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2007年6月30日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第五章

さて、第五章をやりたいのですが、ここはめちゃ政治の話なので、サイエンティフィックな突っ込みをかましたい小官にとってはちょっとアレであります。

なので内容の概説と常識的な突っ込みから。
まず、レオ・ワンタというアメリカ財務省の工作員の方がいて、レーガン時代にルーブルを操作し、ベルリンの壁を崩壊させ、ソビエト連邦を解体へ誘導したのだと。
その時発生した三千兆円近い資本をレーガンは国際的な支援活動に供するため信託基金を作ってそこへ入れておくように支持したと。

ところが、その資本がパパブッシュ、クリントン、現ブッシュと三代の大統領を経るうちに全て消滅した。
なぜならば、この三人の大統領はいずれも人類を秘密裏に独裁支配している秘密結社「イルミナティ」のメンバーであり、その組織を維持するためにこのワンタ資金は横領され、関係するイスラエルの銀行ネットワークに流れていたのだと。
で、ワンタ資金はアメリカ国民のものであるとの裁定が2003年度に下っており、アメリカ国内で使われた分に関してはともかく、イスラエルに流れていた件に関しては問題だという事で、この事件に関わった人々をどんどん捕まえていっていると。
今はブッシュ大統領とチェイニー副大統領を弾劾裁判にかける事が企画されており、この七月にはイギリスのブレア首相もやめることになる。
当然アメリカべったりの日本にも影響がある。
ってな話です。

で、つかみの部分で2007年2月にチェイニーが来日したのは、ワンタ資金関連で五百兆円をアメリカ財務省に返さないとタイーホとなるので、日本へカネの無心に来たのだと言ってます。
しかし判らんのはこのワンタ資金ってやつです。
「皆さんの中には、もう数十年前の話だから、もう洩れ伝わっていて、知っているかもしれませんが、ワンタ資金というのを聞いたことがありますか。」
とありますが、少なくとも小官は聞いた事がありません。
小学生の時に平成が始まったので、ベルリンの壁崩壊もニュースで見た記憶があるのですが、やっぱり初耳です。
で、アメリカ連邦裁判ではワンタ資金の正当な所有者はアメリカ国民であるとの裁定が下ったとの事なのですが、ソビエトを崩壊させて得た資本ならば、常識的に考えてこれはかつての東側諸国からかっぱらったものだとは考えられないでしょうか。小官も寒空のもと、あらかた商品の消え失せた食料品店に長蛇の列を作って並ぶ灰色の人達のニュース映像を目にした事があります。
その後、モスクワにマクドナルドが出来たときの取材映像も。
更に、アメリカ国内で使われた分はともかく、イスラエルに流れていたことが問題だと言われているようですが、んな事を理由に政治家をとっ捕まえる事ができるのなら、GDPで日本を追い抜いたと言いつつも日本から貰ったカネで軍拡という「平和国家日本」の理念に反するような事をやっている国へ国民から徴収した税金を流して続けている連中は、みなブタ箱へ入らねばならぬ筈です。

だいたいお金ってのは額面が大きい場合など特にその傾向が強いのですが、きちんと運用しなければそれこそ蜃気楼のように消え去る物なのです。
ましてや大きな国ってのは政府の内部で常に天文学的な量のカネが動いていますから、いくら三千兆円が消えて無くなったとは言っても、これはワンタ資金の一時預け先として設立された信託基金「アメラリスト・グループ」の経営に問題があったと考えるのが妥当でしょう。

なによりも、本章はイルミナティ陰謀論の色彩が強いのですが、実際に書店に赴いてイルミナティについて書かれた書物を立ち読みしてみたところ、その内容の大半は世界的に成功している人々を名指しで引っぱって来て、その母方の曾祖父にユダヤ人がいるというような事をスキャンダルとリンクさせて述べている…といった感じのもので、これは立派なレーシズムです。
小官も少々驚いたのですが、こういった
「自分たちが成功できないのは、才能が無いからではない。悪の秘密結社によって正当な競争の機会を奪われているからだ」という主張が行間から透けて見えるような本を引用してこの「まもなく宇宙人が到着します」という本は書かれていたのです。
本書の著者の方は、このお花畑ビジョンがじつは「国家社会主義ドイツ労働党」の主張していた事と大して変わらないという点に気付いているのか?
おそらく気付いてはおられないでしょう。
そこへ持って来て宇宙人とかオアカルティズムとか出てくると、ナチについて「紺碧の艦隊レベル」の知識しか持っていない方でも容易にその香ばしさを感じ取れる筈ですが…義務教育でしか社会科を学んでいない人は苦もなくダマされるといったところなのでありましょう。

2007年6月23日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第四章

水曜の夜にテレビの速報で東京都小金井市の工業大学で半導体の実験をやっていた外国人留学生が爆発事故を起こし、助けに入った人も巻き込んで二次災害だ何だで計6人がフッ酸を浴びて病院送りになったとやってたので、早速記事にしようと考え、情報収集に励んだのですが、他のソースには上がっていない。
待てど暮らせど続報すら入ってこない…一体どーなってんのよ?
そういえば速報の内容もかなり変なものでした。
ゴミ箱の中で硝酸とアルコールが反応し、発熱して爆発。学生がフッ酸を浴びた。
フッ酸は強酸性の危険な物質で…。
もしもーし?

それでは前回の予告通り今回は「フォトンベルト」をやりたいと思います。
「まもなく宇宙人が到着します」の第三章。
基本的にここの中身は一般的な本屋でもオカルト書として広く売られている
「フォトン・ベルトの謎」
「フォトン・ベルトの真相」

といった書籍の内容をコピペ&要約したもんだと考えて頂ければ問題ないと思います。

では間違いを指摘致しましょう。
83ページの図1
ここに「天の川銀河団」の概略図として、「アルシオネ星系」のまわりを太陽系のように複数の恒星系が周回している図が示されています。
で、これは鳥瞰図のように斜め上からの視点で描かれているので、それを差し引くと、中心のアルシオネ星系からおおむね12時と5時の方角で銀河面に直交するように「フォトンベルト」が描かれており、アルシオネを中心にドーナツ状に光が放出されているとの説明書きがあります。
太陽系は6時半あたりの方角に描かれており、一周するのに五万二千年かかるとあります。
で、9時半あたりにシリウス星系A・B連星が描かれています。
少し知識のある方ならば、この時点で「この星図、出鱈目じゃん。」となる筈です。
第一に太陽は銀河系の中心部から概ね二万八千光年離れています。
ところが、アルシオネというのはプレアデス星団にある星です。
プレアデス星団は地球からたかだか四百光年しか離れていません。
更にシリウス連星系に至っては太陽系からたかだか8.6光年です。
この距離関係ではプレアデス星団から太陽系とシリウスを見ても、「殆ど同じ方向」に見えるでしょう。
これが例えば60度離れて見えたら、太陽系とシリウスの間は最短でも230光年は離れてないといけません。

小官も原典となっている書籍にはざっと目を通してみましたが、その内容は
「銀河系を横切るように光の帯があり、太陽系は既にその帯の中に入りつつある」
「太陽系がフォトン・ベルトの中に進入すると、惑星ニビルがやってくる」
「惑星ニビルの正体はプラズマの塊であり、これが太陽系のフォトン・ベルト突入と同時にやって来るのは、フォトン・ベルトの光エネルギーが、太陽系の電磁気を狂わせるからである。」
「惑星ニビルがやってくると文明が滅亡し、新人類が生き残る。」
といった感じのものでした。
これは明治時代にあった「ハレー彗星騒動」にかなりそっくりです。

ただし、憂慮すべきはこの天文ショーが殆ど短絡的に文明の滅亡と新人類の誕生に結びつけられている事です。
さらにこの本の著者のようにそれを「秘密結社陰謀論」とリンクさせている人もいるとなれば…
これはあくまでも推測ですが、太陽系がフォトン・ベルトに突入するとされている2012年前後に一部の熱心な「フォトンベルト信者」が地球脱出の名の下に集団自殺する事態が予測され得ます。
更に過激な集団はフォトンベルトへ進入する前に「イルミナティ」を潰さねばならぬということで、世界各国で政府の中枢に対してテロを仕掛けるかも知れません。

ですので、若干政治宣伝っぽくはなりますが、このブログをチェックなされている方がおられましたらば、こういった香具師にダマされぬよう2012年までにきちんと科学を勉強しておいて下さい。(笑)

2007年6月16日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第三章

とゆうわけで第三章
「意識改革をとげる人、拒否する人」
はじめてゆきましょう。

本章の内容は概ね
フリーエネルギー装置(要するに永久機関)が実用化され、普及する→
貧困と環境破壊が解決される→
NESARA発動、フォトンベルト突入、宇宙人来訪→
世界の常識が根底から変わる→
みんな超能力に目覚める。スバラシイ!

ってな流れになっております。
そのうち、デムパ系の最新モードである「フォトンベルト」については次回述べるとして、今回はフリエネ装置について述べてみたいと思います。
本書67ページに紹介されているKモータースの社長がいなくなった話などは、フリエネの話でもお決まりのパターンであるわけですが。

小官が思うに、こういった永久動力の話は、錬金術師が「金を作る」と言うのと同じようなもんだと思います。
フリエネ系の人達はこういった事例を挙出して来ては陰謀で潰された旨の主張をしますが、小官はこういった話は大体が大した研究成果も出ないうちに借金ばかりが膨らんで逃亡を余儀なくされる…という事が起こった結果であると考えます。

この本には、人類を影でコントロールし、地球を支配している勢力がフリーエネルギーのテクノロジーを隠していると書かれていますが…
普通んなモノがあれば、アメリカあたりが真っ先に潜水艦や航空機の動力といった方向へ軍事利用しますよね?
永久に飛行可能な戦略爆撃機機なんて夢みたいな兵器が作れるわけですから。
という感じで、やっぱ「本物のフリエネ装置」は実在しないと考えた方がよさそうです。

しかしまあ、永久動力はたしかに面白い研究課題であり、有史以来数多のエンジニア達が、自然の法則をどうにかこうにかだまくらかして無限のパワーを手に入れようとしたのです。
ちなみに現在有望視されているのはNーマシンというやつで、「単極誘導」という単語をググれば、けっこうまじめに研究している人達のページが出てきます。
http://www.fe.dis.titech.ac.jp/~gen/hobby/elec/Motor/UniMotor.html

2007年6月13日水曜日

爆厨タイーホ

自前回線引いて以来、ほぼ日課となっているウェブチェックをしていたら、果たせるかな、おあつらえ向きの事件が発生したのです。
http://www.asahi.com/national/update/0611/TKY200706110269.html
やっだねぇ、こんなのがいるから小官のようにハ○ズ大好きな日曜サイエンティストが益々肩身の狭い思いをすることになるではありませんか。

えーっと、そんで今回問題になったブツですが、これですね。
http://wkp.fresheye.com/wikipedia/%E9%81%8E%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%88%E3%83%B3
このリンクの中身は平たく言うと、過酸化水素系の漂白剤、てきとーな強酸(塩酸よりかはバッテリーの電解液の方が入手しやすかろう)、マニキュアの除光液。この三者を混合すると、TNTの七割程度の威力がある爆薬がしゃりしゃりと結晶してきますよ、簡単に爆発するから気を付けてね。
…という事です。

「ここにんな事書いて真似する馬鹿がいたらどうする」と、仰る方もおられるかも知れませんが、はっきし言ってテロ目的だろうが平和目的だろうが爆薬としてこんな不安定な物使うのは正真正銘のおばかさんです。
http://page.freett.com/rudorufu227/syo2.txt
なのでどっかの社会不適応少年がこの小説みたいな事を企んだ場合、
まあ、最近の高校は特進クラスの秀才君たちにも受験にキク事意外はあんま教えないので、ほぼ確実にアフロ化(スキル不足による爆発事故でイカした髪型になること)します。
…まあ、逆に言えば今回捕まった人はまずまずの量の過酸化アセトンを爆発させずに保管するだけのスキルを保有していたという事ですが。
で、
http://www.blog-headline.jp/archives/2006/09/tatp.html
ここに収集されているブログを見ると、
・材料が入手しやすく、合成も比較的簡単
・窒素を含まないので通常の検査に引っかかりにくい
・ネットに作り方が広く出回っている

…などといった理由により一部のテロリストのホープとなっているが、実際には実験室での不注意による爆発等が結構報告されており、つまるところ「厨房爆薬」に他ならないのだそうです。

そもそも爆薬というものは、破壊力も大事だが、もっと大事なポイントとして、
「安定性」つまり必要なときにしか爆発しないという点があります。
・初期型ノーベル爆薬(ニトロに雷管付けただけ)
・下瀬火薬(まんまピクリン酸)
といった爆薬はその安定性が決定的に不足していたために、
「そんなおっかないモン使えっかよ!」となって市場を追放されたわけです。
そうすね… ズボンのポケットにかんしゃく玉を満載した小学生がけっつまずくところを想像して頂ければ、一般の方にもそのおっかなさというものが少しは理解できるかと存じます。

で、以外に思われるかも知れませんが、プラスチック爆弾の原料としてあまりにも有名なHMX(俗にオクトーゲンとかC4とかいうやつ)は、この安定性がかなり高く、ハンマーでひっぱたいても摂氏二百度程度まで加熱してもなかなか自然発火しないのだそうです。
つまり、安全かつ破壊力が高いという特性があったために、HMXは高性能爆薬の代名詞となるほどポピュラーになれたわけなのです。
ただし、之の合成にはなかなかにマニアックな試薬をてんこ盛りに使用致しますので、その分足が付きやすく、C4そのものを何かで入手できたとかいうケースでもない限りやっぱテロには使えなさそうです。

となると、安全に爆発テロを実行(って何じゃいな)するためには、やっぱオーソドックスにアンフォとかTNTとか、或いは合成の腕前に自信があるのならコルダイトを自作して使用する…といったあたりに落ち着きそうな気がします。
まあ、爆薬に拘らないのであれば、どっかの大学生がやったみたいにカ○ットコンロの○ンベをタイマー付きの電熱器の上に乗っけとくという手口もあるのですが、小官はテロのやり方を教えたいのではなく、あくまでも「使える爆薬を自作する」話がしたいので、こういうのは排除する方針です。

2007年6月9日土曜日

電波解析レポート~「まもなく宇宙人が到着します」第二章

陸上自衛隊情報保全隊の一件は、
「結局共産党の勇み足で自衛隊の防諜能力不足を暴露しただけ」ってな方向へ収束しつつあるようです。
http://obiekt.seesaa.net/article/44079212.html
http://nandemoari2nd.blog95.fc2.com/blog-entry-147.html
http://muyo.exblog.jp/6262894
ってか、ネタの投下でオブイェクトより早かったのは今回が初めてだな。
やはり自前の回線を持つだけでもレスポンスがこれだけ違ってくるのか。

さてと、政治の話はこの辺にして、「まもなく宇宙人が到着します」の電波解析レポートへ移りましょう。
…と、言ったところで、第二章がうちゅうぢんとの間に結ばれた国際協定についての話で、バリバリ政治的な話題なのですが。
それゆえ、今回はサイエンティフィックな方面からの突っ込みよりは単なる事実確認がメインとなります。

えっとですね、要するに第二章では1998年に銀河連邦とアメリカとの間で
NESARAとゆー協定が結ばれたのだと言ってます。
で、アドレスが書かれてますね。
http://www.nesara.us/pages/home.html
そんで、この本にも参考文献として挙げられていますが、このような本もあるようです。
http://books.yahoo.co.jp/book_detail/31460262
アマゾンにもあるんですが、こっちの方がアドレスが短いんで、これを載せておきます。
で、この本では「いわゆる「影の政府」と呼ばれる人々の内部分裂がNESARAを生んだ」早い話がカネは流通することにその存在意義があるのに、現実には世界の95%もの富が5%の人々によって握られている。
これでは資本主義が本末転倒ではないか…といった感じのいわば「新世紀の共産主義」とでもいうべき発想から始まって、
「もう一つのNESARA」
「9・11テロはNESARA阻止のための自作自演だったのか?」
「チャネリングによるNESARA 」
…てな感じのデムパ方面へ流れてゆくというような内容の本になっています。

一方、「まもなく宇宙人が到着します」では、どちらかというと宇宙人との間に結ばれた宇宙についての情報公開と世界経済の不平等の是正を迫る内容の協定というような書き方がなされています。

つまり、全体的に「NESARAを実行すると不平等が無くなるんだ」という論調こそ共通してはいるものの、ネットなどに公開されている共通情報を離れて細かい背景の部分に入ってくると、なにやら言ってる人によってNESARAの実態が違う…という状況になってくるみたいです。

一方、小官が顔を出してる掲示板では、それ関連の話題がこんな感じになってます。
http://science6.2ch.net/test/read.cgi/future/1180956274/
煙に巻かれるとはまさにこの事を言うのでしょう。
うーん、専門外の話をすると疲れるねぇ。

さーて、来週のサ○エさんは?
第三章:意識革命をとげる人、拒絶する人

…ナニこれ、選民思想?
おっと、予断はいかんよな予断は。

2007年6月6日水曜日

またしても騒動の予感!

この間、平和反戦運動家の方が極端な事をやって騒ぎになったんですが、
http://obiekt.seesaa.net/article/42364764.html
またしてもこのジャンルで騒ぎになりそうな事件が発生しました。
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=m20070606-046&d=20070606
ええと、なになに、
共産党の志位和夫委員長は6日、自衛隊関係者から入手したとする「内部文書」を公表し、「陸上自衛隊の情報保全隊が市民団体やジャーナリストの活動を監視している」と指摘した。
ふむ、
防衛省はこれに対し、「内部文書かどうか確認できないが、この種の資料は作成した。イラク派遣の反対運動が高まっていた時期で、対応を考えるのが目的。違法性はない」としている。 
一応事実らしきものは存在しているのか、なるほどこいつぁよく燃えそうだ。

と、ゆうわけで、こないだ自前の回線も開設してネトカフェへ通う手間も無くなった事ですし、これまでよりこまめに情報収集をしておきたいと思います。

2007年6月2日土曜日

電波解析レポート~「まもなく宇宙人が到着します」第一章

と、ゆうわけで始めていこうと思いますが、
著者は占い師。で、いきなり「宇宙人は実在する」とやっちゃってますから、
良くも悪くも常識的な方はこういった書物に書かれている内容を一顧だにしないと思います。

にもかかわらず小官がこんな事業に手を出すのは、この本が日本人デムパ系の中でも至って典型的な主張をしており、また、書店で入手できた。
つまり、入手しやすくしかも理想的なサンプルであったからなのです。

ではでは、今回は第一章「宇宙人・地球外文明が存在する真実」を扱いましょう。
文章量も少なく、この調子でやってゆけば八本の記事が書ける・・・
これくらいのメリットが無ければ1200円も投資しませんって。
冗談はさておき、とりあえずこの強烈なデムパの嵐の中から一応話の通じそうな部分を抜粋して突っ込んでみます。
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今世紀文明の一番悪いところは、目に見えないものしか信じようとしないことです。
 現代人は目に見えないものについて、「そんなもん、信じられるか」といいます。
 私たちは目に見えないものについて、じつはこれこれがあるんです、あれがあるんですっていわれても、まず拒否反応を示しますね。
 でも、目に見えないからこそ大事なものは、いくらでもありますよね。

 もう、そこが間違いなんですよ。
 データなんて信じなくていいんです。
 遠赤外線は、目に見えない温かい光線のことですね。冬、日陰は寒く、太陽に当たると温かいのは遠赤外線があるからです。
 たとえば、
「目に見えない遠赤外線があるんです。とても体にいいんですよ」
 といわれても、これだけ病気が治ったとか、実験・裏づけデータを見ないと誰も信じない。
 波長20から25ミクロン以上といわれる遠赤外線がないと、人間や生物は育ちません。だから遠赤外線は育成光線ともいわれるんですね。
 もっとも近ごろでは目に見えないマイナスイオンが体にいいというのは、すでに常識化しつつありますけど。
 最近は、目に見えない精神世界に関心をもつ人たちが、徐々にふえていますよね。
 それでもまだ人間は、UFOとか、宇宙人というと、うさん臭い顔をする人が多いんですね。

 たとえば、秘密結社のイルミナティ(地球の影の支配者といわれる少数の人達)など、世の中を支配したいと思う人たちは、何も見ざる、いわざる、聞かざるにさせちゃえば、人類全体のコントロールは簡単なんです。
 影響力のあるメディアを使って「右に行きなさい」といいますね。「そうか。右に行くといいことあるんだな」と思わせてしまえば、みんな一斉に右に行くわけですよ。
 そうやって人類をコントロールしてきたから、今急に「じつは、あなたは自由なんです」といわれても、どっちに行っていいかわかんないでしょ。
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 きちんと校正をかけてないのか、しょっぱなから変な誤植がありますが、これは無視して本題に入りましょう。
科学というより科学の方法論の話になりますが、
一般的に「科学者は目に見えるものしか信じない」と言われていますが、これはあんまり正確な表現ではありません。
科学の方法論とは基本的に数学と同じで、ある命題が真か偽かを判定し、次にその命題を下敷きに新しい問題に取り組むというものです。
したがって基本的に白黒はっきりした問題しか扱えず、研究者はここに足場を置いた上でグレーの領域を開拓してゆく… というのがルネサンス以降科学者がやってきたことであります。
つまり、「目に見えるものしか信じない」のではなく、
「目に見えないものについて論じることはできない」のです。
宇宙人や幽霊の類が「非科学ではなく未科学」というのはこの辺の事情を弁えた上での表現なわけです。

次いで、サイエンティフィックなところに突っ込みます。揚げ足を取るようで悪いのですが、
「遠赤外線が体にいい」というのはかなり大雑把で乱暴な言い方だと思います。
そもそも遠赤外線に限らず赤外線は基本的に熱作用を持っています。
そして生物は基本的に暖めてやれば、成長や疾病・障害の治癒は勿論、老化までもが加速されるのは常識であります。
さて、ここで敢えて「遠赤外線が体にいい」と言うためには、遠赤外線を照射したグループと、遠赤外線以外の赤外線で同等の熱量を与えたグループ、そして、熱線は一切照射せずにヒーターで同等の熱量を与えたグループとで比較実験を行い、「暖めさえすれば何でもいいのか、それとも遠赤外線でなくてはならない理由があるのか」といったあたりを厳密に調査しないといけないと思います。
http://uni-site.net/yoshi/water/ikuseikosen.html
おまけになんか育成光線の波長の記述に間違いがあるし。

そしてこれがマイナスイオンともなると、これはもうえらいことになります。
というのは、「そもそもマイナスイオンって何よ?」というもっとも重要な問題が実は解決されてなかったりするからなのです。

おまけに電気屋さんが空気清浄機を売りたいがためにこの問題に干渉して更に状況をややこしくしてしまっています。
少なくとも、一般的に売られている「マイナスイオン発生器」の基本的な構造は、針状の電極に高電圧発生回路等で作り出したマイナスの電荷をチャージして放電させる… というものが殆どなのですが、
空気に高電圧をかければ静電気による凝集効果で空気中の細かな埃を取り除く作用が発生することが知られており、発電所のばい煙処理や半導体工場のクリーンルームなんかに応用されています。

つまり、空気をきれいにした結果健康にプラスに作用するのか、或いはなんかマイナスに帯電した分子が飛んでって直接健康を作り出すのかといったことすら判らないのです。
だけど、電気屋さんは空気清浄機が売れればそれでいいので、この辺の問題をまじめに検証してはくれません。

で、先にも言いましたとおり、こういった未解明でデータの出揃っていない問題はあくまでも「非科学ではなくて未科学」なのです。
そして、もっとも重要な点なのですが、こういった未解明の命題に挑むにあたって、科学者は何らかの先入観を抱いて結論を下すことがあってはならないのです。
ここで「目に見えないものこそ大事だからデータなんか信じない」とやるのはまさにその先入観なわけなのです。
 遠赤外線にせよマイナスイオンにせよ体にいいか悪いかは少なくとも現時点で科学的にはっきりした裏付けがあるわけではない… なのに「いいに違いない」と判断してしまうのは軽率でしょうと。
実はこの論理の飛躍にこそ「オカルトの人」の典型的な特徴が現れるのです。

最後にイルミナティについてですが、これは陰謀論大好きな人達の最近のトレンドみたいです。
で、この本の著者は「見ざる言わざる聞かざるにしてしまえば人類全体のコントロールは簡単」と書いてますが、これもまた現状認識としてちょっとアレです。
民衆を「三サル状態」へと誘導するためには、じつは十分に行き届いた政治でもって彼らに安穏な生活を保障してやる必要があります。そうでないと日本人以外の民族の場合暴動が発生する。
事実「最良の政治とは賢帝による専制政治」なんて言葉があったりします。
で、こういった理想的な条件を整えても必ず「右へ行け」と言われて左へ行ったりその場に寝転んでいびきをかき始めたりする「アノマリー」ってやつが現れる… これをどこかの国みたいに力で直接押さえつけても歩留まりが100%になることはまずありません。
…ということは、実際に世界を支配するためには、大勢の人々に「自分は自由だ」と思わせておきつつ、教育や報道、宣伝といった情報源へ長期的に浸透して「全体として一つの方向へ走るように工作する」といったあたりが現実的みたいです。
が、そうやって大勢の人達の思想を支配しても、実は彼らは支配する側の言うことを聞いてくれるとは限りません。
なぜならば人間とは「自分の見たいものを見る生き物」だからです。
つまり、皇帝になって民衆を支配したとしても、民衆の聞きたくないことを口に出したら、その時点で失脚確定なわけです。

…以上の事実を踏まえて、イルミナティかそれに類する組織の実像を「ある」という前提のもとに推定してみると、世界の報道機関の地下に大規模なネットワークを保有していると思われ、また、民衆に安穏な生活と自分たちは自由だということを意識させておくために、下部組織としていくつかの慈善団体や政治活動団体の類を保有している可能性もあります。
しかし、影の支配者とはいえ社会組織に寄生して生活しており、なおかつ民衆の支持を失えばその支配体制が揺らぐことになりますので、表立って度派手なことをやらかしたり、自ら民主主義を破壊するようなアクションはとりづらいと考えられます。
ある意味では彼らこそ民衆に支配されているとも考えられるでしょう。
つまり、そういった集団が存在したところで、ある意味でネオコンや経団連より怖い団体にはなり得てもUFOビリーバーほどエキセントリックな存在になりうる材料があるとは考えにくいわけです。