも怪しくなってくるんだけどね。
この辺の問題もあるから、一般的な光学顕微鏡の倍率は大体五千倍くらいまでになっている。
これでも位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡なんかを使えば、生きた細胞の内部にミトコンドリアがあるのが観察できる。
で、ちょいと調べてみたら、ソマトスコープには紫外線が使われているらしいなんて話もあったんだが、理論的に分解能の数値は照明に使用される光の波長と対物レンズの開口数で決まるんで、X線でも使わん限り倍率三万倍で分解能150オングストロームってのはちょっとあり得ないだろう。
ちなみに現在のX線顕微鏡の分解能の記録は15ナノメートル。
1ナノメートルは10オングストロームだから、「ソマトスコープ」にはX線顕微鏡並みの解像度があるという話になる。

たしかに、んなもんを20世紀の半ばに開発しただなんて、かなり嘘くさいですね。

で、その「ソマトスコープ」での観察によって発見された
「ソマチッド」のライフサイクルを観察した結果、人間が病気になると、ソマチッドのライフサイクルが変化して異常な状態になる。
…では、「健康なソマチッド」を病人に投与してやれば、健康になるんじゃないかってのが、ネサン氏の考えで、これに基づいて樟脳から免疫強化製剤「714X」というものをこさえたんだそうだ。

無茶な論理展開ですね、例えば珊瑚の白化現象なんかはストレスを受けた珊瑚虫の体内から褐虫藻が逃げ出して起こるらしいですけど、
「そこで珊瑚虫に褐虫藻を注射しよう」ってくらい乱暴だ…

うむ、それゆえ最近では、ソマチッドは病気の原因ではなく、病気によって悪化した体内環境から逃げようとして変態するんだという説だとか、極端な例では、ソマチッドはやはりゴミで、病気によって体内の水分子の性質が変わったのに反応して形を変えるのだという説もある。

まるでなにかの宗教みたいですね。

ソマチッドに対する宗教論争はこの際置いといて、本章ではネサン氏に影響を受けた福村一郎氏によって確認されたとするソマチッドの性質が七つほど挙げられているな。
1.ソマチッドは地球上最古の原始生物であり、当時地球上にあった元素のうち水素(電子)をエネルギー源として活動した。
2.ソマチッドは不死であり、最近やウイルスとは別の生命体である。
3.ソマチッドは環境の変化に応じて、種々の形態をとり、その環境が気に入らない場合、周囲の基質を利用して殻を形成するという避難行動をとる(休眠状態で数千万年以上は生きながらえる)。
4.ソマチッドを活性化することは、宿主を健康にすることと一致し、人の免疫力の強弱と血漿中におけるソマチッドの増減は比例する。
5.人の白血球はソマチッドを抗原とはみなさない。
6.ソマチッドは尿から排泄される。
7.ソマチッドはDNAの基質であるタンパク質を合成する。

「ソマチッドについての標準理論」ですらここまで酷いのか。
2は不死である時点で既に生命の定義には当てはまらないし。

まあ、DNAの基質がタンパク質だなんて言ってる時点でね。
本当はDNAは塩基とリン酸と糖から出来ているんだが。

…艦長、この本って11章もあるんですよね?
あと9回もこんなデムパを扱わなきゃいけないんですか?

たしかに、ここんところデムパばっかで少々疲れたな。
来年から電波解析は隔週くらいにするか?

いいんですか?

ただし、上半期はずっとやりつづけることになるぞ?

難しい選択ですね。

一応、今年はこれで終わりだ。
みなさん良いお年を!

来年もよろしくお願いします!

うーん、ハンス、お前さんには「あけましておめでとうございます」
くらいボケて欲しかったんだが。

いや、最後くらいきちんとしましょうよ?

2007年12月24日月曜日

反戦軍事学を笑う その弐

ムグムグ…先任、そろそろ始めようかムグムグ

ハフハフ…そうですね艦長ハフハフ…でもその前に
ハフハフ…鶏肉を食べるのを中断しましょうハフハフ

んだなムグムグ… ぬんがふっふ! ゲフン…
世間様はクリスマスですが、皆様いかがおすごしでしょうか?

しかし艦長、クリスマスに合わせるのは判りますが、一昨日電波解析をアップロードしたばかりでもう始めるんですか?
普通にネタでもいいと思いますよ。
海上自衛隊がミサイルの迎撃に成功したり、ロシアのステルス機の話が出たりしたじゃないですか。

「正月ゆっくりしたければ、年末に倍働かなければならない」というのをおまえさんは知らないのかね?
なにしろ「反戦軍事学」はそうそう問題ではないのだが、
「超不都合な科学的真実」は十一ものデムパが縦深陣を布いているのでな、だいたいこのブログが一周年を迎える頃まで貴官の間の手が要るのだよ、だからネタを早く消化してしまおうじゃないか。
というわけで…電波解析コント「反戦軍事学を笑う 第二部」!

ヤヴォール。第二部は中級編という事で、
「軍事問題はさほど難しくない、毛嫌いせずに
 一般レベルくらいの知識は持って欲しい」
という事を言ってるような雰囲気? …その内部構成としては
一.誤解されやすい軍事用語
二.海軍の基礎知識
三.イージス艦VSテポドン
四.軍事用語は、なぜややこしいのか
となっていますね。
しかし、自分が読んだ感想としては、一般の読者に
「軍事は難しくないんだよ、簡単だよ(はあと)」という話をやりますよと宣言している割には、枝葉の軍事用語のうんちくにばかり終始していて「そもそも軍事とはこうである」という話が殆ど無かったですね。
…これは艦長が不燃ネタと仰るのも判ります。

うむ、軍事系の雑学を開陳して「軍事は難しくないんだよ」とやるのならば、ネタごとに小分けにしてまとめ、
「林信吾の軍事ミニ百科」とでも名付けて本編外の場所に付録として添付するという形式をとった方が読者には親切だったろうね。
まあ…ノンフィクションにしては突っ込みどころ満載のコーナーになっただろうが。
逆に「軍事の基本を解り易く説明しましょう」と宣言したのならば、文明が始まった頃には既に戦争があったという辺りから解説を始めて、「現代の軍事に関する一般論」まで持ってくるべきだったろう。

ちなみに、艦長はそのテの話どのくらいできますか?
基本的に技術屋でおまけにネタしか言わないような方だから、あんま期待はしませんけど…

そうだな、義務教育でも使う日本史の教科書には、縄文時代が終わって弥生時代の農耕文明が始まるとまもなく、村と村との間で抗争が始まり、豪族が現われ、その豪族をまとめる形で領主が出てきてやがてヤマト王朝が日本をほぼ統一したってな事が書かれてる筈だ。
で、一般的に人類史のセオリーによると、地球上に最初に農耕文明が
誕生したのが現代のイランの辺り。
…大体紀元前五千年頃の事だって言われている。
それからおよそ二千年後にシュメール人が現われた。
彼等のルーツ自体謎だと言われているが、人類史に始めて文字や暦を持ち込んだのが彼等だとの事だ。
ちなみに、旧約聖書によると、シュメール人の都市国家「ウル」に在住の資産家だったアブラハム氏は、デムパを受信した結果、親戚を連れて旅に出て、以下略でイスラエル人の歴史が始まったらしい。
この時代のシュメール人の都市は神殿を中心に作られており、周囲は城壁で囲まれていた。
外敵がいなけりゃ城壁は必要ない…おそらく、この時代に既に戦争が行われていたのだろうと推測されている。
つまるところ、文明はその誕生のときから戦争を内包していたわけだな。
「人類の歴史とは戦争の歴史」なんて言われるのは、この辺にも根拠があるんだろう。
…もっと聞きたい?

いや、日付が変わっちゃうんでいいです。

あ、そう。
最低でも「七人の侍」を引き合いに出して、降り掛かる火の粉を振り払うだけでも軍事力は必要。
…そもそも戦争というものにこれといった正義と悪があるわけではないというのはガノタすら知ってる一般認識ですよね?
くらいまではやりたかったんだが、まあいいだろう。
とにかく、第二部の内容は軍事に関する一般論と軍事用語の解説が渾然一体となっていて、読解力の乏しい人間には不親切だ。
こと軍事用語の解説に関しては、あっちこっちで叩かれているように間違いが満載で、ネットでも「もっと資料掘ってから本を書け!」と言われているまさにその通りなんだ。
ここみたいな「個人のブログ」に書くのなら、あの程度のクオリティでも問題無いと思うが、それでも、コメント欄で間違いを指摘されたら素直に認めるくらいの事ができないと…燃えるだろうね。

……

ところでハンスはこの章の間違いでどこが気になった?

軍事のうんちくをやってる割には、あっちこっちで乱暴な論理展開が目立つんですけど、テポドンの一件を人工衛星の打ち上げ失敗と見るのが妥当だと言ってるのが気になりましたね。
自分はあの騒ぎのとき、テポドンの事を人工衛星と主張していたのは北朝鮮だけだったように記憶しているんですが。

うん、それまで散々日本海へ向けて
(宇宙ロケットではなく)「ミサイルの実験」をやっていたのに、日本列島を飛び越えたらいきなり人工衛星だと主張し始めるのはいかにも不自然だよな。
なのにそれをまんま信じるなんてジャーナリストとしてアレだよな。
おまけに、サッカーの中継中にテレビに流れたテロップに過剰反応してテレビ局に凸しようとするなんてねぇ。
他には?

イージス艦については、この章の中で今のところ弾道ミサイルに対しては手も足も出ないとやってますが、ついこの間みごとにはたき落とせるようになった事が証明されましたよね。
この件に関しては著者を責めるわけにはいかないけれど、この本、第一刷が発行されたのが去年の12月30日…
是非とも時代遅れになった記述を修正した第二刷の発行を期待したいものです。

おいおい、誰がカネを出して買うと思ってるんだ。
…まあ、小官が気になったのは、海軍と空軍の記述だな。
木造帆船の時代まで商船と軍艦の性能の差はさほどのものではなかったって記述はちょっと酷い。
舷側に大砲をアホみたいに並べてハリネズミの如く武装した戦列艦があれば、ちょこまか走り回ってなかなか捕まえられないジーベック艦だとか、この時代でも日進月歩ってほどではないにせよ、各国は強力な艦船の開発に余念がなかった。
こういった研究の結果、蒸気船の登場前夜にはクリッパーのような高性能帆船が登場したし、現代のヨットの原型もこういった時代にオランダで開発されたと言われている。
それに、大鑑巨砲主義のところでも、ノンフィクションだと言っておきながら、航空機の有用性が証明された時代に巨大戦艦を建造する愚を説いているが、当時はまだ「戦艦ダメぽ」ってのは確定ではなかったし、ブロック造船法すら無かった時代に戦艦の建造に一体どれだけ時間がかかると思っているのやら…

言いたい事はそれだけですか?

空軍の記述がまだだよ。
まず、重航空機と軽航空機の区別がはしょられているな。
ミリオタを名乗るのならば、戦史として知っていておかしくないと思うが、戦間期の頃まで主として軽量強力な発動機が確保しにくかった事から、「飛行機」は速度でも航続時間でも「飛行船」には遠く及ばなかったのだ。
これで有名な例はツェッピリンのロンドン空襲だな。
「初期の空軍の仕事は偵察機を飛ばす事だった」と書かれているが、正味の話、偵察機は偵察機でも偵察気球が主流だった。
あと、「陸海に属さない新たな軍を創設する事になるので」憲法解釈の問題から日本は空軍をつくれなかったとも書かれているが、例えばアメリカでは空軍は陸軍から分離する形で出来たし、旧帝国海軍では条約で主力艦船の保有を制限されたもんで、長大な航続力を誇る陸上攻撃機等で火力を補わんとする「海軍の空軍化」という現象があった。
…陸海のどっちかが母体となれば空軍創設で帝国憲法をあーだこうだする必要は無かっただろう。
となれば、問題となったのは主として憲法より旧陸海軍の仲がめちゃ悪かった事じゃないかと思うんだがな。
陸軍とか空母まで保有してやがったし。

終わりましたか?

まーね。
じゃ、残りの揚げ鶏を食おうか。

そうすね…あーあ、すっかり冷めちゃってる。

土曜も「超不都合な科学的真実」で頼むよ。

萎えるような事言わんで下さいよ艦長。

ムグムグ…それじゃあ、ソマチットの話楽しみにしてて下さいね!

もう食べてる!

2007年12月22日土曜日

超ワクチンって…何!

さあ、始まりました!
電波解析シリーズえせ科学編「超不都合な科学的真実」数年前から大晦日にはビートたけしが似たような番組をやってますが、わがブログではホホイシリーズと合わせて年越しでお送りしたいと思います。

やれやれ、やっと始めてくれたか。
…世間様はクリスマスだってのに、何が悲しゅうて野郎二人で
UFO信者の書いた本を読まにゃならんのだ。

あとでパーティバーレル買ってあげるから…

艦長、一人で全部食べて下さいね。

ビッグマックセットの方がいい?

お一人でびっくりドンキーへでも行かれてはどうです?

強がらなくてもいい。先任も今年は一人なんだろう?

いいから、さっさと始めちゃいましょう。

そだね、じゃあ始めようか。
今回扱う第一章は「誘導消失療法」の話になっている。
題名は
「ガン、エイズを治癒させる究極のワクチンが握りつぶされた!?
  ー 治癒率99%の治療法が医薬品業界に与えた衝撃」
というものだ。

なかなかにセンセーショナルなあおり文句ですね。

多少なりとも生物学を知っている人間にとっては、この時点で
「おいおい、マジかよ。」なんだがな…

どれどれ…「臨床実験で実証済みの難病治療はこうして潰された」
冒頭で学説のアウトラインを紹介する前にまず陰謀論ですか。

陰謀論だけじゃないぞ。この章では散々デムパをまき散らしといて、
ご丁寧にも、章末にはこんな文が付いている。
===============================
※本稿は、サム・チャチョーワ博士(Dr. Sam Chachoua)の研究成果や訴訟を報じた米・豪のメディアや彼自身の言葉を参考にまとめたものだ。筆者はジャーナリストとして、海外での出来事を紹介したわけであり、読者に治療等の助言を行う事はできない。
筆者や編集部に問い合わせ頂いても詳細な情報は提供できない旨、ご理解頂きたい。
===============================

艦長、これって…

逃げ打ってるんだよ。このケイ・ミズモリってジャーナリストは。

って事は、この本の読者にはサム・チャチョーワとかいう先生が本物か詐欺師かも判らないって事ですか?

ぶっちゃけ、そういう事だな。
サム先生が本物か偽物かは判らないけれど、陰謀で潰されたんですよという事がこの本の著者がいちばん言いたい事らしい。

いきなり結論出ちゃいましたねぇ。
…もう帰っていいですか?

いや、まだだ。
「誘導消失療法って何?」という問題が未解決のままじゃないか。

このコーナーで取り上げた以上、結局インチキなのでしょう?
ならペテン師認定でいいじゃないですか。自分はもう疲れました。

この企画そのものを否定するような事を言うんじゃないよ、
いいからそこに座って聞きなさい。

はいはい、真剣白刃取りでも龍昇閃でも…

まだそのネタを引きずるのか。
まあいい、翻訳者(多分この本の著者その人)のスキルがアレなもんで、この本のデータからではちゃんとした事が言えんのだが…
なんでも「誘導消失療法」の生みの親として紹介されているサム先生は、父親が脊髄ガンを患った事をきっかけにガン研究を始めて医者になったらしい。
で、動物の免疫をワクチンとして人間に移植し、ガンやエイズを治療しようと考えたらしいんだな、つまりは血清療法だな。

血清療法っていうと、ヘビに噛まれた時に使うアレですよね。
ガンやエイズってんな注射一本で治るようなもんなんですか?

ところが大笑い、本文中ではこう説明されている。
===============================
 例えば、HIVの場合は人間にだけ感染しエイズを発症する。実験を行った動物には、その感染を退ける抵抗力が備わっていた。それゆえに、動物をHIV感染・エイズ発症させて検証する「動物モデル」がなく、そのことで医師たちは頭を抱えてきたのである。
ちなみに、馬、猫、犬などの動物も、人間のガンに対して抵抗力を備えている。
 そこで、サムは逆転の発想をした。それならば、どうしてエイズやガンのワクチン生成のために、動物の免疫反応を利用しないのだろうか、と。
===============================
この時点でサム先生か著者のどっちかに生物学の知識が決定的に欠如してる事が判るんだが、ハンス君には判るかな?

人間のガンって、そもそも「変異した人間の細胞」ですよね?
ならば犬猫の体内でこいつが生きられないとしても不思議は無いんじゃないですか。
逆にニャンコのガン細胞を人間に植え付けても、常識的に考えれば、多分あっさり壊死すると思われるわけで。

そう来たか、いかにも君らしい正論だな。
半分正解だ。実はウイルスに対しても種族の違いが問題になる。
一般的にウイルスの表面にはスパイクというタンパク質のトゲが生えていて、標的となる細胞に接触すると、その細胞のタンパク質にこいつがガッチリ結合する。…このプロセスが感染の第一段階だ。

って事は…

人間に感染するウイルスは基本的に動物の細胞には感染しない。
だから動物の免疫系はコレを異物として一方的にタコ殴りできる。
だが人間だと、免疫系が処理する一方でウイルスは原子炉の中の中性子並みに殖えて殖えて殖えまくる。
ヘビやサソリの毒は体内で増えたりしないし、抗体ができる前に命を失う可能性の方が高いから、馬に作らせた抗体で中和するんだがね。

なるほど、そういう事情を知ってたら、普通は動物に作らせた抗体が患者が体内で作ったもの以上に効くなんて考えないですよね。

だが、ここからデムパがエスカレートする。
結核の患者がガンに罹らないという話をもってきて、病気にはけんかをする組み合わせがあるのだという事を言い出し、人間には病気を起こさないバクテリアをがん患者に投与すれば、そいつがガン細胞に結合して人間の免疫系がこのバクテリアを殺す時にガン細胞も巻き添えであぼーんするというのが誘導消失療法IRTなのだと。
遺伝子レベルで効くから、(いつの間にんな話になったんだ?)心臓病や喘息、ボケにも効くのだと。

このパターンって、まさしく悪徳商法じゃないですか。

そう、ゆえにここから急転直下となる。
メキシコのとあるクリニックで偽ワクチンが処方されて死者が出た事をきっかけに、サム博士は怪しいということで、学会は彼の研究成果を否定する方向へ動き始めた。
そこで彼はシーダース・サイナイ・メディカル・センターCSMCを相手取って裁判を起こし、2000年8月にロサンゼルス連邦裁判所で賠償金一千万ドルの支払い命令が出た。

ちょっと、裁判に勝ったからといって科学的に正しい事にはならないじゃないですか!
猫を電子レンジに入れて賠償金を手に入れた人の話もあるわけだし。

猫チン事件の真偽についてはともかく、サム博士が怪しい人物だってのは事実らしい。
実際CSMCが控訴すると、2001年9月には賠償金が初期の負担分である一万一千ドルに減額されたそうだ。
ところがこの章の締めくくりの部分はこう始まっている。
===============================
 どうやら世界中に監視機関が存在し、効果のあり過ぎる治療法の発見や、歴史を覆す発見が行われると、そのような研究者の信用を落とす手段が瞬時に講じられ、専門の研究機関はそれに関わらないよう通達を受ける現状があるようだ。そもそも、医学的大発見をするのが大きな医療機関の研究者に限られていること自体、不自然だ。チャチョーワ博士のように、自らの努力で資金を得て、研究を続けてきた個人の発見が大きく報道されることはないのである。医療機関自体が一種の監視機関として機能し、そのような機関に所属せずして、世界に研究成果を公表することすら困難な状況が存在するのはまことに残念なことである。
===============================
まあ、こんな陰謀論など反証を示すのは簡単なことでね。
例えばイタリア系アメリカ人のオドーネ夫妻は息子が患った遺伝病を克服するため、個人で研究を行って画期的な治療法を発見した。
この辺の詳細は「ロレンツォのオイル」という映画にもなっている。
「オイルは儲かるから潰されずに済んだんじゃないか」という反論も予測されるが、そもそも「オイル」の発見は従来のセオリーを覆すもので、当初は専門の医学者や患者の団体とも対立した。
だが、実際に有効であることが判って着実に理解者が増えている。
サム博士の誘導消失療法も「本当に有効である」ならば、世論を動かすほど支持者が現れないのは不自然だよな。

ってか、サム・チャチョーワ博士は今はガンの研究をやめて今後はアジアやアフリカのエイズ患者や心臓病患者のための研究を始めたいと考えるようになったって書かれてますけど、これって、詐欺師が河岸を変えたとも取れますよね?

だな。
ちなみに、小官はこの特集を組むためにちょこちょこと下調べをしてみたんだが、「誘導消失療法」に対して肯定的に書かれている記事は大体がこういった感じのデムパで、あまり参考になるデータは得られなかった。で、この章の中でちょっと言及されている「丸山ワクチン」だが、これはよりメジャーな話みたいで、ウィキにも載っている。
で、ウィキでは丸山ワクチンの有効性について
「交絡因子によるバイアス」が存在した可能性が指摘されている。

何ですか、その「交絡因子によるバイアス」って

北杜夫の「どくとるマンボウ航海記」に酒をたらふくかっ喰らえば、船酔いにはならない。もしも倒れたとしても少なくともどっちでやられたかは判らないという話があるだろ、要はそういう話だ。
おまけに例の陰謀論の結びの部分はこうなってるし。
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 そもそもマラリアが存在した地域にはガンという病気はなかった。ひとたびマラリアを排除するために、沼地をなくし、蚊を退治すると、ガンの発生率は高まった。最終的に人間の病気治療に答えを与えるのは、自然界に存在する動植物にある。しかし、その薬を生む地球環境は、今も破壊されつつある。自分の父親をガンで亡くしたばかりか、救えたはずの多くの人々を助けられず、医療業界から執拗な攻撃を受け、健康までも害してきたチャチョーワ博士だが、彼が残してくれたものは、人類の生存には自然環境との共生が不可欠であるという重要なメッセージなのかもしれない。
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この博士、結局ガンの親父は亡くしてるんですね。
オドーネ夫妻は根治こそ無理だったものの、見事に病気の進行を食い止めて息子の命を救ってるのに。

ってか、マラリアが流行っているからガンが発生しないという話自体医学的にはめちゃめちゃ乱暴な論理だよ。
例えば、戦前まで日本人の死ぬ病気と言えば「結核」だったが、今では「ガン」になっている。
が、その間に平均寿命は三十年近く伸びている。
「日本人は本来ならば、ガンではなく結核で死ぬべきだった」と言うのなら、それはそれで一応「超不都合な科学的真実」だがね。

酷いブラックジョークですね、艦長。

私じゃないぞ。このケイ・ミズモリってジャーナリストのジョークのセンスが優れているんだ。

2007年12月15日土曜日

人斬り包丁概論

ハンスどん、大変でごわす!
エゲレスで廃刀令が出るでごわす!

艦長ぉ…何なんですかいきなり。今週は「超不都合な科学的真実」でコントをやる予定だったんじゃないですか?

んな不燃ネタは来週まで保留だ。今回は日本刀の話をするぞぉ〜!

無駄に燃えてますねぇ…
まったく、この人はわけのわからんモノに変な情熱を注ぐから

さて、ウィキ等で調べれば日本刀についてある程度の一般論は仕入れる事ができるだろう。
で、現代でもまあまあ論争のあるところなのだが、
「実際日本刀ってどんだけ強かったのよ?」
という問題を扱ってみよう。

はいはい、えっと…どれどれ
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日本陸海軍が将校の主要兵器として軍刀を採用し続け、サーベル様式の軍刀拵えに日本刀を仕込むのが普通となり、さらには日露戦争における白兵戦で近代戦の武器としての日本刀の有効性が確認され…
===============================
日本刀をサーベル拵えにしたって…もしかして、某空想海賊アニメで世界政府の軍隊が標準装備してる「あの軍刀」ですかね?

多分元ネタはそのへんだろうね…って、ネタに走るなよハンス。
大体お前さんはツッコミ担当じゃないか。

じゃ、艦長がボケて下さい。

ああ言えばこう言う…まあいい。
結論から言ってしまえば、戦場に於いて日本刀は必ずしも有効な兵器とは言えなかった。

えっ、でもけっこう「最強の刃物」ってイメージがありますよね。
そりゃ演出や使う人の技量なんかもあるでしょうが、「海皇記」なんかでも、鋼鉄製の甲冑を着込んだ傭兵を一瞬で両断しちゃってるし。

よくよく武闘系の漫画を読むんだねぇ、おまえさんは。
だが、どんなに良く切れても、届かなければ意味が無い。
仮にライトセーバーのようなブツであっても、接近戦兵器である以上相手を攻撃するためには会話が出来るくらいの距離にまで近付く必要がある。

火縄銃の三段撃ちでアウトレンジされたら、どーしょーもないわけですか。…ロマンのかけらも無い話ですね。

軍人がロマンですと?
そんな寝言を言うようだから二尉止まりなのです貴方は。

銀英厨乙。
じゃ、「日本刀の有効性」って一体何なんです?

先任、その「銀英厨」という発言は覚えておくから、後で甲板へ出るように。
俺がサーベルで斬り掛かるから、卿にはケブラー製の手袋で真剣白刃取りをやって貰う。

わかりましたよ、あとで真剣白刃取りだろうが龍昇閃だろうが気が済むまで付き合ってあげますから、本題に戻って下さい。

日本刀の問題点。
それは一にも二にも「間合いが短い」という事に尽きる。
事実、日本刀に槍のように長い柄を付けた長巻が作られたりだとか、また戦国時代の武家では実際に槍の有効性が大きく評価されて、様々なタイプの槍やこれを扱うための流派が出現している。

じゃ、日本刀って結局何だったんです。
近代の軍隊で言うところの軍用拳銃みたいなものですか?

惜しいね、実は日本刀が兵器として本格的に活躍し始めたのは、応仁の乱の頃だって言われている。
この頃、みかどのおわします京の都では足軽によって貴族同士の代理戦争が行われていた。
ただし、この時代の足軽ってのは、胴巻きを着て槍を持ったようなのではなく、普段は民間人に紛れ込んでいて、事を起こす時に集団で武器を手に貴族の邸宅を襲う…といった感じだったらしい。
で、こいつらの主兵装が「日本刀」だったんだな。

民間人に偽装した貴族の私兵がねぇ…今で言うとヤクザ屋さんが政治家の手先となって東京で抗争をしてたようなもんか。
そりゃ国が乱れるわけだわ。

その後、日本の政情がある程度安定すると、日本刀は今度は大陸へ輸出されるようになる。
前期倭寇の海賊達や秀吉の朝鮮出兵といった事例によって日本刀の威力が大陸でも認識された事情があったからなのだが、その後これらの国々では倭刀や苗刀といった日本式の刀剣が製作され、軍隊の正式装備にもなった。

そういえば、チェオクの剣なんて韓流ドラマがありましたけど、あの後どうなったんでしょうね。
まあ、韓国と言えば最近は武士道だけでなく漢字や儒教の元祖まで主張し始めて、中国にも顰蹙を買ってるそうですけど、自衛隊と中国軍を同時に相手取る事を考えれば、国家予算に対するあの重武装は納得できますね。

嫌韓厨乙、いちいち相手するのも面倒だから次の時代に進むぞ。
ラストサムライの時代、西南戦争の時。西郷の薩摩軍は田原坂にて政府軍に多大な損害を与えた。これに対抗するため政府側は当時、元士族の多かった警官から抜刀隊を組織して薩摩軍を退けた。
ここで明暗を分けたのがやはり日本刀だった。

あ、…冒頭の西郷どんのネタってこれの伏線だったんですね。

たまたまだよ。たまたま!
さてと、ここまでの例で大体気付いたと思うが、
「日本刀が有効な状況」って何だと思う?

人を斬る状況。

ハンス君、手袋は使わずに真剣白刃取りにチャレンジしようね。

すいません、真面目にやります。
えっと…市街戦でしょ、山野戦でしょ、何というか障害物の多い地形での戦いが多いですかね。

そう。飛び道具にしろ長手の武器にしろ懐に飛び込まれると弱い。
平地で集団戦をやるときはきっちりと密集陣形を組んで敵を寄せ付けないが、市街地や雑木林に入り込むと、障害物が多くて密集陣形を組むわけにはいかないし、見通しも悪いから、懐に飛び込まれる危険性もがぜんアップする。
大体、障害物の多い場所では、長手の武器は取り回しがアレだしな。

あと一対一でやり合う状況なんかも考えると、槍や長刀なんかは横にいなされて懐に飛び込まれるともうお手上げですもんね。

そう、武器には「得意な距離」というもんがあるんだ。
ウィキの「倭刀」の項目にも似たような話が載ってたが、
ヨーロッパでも「銃士隊」というのが作られた。
いわゆる三銃士のアレだが、長射程のマスケット銃と接近戦用のレイピアを組み合わせて、両者の死角を補った当時の最新戦術だった。

はあ…なるほどね。

ただ、敢えて言うならば日本刀はバリバリの接近戦武器なので、市街地では特に有効性が高いと言えるだろう。
明治時代の廃刀令然り、今回のイギリスの件も然り。
まあ妥当と言えば妥当な判断だが、日本刀を悪用した事件が百件というのは…「剣」なんだから危険なんだってのは判りそうなもんだけどやっぱアレかな、日本で厨房がナイフ振り回して警察の厄介になるのと同じなんだろうか?
どう思うよ先任。

サーベル振り回したがるような艦長には聞かれたくありません。

さよけ。

とにかく、次回こそは予告通り「超不都合な科学的真実」ですからね?

あい、判りんした。

2007年12月8日土曜日

反戦軍事学を笑う その壱

(ナレーション)クリスマスを控えたすがすがしい土曜日の朝、この艦の副長ハンス・シュミット二等厨尉が趣味の本でいっぱいの館長室を訪れるところから話は始まる…

艦長、何をしておいでです?

先任か… 
いやな、どうも私の利用しているプロバイダーから2ちゃんを荒らしたボケがいたらしくてな、アクセス規制がかかっとる… 
実にけしからん。

仕事にもその姿勢で取り組んでいただけると助かるのですがね。

で、何の用だ?

何の用だは無いでしょう。私にこんな本を読ませといて。

そうだったな、では電波解析コント「反戦軍事学を笑う 第一部」!

えっ、頭の67ページだけで良かったんですか?

ぼう、あんな本をまるごと全部読んだのか、勉強熱心だな。

ちょっと、そんな事何も聞いてませんよ!?

不平はその辺にしてさっさと始めてくれ。

そですか。えっと、艦長はまず90式戦車の記述に突っ込まれるかと思いますが、自分が気になったのは19ページのこの部分ですね。

===============================
 恵まれない環境で育った青年は、軍隊に志願することで、とりあえず衣食住を保証され、運転免許その他の資格を取得することで、ようやく社会的な競争に参加できるようになるかも知れない。「国防経験者」だの「二選抜」だのというのも、もちろん創作だが、あり得べき未来図だと、私は思っている。
===========================以下略=

こういった権力側の人間が国民の個人情報を悪用するって妄想を
「もちろん創作だが、あり得べき未来図」ってのは、いかにもどっかで聞いたような論理展開だと思います。

ハンス・シュミット二等厨尉、貴様はなんだってそんなにクソ真面目なんだ? 先週、反戦軍事学は「フィクションとして論評します」と私が言ったばかりじゃないか。
そもそも第一部のほぼ半分はフィクションだろう、こんな調子では先が思いやられるぞ。

はっ、 すいません。では失礼して…
林ィ!この馬鹿者。戦争映画の見過ぎだ、歯ぁ食いしばれ!!

精神注入ッ!!

あいたっ!何すんですか艦長!!

馬鹿者は貴様だハンス。
それではホホイ大先生がフルメタ厨である事しか判らぬではないか

は、申し訳ありませんでした。
では艦長、90式戦車についてのツッコミをお願いします。

うむ、この本にもある通り90式戦車は情報の収集と共有の能力、
即ちC4Iの面で遅れがあるともっぱらの噂だ。
だが、「戦車の性能」とは偵察や通信ではない。無知な者はここであっさりダマされる。
参考までに言っておくと、90式は17年前に登場して以来殆ど進化していないにも関わらず、世界で三番目に強い戦車と言われている。
火力・装甲・機動力で世界レベルの性能を有するばかりではなく、
慣性誘導装置を組み込んだ火器管制システムにより、全速力で走行中に放った弾丸で初弾命中が期待出来る… 
って、ハンス三味線弾くんじゃない!

艦長、饒舌ですねぇ。

いいかげん「俺の話」をさせてくれ、ホホイ大先生は憲法が改正されて「自衛隊」が「日本国国防軍」になっても、徴兵制は復活しないと言っている、この点に異論は無い。だが…

だが?

気付かんか?
第一部の約半分を占める日本国国防軍のシュミレーションとやらでは大体の人は二年間軍人をやったらさっさと辞めて社会復帰するという事になっている。
志願するか否かは個人の自由意志に任されているという設定だから、そりゃ徴兵制ではないだろうが…

じらさないではっきり言って下さいよ。

徴兵制シリーズでも読めば一般人にも判ると思うんだが、そもそも徴兵制が廃れつつある理由ってのは、

1.徴兵をやると、将来有望なインテリ書生も、軍隊内で絶対問題を起こすに違いないちんぴらも十把一絡げに入隊して来るので、社会にとっても軍隊にとっても損失となる。

2.戦闘機やイージス艦に限らず、現代兵器の扱いには習熟を要するにも関わらず、次々に入隊しては二年かそこらで辞められてはマトモに使える兵隊が育たない。

3.そもそも、平時の軍人は穀潰しに他ならないのに、労働力であり納税者でもある若者をわざわざ軍人にしてメシを喰わせるというのは国にとって負担以外の何物でもない。

…とまあ、こんなところだろう。で、まず問題になるのは2だ。
想像してみろ、貴様の部下の半分が「アルバイトの軍人」だったら…

なんだか胃が痛くなりそうな話ですね。

いかにも、無能な味方は有能な敵より恐ろしい。
1と3についても、一見このシュミレーションでは問題にならないように見えるかも知れないが、生活保護を受けていた者、学力だけでは出世出来ない者が、「国防経験者」という資格を手に入れるためだけに二年間だけ入隊するという話になれば、

1.使えない奴が大挙して軍に押し寄せる

3.その使えない奴に二年もメシを喰わせ、就職や年金の面倒も見なくちゃならない

とまあ、軍隊から見ればこういう話になる。
…一体いくら国防予算が必要になるんだろうね。

なるほど、フィクションにしてもあまりにも不出来ですね。

ちなみに、現代兵器と「徴兵されたアルバイト軍人」の相性が悪い事については既に実例がある。
1966年10月26日の早朝、北ベトナム沖にてアメリカ軍の空母オリスカニーは艦載機の発進準備をしていた。
艦上では艦載機の兵装を取り替えるため、発光弾を取り外し、弾薬庫へ格納する作業をやっていた。
事件の発端となったのは二人の間抜けな水兵だ。
「慣れ」とは恐ろしいもので、こいつらは本来手渡しで運ぶべきものをポイと投げてはキャッチ、ポイと投げてはキャッチ。

まさか…

左様。ポイと投げて取り損なう。こないだ火災現場で野次馬がベランダから落とされた赤ん坊を取り損なったようにな。

艦長、そのネタは不謹慎です。

赤ん坊を落っことせば意識不明になるが、発光弾は信管が作動する。
プシュシューとか言いだすから、びっくりしたバイト君は、そいつを弾薬庫へ放り込んでバタン!
…本当は信管が作動してから火が出るまで大体20秒かかるから、海にでも投げ捨てれば良かったんだけどね。

バカだぁ、こいつら…

当然ながら、弾薬庫の中で誘爆が発生。スプリンクラーが作動するがあいにく発光弾はマグネシウムだ。水素が発生して火炎と一緒に格納甲板へ流れ込む。でもってそこら辺の可燃物に引火して大惨事。
火災は数時間後に鎮火し、オリスカニーは沈没こそ免れたものの、
結局航空機6機が損傷し、乗組員は44人も死んだ。

うちは潜水艦だから、そんな事案があったら全員死亡確定ですね。

最近も、演習場から帰る途中の国防ウーマンがファミレスに突っ込んだ話があった事からも判る通り、元来軍人とは社会勉強の片手間に勤まるような仕事ではない。
文字通り「制服を着た公務員」なのだからな。
つまるところ適性が無きゃいかん。
ゆえに、憲法が改正されてもそれがホホイ先生のシュミレーションのような事態を招くとはきわめて考えにくい。
だいたい、すぐ軍人を辞めるような奴に制服を着せるなんざ防衛予算の無駄になるだろうが。

なるほど、日本人の人件費は世界トップクラスですもんね。

さてと、来週は「超不都合な科学的真実」だったな。
小官にとっては2ちゃんのアクセス規制の方が不都合なんだが…

いいかげん、その話題から離れて下さい。

2007年12月1日土曜日

副長再び もしくはホホイ作戦ミーティングの回

 テクノバーンの報道によると、韓国はLG電子の携帯電話が爆発して人死にが出たそうです。
そういや何年か前、パソコンのバッテリーが火を噴くとかで回収騒ぎになった事がありましたが、少なくともマッキントッシュのものに関してはLGケミカルの製品だったと思います。

何と言っても、リチウムイオン電池の大容量化には高度なノウハウが必要とされるそうですからねぇ…
実際に開発に携わった技術者の書いた本によると、ラスト・ストローという例えがありまして、「まだまだイケそうだな」と思って充電を続けてくと最後に僅かな負荷を加えただけであぼーんするそうです。

それはさておき、レールガン実用化の日がまた近付きましたね。
テクノバーンの記事には
「1年前まで実験を行ってきた従来型の実験レールガンシステムの射出能力は8メガジュールで、重量が3.2キログラムの小型キネティック弾頭(Projectile)を射出させることしかできなかったが、海軍研究所はレールガンの開発特別プロジェクトチームを発足させる事で短時間に一気に射出能力を4倍に向上させ、実用化に大きく前進させる事に成功した。」
と書かれており、こいつの射出能力が倍になれば、一応レールガンの実用化に目処が付くみたいです。

ところが、この記事のオチは
「しかし、このレールガン・システム、250マイルも離れた距離にある目標にどうやって正確に着弾させることができるのだろうか?」
となっており、こんな事書くテクノバーンの記者には
「ちょっと!今しがた小型キネティック弾頭って…」
と突っ込みたくなる事甚だしいわけです

副官       :艦長、少しよろしいですか?
ハインフェッツ  :ハンス、お前居たのか?
副官(以下ハンス):ええ、ええ、ずっと居ましたとも。
         全然出番が無いから干されたかと思いましたよ。
         ってか、私ハンスって名前だったんですね!

ハインフェッツ:コントの設定の話はいいとして、用事は何かね?
ハンス    :本棚に置いてあるその本は何なのですか?

「朝日新書 反戦軍事学 林信吾著」

ハインフェッツ:こないだデパートの本屋で見つけて買ってきたのだ
       なんでも「おかげさまで朝日新書は一周年」だそうだ

ハンス    :違うでしょう、何だって今更「反戦軍事学」
       なんですか?

ハインフェッツ:たしかに、ネタとしての面白さを求めるのなら、
       半年も前に終わった本は古すぎるだろうね。
       が、今まで話に聞くだけだった本の実物がこうして
       やっと手に入ったのだ。
       これで、ネタなり論評なり好きに出来る。
       きちんと金を出して買ったものだから、クダクダ
       言われる筋合いも無い。
       我々なりの「ホホイ語補完計画」ってわけだな。

ハンス    :それは…「ホホイ語補完計画」の意味が間違ってる
       大体そういう事は今までに艦長以外の人が大勢やって
       きたんじゃないですか?

ハインフェッツ:それはその通り。
       「平和主義を唱えるのなら軍事について
       正しい知識を持ってほしい」という至極真っ当な主張
       をしてるくせに、軍事についての誤った知識が
       てんこもり…というのは叩かれて当然の内容だし
       著者の電脳空間での素行が素行だから、
       弁護のしようも無いわけだが…

ハンス    :大体、艦長のレベルじゃ電波解析とかやっても
       90式戦車の記述に突っ込むのが限界
       じゃないですか。

ハインフェッツ:言ってくれるじゃないか、
       ま、小官は元が機械屋だからね。
       だがこう考えてはどうだろう。
       この本を「ノンフィクションではなくフィクション」
       として論評するというのは?
       今まで誰もやった事の無い切り口だと思うが。

ハンス    :いや、いかにも誰か考えそうな事だとおもいます。
       で、こっちの五次元とかいう本もその流れですか?

「五次元文庫 超不都合な科学的真実 ケイ・ミズモリ著」

ハインフェッツ:Nein,この本は元々デムパだし、
       マイナーだから、科学的に批評してる人も
       多くはなさそうだ。
       だからそうひねらなくても電波解析の素材にできる。

ハンス    :そうですか…
       なんだか、とりあえずなんでもかんでも持ってきた
       ってな感じですね。

ハインフェッツ:そうでもないぞ。これで我がブログの看板である
       「軍事・SFそしてちょびっと政治」がカバー出来る

ハンス    :なんだかんだでうまく纏めましたね。

ハインフェッツ:まあ、遅筆故に読者の皆さんにはご迷惑をかける
       かも知れないがな。

ハンス    :読者、いるんだ。

ハインフェッツ:国内のミリヲタでブログ持ってる人は一応
       チェックしてゆくという程度のものらしいがね。
       ブロガーは名無しだとコメント出来ないから
       中々認知する機会が無いが。
       というわけで… 読め!

ハンス    :私が論評するんですか?

ハインフェッツ:素人にも取っ付き易いようにコント形式を
       採用する事にしたのだ。
       だから卿にもこれの内容を飲み込んでおいてほしい。
       では次回、刮目して待て!

ハンス    :部下が出てきたとたん、やたら偉そうだよこの人

2007年11月24日土曜日

メカ設定にみるガンダムの終わった度

 昨日、テレビをつけたらたまたま「海峡」というスペシャルドラマがやっておりまして…どうも在日問題を扱ったものみたいでしたが、
「やけに半島に同情的な視点で描かれてるな」と思いながら観てたら
主人公が不法滞在のかどで取り調べを受けているシーンで
「私は自分を日本人だと思っています。」
と言って五分と経たぬうちに激高して
「私達の国に攻め込んで自分の物にしたのは誰ですか!」
と怒鳴ってしまいました。
えっと…つまり貴方、ご自分の国籍は一体何だとお考えなので?
…よくもまあこんなアホさ満点のシナリオが書けたものです。

 それは政治の話なので置いといて、先週の放送でガンダムがとうとうプライアルアーマーを使ってしまいましたね。
排気口から放出される白い光の粒を見る度に
「あれはコジマ粒子じゃない、GN粒子だ。」と
己に言い聞かせて視聴してきたこの数ヶ月は一体何だったのやら…
最早ユニオンがあっさりGNドライヴのコピーに成功したり、世界中の軍需企業が結束してソレスタに戦いを挑むなんて展開になっても驚きはするまい。
 アーマードコア4の外伝として観る事に致しましょ。

 それにしても近頃のガンダムのメカ設定にはパクリが目立ちます。
例えば前回の「シードディステニー」でもミネルヴァの艦橋に状況に応じてエレベーターのように昇降するギミックがあるかと思えば、
アークエンジェルの中には銭湯が新設され、その上この艦、ほとんど海中に潜伏して活動している…。
知らない人には全くの新アイディアのように見えるかも知れませんが「新旭日の艦隊」の漫画を読んでた者としては、艦隊シリーズの半分ギャグみたいなメカ設定を劣化コピー同然に盗んできて土6に放送するとは一体どういう了見かと。

そもそも、(こんな言い方をしてはアレですが)ガンダムってのはつまるところ「玩具を売るためのロボットアニメ」である筈です。
ならば、オリジナリティーで勝負すべきところだろうに…
日本人のイノベーションは一体何処へ行ったのでしょう。

2007年11月17日土曜日

「味方殺しの整備主任を出せ!機銃の照準が…」以下略

 F2が落ちたのはローテクな配線ミスだったそうです。
なんでもフライトコンピュータにつなぐジャイロのケーブルをピッチとロール逆につないでたとか、
こいつぁひでェ…

 なんかここ数年、このテの作業員のポカミスとか技量不足による事故が多発しておりますが、やっぱアレだと思いますよ。
コスト削減じゃ言うてみーんな派遣ばっかにしちゃったんじゃ、そりゃ今まで起こらなかったような人為的ミスが発生するのは無理からぬ話でありましょう。

 しかしながら、人為的ミスが発生しにくい、或いは発生したとして、それをコトになる前に処理出来る体制作りといったあたりはやっぱ企業側の責任でしょうね。
例えば配線を色分けするとか、それで不十分ならポートの形状を変えて誤った線は物理的に差し込めないようにしておくとか。
まあ、それでも根本的に作業員のモラルが欠如してるケースというやつも確実にあるんですが。

 それにしたって、末期の自由惑星同盟並みにこういった事故が発生しまくるなんて、これは最早「ある種のサボタージュ」に近いもんがあります。

2007年11月10日土曜日

アウトブレイク!

 「バイオハザード3」観てきましたよ。
アンブレラ社って東京にも支部があったんですね。
だけど超能力とかどんどんよろしくない方向へ向かってるみたいで、その辺がちょっと残念です。

一方うちのブログではラベルがちょっとあんまりなので、分かり易いように貼り換えの工事を進めております。
ぼちぼちとですが。

 他方、軍事の方面ではイーグルが老朽化でだめぽで、ラプたん期待って話になってます。
ロシヤも独自にステルス機を開発してるらしいですし、ポスト冷戦時代も終わってまたしても軍拡のチキンゲームになりそうな悪寒…

 さて、つかみでなんだってバイオハザードなんかの話をしたのかというと、アフリカマイマイが遂に本土上陸してしまったのです。
小官の地元では最近あまり見かけなくなりましたが、昔は畑などにもうイヤなるくらいほっつき歩いておったもんです。
たしか北杜夫もエッセーでアフリカマイマイの事を書いてましたが。
ちなみに小官はこいつを「アフリカバイガイ」とも言います。

 あくまでも伝聞に過ぎないのですが、沖縄ではかつてこいつを食用にしようと養殖場を作ったのだそうですが、結局そう美味いもんじゃない事が判って放置された施設から大量に逃げ出し、農作物に甚大な被害を与えるようになったということで、沖縄から外に出してはいけない生物の一つにも認定されたわけなんですが。
…温暖化とかもあってとうとうアウトブレイクしてしまいましたね。

 しかもカタツムリって、両性具有なもんですから、ウリミバエの時みたいに不妊虫を使った方法では効果は無いでしょう。
まあ、今のところ越冬は無理っぽいですが、将来西日本方面でこいつらが大量発生を繰り返す事態になれば、結局殺貝剤を大量に投入する事になってしまうでしょう。

2007年11月3日土曜日

四発戦闘機の妄想

 去る水曜にF2支援戦闘機が落っこちた一件で、知り合いのエメラル少佐から入電が有り、少々やり取りを致しました。

エメラル少佐 :F2が〜120億が炎上しちまった〜
ハインフェッツ:あの機体、今まで無事故だったのにね。
エメラル少佐 :配備からまだ時間が経ってないから…
ハインフェッツ:もう生産中止だけどね。
エメラル少佐 :支援機が120億じゃ要撃機はいくらになるやら。
ハインフェッツ:エンジン人質に取られてちゃ主力戦闘機なんて作れないよ。
エメラル少佐 :あう… もうやめようぜ、この話題。

軍事関係のブログを書いてる人達の間でも今回の事件は結構話題になっており、佐藤守元空将閣下も陰謀説まで出てるけど、事故原因の究明が第一だろうねと仰っています。
ただ、今のところオブイェクトは反応しておりませんが。

 それはそうと、かなり前からF2についてはジェットエンヂンを人質に取られたために思うような機体が開発できなかったという事がいわれており、事実、こめ国は軍事技術と核技術に関して日本がアドバンテージを持つ事を警戒しているフシがあるわけなんですが…

 この問題について結構前から小官が考えている事があります。
一般的にジェットエンヂンはサイズが小さくなるほど、推力/重量比がアップする傾向があります。
これは、軸流式ターボジェットの推力がその直径にほぼ依存するのに対して、何がしかのマシンをそっくりそのままスケールアップした場合、二乗三乗法則に従って重量がスケールの三乗倍となってしまうからであると考えられます。
 ビル・ガンストン教授は優れた大きなエンジンは常に優れた小さなエンジンを負かすと言いますが、これは出力が排気量にほぼ依存するレシプロエンヂンでの話であり、ジェット機の場合、レシプロ機と比較して推力/重量比からして桁違いですから、戦闘機として小型単発機は大型双発機に勝るというのは今ではちょっと当たらないんじゃないかと思います。

そもそも大推力を確保でき、機体容積にも余裕のある双発機は主力戦闘機として、またマルチロール機の基本形としてかなり魅力的です。
小型単発機であれば、二乗三乗法則により機体重量に対する翼面積が増加するためたしかに機動性は良好になりますが、現代の主力戦闘機はその機動性の面に於いて人体の限界にかなり近付いている上に、格闘戦は基本的にミサイル攻撃が失敗した時の予備としての意味合いが近いです。

 …となれば、強力且つ大型の外国製ジェットエンヂンを少数搭載した機体に代えて低推力ただし推力/重量比に優れるエンジンをそれなりの数搭載して同じ推力を確保するという策は無いでしょうか?

例えば推力16トンのエンヂンを二発搭載するラプたんに対して、
推力8トンのエンヂンを四発搭載する。
 エンヂンが小型化された事により、軽量化につながる。四基のエンヂンを水平に搭載すれば、機体を平たくRCSを低減し易い形状に作り易くなる。
さらに、エンジンを四発搭載する事により、四発モードと双発モードを切り替えて長時間の滞空が可能となる。
四発故の整備の煩雑化はたしかに問題でしょうが、こめ国がエンヂンを人質に取るラプたんも売らないと来れば、イロモノかも知れませんがこれは研究だけでもして機体特性の傾向を押さえるくらいはしておきたいもんです。
あくまでも第一は世界水準のジェットエンヂンを自前で調達できる事ですが。

まあ、予算が出ないんじゃどーしょーもないですが。

2007年10月27日土曜日

ポルコ超絶技量伝説

 あの後精査の結果上がってきている情報ですが、コンベン裏の一件で、県民の数を11万と伝えたのは朝日新聞のみで、他の新聞社は会場の規模からまあ4万程度じゃないのかって言っているそうで、どうやら誇大広告の線は確実みたいです。
「結局朝日は戦前から嘘吐きのプロパガンダ新聞なんだね!」って。

それはさておき、こないだから気になっている事があります。
「紅の豚」に出てくるサボイアS−21戦闘飛行艇、
最近気付いたのですが

…いかにも前方視界悪そうですよねぇ。
重心だの空力だのはこの際どうでもいいでしょう。
実際にこいつのラジコン機を作って飛ばしてる人もいるくらいですから、その問題はあんま無理もせずにクリアーできるのでしょう。

 が、考えてもみて下さい。
この機体、細長い船体のかなり後ろの方に背の低い座席があり、その船体の上、だいたいパイロットの胸か首の高さに「アイーン」をするような形で主翼が水平に横たわっています。
 それだけならばまだしも、パイロットの頭上には巨大なエンジンポッドが鎮座ましましてございます。

 そりゃまあ、映画ですからこういった配置にすればコックピットの映るシーンでメカがさりげなく自己主張していかにも人機一体といった絵が作れる事でしょう。
 しかし、こんな機体で例えば宙返りして逃げる敵機の後ろに喰らいつけば、かなり高い確率で敵機はエンジンポッドの陰に隠れ、操縦士からは死角となるに違いありません。

 とにかく見張りが大事とされるこの時代の空の戦いに於いて、こういうのは大きなマイナスです。
とくに旧帝国軍の場合、飛燕や雷電のような
「ちょっとばかし鼻の長い機体」ですら、テストパイロットに
「前方視界劣悪」との駄目出しを貰った話すらあります。
彼等をサボイアに乗せたら、絶対にこれは酷いと。まるで目隠しされたような状態で飛んでるようなもんだと言うに違いありません。

ポルコのおやじはそんな目隠し状態でアドリア海一つおいパイロットになったのです。

 これは…
…座頭市です、紅の豚は実は空を舞台にした座頭市だったのです。

2007年10月20日土曜日

コンベン裏のおもひで 追伸

 エアバス社の「ダブルデッカー・ジャンボ」ことA380が遂に
就航するようですね。
今回納入されたバージョンは客席数を最大値の半分程度に抑えて、
「ウルトラスイート」なる従来の旅客機では考えられないほど豪華な設備を実現しているらしい。
戦間期の旅客飛行艇なんかがちょうどこんな方向性を目指していたらしいですが、こういう飛行機に乗ってハワイやオーストラリアに遊びに行ける身分になってみたいもんです。

さて、もうご存知の方もおられると思いますが、今回のコンベン裏集会に関してこんなニュースが出てきています。

 コンベン裏に11万人集まって抗議したぞとやったら、
作る会は、
「強制が有ったとは言えないのは歴史的事実。
大体実際は11万じゃなくて2万だとも聞いているけどね?」
するとニュースステーションが、
「仮に2万だとして何が悪い?
人数の問題じゃない。県民感情の問題だ!」
それで最終的にねらーが、
「いや、メジャーな情報筋が2万を11万
と報道したのならオオカミ少年もびっくりの
大問題でしょ、ってか、今開き直りましたね?」

 という事になっているわけですが、ま、日本の場合、左右問わずこういった数字には誇張が付きものというのは、みんな知らないけど実は知ってる人は結構知っている話だったりします。

 それにしても、少なく見積もって2万多く見積もって11万って、よくよく真相はどうでもいいんですね。
本来ならマスコミが検証すべき問題なのに。

 というか、本来ならばコンベン裏に11万集まった証拠を提示すべきところなのに、開き直って議論をすり替えるなんて捏造を自認しているのと同じ事じゃあないですか。
仮に「11万集まった証拠」を提示できれば、これは作る会を攻撃できる有力な材料となった筈です。

これはもう、…赤福っすね。赤福だと思いましょう。

2007年10月13日土曜日

コンベン裏のおもひで その参

 四万円のプレステ3が出ましたね、下位互換性無いけど。
あの商品、ハードウェアとしての完成度はまず良い。
「普段使うこと」を考えるなら、「360」なぞよりよほど良い。
ただ、まだソフトの数が出揃ってないし、ソフトの中身もまだまだ。
でも、これで「薄いプレステ2」と「安いプレステ3」を一緒に使うって人はけっこう出てくると思います。
そういや「みんごる」のオープニング、座頭市になってましたね。
まあ、正味の話。家にハイビジョンテレビが無きゃプレステ3を買うメリットなんて「だけゲー」ができるぐらいなもんですが。

 …ああ、そうでした。
今回はコンベン裏で急転直下の約束でしたね。
戦争が平和だった小官の故郷が基地関連で再びやかましくなったのは大田さんが代理署名というのを拒否したあたりからでした。
 折しも米兵による少女暴行事件かあり、
「もうこの人達迷惑だからグアムに帰ってもらいましょう」
という集会が行われたのが今回と同じコンベン裏でした。

 で、大田さんも大風呂敷広げた以上相応の事はやらなきゃならんというわけで、一体何をやったかというと、早い話がアメリカへ直訴しに行った。
それまでは日本政府や防衛施設局とやりあうのが通例だったが、日本ははっきり言ってポチなので「アメリカ様が一番」が前提で結局何も変えられないだろう。
…ならばというわけで渡米し、問題のアメリカ様から日本政府に働きかけてもらおうとしたわけです。

 そしてこの問題は当時実際に国際的に注目を集め、もう少しでアメリカの世論を動かすというところまで行きました。

それが政治・軍事的にどういう事を意味するかは置いといて、
「沖縄から本当に基地を無くすにはどうすれば良いか」という事を、きちんと考えた上で具体的かつしたたかに行動したわけです。

 で、どうなったかというと直後の選挙で落選した。
コンベン裏に8万終結したにもかかわらず、県民の過半は
「基地はあってもいい」という意思を表明したわけです。

そして彼の代わりに当選した稲嶺さんはというと…
歯に衣着せずに言わせて頂ければ、国から貰ったお金を内地から来たゼネコンに配る利権政治家でありました。

そもそも今もめている辺野古ヘリポートにしてからが、彼が選挙公約として掲げた夢想的な計画が始まりですし、実際彼の時代でハコもの関連での汚職とかが目立つようになってきました。
 せめて彼が掲げた「県の失業率を本土並みに引き下る」という選挙公約だけでもきちんと守られていたのなら、小官も故郷を離れずに済んだかも知れないのですがね。

 いなくなった人の事をグダグダ言っても詮無いのですが、だいたい小官、彼が政権を奪ったやり方からして気に喰いません。
こんな事になると知っていれば保存しといたのですが、小官の家にもそもそも沖縄には第三次産業以外ロクな産業基盤が無い事を棚に上げて県経済の低迷を「大田の失政」と断じた上で「稲嶺こそ救世主」とするカラーの政治漫画がメインのパンフが入ってまして、
「莫迦な学生には漫画で十分ってか?」と、それまで稲嶺に対しては
「好きでも嫌いでもない」だったのが一気に「山師は嫌い」になったもんです。

 そもそも死ぬ前に英雄だの救世主だのと言われたり自称したりするような手合いにロクな人間はいやしません。
 そういえば、みんなの大好きな「またよしいえす」が出たのもこの選挙のときでした。

加えて言うならば、この選挙の半年ほど前に「茶柱が云々」という、まあ、「えげつない本」が出まして、タイミング的にも少々推理力を働かせれば、小学生にだってこれがまじめな本の形態をとった政治宣伝である事は見破れて当然の状況だったのですが、後から聞くと結構大勢の人がこれにダマされてたみたい。
 当時小官も結構赤っぽかったのですが、思想的な事とはまた別に
「さすがにこの勝ち方は汚いだろう」との感覚を覚えて学生なりに細々と情報収集活動をやっていたら、「ある雑誌」に
「発行のタイミング的にたまたまプロパガンダとして作用してしまったが、本来は悪を暴く事が目的であり、他意は無い」という趣旨の言明が載っておりまして、
「確定だな、てめえで犯行を認めやがった」と思ったもんです。

ちなみにこの会社、その数年後には稲嶺県政の腐敗を暴くという内容の暴露本を出してましたから、これはあくまでも状況証拠を元にした推論に過ぎないのですが、こいつら「なんでも反対」な自称文化人
じゃないとすれば、選挙の時は色々と工作資金を貰えてたが、政権を取った後は「釣った魚に餌はやらない」とばかりに干された…
というか汚い仕事をさせた奴とは関係を持ちたくないという風にやられたので報復に出たってとこでしょう。

こんな輩に筆で食ってゆく事が許さているのですから、小官の故郷はまったく美しい島です。

 何が何やら話が見え辛くなってしまいましたが、要するに今から考えてみると、県民がこうも無節操な政治的挙動を示すのは、マスコミの言う事をあまりにも無批判に受け入れてしまっているところがあるからじゃないのかと。
コンベン裏に県民が集まるという事は、つまるところそういう事なんじゃないかとも思うわけなんです。

2007年10月6日土曜日

コンベン裏のおもひで その弐

 木曜の参議院代表質問で、社民党の照屋氏がこの問題について沖縄からの立場で質問していました。
それはそれで結構なのですが、小官的にはやはりこういった昔ながらの左翼の見解というのは事実認識にズレがあるように思います。

座間味島での戦闘で軍隊から
「米軍に捕まる前にこれで死になさい」
と手榴弾を渡されたという証言を元に「日本軍が自決を強制した」
という事を言っているのですが、そもそもこの証言にある日本軍の発言が「命令であった」か否かが微妙なところです。
 前回の記事でも指摘している通り、「当時の常識」を基準にして考えれば、それは極限状況下での「住民に対する最後の思いやり」だったと取るのが妥当でありましょう。

 誤解を避けるために言わせて頂くと、以上は勿論「過去の常識」の下で起こった悲劇であり、「現在の常識」では到底許容し得る事ではありません。
 小官が指摘したいのは、問題があったのは主として「過去の常識」であるにも関わらず、その責任を軍隊という「特定の組織」の責任にして片付けてしまうやり方、それを下敷きにした教育の手法はむしろ危険じゃないかということです。

 事実。欧米諸国では、かなり前からネオナチが着実に勢力基盤を築きつつあります。
かつてナチを支持したのは、ドイツの一人一人の民衆であり、むしろナチは彼等の代弁者であったのにも関わらず、戦争が終わると、全ての責任をナチという「特定の組織」のせいにした。
そりゃ当時のドイツ人を皆殺しにするわけにもいきませんから、連合国が「みんなナチにダマされてたんだよ。」という解釈を採用したことは一つの正解であったわけですが、
その結果「誰でもナチにはなり得るのだ」という最も肝心な点が見落とされてしまった。
この問題を無視してネオナチを語るわけにはいかんでしょう。
小官が主として申し上げたいのは、
「日本も同じどつぼにハマるつもりですか?」ということです。

 なんやかんやで前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。
小官がコンベン裏について覚えている最も古い記憶は潮干狩りです。
当時の沖縄は戦争が実に平和だった…。
こんな言い方をすると「日本語が大変デース!!」とか言われそうですが、有り体に言ってそれが最も妥当な表現なのだから仕方がない。
 西銘さんあたりの時代ですかね、当時既に米軍機が飛ぶのは日常の一部と化していて、たしかにそこかしこから戦争のきな臭いニオイはしてきたもんですが、米軍機も子供心にはでかいカラスが飛んでるようなもんでありました。

 ただし、子供のことですから、P3Cとハーキュリーズの区別すら付いていませんでした。
恥を恐れずに言えば、当時の小官がF−16と「灰色に塗ったF2」を見せられたら、迷わず「おなじひこうき」と言ったでしょう。
「翼面積とハードポイントの数が違うでしょ?」と言われても
「隊長機は改造されてるんだよ。」と答えた可能性すらあります。
そういえばあの頃はブロンコがけっこう飛んでましたが、90年代に入ったあたりから見かけなくなりました。

 話が逸れましたが、コンベン裏に潮干狩りに行って何を穫るのかと言えば、それは勿論「ちんぼーらー」です。
 こいつは蓋が半球形をした大きめの巻貝で、ガーッと茹でたやつを安全ピンで身をほじくり出して食べるのですが、はらわたの部分が苦くてジャリジャリしててとにかくまづい。
ところが「体に良いんだよ!」と言われて仰山食わされる。
今にして思えば、貝に対して苦手意識が芽生えたのはあの頃だと…

 当時はコンベン裏も今ほど整備されていませんでしたから、基本的に防波堤と砂浜だけでした。
クラゲよけのネットなんてオサレな物も無く、アオサでぬるぬるになったコンクリートの護岸に波が打ち寄せる。
沖縄ですので砂浜はデフォで珊瑚カルシウムのクリーム色でしたが、もっとこう田舎っぽい感じでありました。
そこで潮が引くと、珊瑚のギザギザした浅瀬が現われ、ちんぼーらーの殻をかぶったヤドカリが徘徊しているのです。

小官の親くらいの世代になると、こいつらをとっ捕まえて殻から引っぱり出し、ぷよぷよの腹をもぎり取ってゴカイの代わりに釣り針に付けて魚を釣ったそうですが、小官の世代だと、家に連れ帰って飼っているうちに行方不明となり、半年後に模様替えをするとタンスの裏からひからびた死骸が出てくるといった具合でありました。
小官の妹などは、夜中に目覚めると脱走したヤドカリが枕元を歩いていてびっくりしたそうです。

ちなみに渡嘉敷や座間味では最近、ビーチに観光客が食べ残しを残してゆくので、こいつらが大量発生して夜な夜な甲殻類の波が大地を覆い尽くすのだそうです。

 海辺にてこの可憐な生物と戯れている間に、親達はバケツにたっぷりちんぼーらーを集めていて、帰る前にそいつを見せられ
「イヤだー!帰りたくない!!夕飯食べたくないよう!!!」
となるのが小官の最も古いコンベン裏の記憶であります。

この頃は「基地は勿論イヤだけど共存するしかないね」という風潮が支配的だったように思います。

こんな事を書くと個人特定されそうでなんとなく怖いのですが、小官の家の斜め向かいが丁度「バークレイ」でしたので、時折活動家の方が横断幕持って活動してましたが、それよりもむしろ自分ちの近所に目に見える形でアメリカの領土があるという事実の方に素朴な感動を覚えたものでした。

というわけで予告。
次回、急転直下となります。

2007年9月30日日曜日

コンベン裏のおもひで その壱

 正味の話、シフト勤務はきついので号外を出すなど予定外の活動は実生活に干渉するので控えたいのですが…
今回コンベン裏に県民11万が集まって頑張ったというので、小官も何かリアクションしないわけにはいかないでしょう。

 そうですね、今回の話。小官も非常に問題視しており、文部科学省に真摯な対応を求める同胞達を小官も県外から陰ながら応援

…するかよボーケ!
出店のかき氷2リットルばかりドカ食いして頭冷やせよな!!

という事を言うのには当然理由があります。
「軍隊の命令で沖縄県民は集団自決した」これはダウト。
「捕まるくらいなら死んでしまえと教育されていたので沖縄県民は集団自決した」が正しい。
おじいおばあ達の証言を先入観抜きで無心に聞けば、これは当然のように判る話です。
即ち、「あの時は死ぬのが当たり前だった」と。そういう時代だったのだという事をみんな言ってる筈です。

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大会では、「集団自決が日本軍の関与なしに起こり得なかったことを伝えるのは我々の責務」とする決議を採択した。決議文は10月中旬、福田首相、渡海文部科学相、全国会議員に提出する。
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そおかぁ?そもそも教育があの時のアレだったら、仮に沖縄に日本軍が一人もいなくて、そこへアメリカ軍がやって来ても、そう簡単には「わーいチョコレートだぁ」とはならなかったんじゃないのか?
そもそも、自分で死んだのだから「自決」。これは屁理屈かも知れませんが、文字通りに取れば、「自分の運命を自分で決める」という事ですから、命を捨てずに投降した人達も広い意味では「自決した」事になります。
これが日本軍が住民を殺して回ったという話じゃ「集団自決」じゃなくて「虐殺事件」になっちゃいます。

 過去の恵まれない時代に起こった事件を、豊かな現代の常識で切り分けようとするやり方自体どっかで見たような気もしますが、
「日本軍の命令」という一文にこだわって不毛な神学論争をするよりかは「当時はそれが常識だった」という、一見地味だが実に恐ろしくそして教訓的な話をきちんと伝えてゆくのがスジだと思いますね。

そもそも証言では、具体的に日本軍がやった事は手榴弾や毒薬を配布して「そろそろ(その時)だ。覚悟を決めておくように」とほのめかしたという話で、「総員!自爆!!」という命令が出たなんて極端な話には中々お目にかかれません。
…と書くと、例によって左巻きの人達が
「JSFの旦那は偉いおぢさんからいくら貰ってるの?」
とか言いだす事が予測されるので、もっと判りやすい図式で説明致しますと、「パイレーツ・オブ・カリビアン」に海賊が仲間を無人島へ追放するとき、弾丸を一発だけ込めた拳銃を渡す話がありますよね?
あの時の沖縄はまさにそんな状況だったわけです。

 10.10空襲で那覇港に積んであった物資を、食料はおろか武器弾薬まで全部燃やされ、末期には「もったいないから」敵が目の前を通っても発砲しないというような状況下で、貴重な弾薬が住民に配布されたのにはどういう心理が作用していたのか…という事を考えると単純に「旧日本軍」という組織のみを非難してそれで問題を解決したつもりになっている方がはるかに危ないと小官は思いますね。

 さて、それを踏まえた上で言わせて頂くならば、
「またしてもコンベン裏か、つくづく因果なものだな。」
(某ガンダムキャラ風に)ってとこですかね。

※注:このくだりでシャアとラウのどちらを連想するかが「腐属性」を保有するか否かのバロメーターである

と、ゆうわけで次回からちょっとコンベン裏関連でまた沖縄の話をしたいと思います。

2007年9月29日土曜日

地元のニュースは旅客機テロ以来

 出稼ぎで地元を離れて既に半年近くなるので、今では他所の惑星で起こった事のようにも思えるわけですが、コンベンの裏手のビーチでメタボ対策に走り込みしてた所長さんが大手柄を挙げたみたいです

まあ、「コンベンの裏手のビーチ」なんて言っても分かる人はかなり限定されるわけなんですが。

銅線ドロについては小官が地元にいる頃からそれらしきニュースを時々耳にしたもんです。
なんでも、防波堤のところとかに見知らぬおじさんがやってきて変な物を燃やしているので異臭を伴って半端ない量の煙が上がる。
で、近所の人が通報すると、消防だとか市の職員が注意しに来る頃にはとんずらこいている…
その焼け跡を調べてみると、どうやら電線を燃やしていたらしい。
中国では金属…特に銅の値段が上がってるらしいから、燃やして被覆のビニールを除去した上で売っ払うつもりなんでしょうねと。

2007年9月22日土曜日

北東亜細亜情勢短期予測

まあ、受け売りなわけですが。
なんでも、佐藤守元空将閣下が仰るには、北朝鮮の内部崩壊は不可避であり、米国主導の元に南北朝鮮の統一が成ると、これは中国にとって不都合なので、今後在日米軍の弱体化を目して中国が平和平和言いながら日本に近づいてくる事が予測されるそうです。

 これがどうゆう事かってーと、今後南北朝鮮の統一に加え、中国が融和ムードを演出しながら五輪を開催する。
で、その頃にゃ米国も融和的な民主党政権になっているだろうから、多くの日本人の目にはこの状況があたかも
「平和外交の大いなる勝利」
が達成されたかのように見える事でしょう。
「在日米軍いらなくね?」という話にもなりうる…

 だけど本音の世界になると、アメリカ主導での南北朝鮮の統合は中国にとって前線の後退を意味し、ここでアメリカに主導権を取られないためには、日米離間策を取る事によって、大陸の後方補給基地たる在日米軍を弱体化させたい。
 一方アメリカはというと、大陸の市場へ介入する為に統一朝鮮を足がかりにどうにか…と考えるでしょう。

 加えて北朝鮮にはタングステン鉱山があります。
こいつは電球のフィラメントや特殊溶接の電極チップなどに使用される耐熱性に優れる希少金属で、いちじるしく硬い上に劣化ウラン並みに重たいので、徹甲弾に使用される他、ドリルの刃先や機械類の可動部品のバランスをとるための重りなどに広く使用されます。
此れある事も米中両国を朝鮮半島に執着させる要素となるでしょう。

 こういった事情のあるために、今後の更にその先には日本は否応無くこの件に巻き込まれてゆくハメになると思います。

これはたいへん寒いです、寒すぎます。
何が寒いって…想像してみて下さい。某シューティングゲームのオープニングムービーみたく「世界に平和が訪れた」と思っていたら、焼け木杭に火が付くかのごとく、しがらみのある土地で再び冷戦を彷彿とさせるような緊張状態が発生し、日本はこれに関わらないなんて言ってられなくなる…

これと前後して当然のように国内でもアメリカか中国かで右左の代理戦争が激化する事態となるでしょう。

 加えて小官的にはこの10月にも始まる予定の
「ガンダム00」からなんというか、至って反米的な臭いがする事がどうにも気になります。
 ここで舵取りを誤れば、子々孫々にまで累が及びかねない局面となるだけに、どうしても楽天的にはなれません。

 例えば近年認知が広がった事ですが、かつての戦争に於いても東京裁判で、「平和に対する罪」などという殆ど言いがかりに近いような罪状で訴えられた当時の政府首脳部が、実はユダヤ人のドイツ脱出をかなり積極的に支援していたという事実があったりします。
 つまり、日本史の教科書に載ってる戦艦や飛行機が鋳潰されて平和転用されてる有名な挿絵を当時有り難がってた人達は、彼等に戦争の罪を全てなすり付けて「平和平和」と喜んでいたのです。

 小官は「それは偽善的だ」とまでは申し上げません、しかし、どうかこの教訓に学んで頂きたい。
「戦争に負ける」とはこれほどまでにも「己の正義を語る権利」を失う事なのだと。
欲望に忠実に行動しようが、世のため人のため利他的な精神を実戦しようが、負ければ他者に恣意的な正義を押し付けられ、勝手に正義と悪に切り分けられてしまうのだと。

故に元空将閣下も「美しい国よりしたたかな国を!」と仰っておられたわけなんですが…こないだの選挙でも、地方ばらまきを公約に掲げた民主が躍進した事といい、複雑な局面でいきなり首相が辞めたりと日本人はやっぱりまだ国内の事しか考えられないみたいです。

2007年9月15日土曜日

タウブルグの剣

かぐやの打ち上げが成功しましたね。

 さて…
小官が最初にその話を聞いたのは2ちゃんねるでのことでした。
…なんでも、JAXAと大阪大学あたりがつるんで太陽光でレーザーを発振する実験をやったところ、変換効率42%を達成したとか。
これを応用すれば、レーザー衛星を使用して太陽エネルギーが確保できそうだとか。

 小官のような手合いならば真っ先に飛びつく話だと思うでしょう?
ところが小官、これにはちょっと懐疑的だったんです。
そもそもレーザーというやつはエネルギー効率が著しく悪いです。
一般的に工作機械なんかに使用されている炭酸ガスレーザーなんかでもまあ、15%といったところ。
ちなみにこいつは従来型のレーザーの中では最高クラスのエネルギー効率を誇るとされています。
それ以外のレーザーになると、変換率数%は当たり前。
さらにヘリウムネオンレーザーとかになると、熱効率0.01%とかいう話なので、光学系に殆ど損失の無いブリュースター窓を使ったりします。

なので、従来型のシステムでレーザーガンを作ろうなんて考えると、
「こりゃあ、パワーに常温核融合でも使いますかぁ?」という話になるばかりではなく、得られるレーザーの十数倍の熱量が発振器にかかってくるので、放熱をよっぽど工夫しない限り敵の装甲をチリチリしてる間にこっちが火達磨になることうけあいだったわけです。

なので、媒体が2ちゃんだし、張り付けられていたソースもリンクが切れていたので、
「おいおい、マジかよ。」というのが第一印象であったわけです。

 しかしこれがどうやらマジネタであったらしい。
これは大きな技術的飛躍です。
ただまあ、昨日やってた007みたく、こいつが太陽光をエネルギー源とした指向性エネルギー兵器となり得る可能性もあるわけで、その点について研究グループが公開しているPDFを見ると、
・ビームを太く広げて送るので、エネルギー密度は太陽光の数倍程度に抑えられ、「そこまで危険」ではない。
・発振器が地上から送られる誘導用のレーザーを種火に増幅する構造なので、これが消滅すると即座に発振が停止する。
という事で「平和利用」を主張しておるようです。
だけどこういうのは基本的に「設計次第、運用次第」ですもんねぇ、

多分既にアメリカさん辺りは注目していて、「技術資料よこせ」とか言ってきそうな気がします。勿論レーザー砲実用化のために。
無論、これは兵器目的ばかりでなく平和的な宇宙開発にも立派に使用できる可能性があります。過去の記事でも指摘した通りです。

 が、今回、小官は敢えて主張したい。
技研は今年、指向性エネルギー兵器の開発にも予算を振り分けたのだから是非とも今回の話には手を出して頂きたい。
「共同開発」の名の下に米国に技術を提供させられているMDは、日本に於いては、ミサイル到達までの時間が短い事もあり、特定アジア方面からのミサイル攻撃に対応できない可能性がある。
だが、レーザーならば瞬時に目標へ到達する上に、基本的にエネルギーが続く限り撃ち続けられるので、日本が核武装無しでこういった国々からの核恫喝を退けるという事を考えると、地上配備型対空レーザーの開発と配備に十分な予算を投入して然るべきでしょう。

2007年9月8日土曜日

萌へ紛争勃発!?

 日本の放送衛星を搭載したロシヤのロケットが墜ちて
カザフスタンにヒドラジンをまき散らしたみたいです。

 まあ、いくら安いとは言ってもロシヤは基礎的な技術水準はあんま高くないですからね。

 それは置いといて、ミリヲタの萌へ化というのは週刊オブイェクトなどでもかなり前から指摘されている事なのですが、とうとう第二次世界大戦を扱った萌へ本ゲームといったものまで出回り始めておるようです。

 この傾向、小官は個人的に「?」と思うんですが、まあ、軍事に詳しい人達の裾野が広がるのは良い事だと思います。
ところが…

やっぱしこういう物の見方しかできない人達がいるんで今回の話にも激しく突っかかってきそうな悪寒。
 ヲタカルチャー等を主力とした我が国の文化的浸透能力に脅威を感じるのは勝手ですが、なしてこっちの脳みその中身にまで口を挟みますかねぇ
…そうですか、「たとえ架空の話であっても」日本が加害者じゃなきゃイヤですか
案外広島の記念碑に供えてあった千羽鶴に放火したのって…

いやいやいや! 陰謀論ダメ!! ダメ絶対!!

2007年9月1日土曜日

ろみお事変ニ関スル調査報告

えっとですね、先月二十日にアップした
「旅客機テロと共謀罪のこと」という記事に対して、
粛正乙!という方針で運営されている某左巻き掲示板にて
「あの独逸野郎オブイェクトなんか真に受けてやんのバッカでー」
という趣旨のカキコがあったんですね。

ネタをやるためにオブイェクト引用しただけなのに、なんでそこまで言われなならんねん、大体んな事言ったらウチではまだテクノバーンからネタを取ってるぞ!?
 とか思いながら、(ご想像通り意地悪な目で)その板を読み進めたところ、こういうコメントに辿りついたんですね。
<以下コピペ(HNは伏せる)>================
944 :****:07/08/23 13:07:08
いや、この件で何がしょっぱいかって、中核派のサイト(全学連含む)見ても「JSF」はおろか「アキハバラ(解放デモ)」の
ひとつすら出てこないって事だよ(w 「秋葉原」 で検索すると駅前で凱旋を行ったとか、
動労千葉の話しかないし。自分らが主催してりゃ20人くらいしか集まらない集会でも大々的に宣伝するのにな。
 これで「中核が関わってる!」とか絶叫されても。
 
 革マルから名指しで「CIAのスパイ!」とか因縁つけられた河上イチロー(ことのはの松永英明)
と比べると、果てしなくしょぼさが漂うんだよな。


=======================<コピペ終わり>
 参りました。投了です!
小官はてっきり「なかったことを証明する」のは殆ど不可能だから、コミケ襲撃未遂事件が捏造である決定的証拠を提示する事は多分できないだろう、オブイェクトの当該記事が誇張であるというのはありそうだが、さすがに全ウソは無さそうだ。
…どっちにしろ、事件性のある出来事が起こったってのは確かみたいだなくらいに思っていたのですが…
 よもやこんな「大本営にミッドウェーの事を問い合わせる」ような方法で「少なくとも中核はノーコメントだ」という有為性の高い間接証拠を入手できるなんて夢想だにしませんでした。

…ってな遊びはこのへんでヤメにしましょう。
文句があれば直接コメントしに来ればいいものを、反対派は弾圧してしまうような板に籠りながら、なおかつ検索に引っかからないように
あえて固有名詞は使用しないとか、粋がっておきながら腰が引けてるのが見え見えですもんね。

 しかしながら、出所の怪しい情報をそのまんま載せたと言われっぱなしなのも面白くないので、
この「6.30アキハバラ解放デモ主催によるコミケテロ事件」
(以後、630の語呂を取り、「ロミオ事変」と呼称する)についてもう少し詳しく調べてみる事に致します。

 とりあえず検索をかけてみましたが、オブイェクトのメディアとしての力は凄いですね。
トップにヒットするページの殆どがオブイェクト関連!

 こりゃぁ、バイアスにちょっと気を付けにゃならんぞ…と思って、可能な限りオブイェクトから遠そうなページからニュース記事に飛びました。
その結果がこれ
あー、残念です。非常に残念です。
こんなのに参加する時間があったら録画したアニメ見ます

ね、やっぱりこんな事言われてます。
で、彼が事件後に書いた記事がこれ

…どうやら激しくイタい人達を叩いた話みたいですが、
なんかもう「例の路線」に行きそうな気がしてきました。
で、こっからオブイェクトに近い位置に移動するんですがね、
帝國ブログ
コミケテロまとめ
わお、これだけあれば状況証拠として十分っすね。
少なくとも中核が組織として関わったわけではないけど、中核の息のかかった人間がこのイベントに便乗して妙な事を主張する為に実行委員会に入ってたらしいです。
で、
実行委員会解散報告
実行委員会がコミケ会場でのトラブルを認めているんですか。
こりゃ全捏造の線はもうなくなりましたね。

と、ゆうわけで。ロミオ事変の顛末について軽く調査した結果、問題の記事に書いた
「こういった手合いはヲタクの敵であるのみならず、「真っ当な左翼」にとっても敵である」という趣旨は十分な妥当性を有するものであると判断できます。

 更に冒頭で引用したカキコにもあるように、中核派のような極端な連中ですら、「末端のバカが勝手にした事ですから」と言わんばかりにだんまりこいている事からも、ロミオ事変を起こした連中はどうやら「おかしな左翼」にとってもまた最初から敵であったようです。

まあ、仕方ありませんかね。

2007年8月29日水曜日

跳弾の話「比較実験は公平な条件で行なおう」

今夜放送されてた「ベストハウス」にて
アメリカのディスカバリーチャンネルがやったおバカ実験の映像を見たのですが、ちょっと気になった事があったので。

「水に潜れば鉄砲に撃たれても水が弾よけになって平気」
を確かめるため、深さ三メートルの水槽に人体に見立てたジェルを入れて銃で撃つという方法で実験したところ、
9ミリ拳銃弾(P239だとのロゴが出ていた)だと2メートル40センチ以上潜れば致命傷は免れた。
さて、同様の実験を装甲車を攻撃するような50口径ライフル
(こっちはAR-50だそうだ)で行なった結果、何と水面に当たった衝撃で弾丸が割れて飛び散った。
…以上の結果から、「威力の高い火器ほど水の弾よけ効果は大きい」という結論を導き出しておりました。

しかしながら、小官が気になったのは、「水面に対する弾着の角度」であります。
 拳銃弾の場合、垂直の水槽に真上から撃ち込んでおりましたが。
50口径ライフルの場合、銃そのものがでかくて取り回しがアレだったので、水槽をプールへ持ち込み、斜め上から撃ち下ろすという方法で検証をやっていたんです。

 つまり弾丸に対して衝撃が正面からではなく斜めから掛かる。
要は被弾経始(という漢字で正しかったと思う)の問題からちょっと不公平な実験だったんじゃないかなと思うんです。
詳しく知りたい方はT−35戦車について調べてみて下さい。
 調べる気力の無い方の為に説明すると、まあ、飛来する弾丸に対して弾よけの板が斜めになってれば、当然弾丸は逸らされたり弾き飛ばされたりする確率が高くなります。
じゃあ、傾ける角度に対してどの程度の防御効果が得られるかと申しますと、一般的に傾けた角度の1/sinだけ装甲の厚みを増したのと同じ効果が得られると言われております。その分だけ装甲の中を余分に通る事になりますので。
プラス装甲板が全体的に丸っこい形状になっていると、弾丸が装甲の表面でつるっと滑って逸らされる確率が高くなります。

 このあたりの問題には旧陸軍がたいへん悩まされておりました。
至近距離から放った徹甲弾がM4戦車を撃破できない。で、こっちのチハたんはブリキの玩具の如くべっこんべっこんにやられる…
ところが海軍は既にこの案件を解決するヒントを持ってたんですねー

 海軍といったらあの時代は戦艦で漢らしくズドンズドンとやりあうのがメインでありました。
まあ、余程の至近距離で撃ち合わない限り命中率は5%とかいう世界でしたので、ど派手な見てくれの割にはまあ、牧歌的な戦争をやっていたと言えるかも知れません。
 これが艦上爆撃機からの急降下攻撃となると、平均的な練度の搭乗員が放った爆弾でも三割五割は当たる。
おまけに従来の戦艦は艦砲射撃を想定して側面装甲の割に甲板装甲はあんま厚くなかったので、重巡洋艦が二発の直撃弾で屑鉄と化しますよという話になりました。
さらに飛行機は艦砲射撃が届かない数百キロの距離を往復してミッションを遂行できるので、そりゃ空母の時代になりますよと。
ですから、あんだけ攻撃機にたかられて中々沈まなかった大和はまさに「最強戦艦」であり「最後の戦艦」だったわけです。
で、今はもう対艦ミサイルの時代ですから、どんなに強そうな軍艦であっても、対空がお粗末であれば、フォークランド紛争に参戦したとたん、ミサイル艇の放った一弾で致命傷あぼーん。
まったくもってロマンもヘッタクレも無い時代になったものです。

 話がめちゃめちゃ逸れましたが、つまり当時の日本海軍は艦砲射撃の命中率を高める為に色々研究してたわけなんです。
で、弾丸が斜めに水面に入ると、まあ、水の抵抗を不均一に受けるために結局弾丸が跳ね飛ばされてしまうという事で、徹甲弾のてっぺんを一度切り落として平たくし、その上に軟鋼で作ったとんがり帽子を被せてやる事で、水中に入っても直進する弾丸を開発しました。
空気中を飛行している間はとんがり帽子が空気抵抗を低減し、水面に当たるとこいつがふっ飛んで平たい弾頭がむき出しになるので、水面で弾丸が弾かれるのを防ぐという仕組みです。
こいつが帝国海軍自慢の「水中弾」というやつで、これある為に帝国海軍の艦砲は敵艦の喫水線下のほぼ無装甲の区画を狙う事が出来た…
 と、仮想戦記には書かれておりますが、実際にはこの水中弾効果は実戦では殆ど起こらず、逆に弾丸の信管の遅延時間がこれを期待して長めに設定されている事による弊害の方が大きかったそうです。
この話について詳しく言うと直進性云々という難しい話になるので、あとは各自調べてきて下さい。

 まあ、そういうわけで、弾丸が水中に入るとき、水面に当たる角度だけで大違いになるという話です。
仮にAR-50を水槽の真上から垂直に撃ち下ろしていたら…
ああ、水槽が木っ端微塵になってしまいますね。

 …へ? オチてない!? そですか…

2007年8月26日日曜日

さて、F-X調達計画が事実上頓挫したわけだが

と、ゆうわけでラプたん輸出が無くなったことで防衛省はF-X計画を実質中止して従来の主力戦闘機であるジャパニーズイーグルのアビオニクスまわりの強化で当面の所を凌ぐことが決定しました。
そうやって出来上がる機体は、性能的に概ねイーグルプラスと在来型イーグルとの中間的なものになるだろうと推測されております。

 まあ、仮にラプたんの輸出が決定されていたとしても、現在使用されているイーグルですら「機密漏洩を防ぐため」と言われてアビオニクスを再開発しなきゃならなかった経緯がありますから、果たして一機二百億程度で調達できたかはかなり怪しいのですが。
しかしながら、近年成長著しいロシヤ連邦に於いては既にツポレフがステルス戦闘機T−50なる機体を2010年度までに量産開始する計画が存在し、(7月17日にはTu-95MSが八丈島付近まで南下してきている)中国に於いても空軍力の近代化が進んでおり、これまでの対ミグ21を前提とした空自の体勢では対応できなくなる公算が高い事等を考えると、そう遠くない将来に在日米軍基地に常時二個飛行隊くらい張り付けておくくらいの手は打って頂きたいものですが…
そのころにゃコメ国は中国べったりな民主党政権ですもんねぇ。

 そうなってくると、まあ今回のF-X計画が流れてしまったのは仕方ないかと。
堅実路線で行くならば、米海軍ですら取得が2012年以降になっちゃうけど、「輸出を前提とした機体」であるライトニングⅡをどうにかして手に入れるしかないでしょうなと。

 しかし、兵器類の製作を中心とした軍事技術の高度・複雑化と機密度のアップに伴い、今後日本が第一線級の戦闘機を調達する上で縛りがどんどんきつくなってゆくことは必至でしょう。
そして、数を揃えるのが困難である空自にとって、最新鋭の機種が使用できない事は航空優勢の喪失に直結しかねない重大な問題です。

 では今回の教訓から何が学べるか?
今後最新型の戦闘機を従来通りコメ国から調達し続けるというのは益々難しくなってゆくでしょう。
次のF-Xがまたお流れになるというケースも想定し得ます。
となれば、主力戦闘機の自主開発に向けて今から国産高推力エンジンの開発だけでも始めておくべきではないでしょうか。
アビオニクス系等については既に世界レベルの技術を保有し、空力とステルス形状の両立についてもある程度まで進んでいるので、現時点に於いて決定的に劣っているエンジン製作技術さえクリアできれば、ケースにもよりますが、自主開発の方が調達費が安く済む可能性すらあり得ます。

 何と言っても、主力戦闘機を自主生産できるということは、他所の国の政治に左右されずに済むというのが最大の長所です。

そろそろ外交にも防衛にもそういった意味で計算高く予算を配分すべき時代になってきてるんではないでしょうか?

2007年8月20日月曜日

旅客機テロと共謀罪のこと

大変です!南西航空混成団の本拠地で旅客機テロが発生しました!!
…というネタはジョークにしてもあまりにも危険且つ不謹慎極まりないので、これでおしまいにして、本題に入りましょう。

まずはこいつを見て下さい。
事の次第を纏めると、「とある活動団体」がヲタクを示唆し、良からぬ事を企んだが、策が洩れていた為に事前に阻止されたとの事。

いやはや、実におっかないですねぇ。

しかし、…いくら事前の情報戦がテロ対策の死活を決めるとは言っても、この記事にあるように計画が露見した時点で警察の手入れが入るというのは小官、やはり少し行き過ぎではないかと思うんです。
ところが…こういった著しく思考力の不足した輩が次から次へと現われてはエポックメイキングな事をやらかすと、人様に迷惑がかからないよう結局のところ共謀罪の成立なり警察の能力強化なりをやらざるを得なくなってしまう。
清く正しく振る舞いつつも、言うべき事は言うという真面目な人達がより縛りのきつい条件下で活動せざるを得ない状況になるわけです。

つまりこいつら、ヲタクと左翼両方の敵であるわけです。

…それにしてもこのブログ、政治色強くなってくなぁ。
改めて申告しますが、当ブログの売り物は
「ミリタリー・SF・そしてちょびっと政治」です。
本来であれば、小官ことヨーゼフ・ハインフェッツ一等厨尉が、技術士官としての観点から近代・近未来の実在する軍事技術とかSFに出てくる架空技術について、クダクダやる過程で最近の政治動向にも触れるという、おおよそ人が集まりそうにもない自己満極まりない内容がこのブログの主題となる筈で、
「F-XはやっぱライトニングⅡっすかね?」とか
「防衛省もレーザー兵器の研究に予算を拠出するみたいだお」
ってな話をやらなきゃならないんです。
なのに近頃こういったエポックメイキングな事ばかり起こるので、まるで光子ロケットにでも乗って未来へ未来へと旅をしているような錯覚すら覚えてしまいます。

…まあ、それだけ酔生夢死な人生を送ってるってことですかね。

2007年8月18日土曜日

和製ステルス戦闘機は天ぷら廃油を呑むか?

小官がこのブログを立ち上げた頃の話ですが、
週刊オブイェクトのコメント欄に於いて
「日本にもステルス機の開発は可能だ」
「貴様… アホだろ」
といった論争がありまして…
小官は少なくとも理論的には可能だし、何十年も前にアメリカのやっていることだから、いまの日本の技術力ならばあながち不可能でもないだろうという事を頑に主張して袋だたきにあったもんですが…
比較的親日なブッシュですら渋っているし、彼の次に大統領を出すのは民主党だろうからラプたんの輸出はどうも無いらしい…
という情勢がでてきた結果、これもちょっと古いですが
他ならぬオブイェクトの最近の記事のコメント欄でも
「日本独自のステルス機の開発を!」
と言う声が出てきているようです。

ここで小人ならば、
「歴史が私に追いついたのだ!ウハハハハハハ!!」
とかやりだすところですが、小官は小人ではないのでそんな事は言いません…かと言って大人というわけではなく、
はっきり言って「突き抜けてしまった人間」なので、いつも通り勝手に暴走する事になります。

今回は航空燃料と技術のお話です。
小官が過去に某所の掲示板で知り合いになった人に
こういうアニメを紹介したところ、
「実際のところ石油が枯渇したら、現代の兵器体系はどうなるの?」
という話を振られたので、
「あんま心配する必要は無いですよ」
と答えた記憶があります。

たしかその時は航空燃料に困った独逸第三帝国軍が石炭の粉末で飛行するジェット機を開発していた事実と、現代に於いては既に生物由来の油脂から軽油代替のバイオディーゼルという燃料をガレージラボレベルの技術力で生産する技術が存在しているという事から、多少努力すれば石油以外の燃料でも飛べるジェットエンジンは製作し得るし、原料を石油に限定しなくても十分な性能を備えたジェットフュエルは製造可能だという事を指摘した覚えがあります。

その後、独逸第三帝国軍はそもそも不足していた石油に代えて石炭から合成した人造石油を航空燃料に使用していた事が判り、こりゃ木炭ジェットより実用的だな、なるほどなるほどとやっていたわけなんですが、今回こんな話が入ってまいりました。
例によってソースはテクノバーンですが。
やはり技術の形というものはある程度の必然の元に決まっている部分があって、資源が枯渇したとか多少環境条件が変わった程度ではそうそう突飛な変化はしないもんなんです。

…まあ、たしかに巡洋艦みたいにでかいハウニブー飛行艇から二足歩行ロボが発進するというようなメカ設定とか、中々に面白い話を作れそうですが、あくまでも話としてならばともかく、リアリティがどうしても仮想戦記になっちゃうんですよね。
というわけで、いかにもありそうな路線で夢を追ってゆくと、まあ、防衛省がステルス戦闘機を独自開発してそれを方々から回収した天ぷら廃油から作ったバイオ系を二割くらい添加したエコ燃料で飛ばすので未来の百里基地ではすごい天丼の香りが致しますよ…といったあたりに落ち着くんじゃないかと思います。

2007年8月11日土曜日

核祭り2007〜NHKスペシャル「核くらい知る!」

昨日ドラマで「はだしのゲン」がやっていたのですが、こいつはどうも酷い時代考証ですね。

まあ、原作者の中沢啓治氏にしてからが書く漫画書く漫画なぜか好戦的な平和主義者が主人公で、問題の作品も盆踊りのシーンで被爆者団体からの抗議を受けたというエピソードがあったりします。

しかしながら、つかみの小咄で
「そこはグラマンじゃなくてマスタング!」とか
「劇中で人口40万都市とか言いながらなんで学校が変に緑豊かな環境にあるんだ?」
「うぃ?終戦間際に入隊して海軍航空隊ぃ?!」
「あんたら、よう資料も掘り下げんとそんなとりあえずカネかけましたってな仕事しててよく平和ボケした現代に伝えたいメッセージとか言えるよなぁ?」
…といった野暮な話を延々とやる気も無いので、とっとと本題に入りませう。

今回は先週やってたNHKスペシャル「核クライシス」シリーズに対する感想と考察が主となります。
 先ず、前編の前半「地上爆発」ですが、番組では広島型と同威力の核兵器が現代の広島市の路上で爆発したというシチュエーションを想定していました。
まあ、これはこれで同威力の核兵器が上空と地上で爆発した場合どれくらいの違いが出るのかというシュミレーションとしてはいいのですが、テロリストが都市の中に核爆弾を持ち込むというシナリオでは、全く無いわけではないにせよ、ちょっと不正確かなと思います。
 敵拠点へ破壊活動を仕掛ける事を目的として使用される小型核兵器は「ADM」と称しまして、冷戦のかなり初期に開発が進んでおります。
大型のクーラーボックスくらいの重量約70キログラムのやつで威力は1キロトン。
更に小型化されたものはADMではありませんが、有名な「デービークロケット」で、威力は20トン。
基本的に広島型の数十分の一の破壊力と考えて頂ければ間違いはありません。
 ただし、核兵器は核兵器。爆発したときの汚染はちょっと想像したくないくらいのヤバさがあります。
恐ろしい事に所謂ADMとして有名な「スーツケース爆弾」などは、旧ソ連崩壊のどさくさで百基近くが行方不明となっており、既にテロリストの手に渡っちゃってるんじゃないかと言われております。
あ、ちなみにこいつの威力は0.3キロトン(TNT300トン相当)って言われてます。

 そして後半の「高高度爆発によるEMP攻撃」ですが、これはまあまあ正確です。
しかしながら、これに対する防御手段が「ファラデーの鳥籠方式」以外述べられていないのはちょっと…
現在では既に「サージ電流をカットする素子」とか「ホトカブラー」といったものがありますので、いざという時にダウンしては困るところにこういった対策を施しておく事で、精密な電子回路もかなりの確率で保護できると思います。
 そもそも高高度爆発自体冷戦期に色々とやられているので、アメリカさんもこういった事に対する対処法は着々と研究しておるのではないでしょうか。
となれば日本も…となる筈なのですが、なんかね、徒に「核の恐怖」を煽っているような印象を受けました。

 最後にIAEAとイランの攻防を描いた「核クライシス」の後編ですが、こいつはちょっとイラン脅威論が過ぎるのではないでしょうか?
少なくとも北朝鮮の方が問題かと。
 …というのは小官が所謂「熱湯浴」だからではなく、核についてある程度の知識を持っているから言う事なのですが、少なくとも小官が「核武装を目論む独裁者」であるのならば、ウラン235なぞ願い下げです。
天然ウランの中に0.7%しか入っていない上に、化学的性質が全く同じなので比重の差を利用して分離するしか無いブツなぞ…ねぇ。
一方プルトは使用済み核燃料を再処理して手に入れる事が出来るし、ウランより少ない量で原爆が作れます。
ただし、核燃料があんまり長い時間中性子を浴びるとプルトはプルトでも到底原爆には使えそうも無い質の悪い同位体(主としてプルト240)が出来てくるので、原爆を作る為には核燃料をちょびっと炙っては再処理工場へ送るという方法をとる必要があるでしょう。
…となれば、核エネルギー開発を装って核兵器をこさえる為には、
「これは日本もやってるプルサーマルですよ」とか言いながら旧ソ連型の原子炉と再処理工場の組み合わせを稼働するという方法が一番簡単だと思います。
旧ソ連型の原子炉は、図体こそでかい黒鉛炉ですが、基本的に天然ウランをそのまま燃やせるので濃縮工場が不要で、燃料棒が軽水炉で言うところの圧力容器の役割も果たしているので、任意の時期に燃料棒を引っこ抜いて再処理工場へ送る事が可能です。
軽水炉だと、炉心自体が一つのタンクの中に密閉されちゃうからこうはいかない。
仮に、本気で核開発を企んでいるにも関わらずウラン235に固執するとすれば、それはIAEAにマークされる黒鉛炉を使わずに済ませたいか、原子炉を稼働させる為に必要な技術や人材が根本的に不足しているので天然の分裂性核種をどうにかして濃縮したいかのどちらかでしょう。

…すると、いちばんありそうな話としてはイラクはやはり独自の技術で軽水炉をこさえたいと考えているのではないでしょうか。
だけどそうなると、アメリカは自分たちの原子炉を買って貰えなくなる上に、ひょっとすると石油の値段まで釣り上げられてしまうかもしれない。
そこで、IAEAに斬り込み隊長をやらせて…といいう推測の元にこの後編をもう一度見返してみると、やはりこれは軍事目的だろうが平和利用だろうがイラクに独自の核技術を保有させたくないというアメリカの意思が働いているように思われます。

公共放送なんだからさ、もうちょっと、もうちょっとね、勉強して番組作りをして欲しいものです。

2007年8月9日木曜日

おいおい…止めてくれよぉ(泣)

本来ならば、録画を見直しながら件のNHKスペシャル「核クライシス」シリーズの感想を纏めている時期なんでしょうが、
ちょーっとあんまりな事がありましたんで。
一昨日…いや、もう日付が変わったから三日前になりますか。
自衛隊にジェットエンヂンを納入していることで有名なIHIの造船所にて爆発事故があり、原発建設現場での不審火の話もあることだし、
「おいおい、日の丸工業大丈夫なんだろうな?」
とか思っていたらコレですよ。
現場にてライターと煙草ハッケソ
なんだってこんなてめえの身を守る為のルールすら守れねぇんだよぉ…

…そういえば、何処の誰とは言いませんが小官が過去にアルバイトをしていた職場でもエーテルやらアセトンやらの2リットル入った瓶が棚の下にダース単位で並んでるような場所で煙草をプカプカ吹かしてる剛胆の士がその部署の主任だったりしました。
しかもこの人、恐らくは労働災害を防止する目的で設置されているのであろう換気装置をやがましいと言ってわざと停めておくのです。

 なんてーかね、かならずしも一概には言えないと思うんですが、小官の短い人生経験でみた限りでは、ヘビースモーカーには特に自己中心的な人が多いように見受けられましたよ。
ニコチン摂取の習慣が脳に影響を与えるのか、はたまた先天的にそういった精神的特質を持った人がニコチンに溺れやすいのかは知りませんが、例えば公共マナーの無視とか
「自分以外はみんなバカ」とでも言わんばかりの行動・発言様式が目立つんですよね。
結局恨み節になってしまいましたが、どこぞの哲学者が神をぶっ殺したこの現代に於いて、宗教的倫理観に代わって
「自分で自分を躾ける」というスキルはやはり社会人に必須のものじゃぁないでしょうか。

2007年8月4日土曜日

不謹慎極まりない祭りの企画について

一昨日の事、コンビニで買い物をしたらたまたま会計が666円!
なんだか微妙に嬉しくなりました。
これはみんながカレンダーを見て、今日がたまたま13日の金曜日だったりするとちょびっと嬉しくなるのと同じ事です。

さて、今年もそういう時期なのでしょうが、明日と明後日の夜にNHKスペシャルで核の話があります。
今回はいつものお決まりのパターンではなく、核の脅威というやつの未来についてのレポートとなってるみたいです。

これは小官も何ヶ月か前に鉄板原爆の件で核の話をやったわけなんですが、なんだか「核祭り」とでも称してまた核シリーズをやりたくなってまいりました。

しかしまあ、記事を組み立てる為の時間もあんま取れませんし、回線も遅いので八月いっぱいくらいを見込んでNスペの感想や時事ネタなんかも交えてぼちぼちとかるーく核の話題を扱おうかなと思います。

とりあえず、あんま期待しないで待ってて下さい。

2007年7月31日火曜日

民主躍進に電波な期待を!

今回、本当は例の「スペースシップ・ワン」の会社がどうも爆発事故を起こしたらしい…ってな話をしたいところなんですが。
これまでに何度か参院選関連で政治の話もしたことだし、はっきり言って小官ももううんざりなんですが、自民党が歴史的大敗を喫したとの事で、これはやはり何かコメントせにゃならんでしょう。

…まあ、個人的にもっとも嬉しいのは、これで向こうしばらく共産党のビラを見ずに済むってことですが。

今回の選挙、事実上は自民の失敗に乗じて民主が伸びたというのが大方の見方みたいですが、そもそも阿部政権は小泉の後始末をする為にあるような内閣でしたから
…いつかはこんな日が来るのは当然の帰結でしたが。

しかし民主党、自民にばらまきだと批判されるような夢のある公約を打ってた割に、それを行なう為の予算について問われるとお茶を濁してた…
これを見て小官は「山師じゃんこいつら」という印象を抱いたもんですが、選挙が終わってから
「何でもかんでも反対ってわけじゃないんだからね」
「今すぐ首相を辞めさせようというつもりはないよ」
とか言いだしてます。
こりゃぁ、アレっすね。
要するに手段を問わず議席が欲しかったと。

しかしながら小官は別の話題に目を引かれました。
民主の躍進でこちらが大騒ぎになっている間に、こめ国の下院にてそれまで何度も提出されていたものの、その度に否決されて
いたいわゆる「従軍慰安婦決議案」
「イコール中共の工作員」である事が「公明イコール某宗教団体」とおなしくらい公然の秘密なあの議員サマのキモ入りのあれですよ。
あれが遂に可決され、日本に対する事実上の内政干渉が始まる模様なのです。
こめ国は我が国と戦った時、戦略爆撃を開始した最初の数ヶ月で主要な攻撃目標はあらかた破壊し尽くしてしまい、やる事が無くなって結局木造住宅でいっぱいのベッドタウンをじゅうたん爆撃…なんて事をやりました。
原爆投下は言うに及ばず、復帰前の沖縄に於いては琉球政府という傀儡政権を置いてまあ色々やってました。

で、一方的に敗戦国の責任のみ追及すると…
そもそもこういう了見で世界というものを把握しているからツインタワーに旅客機をぶつけられるのだと思いますがね。
しかしながら、間に中共が関わっている事からこれは明らかに日米分断策に他ならぬでしょう。

というわけで総括として…
民主は政権公約もあることだし、是が非でも地方ばらまきをやるべきです。
その財源は対中ODAの全面停止で賄いましょう。
公式に「日本を経済力で追い抜きました」と言い、宇宙船まで打ち上げている国がまともな戦闘機のエンジンすら純国産できない国からカネを取るのは「援助」ではなく「朝貢」です。
借金をごっそり抱えている国が国民から徴収した税金を投入してまでやるべき事ではありません。

2007年7月27日金曜日

「重要なお知らせです」って月末にくるとイヤな気がしない?

週末は参院選ですね。
今月の7日に書いた電波解析レポート
「まもなく宇宙人が到着します」
の第六章と第七章にダウトと言うか、まあ古い情報に基づくとんちんかんな記述があったので、一応浸水が拡大する前に対応しときます。
英国のブレア首相はほぼ一ヶ月前の6月27日に辞任なさっています。
その一点については予言が当たっているのですが、少なくとも公式な情報ではワンタ資金の横領に関してなにかしら黒い事をやっていたためではなく、イラク戦争で国の舵取りを誤りましたという事で辞任しており、しかもこれは5月頃に既に決まっていた事だったとか。
しかしまあ、NESARA教徒というか、イルミナティ陰謀論の人達なら恐らく、
「ブレアは組織を守るために詰め腹を切った」
とか言いそうです。
するとブッシュがタイーホとなるのもちょっと遅れるというわけで…
そういえば、エンデバーで国際宇宙ステーションへ打ち上げられるコンピュータに派遣会社の人が破壊工作をしたとか。
「アメリカがうちゅうぢんに対抗するのを許さない」
って、NESARA教徒の方の仕業だったりしたら…イヤだなぁ。

時事ネタ放出完了!! …ゼエゼエ、ハアハア…
ちゃんと注意してないとあっさり最新情勢から取り残されるこのご時世…シフト勤務はやっぱきついです。
まあいいか、ここはいいかげん過疎だし、コメント欄に突っ込みを貰ったりしない限り今後も自己満で好き勝手な事書いていきますよ。

それはそうと、昨日ブッシュが正式に「ラプたん輸出はNO」と決定した事で、防衛省は次期主力戦闘機の選定を先送りするとか、
どうやら今使ってるイーグルを改良する事に落ち着きそうだとか。
まあ、ブッシュが出さない物をいくら待ってたところでヒラリーが出すわけがないわけで。
ってかむしろ親中派で有名なあの人物が大統領なんかになっちゃった日には、MD計画を凍結され、日本政府は貿易上のハンデとして今よりもっとお金を要求され、それがごっそり中国にまわる…なんてのもあながち笑い話では済まなくなりそうで…。

オブイェクト見るとそのF-X調達関連の記事がごっそり投降されてて、この人と小官とではソースの大きさと精度は勿論、環境も根本的に違うんだとあらためて実感したわけなんですが。

 ただ、…まあ気になる事として、ラプたん輸出問題でブッシュと話し合った国防総省の高官が特定アジアを刺激して軍拡のきっかけになりかねないという点と自衛隊の秘密保持能力の低さを指摘したという話なのですが…
4月頃に読んだ航空雑誌に韓国の軍事ジャーナリストが似たような内容の記事を投稿してたんですよね。
なんでもヴァイパーゼロの存在が韓国にイージス艦の保有を決意させたんだとか…って、あの国は一応旧自由主義陣営じゃなかったか?
まあ、それが一応の「軍事的常識」ってやつで、しかもラプたんは現在のアメリカに「一超であること」を保証している有力な兵器だから門外不出ってことなんでしょうがね。

ここはもっかい散発的に戦闘機の記事を書くかな。

2007年7月23日月曜日

モビ○スーツの足音

いやはや、最近仕事がアレで中々ネットサーフィンの時間が取れませんでね。
…というのは言い訳にならないと判っちゃいるんですが。
まあいいや、過疎だし。

たしか前回の記事で
人類がおかしな進化の仕方をしてギルガメシュ(深夜アニメの方ね)みたいな未来を招くよりは、何世紀掛かってでも地道に文明を発展させてガンダムの水準に達する方を選びたい。
という趣旨の事を言ったと思うんですが、テクノバーンからこんな記事が出てきました。
機動戦士ガンダムのノーマルスーツが現実に
技術的なコメントをさせて頂くと、この宇宙服に使用されている「メカニカルカウンタープレッシャー方式」という与圧方式ですが、字面から推測するに、これはおそらく宇宙服自体が服の内外の圧力差を感知してきゅっと収縮するのでしょう。
そういうわけで従来型の宇宙服みたいに膨れ上がったりしないから自由に動けると…ダウンジャケット着込んで水に入るのと競泳用水着で入るのくらいの違いがあるんだということなんでしょう。
で、
空対空レーザーが試験に成功したり
インドがスペースプレーンの開発を始めたり
「ニュースだけ」見てる分にはなんか案外早く実現しそうな雰囲気です。
ま、正味の話。こういうのは長年にわたる地道な技術開発が不可欠なんで、そうそううまくはいかないんですがね。
事実。HAL9000なんていまだにIBM製のブルージーンで人間の脳をエミュレートする基礎研究が始まったばっかだしね。

2007年7月21日土曜日

電波解析レポート~「まもなく宇宙人が到着します」第八章

こないだポストに入っていた物が
デリヘルのチラシ→
共産党のビラ
という流れで
「小官は何処の幹部自衛官ですか!?」
とやったら、今度は新聞の勧誘が入っていたので
「これは良い傾向だ。よーしよしよし♪」
と思った矢先に今度は

参院選選挙区選出議員選挙公報
悪政と正面から対決
日本共産党

ここの寮の近所事務所でもあるんだろうか…
まあいいや。
最終章第八章いっきまーす
「素晴らしい未来、あなたの明日」
一応この辺が総括となりますかね。

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アメリカはイラクとの湾岸戦争で、宇宙のテクノロジーを使いました。
 一部の人は、多分洩れ伝え聞いていると思いますけど……。
 要するに、地球文明ではない文明から得たテクノロジーを使って戦争した。
 たとえばレーダーに映らない航空機とか、レーダーに映らないミサイルなど、そういうものを使いました。実験したんです。
 成功しました。大成功。
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 これは多分所謂ステルス技術のことだと思いますが、湾岸戦争と言えば、この話は多分「夜鷹」のことですね。
 わがブログでも散々やった話ですが、俗に言うステルス技術、これは基本的にレーダーと赤外線探知機に対するVLO技術です。
で、赤外線はともかくレーダーについてはかなり昔にピョートル・ウフィムツェフというロシヤ人の書いた論文が存在しました。
これに目を付けたコメ国のまあ、要するにイロモノ航空機製作集団であるところの「スカンクワークス」が
「レーダーに殆ど映らない特殊攻撃機」
として開発したのが元祖ステルスである「夜鷹」であったわけなんです。

 これはぜーんぜん地球外の技術なんぞではありません。
 極端な話をすれば、
「単にレーダーにとても映りにくいだけの物体」
ならば、中学生にだって製作可能です。
亜鉛鋼板とか適当な金属板で平面精度に気をつけながら立方体を作る。
一般的なセンチメートル波に対応するならば、辺から内側数センチの部分はコンピュータを使わずに回折や散乱の影響をつかむのが難しいので、サイズに対するレーダー波のリターンを小さくするためには、できるだけ大きく作って分母を大きくした方がいいかもしれません。
そしたらRAMの代用としてフェライトたっぷりのゴム磁石を貼付けてその表面を満遍なく覆ってしまう。
こいつをテグス糸とか炭素繊維なんかで斜めに吊るしとけばよほど狙った角度からレーダー波を照射するか、かなり近くに来ない限り小鳥程度のサイズにしか映らないというわけです。

 ではなぜ今のところアメリカだけがステルス機を保有しているのかと言えば、このような電波特性を航空機に要求される空力設計と両立するためのノウハウが他の国には存在しないからです。
我が国が部分部分、要素要素では高い技術力を有しているにもかかわらず、これをうまく纏める事ができないためにいまだに世界水準の航空機を制作できない事といっしょです。

 加えるにこの種のステルス技術は被弾するなどして機体形状が変化すると、変形した箇所で電波特性が変化してばっちりレーダーに映ってしまいます。
 更に言えば夜鷹は月明かりに機体のシルエットが映ったところを高射砲で撃ち落とされた事例があります。

 もしもこの程度の技術で400光年離れたプレアデス星団からやって来て月に基地を築くことができるのなら、あと50年もしないうちにアメリカはエ○タープライズ号を保有して戦術宇宙軍を創設する事が可能でしょうね。
 で、フリエネと反重力技術の応用で例えば空飛ぶタクシーなんてのが出てくると言ってますが、やっぱスターウォーズの見過ぎですよ。

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月にいる人達にとっては、まもなく太陽系がフォトンベルトの中に入ることを知っているわけです。
 そうすると、ある種の特異な電磁波の中に入り、もの凄い意識改革が起こる。
 たとえば、人間のDNAは二本の螺旋状ですが、三本から五本もある子供が生まれてくる。そんな子供が今たくさん生まれてきているんですね。
 これをスターチャイルドとかいっています。
 昔はインディゴベビーとかインディゴチャイルドといっていました。それからクリスタルベビーともいわれましたが、今はスターベビーともいわれていますね。

 そういう子供が新次元の子供として、今生まれてきているんです。
 私達はこれから教育をうけて、意識の改革を行なわないと、五次元の人間にはなれません。逆に、もうそれが大丈夫な人達がいるということです。
 今の子供のことを理解できない親達が多いのは、そのせいでもあるのです。
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この本に引用されてたフォトンベルト関連の書籍ではたしか、地球を含む太陽系は1999年に既にフォトンベルトに入っていて、これからより光子濃度の高い領域へ踏み込んでゆくので、影響が大きくなってゆくというお話でしたが…なにか誤読があるみたいですね。
 で、インディゴベビーですが、これもまた同じ本に載っていた話です。
なんでもフォトンベルトの影響で特殊な子供が生まれてきていると。
2000年には新生児の半分弱は既にインディゴであると。
そういう子供はオーラが特徴的な紺碧色をしていることとESP特性が高いことで区別できる。
彼らは以前の世代の人間では眠っていた遺伝子が目覚めているので未知の能力を有している。
というのがその本での内容でしたが…。

やっぱ誤読ですね。ほかの人では眠っている遺伝子にスイッチが入っているだけの話なら科学的に説明がつきますが、遺伝子が三重螺旋や五重螺旋だったらセントラルドグマがまともに動くとは考えにくいです。
というか全ての地球型生命体に共通している遺伝コードが通用しないでしょうから、これは地球型生命体ですらありません。
こんな子供の血液を例えばわんこが摂取したら、顔が十字に裂けて触手が飛び出すようになるでしょう。

 加えて言うならば、最近の子供達のことが理解できない大人が増えた主要因は、子供が変わったことではありません。
「イヤだから」給食費を払わない、子供に嫌われたくないから学校の先生に自分の代わりに子供を躾けるように依頼する…
こういった手合いがはびこってくるから、その子供達は基本的な礼節はおろか、人間関係の最低限の基本がギヴアンドテイクにあるということすら理解できなくなるのです。
 事実。ウルルンなどで目にする発展途上国の子供達はフォトンベルトなどとは関係なく明らかに「昭和の目」をしています。

 もしもこの種の「古さ」を捨て去ることが進化だと言うのなら、その種の進化の先に待ち受けているのは、おそらくかなりの確度で木星発ピテカントロプス行きの、たわば!な未来へ直通する特急への乗り換え券でしょう。
 少なくとも小官ならば、たとえ五百年掛かってでも普通列車で相変わらず戦争は無くならないけど文明はそこそこ発展しているガンダム世界の水準へ到達する方を選びますね。

======================
私達は宇宙の友人達と手を取り合う必要があります。宇宙連合に加盟できるだけの意識の上昇をはからねばなりません。
 今のままでは、母なる地球と地球人の文明の存続はむずかしいです。
 地球人も一つの惑星人として一体化する必要があります。世界平和をなしとげ、宇宙の友人達を認め、仲良く交流するようにならなければ生きてゆけないのです。
 私達には知らされていないことがたくさんありますが、柔軟な心でそれらを受け入れることで、目覚めて、次元上昇して、アセンションできるのです。
======================

 これがこの本の作者が本当に言いたいことらしいですが、そもそも知識というものに対して根本的な勘違いがあります。
いわゆる「パラダイムシフト」というのは本来、古文書を読み解いたり、他所の文明圏からもたらされたりした知識に基づくものでは決してありません。
 従来の知識の体系に基づいて文明を発展させ、地道な観測や研究を続けた結果、平たく言えば要するに「科学の模様替え」が必要になる。
地動説、ケプラーの法則、電波の発見、量子力学、相対性理論…ぜーんぶ先人達の地道な努力の結果である研究記録と既存の理論を下敷きに、これを徹底的に突き詰めていった結果、ある日一人の科学者が真理を発見するという具合に明らかとなったものです。

この本の著者はどうも地球の現状を幕末の日本のイメージとリンクさせて「とにかく今までの常識を捨てろ」と言いたいみたいですが、どっこい黒船来航以前の日本人は全くの無知だったわけではありません。
江戸時代、日本人にとっても地球が丸いことは既に常識でしたし、当時の日本は識字率で世界一、そして和時計や高品質の望遠鏡に代表されるように技術的にも決して世界水準に劣っていたわけではありません。
 そもそも西欧列強による侵略の魔手がアジアに伸びてきている時代に於いて、強引に鎖国できたのは、地政学的優位に加えて室町以来の高い軍事力があったからだという見解すら存在します。
そしてこの本にはうちゅうぢんのみなさんが
「イルミナティがいなくなれば私達は地球人の前に姿をあらわすことができますよ。」
と言っていると書かれていますから、少なくともコメ国は物量を別とすればうちゅうぢんと渡り合えるくらいの実力を持っていることになります。

 ところが今UFOがエイリアンクラフトであるとの前提の元に話を進めているのは、はっきり言ってマイノリティです。
これがうちゅうぢんの月基地やらフォトンベルトで新生児が変異種やらという話が本当であるとしたら、はっきり言ってこのネタにはもっと一般的な認知度、つまり「市民権」がないとおかしいです。
だけどこの話を知っている者と言ったら…
小官のような好き者を別とすれば大体が「フリーメーソンの陰謀コエエ!」みたいな手合いですもんねぇ…。
 まあ、早い話がデムパとはこの類型に見られるように、その一番の根っこの部分は願望と現状の区別が付いていないという点で識別されるわけであります。

 ふう、終わったか… って追伸んっ?!
ああ、付き合うべきか、シカトすべきか。
ジュゴンか、然らざれば死か、それが問題だ。

2007年7月17日火曜日

「たしかな野党」に物申すのだ?

このあいだ
日本のぉぉ!炭素繊維はぁぁ!世界一ぃぃぃい!!
という記事を書いたところ、なんかおかしな共時性作用が発生してるみたいです。
最初にまずこの記事の中でも触れた佐藤守元空将閣下が
F-2Aってやっぱ駄目な機体なんだよ
とやるとオブイェクトが
はい、隔離
ですって。

…おかしいなぁ、決して最新の話題を取り上げたつもりは無かったんだが。


それは置いといて、昨日のことです。小官が
「シフト上がったぁ!休むぞー♪」
と帰ってくると、宿舎の郵便受けに何か挟まってたのです。
(ピザ屋さんのチラシだとうれしいな)くらいに思ってデスクの上に広げてみたら、

ストップ貧困 憲法9条をまもる
日本共産党参院選挙法定ビラ第1号

困るでしょ!そういうの入って来るとうちの政治色が濃くなるんだから。
そういえば一昨日はデリヘルのチラシが入ってやがったし、世間様は小官の事をいったい何所の幹部自衛官だとでも思っているのでしょうか。
というわけで腹に据えかねたのでボコります。
「たしかな野党」を。
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「唯一の真の野党」と米『タイム』誌
 「日本政界の大政党は、明確で首尾一貫したアイデンティティーを持っておらず…、識別できるような政治的な立場の違いはほとんどない」「(日本共産党は)日本の旧態依然たる政治への唯一の真の野党としての役割を果たしている」(『タイム』電子版6月22日付)
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ほうほう、このあたりが「たしかな野党」の論拠でしたか、はじめて知りました。
が、小官はこれは外人目線というやつを考える必要があると思います。
てのは、日本人が会議をするときの得意技であり、また日本人が議論に弱い事の根本原因でもあるところの「予定調和」というやつ、小官もこの根回しの慣習については、
「国会の放送は八百長かよ!」
と、非常に不愉快に思っていたのですが、小官はタイム誌のこの記事は日本共産党だけがこの予定調和の輪の中に入っていけない、意地悪な言い方をするならば、まったく空気が読めていないという状況が外人の瞳にはこの党だけがきちんと議論というものをしているように映じたというだけの話じゃないかと思います。

で、ビラの中身
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日本共産党の提案「貧困と格差」をただす3つの転換を
税金
住民税・消費税増税ストップ
○ただちに住民税増税を中止する。
○増税分は「戻し税」で国民にかえす。
○消費税大増税を許さない。
○大企業・大資産家への行過ぎた減税をただし、もうけ相応の負担をもとめる。
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わが国では非自民党系は大抵減税を訴えているわけなんですが、一般的に日本の今の豊かさは借金によって賄われていると言いますよね?
支持を失いたくない政治家がその問題を先送り先送りしてきた結果として現在があるのだと思いますが、やっぱ国債を踏み倒すんでしょうか。
ビラを読む限り日本共産党の意見としては「無い分は金持ちから取ればいい」ということみたいです。
その点では民主党より好感が持てるのですが、金持ちに対する徴税をもっとも効率的にやるためには常識的に考えて税源の大部分を消費税に移行するべきだと思います。
一本何億というワインを日常的に売り買いしている連中からてきめんに金を取れるわけですからね。
だけどこれって消費税を増やすなというのとは矛盾しますよね?

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「緊急福祉一兆円プラン」実現を
○高すぎる国保料を、1人1万円値下げする
○介護保険の保険料・利用料の減免制度を国の制度としてつくる
○子ども医療費は、国の責任で小学校にあがるまで無料にする
○障害者「自立」支援法でおしつけられた負担増を撤回する
○生活保護の老齢加算と母子加算を復活し、母子家庭への児童扶養手当削減を中止する
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で、このプランの実現に必要な資金が合計一兆円で国の一般歳出のわずか2%だというのですが…
ごく大雑把に言うと一億の日本人から平等に徴税して一兆円作るためにはみんな一万円ずつ負担する必要がありますよね?
で、国家予算の話ですから、これは月ごとではなく年ごとの話だと思います。
正月か大晦日に日本人全員が一口一万ずつ出し合って…
本当にんな事ができるだけの金が集まりますかね?
常識的に考えて寸志程度の援助しかできないと思うんですが。

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人間らしく働けるルールをつくる
○「サービス残業」「偽装請負」を根絶する。
○最低賃金を全国どこでも時給1000円以上に。
○家賃を補助し「ネットカフェ難民」をなくす
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だから、一体何所からそんな事ができるだけの資金を調達するんですかって。
カイザーラインハルトの場合と違って今の日本には資産をボッシュートできるような貴族なんかいないんですよ?
一見天皇家が所有しているように見える施設群だって、あれは国のもんですよ。

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「原爆投下はしょうがない」(前防衛大臣)
-ここまできた”アメリカいいなり”
 「理由さえあれば、核兵器を使ってもよ
い」というアメリカ政府の考え方を、こともあ
ろうに被爆国の政府メンバーが認めたので
す。辞任で済まされる問題ではありません。
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言っておきますが、それも立派な思想統制だととっくの昔に指摘されていますよ?
あと、結果論から言えば、日本が原爆を落とされたのは枢軸陣営の旗頭たるドイツが負けてもなお「国民のために降伏」という選択肢を検討すらしないくらい当時の政府首脳部がボンクラだった結果です。

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 改憲派の中心には、「靖国」派-「過去の戦争はアジア解放の正しい戦争」といってはばからない人たちががいます。しかし、この動きは、いま世界で大破たんにおちいっています。
 「従軍慰安婦の強制連行はなかった」という首相発言、自民・民主の国会議員も名をつらねた「強制連行はなかった」という米紙への意見広告は、世界からきびしい批判をよびおこしました。米下院外交委員会は圧倒的多数で「従軍慰安婦」問題で公式の謝罪を求める決議を採択しています。日本政府は歴史の真実をうけいれ、国際社会にむかってきちんと謝罪すべきです。
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小官がずーと前から某所の掲示板などで指摘している事ですが、アメリカの言いなりになって憲法を変えようとしている政治家が「アメリカと戦ったのは正しい戦争」なんて主張するのは矛盾じゃありませんか?
で、慰安婦謝罪決議ですが、あの戦争でアメリカ人が日本軍の従軍慰安婦になったような事が無い以上、この問題にアメリカがくちばしを突っ込むのは内政干渉にほかなりません。
だいたいマイク・ホンダ下院議員にしてからが人権団体の皮を被った中国のインテリジェンス機関から金を貰って同じネタを何十年も蒸し返しているじつに怪しい人物ですからねぇ…。
で、

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日本共産党は、戦前から命がけで戦争反対をつらぬいてきた信念と勇気をもつ「たいかな野党」です。
この党の前進が、改憲勢力へのいちばんの痛打です。
比例代表は日本共産党とお書きください
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おいおい、ホンマかいな。
てかアンタ、おらの事アホだと思ってるだろ?
…まあアホだけど。

だけど日本共産党なんて書いたりしませんよ。
アホだってゾルゲ事件くらい知ってるんだからね。

あーくそ、こんな調子でこの後電波解析なんてできるんだろうか。

2007年7月14日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第七章

どうも、ひどい台風になりましたね。
さて、もうじき七月も半ばになります。
ロードマップに従えばぼちぼちブレア首相が辞める筈ですが。

それでは第七章
「人類は銀河連邦と友好関係を結び、
 UFOと交友する」

電界強度は高いわサイエンティフィックな話題は殆どないわでいいかげんきついのですが、もうちょいで終了となりますので、クライマックスへ向けて怒濤の如く往きませう。

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これから先、宗教は二〇〇九年から一〇年で全部終わります。
 必要がなくなります。
 なぜってね、次元上昇によって、人間は神の意識になるからです。

 じつはもうすでにロックフェラーが国連総会で、「新世界への提言」と題して発表したんです。
 二〇〇二年三月二十一日です。
 そこで彼は「全ての宗教を崩壊させ、禁止する」と宣言したのです。
 それは二〇〇九年から二〇一〇年だと。
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人間が神の意識になると言えば、前世紀の後半頃ある種の薬物を摂取した結果得られる体験を崇拝する宗派が誕生したと聞いた事があります。
小官はねらー属性を有しているためか、
神光臨キター
と聞くとどーしてもそっちの方を連想してしまうのですがね…
それは置いといて、ロックフェラーと言えばロックフェラー財団じゃありませんでしたっけ?
アメリカの世界一極支配に乗じて権勢を誇る必ずしもクリーンではない人物だとの印象があります。
まあ、それを言ったら大抵のお金持ちは黒ないしはチャコールグレーですが。
とにかくそんな人が全ての宗教を破壊して禁止すると言ったとすれば、常識的に考えてそれはてめえの商売の邪魔になるからまとめてやっつけちゃおうと考えたのだと思うのですが。

で、FRBはブッシュとチェイニーの辞職を機にアメリカを撤退しスイスのバーゼルに移ると。
そしてアメリカ財務省はICチップの入った金との交換件である独自通貨「レインボー」を発行するんだと。
まあ、実際に金本位制への移行ってのはけっこう言われていますが、ここまでくるとこの本の著者は本当に自分にとって都合の良い事しか見えていらっしゃらないという印象を抱かされてしまいます。
そして最後にゴアが大統領になると、徳政令を出して国民の借金をゼロにするんだと。
そこでアメリカ政府は今までドルを買ってきた国に一体何と言うつもりでしょうか?
で、あのNESARAをやってうちゅうぢんの情報を公開し、月の宇宙人の基地と連絡を取るんだと。
するとうちゅうぢんはまずアメリカ上空で展示飛行をやり、ゴアと会見するんだと。
で、地球の上空は既に百万隻の宇宙艦隊で取り巻かれていて、これは二〇一二年から二〇一四年の地球全水没に対して救援活動を行うためなんだと。

まったくもっておめでたいと言うか何というか、今にもペリー提督やマッカーサー将軍のやった事まで全肯定しそうな物言いです。
例えば島国の沿岸を百万隻の艦隊でびっしりと取り巻けば、それは物理的に「海上封鎖」にあたります。宇宙船で同じ事をやれば、ファントム・メナスのつかみの部分で通商連合がやっていたのと同じ事です。

そしてこれが惑星規模での災害に対する救援活動であるとすれば、救助対象である地球人に特定の思想を要求するのはかなり変な事です。
救援活動であればキリスト教徒だろうがイスラム教徒だろうがそれこそ正義の名の下に人殺しをするような人物でもない限り平等に支援しなきゃなりません。
(まあ、救助艇の上で殺し合いでもされたらかないませんから、この辺は最低限必要でしょう)
なのに気に入ったやつだけ助けるというような行為はたとえ善意として好意的に解釈したとしても、相手に特定の思想を強要するという点に於いて一応立派な侵略行為だと小官は思うのですが一体どういうつもりなんでしょうか。

2007年7月11日水曜日

日本のぉぉ!炭素繊維はぁぁ!世界一ぃぃぃい!!

こないだボーイング787がロールアウトしましたね。
http://ysaki777.iza.ne.jp/blog/entry/223714
ニュース映像であのグライダー的な優美さを持ったシルエットをはじめて実写で見たとき、小官は
「これは驚いた、F-2A支援戦闘機は試合に負けて勝負に勝っていたのか!」との感想を抱きました。

あの機体、一部のコアなファンがいる一方で、なぜホーネットをベースにしなかったんだとか一機120億はあきらかに高すぎだとか、まあいろんな事を言われています。
また、佐藤守元空将閣下が航空雑誌のコラムで指摘なさっていた通り、「素性の知れない競走馬より骨太の軍馬が欲しかった」というのが空自ファイターパイロットたちの偽らざる本音でありましょう。
(同じ空自でも宣伝屋とか技術屋にはまた異なる意見もありそうには思いますが)

しかし、生産者三菱重工はこの機体で炭素繊維を材料に十分な信頼性を持った航空機の主翼を量産する技術というものを手にすることに成功いたしました。
そして、この技術があったからこそ、ボーイング社は「三菱ならできる!」となり、軽量化で低燃費を狙った新型機の主翼の生産を三菱に一手に任せる…という事になったのです。

そのボーイング787ですが、既に六百機近い注文が入っており、21世紀初頭に於いて最も成功した旅客輸送機となることはほぼ確定みたいです。


こうした一連の流れを考えてみると、F-2Aはたしかに技術屋の暴走という要素が強い機体でしたが、これあることにより、とりあえず日本の航空宇宙技術が世界レベルに維持され、その事が今回のようなビッグビジネスにつながっていったというのは非常に大きいことで、その点を考えるのならば、一機120億というのは必ずしも高い買い物というわけではなかったんじゃないかと思います。

そして三菱はこのほど、自衛隊向けの新型輸送機と哨戒機をロールアウトしたそうです。
http://d.hatena.ne.jp/heinkel/20070704#p7
こいつの目玉は日本が自主開発したジェットエンヂンであるそうです。

と、ゆうわけでお約束どおり
日本のぉぉ!炭素繊維はぁぁ!世界一ぃぃぃい!!

2007年7月7日土曜日

電波解析レポート~「まもなく宇宙人が到着します」第六章

書き忘れてましたが、こないだ防衛相が女性になりましたね。
「その場しのぎの人事だ!」とか
「所詮仲良し内閣よのう」なんて
言われてるみたいですが、今の難しい局面に於いて、内閣が単一の派閥というか志を同じくする者の集団で構成されているというのは、少なくとも意思決定と予算節約の点からは一つの正解だと思います。
まあ…それにしたって人材の層が薄すぎることと結局アメリカの言いなりであることはどーしょーもないですが。

それはさておき、
第六章「ブッシュ政権崩壊後の明日の真実」
の電波解析を致します。

本章は資料としてアドレスなどがあんま提示されていないので、例によって内容の概略と突っ込みになりますね。
ここの前段では、
・ブッシュ逮捕→
・ドル暴落、続いてユーロも暴落→
・アル・ゴア新大統領誕生

という話になってます。
で、なんでも七月初めにブレアが辞めさせられ、これに続いて七月末にブッシュ政権崩壊。
そして十一月までに大統領選挙が行なわれる…
とゆーロードマップが提示されています。
日本独立のチャンスです!素晴らしいです。
ワクテカしながら待ちましょう(笑)

で、中段以下抜粋
-------------------------------
日本も現状のままではいられないでしょう。
 それだけじゃありません。
 バングラデシュでは、グラミン銀行の頭取、ムハマド・ユヌス氏が大統領選に立候補しますよね。
 グラミン銀行って知ってます?未来の銀行ですよ。
 頭取のユヌス氏(資料2)は二〇〇六年に、ノーベル平和賞をもらいました。

(資料2.読売新聞2007年2月14日の記事)

 グラミン銀行(グラミンとは農村のこと)とは、
・貧困家庭への融資は利息をとらない(小規模事業の場合、実質十パーセントの金利)
・融資に条件をつけない
-------------------------------
引用終わり
グラミン銀行についてはまあ、一時期話題になりましたから名前ぐらいは聞いたことがあります。
で、世界的に弱者救済の動きが広まっていると、
これは事実でしょう。
というのも、今世紀に入ってから特に
「グローバリズムは結局格差を広げるだけ」
という視点から述べられる二十一世紀の共産主義とでも言うべき論調や思想が世界的な広がりを見せており、聡い人達の中には20世紀に共産主義が陥った問題点を洗い出して事前に対策を立てておこうとか、共産主義とは実は資本主義と言うコインの裏の面なんですよといった内容の本を書いてます。
少なくともうちゅうぢん云々よりは現実的かと。

で、後段。
情報公開によって9・11ヤラセが暴露
これもUFOの人達がよく取り上げるネタです。
まあ、たしかに後からけっこうおかしなところが見つかってきてはいるので、政府の陰謀なんかも無きにしもあらずでしょうが。
しかし真面目なジャーナリストの方はともかく、この事件に関して、ささいな矛盾や当時パニックに陥っていた人の証言なんかをを論拠に遠隔操縦の軍用機が爆弾抱えて特攻したのだとか、果ては戦術核レベルのパワーを持った純粋水爆が使用されたという主張をしている人まで見受けられます。
そういえば、過去に日航機の墜落は制御を失った自衛隊のファイヤービーが当たったせいだなんて主張なさっていた自称ジャーナリストの方もいらっしゃいましたね。
腐ったイチジクの木には腐ったイチジクしかならないと言いますし、こいつらの言うことを真に受けるのは多分教養のない人でしょう。

本書には、飛行機の激突を合図にビルを爆破したという内容の事が書かれていますが、通常ビルを爆破する場合、一番負荷の掛かっている地階に爆薬を仕掛けて土台をふっ飛ばし、あとは残った上の階が自由落下のエネルギーで破壊されるという方法を取ります。
が、実際には飛行機がぶつかって火事になった辺りの階が最初に崩れている。
それに爆薬を使ったのだとしたら、飛行機がぶつかってから崩れるまでの時間が長い事は不自然。
軍用工業用問わず爆薬はたしかにそれなりの高温に耐える程度の安定性はありますが、八百度程度のタバコの火を押し付けられれば普通に発火します。
…ってな感じに反証する事も可能なわけです。
乗客が家族と携帯で交信したという話はたしかに小官も「さすがにプロパガンダっぽいな」とは思いますが、一万メートル上空と地上で、携帯電話で話はできないから工作員のニセ電話というのもやはり言い過ぎですね。

あと二章…ブレア首相とブッシュ大統領の件で号外が出るかを待ちながらより電界強度の高い部分へ踏み込んで参りましょう。

2007年7月5日木曜日

「沖縄人」という架空の生物

内地に来て半月程になりますが、前に書店で見かけて題名だけ記憶の隅に停めておいた
「ウミショー」という漫画が深夜枠で始まったとの事だったので、どんな話かと思って第一話に目を通してみました。

…そっすね、水泳漫画で「わたるがぴゅん!」をやろうとすると多分こんな感じになるのでしょう。
が、なんというかやはりつくりと言うか沖縄に対する思い込みというのがありましたので、夢を壊すようで恐縮なのですが事実を指摘させて頂きます。
沖縄の人は実はあんま泳げません
事実。沖縄で「海へ行こう」と言うと、それは殆どの場合ビーチバレーor鉄板焼きを意味します。
過去に作家にして映画監督で沖縄病菌の保菌者でもあるシーナさんこと椎名誠氏が
「うみ、そら、さんごのいいつたえ」という映画を沖縄で撮影した時、真っ黒に日焼けした現地の子供達が意外にも殆ど泳げなかったために、
急遽、撮影のために子供達をスイミングスクールへ通わせた
という事例があるほどです。

そうなった要因には、「海なんか今更珍しくもない」という意識や近所のスーパーへ行くのにも自動車を使うほどの車社会なんかもあるでしょうが、やはり大きいのは「太陽フォトン」の存在だと思います。
エネルギーの低いフォトンは代謝を促進したりとむしろ健康によいくらいなのですが、エネルギーレベルの高いフォトンは危険です。
丁度今くらいの時期の良く晴れた日に海パン一丁で砂浜をほっつき歩いたりすると、はっきり言って被爆します。
最初は多少熱い程度のもので痛くも痒くもないのですが、日が沈む頃に肉体に変化が現われます。
特に肩などの皮膚が痛くなって、リンパ液がにじみ出します。
これは高エネルギーのフォトンがDNAを直接破壊したために細胞が死んで皮膚に潰瘍が出来る現象で、「核焼け」といいます(核というのはもちろんウソですよ?)
んなもん喰らったら、そりゃ毎日の事ですから一週間もしないうちに年間許容線量を突破しまくりなわけです。
だから泳いでるのは半分が観光客であとは学生とサーファーなわけです。

余談になりますが、実は海人というのは過酷な仕事の代表格で、沖縄の親は昔、子供がいう事を聞かないと「糸満に売っちまうよ!」と言って脅かしました。
水中で集団のチームワークによって魚群を網へ追い込む「アギヤー」という伝統漁法があるのですが、この漁に携わる潜水士を育てるために、糸満の街では農村などから買われて来た小学生くらいの男の子を、縄付けて岸壁から放り出すという事をやって体に泳ぎ方を叩き込みました。
で、この「潜水追い込み網漁法」ですが、魚を根こそぎ取ってしまうので恐らく資源を取り尽くしてしまうのでしょう、戦前の最盛期には南洋諸島辺りまでサバニで出かけてって操業してたそうです。

2007年6月30日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第五章

さて、第五章をやりたいのですが、ここはめちゃ政治の話なので、サイエンティフィックな突っ込みをかましたい小官にとってはちょっとアレであります。

なので内容の概説と常識的な突っ込みから。
まず、レオ・ワンタというアメリカ財務省の工作員の方がいて、レーガン時代にルーブルを操作し、ベルリンの壁を崩壊させ、ソビエト連邦を解体へ誘導したのだと。
その時発生した三千兆円近い資本をレーガンは国際的な支援活動に供するため信託基金を作ってそこへ入れておくように支持したと。

ところが、その資本がパパブッシュ、クリントン、現ブッシュと三代の大統領を経るうちに全て消滅した。
なぜならば、この三人の大統領はいずれも人類を秘密裏に独裁支配している秘密結社「イルミナティ」のメンバーであり、その組織を維持するためにこのワンタ資金は横領され、関係するイスラエルの銀行ネットワークに流れていたのだと。
で、ワンタ資金はアメリカ国民のものであるとの裁定が2003年度に下っており、アメリカ国内で使われた分に関してはともかく、イスラエルに流れていた件に関しては問題だという事で、この事件に関わった人々をどんどん捕まえていっていると。
今はブッシュ大統領とチェイニー副大統領を弾劾裁判にかける事が企画されており、この七月にはイギリスのブレア首相もやめることになる。
当然アメリカべったりの日本にも影響がある。
ってな話です。

で、つかみの部分で2007年2月にチェイニーが来日したのは、ワンタ資金関連で五百兆円をアメリカ財務省に返さないとタイーホとなるので、日本へカネの無心に来たのだと言ってます。
しかし判らんのはこのワンタ資金ってやつです。
「皆さんの中には、もう数十年前の話だから、もう洩れ伝わっていて、知っているかもしれませんが、ワンタ資金というのを聞いたことがありますか。」
とありますが、少なくとも小官は聞いた事がありません。
小学生の時に平成が始まったので、ベルリンの壁崩壊もニュースで見た記憶があるのですが、やっぱり初耳です。
で、アメリカ連邦裁判ではワンタ資金の正当な所有者はアメリカ国民であるとの裁定が下ったとの事なのですが、ソビエトを崩壊させて得た資本ならば、常識的に考えてこれはかつての東側諸国からかっぱらったものだとは考えられないでしょうか。小官も寒空のもと、あらかた商品の消え失せた食料品店に長蛇の列を作って並ぶ灰色の人達のニュース映像を目にした事があります。
その後、モスクワにマクドナルドが出来たときの取材映像も。
更に、アメリカ国内で使われた分はともかく、イスラエルに流れていたことが問題だと言われているようですが、んな事を理由に政治家をとっ捕まえる事ができるのなら、GDPで日本を追い抜いたと言いつつも日本から貰ったカネで軍拡という「平和国家日本」の理念に反するような事をやっている国へ国民から徴収した税金を流して続けている連中は、みなブタ箱へ入らねばならぬ筈です。

だいたいお金ってのは額面が大きい場合など特にその傾向が強いのですが、きちんと運用しなければそれこそ蜃気楼のように消え去る物なのです。
ましてや大きな国ってのは政府の内部で常に天文学的な量のカネが動いていますから、いくら三千兆円が消えて無くなったとは言っても、これはワンタ資金の一時預け先として設立された信託基金「アメラリスト・グループ」の経営に問題があったと考えるのが妥当でしょう。

なによりも、本章はイルミナティ陰謀論の色彩が強いのですが、実際に書店に赴いてイルミナティについて書かれた書物を立ち読みしてみたところ、その内容の大半は世界的に成功している人々を名指しで引っぱって来て、その母方の曾祖父にユダヤ人がいるというような事をスキャンダルとリンクさせて述べている…といった感じのもので、これは立派なレーシズムです。
小官も少々驚いたのですが、こういった
「自分たちが成功できないのは、才能が無いからではない。悪の秘密結社によって正当な競争の機会を奪われているからだ」という主張が行間から透けて見えるような本を引用してこの「まもなく宇宙人が到着します」という本は書かれていたのです。
本書の著者の方は、このお花畑ビジョンがじつは「国家社会主義ドイツ労働党」の主張していた事と大して変わらないという点に気付いているのか?
おそらく気付いてはおられないでしょう。
そこへ持って来て宇宙人とかオアカルティズムとか出てくると、ナチについて「紺碧の艦隊レベル」の知識しか持っていない方でも容易にその香ばしさを感じ取れる筈ですが…義務教育でしか社会科を学んでいない人は苦もなくダマされるといったところなのでありましょう。

2007年6月23日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第四章

水曜の夜にテレビの速報で東京都小金井市の工業大学で半導体の実験をやっていた外国人留学生が爆発事故を起こし、助けに入った人も巻き込んで二次災害だ何だで計6人がフッ酸を浴びて病院送りになったとやってたので、早速記事にしようと考え、情報収集に励んだのですが、他のソースには上がっていない。
待てど暮らせど続報すら入ってこない…一体どーなってんのよ?
そういえば速報の内容もかなり変なものでした。
ゴミ箱の中で硝酸とアルコールが反応し、発熱して爆発。学生がフッ酸を浴びた。
フッ酸は強酸性の危険な物質で…。
もしもーし?

それでは前回の予告通り今回は「フォトンベルト」をやりたいと思います。
「まもなく宇宙人が到着します」の第三章。
基本的にここの中身は一般的な本屋でもオカルト書として広く売られている
「フォトン・ベルトの謎」
「フォトン・ベルトの真相」

といった書籍の内容をコピペ&要約したもんだと考えて頂ければ問題ないと思います。

では間違いを指摘致しましょう。
83ページの図1
ここに「天の川銀河団」の概略図として、「アルシオネ星系」のまわりを太陽系のように複数の恒星系が周回している図が示されています。
で、これは鳥瞰図のように斜め上からの視点で描かれているので、それを差し引くと、中心のアルシオネ星系からおおむね12時と5時の方角で銀河面に直交するように「フォトンベルト」が描かれており、アルシオネを中心にドーナツ状に光が放出されているとの説明書きがあります。
太陽系は6時半あたりの方角に描かれており、一周するのに五万二千年かかるとあります。
で、9時半あたりにシリウス星系A・B連星が描かれています。
少し知識のある方ならば、この時点で「この星図、出鱈目じゃん。」となる筈です。
第一に太陽は銀河系の中心部から概ね二万八千光年離れています。
ところが、アルシオネというのはプレアデス星団にある星です。
プレアデス星団は地球からたかだか四百光年しか離れていません。
更にシリウス連星系に至っては太陽系からたかだか8.6光年です。
この距離関係ではプレアデス星団から太陽系とシリウスを見ても、「殆ど同じ方向」に見えるでしょう。
これが例えば60度離れて見えたら、太陽系とシリウスの間は最短でも230光年は離れてないといけません。

小官も原典となっている書籍にはざっと目を通してみましたが、その内容は
「銀河系を横切るように光の帯があり、太陽系は既にその帯の中に入りつつある」
「太陽系がフォトン・ベルトの中に進入すると、惑星ニビルがやってくる」
「惑星ニビルの正体はプラズマの塊であり、これが太陽系のフォトン・ベルト突入と同時にやって来るのは、フォトン・ベルトの光エネルギーが、太陽系の電磁気を狂わせるからである。」
「惑星ニビルがやってくると文明が滅亡し、新人類が生き残る。」
といった感じのものでした。
これは明治時代にあった「ハレー彗星騒動」にかなりそっくりです。

ただし、憂慮すべきはこの天文ショーが殆ど短絡的に文明の滅亡と新人類の誕生に結びつけられている事です。
さらにこの本の著者のようにそれを「秘密結社陰謀論」とリンクさせている人もいるとなれば…
これはあくまでも推測ですが、太陽系がフォトン・ベルトに突入するとされている2012年前後に一部の熱心な「フォトンベルト信者」が地球脱出の名の下に集団自殺する事態が予測され得ます。
更に過激な集団はフォトンベルトへ進入する前に「イルミナティ」を潰さねばならぬということで、世界各国で政府の中枢に対してテロを仕掛けるかも知れません。

ですので、若干政治宣伝っぽくはなりますが、このブログをチェックなされている方がおられましたらば、こういった香具師にダマされぬよう2012年までにきちんと科学を勉強しておいて下さい。(笑)

2007年6月16日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第三章

とゆうわけで第三章
「意識改革をとげる人、拒否する人」
はじめてゆきましょう。

本章の内容は概ね
フリーエネルギー装置(要するに永久機関)が実用化され、普及する→
貧困と環境破壊が解決される→
NESARA発動、フォトンベルト突入、宇宙人来訪→
世界の常識が根底から変わる→
みんな超能力に目覚める。スバラシイ!

ってな流れになっております。
そのうち、デムパ系の最新モードである「フォトンベルト」については次回述べるとして、今回はフリエネ装置について述べてみたいと思います。
本書67ページに紹介されているKモータースの社長がいなくなった話などは、フリエネの話でもお決まりのパターンであるわけですが。

小官が思うに、こういった永久動力の話は、錬金術師が「金を作る」と言うのと同じようなもんだと思います。
フリエネ系の人達はこういった事例を挙出して来ては陰謀で潰された旨の主張をしますが、小官はこういった話は大体が大した研究成果も出ないうちに借金ばかりが膨らんで逃亡を余儀なくされる…という事が起こった結果であると考えます。

この本には、人類を影でコントロールし、地球を支配している勢力がフリーエネルギーのテクノロジーを隠していると書かれていますが…
普通んなモノがあれば、アメリカあたりが真っ先に潜水艦や航空機の動力といった方向へ軍事利用しますよね?
永久に飛行可能な戦略爆撃機機なんて夢みたいな兵器が作れるわけですから。
という感じで、やっぱ「本物のフリエネ装置」は実在しないと考えた方がよさそうです。

しかしまあ、永久動力はたしかに面白い研究課題であり、有史以来数多のエンジニア達が、自然の法則をどうにかこうにかだまくらかして無限のパワーを手に入れようとしたのです。
ちなみに現在有望視されているのはNーマシンというやつで、「単極誘導」という単語をググれば、けっこうまじめに研究している人達のページが出てきます。
http://www.fe.dis.titech.ac.jp/~gen/hobby/elec/Motor/UniMotor.html

2007年6月13日水曜日

爆厨タイーホ

自前回線引いて以来、ほぼ日課となっているウェブチェックをしていたら、果たせるかな、おあつらえ向きの事件が発生したのです。
http://www.asahi.com/national/update/0611/TKY200706110269.html
やっだねぇ、こんなのがいるから小官のようにハ○ズ大好きな日曜サイエンティストが益々肩身の狭い思いをすることになるではありませんか。

えーっと、そんで今回問題になったブツですが、これですね。
http://wkp.fresheye.com/wikipedia/%E9%81%8E%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%88%E3%83%B3
このリンクの中身は平たく言うと、過酸化水素系の漂白剤、てきとーな強酸(塩酸よりかはバッテリーの電解液の方が入手しやすかろう)、マニキュアの除光液。この三者を混合すると、TNTの七割程度の威力がある爆薬がしゃりしゃりと結晶してきますよ、簡単に爆発するから気を付けてね。
…という事です。

「ここにんな事書いて真似する馬鹿がいたらどうする」と、仰る方もおられるかも知れませんが、はっきし言ってテロ目的だろうが平和目的だろうが爆薬としてこんな不安定な物使うのは正真正銘のおばかさんです。
http://page.freett.com/rudorufu227/syo2.txt
なのでどっかの社会不適応少年がこの小説みたいな事を企んだ場合、
まあ、最近の高校は特進クラスの秀才君たちにも受験にキク事意外はあんま教えないので、ほぼ確実にアフロ化(スキル不足による爆発事故でイカした髪型になること)します。
…まあ、逆に言えば今回捕まった人はまずまずの量の過酸化アセトンを爆発させずに保管するだけのスキルを保有していたという事ですが。
で、
http://www.blog-headline.jp/archives/2006/09/tatp.html
ここに収集されているブログを見ると、
・材料が入手しやすく、合成も比較的簡単
・窒素を含まないので通常の検査に引っかかりにくい
・ネットに作り方が広く出回っている

…などといった理由により一部のテロリストのホープとなっているが、実際には実験室での不注意による爆発等が結構報告されており、つまるところ「厨房爆薬」に他ならないのだそうです。

そもそも爆薬というものは、破壊力も大事だが、もっと大事なポイントとして、
「安定性」つまり必要なときにしか爆発しないという点があります。
・初期型ノーベル爆薬(ニトロに雷管付けただけ)
・下瀬火薬(まんまピクリン酸)
といった爆薬はその安定性が決定的に不足していたために、
「そんなおっかないモン使えっかよ!」となって市場を追放されたわけです。
そうすね… ズボンのポケットにかんしゃく玉を満載した小学生がけっつまずくところを想像して頂ければ、一般の方にもそのおっかなさというものが少しは理解できるかと存じます。

で、以外に思われるかも知れませんが、プラスチック爆弾の原料としてあまりにも有名なHMX(俗にオクトーゲンとかC4とかいうやつ)は、この安定性がかなり高く、ハンマーでひっぱたいても摂氏二百度程度まで加熱してもなかなか自然発火しないのだそうです。
つまり、安全かつ破壊力が高いという特性があったために、HMXは高性能爆薬の代名詞となるほどポピュラーになれたわけなのです。
ただし、之の合成にはなかなかにマニアックな試薬をてんこ盛りに使用致しますので、その分足が付きやすく、C4そのものを何かで入手できたとかいうケースでもない限りやっぱテロには使えなさそうです。

となると、安全に爆発テロを実行(って何じゃいな)するためには、やっぱオーソドックスにアンフォとかTNTとか、或いは合成の腕前に自信があるのならコルダイトを自作して使用する…といったあたりに落ち着きそうな気がします。
まあ、爆薬に拘らないのであれば、どっかの大学生がやったみたいにカ○ットコンロの○ンベをタイマー付きの電熱器の上に乗っけとくという手口もあるのですが、小官はテロのやり方を教えたいのではなく、あくまでも「使える爆薬を自作する」話がしたいので、こういうのは排除する方針です。

2007年6月9日土曜日

電波解析レポート~「まもなく宇宙人が到着します」第二章

陸上自衛隊情報保全隊の一件は、
「結局共産党の勇み足で自衛隊の防諜能力不足を暴露しただけ」ってな方向へ収束しつつあるようです。
http://obiekt.seesaa.net/article/44079212.html
http://nandemoari2nd.blog95.fc2.com/blog-entry-147.html
http://muyo.exblog.jp/6262894
ってか、ネタの投下でオブイェクトより早かったのは今回が初めてだな。
やはり自前の回線を持つだけでもレスポンスがこれだけ違ってくるのか。

さてと、政治の話はこの辺にして、「まもなく宇宙人が到着します」の電波解析レポートへ移りましょう。
…と、言ったところで、第二章がうちゅうぢんとの間に結ばれた国際協定についての話で、バリバリ政治的な話題なのですが。
それゆえ、今回はサイエンティフィックな方面からの突っ込みよりは単なる事実確認がメインとなります。

えっとですね、要するに第二章では1998年に銀河連邦とアメリカとの間で
NESARAとゆー協定が結ばれたのだと言ってます。
で、アドレスが書かれてますね。
http://www.nesara.us/pages/home.html
そんで、この本にも参考文献として挙げられていますが、このような本もあるようです。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31460262
アマゾンにもあるんですが、こっちの方がアドレスが短いんで、これを載せておきます。
で、この本では「いわゆる「影の政府」と呼ばれる人々の内部分裂がNESARAを生んだ」早い話がカネは流通することにその存在意義があるのに、現実には世界の95%もの富が5%の人々によって握られている。
これでは資本主義が本末転倒ではないか…といった感じのいわば「新世紀の共産主義」とでもいうべき発想から始まって、
「もう一つのNESARA」
「9・11テロはNESARA阻止のための自作自演だったのか?」
「チャネリングによるNESARA 」
…てな感じのデムパ方面へ流れてゆくというような内容の本になっています。

一方、「まもなく宇宙人が到着します」では、どちらかというと宇宙人との間に結ばれた宇宙についての情報公開と世界経済の不平等の是正を迫る内容の協定というような書き方がなされています。

つまり、全体的に「NESARAを実行すると不平等が無くなるんだ」という論調こそ共通してはいるものの、ネットなどに公開されている共通情報を離れて細かい背景の部分に入ってくると、なにやら言ってる人によってNESARAの実態が違う…という状況になってくるみたいです。

一方、小官が顔を出してる掲示板では、それ関連の話題がこんな感じになってます。
http://science6.2ch.net/test/read.cgi/future/1180956274/
煙に巻かれるとはまさにこの事を言うのでしょう。
うーん、専門外の話をすると疲れるねぇ。

さーて、来週のサ○エさんは?
第三章:意識革命をとげる人、拒絶する人

…ナニこれ、選民思想?
おっと、予断はいかんよな予断は。

2007年6月6日水曜日

またしても騒動の予感!

この間、平和反戦運動家の方が極端な事をやって騒ぎになったんですが、
http://obiekt.seesaa.net/article/42364764.html
またしてもこのジャンルで騒ぎになりそうな事件が発生しました。
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=m20070606-046&d=20070606
ええと、なになに、
共産党の志位和夫委員長は6日、自衛隊関係者から入手したとする「内部文書」を公表し、「陸上自衛隊の情報保全隊が市民団体やジャーナリストの活動を監視している」と指摘した。
ふむ、
防衛省はこれに対し、「内部文書かどうか確認できないが、この種の資料は作成した。イラク派遣の反対運動が高まっていた時期で、対応を考えるのが目的。違法性はない」としている。 
一応事実らしきものは存在しているのか、なるほどこいつぁよく燃えそうだ。

と、ゆうわけで、こないだ自前の回線も開設してネトカフェへ通う手間も無くなった事ですし、これまでよりこまめに情報収集をしておきたいと思います。

2007年6月2日土曜日

電波解析レポート~「まもなく宇宙人が到着します」第一章

と、ゆうわけで始めていこうと思いますが、
著者は占い師。で、いきなり「宇宙人は実在する」とやっちゃってますから、
良くも悪くも常識的な方はこういった書物に書かれている内容を一顧だにしないと思います。

にもかかわらず小官がこんな事業に手を出すのは、この本が日本人デムパ系の中でも至って典型的な主張をしており、また、書店で入手できた。
つまり、入手しやすくしかも理想的なサンプルであったからなのです。

ではでは、今回は第一章「宇宙人・地球外文明が存在する真実」を扱いましょう。
文章量も少なく、この調子でやってゆけば八本の記事が書ける・・・
これくらいのメリットが無ければ1200円も投資しませんって。
冗談はさておき、とりあえずこの強烈なデムパの嵐の中から一応話の通じそうな部分を抜粋して突っ込んでみます。
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今世紀文明の一番悪いところは、目に見えないものしか信じようとしないことです。
 現代人は目に見えないものについて、「そんなもん、信じられるか」といいます。
 私たちは目に見えないものについて、じつはこれこれがあるんです、あれがあるんですっていわれても、まず拒否反応を示しますね。
 でも、目に見えないからこそ大事なものは、いくらでもありますよね。

 もう、そこが間違いなんですよ。
 データなんて信じなくていいんです。
 遠赤外線は、目に見えない温かい光線のことですね。冬、日陰は寒く、太陽に当たると温かいのは遠赤外線があるからです。
 たとえば、
「目に見えない遠赤外線があるんです。とても体にいいんですよ」
 といわれても、これだけ病気が治ったとか、実験・裏づけデータを見ないと誰も信じない。
 波長20から25ミクロン以上といわれる遠赤外線がないと、人間や生物は育ちません。だから遠赤外線は育成光線ともいわれるんですね。
 もっとも近ごろでは目に見えないマイナスイオンが体にいいというのは、すでに常識化しつつありますけど。
 最近は、目に見えない精神世界に関心をもつ人たちが、徐々にふえていますよね。
 それでもまだ人間は、UFOとか、宇宙人というと、うさん臭い顔をする人が多いんですね。

 たとえば、秘密結社のイルミナティ(地球の影の支配者といわれる少数の人達)など、世の中を支配したいと思う人たちは、何も見ざる、いわざる、聞かざるにさせちゃえば、人類全体のコントロールは簡単なんです。
 影響力のあるメディアを使って「右に行きなさい」といいますね。「そうか。右に行くといいことあるんだな」と思わせてしまえば、みんな一斉に右に行くわけですよ。
 そうやって人類をコントロールしてきたから、今急に「じつは、あなたは自由なんです」といわれても、どっちに行っていいかわかんないでしょ。
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 きちんと校正をかけてないのか、しょっぱなから変な誤植がありますが、これは無視して本題に入りましょう。
科学というより科学の方法論の話になりますが、
一般的に「科学者は目に見えるものしか信じない」と言われていますが、これはあんまり正確な表現ではありません。
科学の方法論とは基本的に数学と同じで、ある命題が真か偽かを判定し、次にその命題を下敷きに新しい問題に取り組むというものです。
したがって基本的に白黒はっきりした問題しか扱えず、研究者はここに足場を置いた上でグレーの領域を開拓してゆく… というのがルネサンス以降科学者がやってきたことであります。
つまり、「目に見えるものしか信じない」のではなく、
「目に見えないものについて論じることはできない」のです。
宇宙人や幽霊の類が「非科学ではなく未科学」というのはこの辺の事情を弁えた上での表現なわけです。

次いで、サイエンティフィックなところに突っ込みます。揚げ足を取るようで悪いのですが、
「遠赤外線が体にいい」というのはかなり大雑把で乱暴な言い方だと思います。
そもそも遠赤外線に限らず赤外線は基本的に熱作用を持っています。
そして生物は基本的に暖めてやれば、成長や疾病・障害の治癒は勿論、老化までもが加速されるのは常識であります。
さて、ここで敢えて「遠赤外線が体にいい」と言うためには、遠赤外線を照射したグループと、遠赤外線以外の赤外線で同等の熱量を与えたグループ、そして、熱線は一切照射せずにヒーターで同等の熱量を与えたグループとで比較実験を行い、「暖めさえすれば何でもいいのか、それとも遠赤外線でなくてはならない理由があるのか」といったあたりを厳密に調査しないといけないと思います。
http://uni-site.net/yoshi/water/ikuseikosen.html
おまけになんか育成光線の波長の記述に間違いがあるし。

そしてこれがマイナスイオンともなると、これはもうえらいことになります。
というのは、「そもそもマイナスイオンって何よ?」というもっとも重要な問題が実は解決されてなかったりするからなのです。

おまけに電気屋さんが空気清浄機を売りたいがためにこの問題に干渉して更に状況をややこしくしてしまっています。
少なくとも、一般的に売られている「マイナスイオン発生器」の基本的な構造は、針状の電極に高電圧発生回路等で作り出したマイナスの電荷をチャージして放電させる… というものが殆どなのですが、
空気に高電圧をかければ静電気による凝集効果で空気中の細かな埃を取り除く作用が発生することが知られており、発電所のばい煙処理や半導体工場のクリーンルームなんかに応用されています。

つまり、空気をきれいにした結果健康にプラスに作用するのか、或いはなんかマイナスに帯電した分子が飛んでって直接健康を作り出すのかといったことすら判らないのです。
だけど、電気屋さんは空気清浄機が売れればそれでいいので、この辺の問題をまじめに検証してはくれません。

で、先にも言いましたとおり、こういった未解明でデータの出揃っていない問題はあくまでも「非科学ではなくて未科学」なのです。
そして、もっとも重要な点なのですが、こういった未解明の命題に挑むにあたって、科学者は何らかの先入観を抱いて結論を下すことがあってはならないのです。
ここで「目に見えないものこそ大事だからデータなんか信じない」とやるのはまさにその先入観なわけなのです。
 遠赤外線にせよマイナスイオンにせよ体にいいか悪いかは少なくとも現時点で科学的にはっきりした裏付けがあるわけではない… なのに「いいに違いない」と判断してしまうのは軽率でしょうと。
実はこの論理の飛躍にこそ「オカルトの人」の典型的な特徴が現れるのです。

最後にイルミナティについてですが、これは陰謀論大好きな人達の最近のトレンドみたいです。
で、この本の著者は「見ざる言わざる聞かざるにしてしまえば人類全体のコントロールは簡単」と書いてますが、これもまた現状認識としてちょっとアレです。
民衆を「三サル状態」へと誘導するためには、じつは十分に行き届いた政治でもって彼らに安穏な生活を保障してやる必要があります。そうでないと日本人以外の民族の場合暴動が発生する。
事実「最良の政治とは賢帝による専制政治」なんて言葉があったりします。
で、こういった理想的な条件を整えても必ず「右へ行け」と言われて左へ行ったりその場に寝転んでいびきをかき始めたりする「アノマリー」ってやつが現れる… これをどこかの国みたいに力で直接押さえつけても歩留まりが100%になることはまずありません。
…ということは、実際に世界を支配するためには、大勢の人々に「自分は自由だ」と思わせておきつつ、教育や報道、宣伝といった情報源へ長期的に浸透して「全体として一つの方向へ走るように工作する」といったあたりが現実的みたいです。
が、そうやって大勢の人達の思想を支配しても、実は彼らは支配する側の言うことを聞いてくれるとは限りません。
なぜならば人間とは「自分の見たいものを見る生き物」だからです。
つまり、皇帝になって民衆を支配したとしても、民衆の聞きたくないことを口に出したら、その時点で失脚確定なわけです。

…以上の事実を踏まえて、イルミナティかそれに類する組織の実像を「ある」という前提のもとに推定してみると、世界の報道機関の地下に大規模なネットワークを保有していると思われ、また、民衆に安穏な生活と自分たちは自由だということを意識させておくために、下部組織としていくつかの慈善団体や政治活動団体の類を保有している可能性もあります。
しかし、影の支配者とはいえ社会組織に寄生して生活しており、なおかつ民衆の支持を失えばその支配体制が揺らぐことになりますので、表立って度派手なことをやらかしたり、自ら民主主義を破壊するようなアクションはとりづらいと考えられます。
ある意味では彼らこそ民衆に支配されているとも考えられるでしょう。
つまり、そういった集団が存在したところで、ある意味でネオコンや経団連より怖い団体にはなり得てもUFOビリーバーほどエキセントリックな存在になりうる材料があるとは考えにくいわけです。

2007年5月26日土曜日

新シリーズ予告編~電波解析の業務に手を出したいと思います

相も変わらない琉球新報の報道にはうんざり。
http://obiekt.seesaa.net/article/42261087.html
自称平和運動家の方がグリーン○ースまがいのことをやらかして危うく死人が出るところだったというのに
(もっとも、ご本家の方では既にああいった行為に走る情熱的な方は異端視されているそうですが)
防衛省いぢめを改めようともしない。

まあ、知事選と基地問題以外あんま政治ネタのない辺境で新聞なぞ書いていたら、遅かれ早かれこうなってしまうのかも知れませんが、
「よし、今度はどんな記事を書いて琉球新報を叩こうか」なんてやるのも大人気無いような気がしますし、こういったネタ作りの結果としてこのブログが政治色強くなってしまうのもあんま好ましいとは思いません。

と、ゆうわけで、こないだ本屋で見つけた
「もうすぐ宇宙人が到着します」という題名の本、
これ、強度のUFOビリーバーが書いてて、
(何でわら半紙に印刷されてないんだ)
と思うほどデムパゆんゆんな内容の本なんですが、こいつを購入し、しかるのち電波解析と称してこれの間違い探しと作者の心理に対する考察といったことをやってゆきたいと思います。

…まあ、ブログってやつはそもそも自虐ネタをやるためにあるような場所であって、他者への攻撃みたいな事は好もしくないのですが、フォトンベルトとか悪の秘密結社とか、デムパの世界において王道と言っても差し支えないような事ばっか書かれている本なんで、
「ミリタリーとSFそしてちょびっと政治」を看板としている我がブログとしては、サイエンティフィックな角度からこういったのに迫っていこうとまあ、こうゆうわけですね。
それでは乞うご期待。

2007年5月19日土曜日

あの人だって人間なんだ?

前回の記事で琉球新報について
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」
との印象を抱いてしまいますね。
なんて言ってたら・・・今日の朝刊の27面にこんなのがありました。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23882-storytopic-1.html

あとでリンク切れると困るので抜粋
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沖縄学の父が戦意高揚の寄稿文
 沖縄学の双璧(そうへき)とされる伊波普猷(1876-1947年)と、東恩納寛惇(1882-1963年)が、相次いで戦意高揚を図る文書を東京新聞に寄稿していたことが、18日までに分かった。伊波は沖縄戦が始まった1945年4月3、4の両日、日本人として「真価を発揮する機会が到来した」「勇戦大きな期待を抱く」などと記述している。東恩納は組織的戦闘が終結した直後の6月27日付で「本土防衛に鉄壁布陣の時間を稼いだ」と守備軍の功績をたたえている。米軍の本土上陸に向け戦意高揚に一役買っている。
-------------------------------
で、この資料が埋もれていた理由について、
「民主主義者または時局批判者の伊波がこうしたものを書くはずがない、という思い込みや予断が研究者を含む多くの人たちの中に頑にあったためではないか」
と言われているそうです。

…判っていたさ、判っていたよ。物書きがこういう人種だって事は。
まあ、「沖縄に理解を示す人物だからといって必ずしも平和反戦ではない」という当たり前といえばごく当たり前の話で、また、沖縄学の父といえども、昨今主流となっている「オリジナリティーで勝負しろ」という意見を持っていたのではなく「沖縄人は日本人の一部」というのがその主張だったというわけでなかなかに興味深い資料ではあります。

ちなみに沖縄戦とその後の歴史について概略を述べますと、戦前、日本軍は沖縄を前線基地とは見なしておらず、国境は台湾海峡の辺りにありました。
事実、台湾大学の前身は旧帝大であります。
で、戦略上の失敗なんかもあって沖縄にはろくな地上兵力が集まらず、対馬丸の例にも見られる通り米軍の通商破壊で住民も避難できないうちに米軍が上陸してきて凄惨な戦いが繰り広げられます。
特に激戦が繰り広げられたのは宜野湾市、浦添市、西原町の付近で、いくつかの部隊はここで全滅したので、小官が小学生の頃まで嘉数高台公園には慰霊碑がたくさんありました。
ただし、戦後かなりの時間が経つと、遺族の中にもきちんとした情報を知っている人がいなくなって、糸満の平和記念公園へ行ったのに慰霊碑がないと苦情が来るようになったので、あらかたそっちへ移設されてしまい、現在嘉数高台に残っているのは「京都の塔」のみだという話です。
http://www.odnsym.com/spot/kakazu.html
http://www.odnsym.com/pic/m/kyoutotou.html
その後、沖縄がアメリカに占領されると、植民地として、前線基地として、生き残った沖縄の住民は苦しい生活を強いられることになりました。
事実、「アメリカは自由の国ではないのか」と問うた琉球政府の代表に対して、「いかにも、わが合衆国は自由の国である。しかしそれは琉球人には適用されない」と軍の高官が語ったというエピソードも残っています。
(今にして思えばかなり誇張が入っているような気もするが)
当然、そういった中で本土復帰への思いは強くなっていくのでした。
ところが、本土へ復帰して日本人になっても沖縄から米軍は出て行かなかった。
国から来るお金は一部の人にしか回らず、依然として経済格差は存在し続け、基地負担は減るどころか自衛隊まで来た。

こうして日本に対する失望が広まる中で昨今の
「オリジナリティーで勝負しろ」という主張が出てきたのです。
そしてそれはある程度成功を収めました。
が、結局のところ、沖縄の人々が理想と妥協の間で生きてゆかざるを得ない現状は変化しておらず、特に一部の人たちは極端な思想・行動に走ってしまう…

まあだいたいこんなところです。

2007年5月12日土曜日

楽しい核物理学講座その5~核を小型化するとはどういうことか

ラプたん帰りましたよ。
で、琉球新報は素直に喜びゃいいものを、一面トップで
「轟く爆音未明に離陸強行」
ですって。
ま、あえてそういう物の見方をすることで飯を食ってる人たちですから、放置しときましょう。
しかしアレですな、物言いが好戦的とまでは言わんが、このテの記事を読むと
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」との印象を抱いてしまいますね。
もっとも、小官がアマノジャクなせいかもしれんが。

さて質問です。
広島型原爆は64キログラムのウランを使用し、おおよそ15キロトンの破壊力を発揮しました。
それでは15トン相当の破壊力を発揮する核兵器をこさえるにはウランがどれくらい要るでしょうか?
64キログラムの千分の一で64グラム?
そんな事言ってる人は前の講義から読み直して下さい。
そもそも「核物質」「超臨界状態」にならんと「核爆薬」として機能しないのです。
そして「超臨界状態」にできる最低限の量が一般的にはウランで15キロ、プルトで4キロと言われているというのが前回の講義の要点です。

では、爆発力の大きな原爆と小さな原爆では何が違うのか?
それは平たく言うと、燃焼の効率です。
例えば広島型だと、実際に「燃焼」したのは全体のせいぜい1%、つまり640グラム程度だと言われています。
単純計算すると、全部燃焼した場合、1.5メガトンの破壊力を発揮したことになりますが、リトルボーイはごく一部が燃焼してそれなりの熱量が発生した時点で爆弾自体が蒸発・爆散して超臨界状態が消滅し、連鎖反応が進行しなくなった結果、15キロトン止まりだったというわけです。
そして2の7乗が128ですから、リトルボーイでは連鎖反応が完了する7~8世代前にだいたい反応が停止したと考えてよいでしょう。

この燃焼の効率を高めるためには、当然連鎖反応途中まくりの核物質を爆散しないように十分長い時間狭い空間に閉じ込めておく必要がありまして、そのためにはとても重くて硬い物体でこれを閉じ込めておくという方法が一般的です。

そのための重くて硬い部品をタンパーといいまして、ファットマンなんかですと、中性子を反射して臨界量を小さく抑えることや、連鎖反応で発生した中性子で二次的に反応させることなども狙ってこの部品は劣化ウランで作りました。

当然、タンパーが軽く軟らかい物質だったり全く無かったりすると同じ量の核物質でも反応が十分に進んでいないより早い段階で核物質が爆散して威力低下となります。

要するに、不完全なタンパーを使えば核兵器の威力はいくらでも小さくできるのです。

一方、核兵器のサイズを小型化するためには、いろいろなアプローチがありますが、主となるのはコアの小型化と爆縮方式の簡略化です。
まあ、核兵器のサイズや重量を小さくすればそれだけ運用性も向上するので、じつを言うとこれはかなり研究が進んでいます。

コメ国の例で言いますと、1965年に重量177キログラムの核地雷をこさえ、後に重量70キログラム、破壊力0.1もしくは1キロトンの可変で歩兵がリュックに背負って歩けるというブツを作る。
ちなみにこいつは日本のテレビにアメリカの「核ミュージアム」が出てきたときに全国に紹介されていたはずです。
で、280ミリ核砲弾が後には小型化されて普通の榴弾砲から発射できるようになったり、
有名どころでは核バズーカの「デービークロケット」でしょうね。
こいつの開発が始まったのは1958年。
重量は35.5キログラムで破壊力はTNT20トン相当。
1961年から1965年までの間に400個生産され、実際に試し撃ちも行われております。
http://www.sonicbomb.com/modules.php?name=Content&pa=showpage&pid=56
まあ、現実的に鉄板原爆に近いのはこのあたりでしょうね。

こいつらは基本的に爆縮方式の簡略化によって小型化を達成しているみたいです。
具体的には「リニア・インプロージョン方式」といいまして、鉄パイプの両側にそれぞれ臨界量の半分のプルト半球と火薬を仕込んでおき、同時に点火して合体と爆縮を同時並行に行うと…
この辺のメカニズムは鉄板原爆に通ずるものがありますが、これとても核物質を臨界量以上用意しないといけないという点ではテロリストが簡単に製作できるようなシロモノではありえません。
加えて言うならば、誰でもすぐに推測できるように軸方向から来た衝撃波が周方向へ逃げる構造なので、当然爆縮効率もよろしくないです。

今ひとつのアプローチであるコアの小型化については、タンパーを中性子反射効率の高い素材(例えばベリリウム)で作ったり、爆縮効率の向上で達成できますが、特に後者である爆縮効率の向上については、これは爆縮レンズ系を大型化させぬように…とか考え始めると爆弾の小型化のためにはどうしてもトレードオフになりますんで、実験もなしに一回こっきりの特攻で確実に爆発させたいテロリストにとってはやはりハードルが高すぎると言わざるを得ないでしょう。

と、ゆうわけで、小官がテロリストならば俗に言うスーツケース原爆(平たくてスリムなロシア版の核地雷)を入手してそのまま使いますね。
小官が科学者ならば興味本位で鉄板原爆を作るかも知れんが、(臨界量の兵器級プルトを入手する時点で数十回はブタ箱行き確定だが)科学者だけに当然ハゲが怖いので製作は最低でもグローブボックスを使用し、爆発実験はタイマー付けて海溝にドボンし、地震計とにらめっこくらいの安全策はとりたい所です。

とりあえず核物理の講義はこれでおしまいと致しましょう。
ではでは。

2007年5月5日土曜日

戦勝国の傲慢

うちがソースに使ってる「テクノバーンが」なんかごたごたしてるもんですから、
http://obiekt.seesaa.net/article/38636331.html
過去の記事なんかにリンク切れが続出して改めて無限更新地獄の恐ろしさを思い知らされているハインフェッツです。
これじゃ正直手が回りませんよ。

で、本来ならば今回は「デービークロケット」なんかの話から
「そもそも核兵器の小型化とはどういうことか」という流れで鉄板原爆の検証に行くつもりだったんですが、情報収集の最中に
「んんんー?」と思うような事がありましたんで、政治の記事に差し替えさせていただきます。

問題は「ニューズウィーク日本語版」のゴールデンウィーク合併号。
43ページにテンプル大学ジャパンキャンパス教授のフィル・ディーンズってジャーナリストが書いている
「日本だけじゃない歴史のごまかし」ってコラムです。
日本の過去を公然と批判する中韓にも「歴史の汚点は存在する」という視点には同意できますが、結論がねぇ…
というわけで、
「マスコミは権力の監査機関、ネットはマスコミの監査機関」という言葉もあることですし、問題のコラムの結論の部分を転記しておきます。
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 もちろん、日本と近隣諸国が患う「歴史健忘症」には大きな違いがある。中国、北朝鮮、韓国、台湾は過去の嫌な出来事を隠そうとする罪を犯しているかもしれない。だが、中国がチベットに、国民党が台湾に、北朝鮮が韓国に与えた苦痛は、国境が争点になっていたとはいえ、主に国内問題といえる。これに対して、日本は次々と他国を侵略し、人々を苦しめた占領者である。
 日本は第二次世界大戦で無条件降伏し、侵略戦争の責任を公式に認めた。日本政府は自らの歴史に特別な責任を負っているのだ。その責任を誠実に果たさないかぎり、アジアにおいて歴史を政治問題化する動きは終わらない。
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よーするに日本は無条件降伏したとき、「あれは侵略戦争でした」とやったのだからほかの国がやってることは国内問題でも太平洋戦争は日本の侵略戦争なのだと。
そして侵略戦争だと認めた以上は相応の責任を果たさねばならぬのだと。
(この責任の概念がかなり曖昧で、時系列に従って拡大解釈されてゆくのがリベラルを名乗りながら中共の手先と成り下がった知識人に特徴的な主張のパターンである)
つまり、中国が石油欲しさに南シナ海を獲っちゃった一件も、先方が侵略だとは認めていないので、国内問題ってわけです。
勝てば官軍でつか!

まあ、それが国際社会の不文律なんですけどね。…
たしかに小官も、
「一度過去をきちんと清算しないかぎり、まずまともな外交というものをやるための前提条件が整わないではないか」
と思っていた時期もありましたけど、今では歴史ネタはたいていの場合日本叩きと金銭せびりが目的だと知ってしまいましたからねぇ…
まあ、あれです、このての人にはまずこう言ってみます。
「あなたは先方の要求を全面的に呑むことが騒音おばさんに常識を弁えさせる最良の方法だと思われますか?」と。
さてと、次回こそは鉄板原爆をやりましょうね。

2007年4月28日土曜日

玉虫色のF-X選定

過疎だ過疎だと言っていますが、それでもたまーに通行人が現れるみたいで、さっきチェックしたら、5日にpianさんという方からコメントを頂いてました。

ところで航空自衛隊の次期F-XはF-15FXとラプたんの二段構えに決定したらしいです。
http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007042101000645.html

次期F-Xについては軍オタの間でも前々から
「米空軍が使ってるのと同じ機体を入れてるからラプたんにケテーイでしょ」
「いや、ラプたんは政治の問題でダメっぽいよ。F-15FXでしょ」
てな事が言われてたんですが、その議論をそのまま先送りしちゃったような形で、「F-15FXとラプたんでハイローミックス」とやっちゃった防衛省には、
「やっぱりお役人の集団であったか。」
としか思えないのですが、とりあえずおめでとうございますとでも言っておきましょう。

しかし…小官は個人的にラプたんの輸入解禁に時間がかかるのなら、むしろライトニング2が手に入らないだろうかとも思います。
そりゃコストの関係なんかもありますけれど、さらに大きいのはアビオニクス、いや、ずばり言うと運用思想です。

ラプたんの場合、自前のレーダーも使えないことはないですが、基本的には自分からは電波を出さずに(ステルス機が逆探知されたら笑い話ですからね)空中管制機が捉えたターゲットを叩きに行くというのが基本戦術なんで、効率的な運用にはどーしても連携が必要で、そのための周辺機材なんかが必要になってしまいます。
一方ライトニング2の場合、限られた数で運用する艦載機であることもあって、自分で目標を探す能力が高いらしい。
具体的にはラプたんが持っていない赤外線探知機を備えているらしい。
ここに例の「スナイパーポッド」なんかと類似の光学策敵機材(ただし日本で独自に開発したもの)を乗せてやれば、お安くコンパクトな防空戦力を組み立てることが出来そうです。
それにライトニング2は最初から輸出を前提とした機体なんで、防衛省としてはクリアせにゃならん課題は派閥争いくらいのもの… となれば、結構おいしそうなんですがどうでしょうね。

2007年4月21日土曜日

楽しい核物理学講座その4~原爆で3-.2-.1-.アフロー!!

カラー電子ペーパーが出たんで、話題になってるみたいですね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news069.html
一方、小官といえば、この一週間何も無い平穏な日々でした…と言ったらウソになりますね。
きっかけは例によってレム睡眠の最中に受信したデムパを「上位世界からの託宣」ということにして、「大人の科学」の「紙フィルム映写機」ってやつを買いに本屋へ行ったことです。
http://otonanokagaku.net/next/index.html
そしたら、何かの教材でしょうか。変な吹き替え版のDVDが流れてて、
ポパイが琉球語しゃべってた。
(「琉球語」は「うちなーぐち」と読んでください。どうもかっこよく書けないので。)
で、これらとは関係の無い「趣味の本」を読んでたら、
F-Xの記事の末尾に「次次期F-Xにコレはどうだ?」という煽り文句で
ストラマが載ってた。

しかし、これらのトピックスをいちいち扱っていたのでは、鉄板原爆の腱鞘炎…もとい検証編がぜんぜん進まないので、中性子の話もしたことだし、早速原爆の話を始めたいと思います。
そういえばあの妄想マルチロール戦闘機も核を搭載する予定だそうですね。
…というわけで、はい。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
同じものを何度も貼り付けるようですが、これが原爆の基本であり、素人向けの教科書といっても差し支えないものですから、ご容赦を。
日本人にとって非常に馴染み深いこの二発の原爆ですが、(最近は知らない莫迦も蔓延していると聞きます、小官の受けた教育に感謝。ただ、講師は皆反戦左翼でしたが。)広島型の場合、64キログラムのウラン235が使用され、長崎型には6.2キログラムのプルトニウム239が使用されたという情報が読み取れるかと思います。
これらの情報に追加させて頂くならば、この砲身式と爆縮式という二通りの原爆のうち、以後のメインストリームとなってゆくのは長崎型であるプルトニウム爆縮式でありました。

その理由はまあ、だいたい二つだと思います。
第一にプルトニウムは確保が容易であったということ。
天然ウランに必要な同位体であるウラン235は0.7%しか入っていません。
これを濃縮するのはえらいことです。
一方、黒鉛炉などに天然ウランを放り込んで何ヶ月か燃やしてやると、中性子のために燃料の中にプルトニウムができてきます。とても簡単で、しかも省資源です。
第二にプルトニウムは臨界量が小さいということ。
先にあげた資料からも読み取れる通り、プルトニウム原爆だと、核物質の量は少なくて済みます。
要するにプルトニウムの方が燃えやすいのですが、それは爆弾本体の小型化に直接関わってきます。このファクターは兵器として発展の余地が大きいことを示します。
かわぐちかいじの仮想戦記漫画「ジパング」では、和製原爆があまりにも大型化してしまったために、輸送手段として戦艦大和を使用するくだりがありますが、まさにその問題があるわけです。

ただし、プルトニウムに問題が無いわけじゃありません。
それは何度も言ってるように、プルト240の自発核分裂の問題です。
原爆の点火シークエンスというのは基本的に、火薬なり何なりを使って核物質を物理的に合体なり圧縮なりして、
「臨界量を突破したところへある程度まとまった数の中性子を放り込む」
というものです。

ウランの場合、砲身式でも確実に爆発させることができました。
ただ、資料を見るとやはり自発核分裂によって発生する中性子のリスクを回避するためか、タンパーには劣化ウランではなく炭化タングステンが使われていたみたいですが。
一方プルトニウムは最初から自発分裂の問題を回避することが無理でした。
この自発分裂によって核物質の中に最初から中性子が沢山存在すると、臨界に達する前にくすぶってプスプスやり始め、臨界をちょっと突破したあたりで核物質はプラズマ化して爆弾を蒸発させてしまう「未熟爆発」が起こります。
これは面白くないです。そもそも「核物質の臨界」というのは、
「連鎖反応を繰り返しても中性子が減らない」という条件のことです。
この一線をはるかに飛び越えて、
「もしも中性子が来たらバコバコ増えまくりますよ」
という「超臨界」になったところへすかさずまとまった数の中性子を放り込まないと爆発とは言えるような現象は発生しないでしょう。

ところが、プルトで砲身式をやると、自身の中性子が原因で「砲弾」が「目標」と合体するまでの0.5ミリ秒の間にこの「未熟爆発」が起こる危険性がありました。
そこで、臨界量をちょっと切るくらいのプルトニウム球に爆薬を使って数千気圧の「球形の衝撃波」を浴びせ、圧縮することで超臨界にしてやろうという爆縮型が生み出されたわけです。
例えば、あるプルトニウム球を爆縮して直径を半分にしてやると、原子の数は変化しないまま表面積は四分の一になります。
つまり単位質量あたり逃げてゆく中性子の数が四分の一になるわけです。
圧縮しなかったとすると、球の直径を四倍…つまり64倍の重さの球を作ったのと同じことになります。
…まあ、これは極端な計算ですが、爆縮方式がいかにすばやく効率的に超臨界を達成できるか、これでご理解いただけるかと思います。

ちなみに現在ではプルトニウム239では4キログラム、ウラン235では15キログラムほどあれば原爆に仕立て上げることは可能で、材料のグレードと、爆縮技術のレベルなどにもよりますが、最低2~1キログラムのプルトニウムがあれば原爆にできるとも言われています。(ただし、最高の技術と材料をこれでもかとばかりにつぎ込んだ場合の話)

なんか疲れましたが、たぶん次回で「原爆の小型化」から鉄板原爆の検証に入れると思います。
乞うご期待…という事にしといて下さい。