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2013年10月30日水曜日

事実上の戦争行為だろこれ

 昔から使っていたデジカメがオスプレイ見に行った後オートフォーカスが壊れたので、アイソン彗星に合わせて買い換えようと思っていたら例のジンクス通りどうもパッとしない事になってるみたい。
・・・こらあかんわ

 しかしながら、どのみち何を買い替えるにせよここ数年の間は中国製と無線LAN機能を搭載した代物には注意が要りそうです。
というのも、ギガジンから入ってきた情報で中国製のアイロンにはなんと無線LAN経由でウイルスをまき散らす機能があるそうで、いかにもマイコン一枚入ってなさそうなアナログな外見にダマされてこいつをコンセントに繋ぐと半径200メートル以内で何の防御も施されてないPCやスマホは一発で感染してしまうそうなのです。

…つってもきょうびiPhoneもPS4も組み立ては例のドレイ商だから、中国海軍が行動を起こした途端米軍がUAV飛ばすのに使っていたパソコンに仕込まれたバックドアが作動し、操縦不能に陥って墜落するなんて事になっても今一つ有効な対策の取りようがないんですよね~。

2013年10月24日木曜日

人糞とか言うからてっきり・・・

久々に佐藤守元空将閣下のブログを覗いてきたところ、週刊新潮の10月24日号掲載の菅直人が反原発デモに参加しようとしたところ
「帰れ、帰れ!」
「裏切り者!」
などと罵声を浴びせられた件について触れられていたので、自分は同じ号の興味深い地元ネタについて触れようと思います。

問題の記事は37ページから始まる

ヘイトスピーチ 立ち小便 ゴミ袋投棄
元教師の矜持も捨てる「沖縄米軍基地」反対運動

 沖縄県の普天間基地(宜野湾市)に米軍のオスプレイが配備されてから1年が経つ。この間、基地反対派による異常ともいうべき活動が行われてきたことは、ほとんど知られていない。元教師も参加する反対運動は、共感を呼ぶどころか不評を買っているのだ。

というものです。
 まあ、沖縄の平和団体がなぜかハングルの書かれた横断幕を掲げていたり、この野嵩ゲートで騒いでる連中がフェンスに張り付けるリボンにはブービートラップが仕掛けられていたりという具合に、それネットでは既出だからという感じのネタではあるんですが、今回は本土大手に取り上げられたという事で以下特にグッとくる部分を所々抜粋。

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 先月、野嵩ゲートを取材した沖縄在住のジャーナリスト、恵隆之介氏も言う。
「私が行った際は、反対派と思しき人が人糞をビニール袋に入れてばら撒いていました。後から確認してみましたか、猫や犬の糞でないことは一目瞭然。異常というほかありません」
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 大山ゲート付近には、何軒かの民家がある。反対派の運動をどのように見ているのか。
「正直言って、俺もオスプレイの配備には反対だけど、ゲート前で運動している人は全く常識が無いね。朝っぱらからメガホンを使って米軍を罵倒するんだから、とても寝られたもんじゃない。『違う方法でやってくれ』と文句を言っても聞く耳を持たず謝りもしない。全く迷惑千万な話だね」
(40代男性)
「反対派の運動をしている人には何度も『静かにしてもらえませんか』とお願いしました。しかし『うるさいんだったら耳栓付けて寝ろ』と言われ、何度も口論になりました。近くの飲食店は無断でトイレを使われたので、彼らに注意した。すると嫌がらせをされるようになったそうです」
(30代男性)
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…人糞散布に詭弁に集団ストーカーとは、例の名前を言ってはいけない半島の臭いがしますね。

と思いきや
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「『命どぅ宝・さらばんじぬ会』と名乗る団体があってね。主に、そこに所属している人たちが運動をやっています」
 とは、FCP(フェンスクリーンプロジェクト)の代表を務める手登根安則氏。
「年齢層は、60~70代の人が多いでしょうか。当然、日中も時間がある。しかも、現役時代、日教組に属していた元教員がかなり入っています。私は以前PTAの会長をしていたこともあるので、間違いなく教員だった人を何人か知っていますよ。まあ、元教員だから、自分たちは正しいという気持ちが強いのかもしれませんけど」
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 元高校教師とされる「さらばんじぬ会」のメンバーに取材を申し込んだが、
「週刊新潮の取材は受け付けません。近隣住民からの講義もありません!」
 と言うのみ。彼らは「平和運動」や「反戦運動」という大義名分さえあれば、何をやっても許されると勘違いしているようだ。
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名誉特亜人の沖教組プロ市民かよ。
しかも速度と航続距離故に中国の軍国主義者が露骨に嫌がってるオスプレイに一生懸命反対し、下劣にも人糞散布までやると。
こいつら中国の沖縄侵略が成功した暁には共産党の要職でも約束されてるのかねぇ。

2013年10月16日水曜日

野暮な解説

 昨年の春に、長く使うものだからと奮発して買ったノパソが何かの不調でステルスモードのまんまになってしまい、グラフィックボードが動作してません。
だれか直し方教えて・・・

 さて、今回は弥栄堂から出た新作動画の話でも致しましょう。
発表自体は昨年のようですが。

誰でもパッと見てすぐ気付く事ですが、今回の作品は同じ世界観を扱った甲鉄博記シリーズの中でもアームズラリーシリーズまでの明るさとはうって変わって何やら陰鬱な感じになっております。
さらに言えばコメント見ながら見ると誰でも気付く通り、この内容は人攫いが子供を食い物に加工して屋台で売っていたという話が謎解きのような形で展開されるという悲惨な代物です。

ただし、この話には以前までの甲鉄博記シリーズの作風なども参考にしつつ丁寧に見ていかないと判りづらい部分がいくつも見受けられますので、今回は主要な部分をいくつか説明しようと思います。

 まず、基本的な点としてこのシリーズは何処かの国から供与されたできそこないのロボットそっくりの兵器を旗艦に東京で反乱を起こした共産ゲリラに装甲列車で特攻かます話然り、街中でRPGぶっ放す過激派を戦車で追いかけたところ不法入国者が固まって住んでいる地区に逃げ込まれ、追撃を中止せざるを得なくなった話であるとか、或いは独立して北朝鮮みたいな国になった北海道が飛行船部隊で日本本土へ攻め込んできたところを軽飛行機で殲滅する話などから判る通り、基本的に反共・反特亜というスタンスなので、今回の市内の特定の地区に入り込んだ子供が薬膳肉団子とやらに加工されて食われていましたという話も現実の事件をオマージュしたものであると考えられます。

そして、視聴者にとって一番の取っ掛かりとなるのはおそらく話の終盤で行方不明になったはずの新聞記者が憲兵に語った
「子取りの手傀儡を探して雀色時を追っておりました」
という台詞でありましょう。

字義通りに解釈すれば子取りとは人攫い、手傀儡とは操り人形、そして雀色時とは黄昏時の事を意味します。
そして作中でこの新聞記者が手りゅう弾の転がってきた方向へ走ってまで探していたものと言えば、それは七歳の時に今回の事件現場となる地区で離ればなれになった”ジロチャン”に他なりません。
作中の回想シーンではこの少年は
「夜中に両親が話しているのを聞いた」
「どうせ家で待ってても子取りがやって来る」
「おれは一人でも確かめに行く」
などと言って幼き日の新聞記者を他の数名の子供と一緒にこの地区へ連れて行っています。

さらに、現実のシーンでもこの新聞記者は憲兵が停めるのも聞かず記憶を頼りに子取りの出没する地区を歩き回り、ジロチャンを見つけたと思ったらあっさりピストルを持った赤色ゲリラ
(というかヤクザ)に人質に取られるという様が描写されています。

これだけ言を重ねればもうお分かりかと思いますが、子取りの手傀儡ことジロチャンの正体は他ならぬ人攫いの一味で、知り合った子供に根拠不明のウソを吹き込んで警察や憲兵が容易に手を出せない人攫いの巣におびき寄せることがその仕事であったと考えられます。

あとはこの新聞記者が話の終盤では(おそらく亡霊になっているのだが)不気味な頬紅をさして服装も変わっていることから、あちら側(死者の世界とも解釈できる)に引き込まれて同じ子取りの手傀儡になったといったところでこの話の謎は全部でありましょう。

ま、見ていてあまり気味のいい話ではないですがね。

2013年10月9日水曜日

モンゴルルート・・・だな。

 エリジウム観てまいりましたよ。
なんつーかありきたりなストーリーでオブリビオンの方がまだ面白かったような気がしましたね。
個人的には、あからさまにシッコをオマージュして社会派気取ってるようなところがどうも気に喰わない話でしたが、それ以上に気になったのはせいぜい数百メートルの高さしかない壁と遠心力で内部の空気を維持しているあのスペースコロニーの構造ですね。

・・・謎のフォースフィールドで閉じ込めているんだろうか。
その割には高速バス程度のサイズしかない宇宙船がスイスイ通り抜けていたが。

それはさておき、今回取り上げるのはコネチカット大学で文明の進歩をコンピュータでシミュレーションしたという話です。
以下ちょっと抜粋
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今回ターチン氏の研究チームは、複雑な社会の成立を予測する2つの数学モデルを作成した。ひとつは、農業と環境、地形だけに基づくものだ。もうひとつは、これら3つに軍事技術を加えたものだ。その後、これらのモデルと実際の歴史データとの照合を行った。

研究に参加したトーマス・カリー(英国エクセター大学で文化の進化を研究する講師)によると、「シミュレーションの結果を実際の歴史上のデータと比較してみると、コンピューターモデルは帝国の台頭を65%の精度で予測していた」。一方、軍事技術の要素を除外した場合では、モデルの予測精度はわずか16%に落ちたという。

具体的には、研究チームは、紀元前1500年~紀元1500年の時代における、アフリカ大陸とユーラシア大陸の地図を、100km四方のマス目に分割した。個々のマス目には、地形と海抜、および農業が行われていたか否かを特性として付与した。
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ただし、記事の続きでも述べられている通り、この数学モデルは中央アジアでの巨大帝国の台頭を予測できていないため、必ずしも完全なモノとは言えないそうなのですが・・・

 が、小官は問題のモデルに欠けている要素が既に判ったような気がします。
記事の画像を見てすぐに判る点として、モンゴルと中国の内陸部、そしてメソポタミアと紅海沿岸部が史実では高レベルの文明が存在していたにもかかわらず、コンピュータモデルではこれらの地域は田舎であるはずだという結論が出ています。

で、問題のモデルですが、これは農業・環境・地形・軍事技術をファクターとしてシミュレーションを行っております。
すると当然の事ながら、モンゴルや中央アジアでは如何なる性格の文明が発達したかという史実を考えれば自ずからターチンモデルに欠けているものが見えてくる。

歴史上モンゴル帝国が台頭できたのは、かの地に住む遊牧民たちが生活の手段としていた馬術がそのまま軍事転用され、史上最大最強の騎馬軍団が出来上がったからだと言われております。
また、モデルでは文明がほとんど存在しない筈だと予測されているアラビア半島に住む人々が何を生業にしているかと言うと、これもやはり遊牧です。

無論、農業というものを自然界に存在するバイオマスを人間の摂取可能な形態に転換する技術であると位置付けた場合、遊牧に限らず畜産一般というものは植物ではなく動物を利用する性質上面積当たりの生産能力にハンデがあるわけですが、動物を利用する技術という事は馬という機動兵器を運用する技術であり、ロバやラクダといった運搬手段で戦争に不可欠な補給を賄う技術ともなる。

・・・おそらくはここの部分で産業形態ごとに得手不得手な分野が出てくるという要素が織り込まれていなかったことがこのモデルの不完全な部分であったと思われるのです。

2013年10月2日水曜日

歴史修正主義と呼びたければ呼べ!

 来年の消費増税が決まりましたね・・・
アレほど露骨に内需にダメージを与えるものは無いんだから、正味の話オリンピックまでは控えてほしかったんですが、まあ大方IMFあたりが増税しないとゴニョゴニョと圧力を掛けてきたんでしょうよ。
実際にゃ日本政府の方がそのIMFに大量に金を貸してる立場だと聞くんで非常に胡散臭く思うのですが。

 さて、小官は某アニメ監督が12月に公開される永遠の0を嘘八百の戦争賛美云々と批判したというを聞いたので、コンビニに陳列されていたのを入手して一通り目を通してみましたよ。

で、結論を申し上げると殆ど史実や実在の戦争経験者の証言を元に構築された世界観・・・というかあの種の史料のコピペそのものの中に宮部久蔵という架空の戦闘機乗りを放り込んだだけの話を嘘八百とはちょっと酷すぎるんじゃないのかと。
むしろ逆に、「妻が居るので死ねません」と言い続けたのに結局特攻で死ぬ羽目になってしまった戦闘機乗りの話とか、本来は高畑勲あたりが反戦アニメにするレベルだろと。

・・・が、話が佳境に入るあたりで見つけてしまったんですねぇ、この辺があの種のおかしなイデオロギーに凝り固まった人達の検閲対象になったんじゃないのかって箇所を。

以下長文(かさ増しできてラッキー)になりますが抜粋
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 テーブルに座って注文を終えた時、姉がやって来た、ところが驚いたことに、姉の隣に高山がいた。
「高山さんも、ぜひ武田さんのお話をお聞きしたいというのですが、同席させてもよろしいでしょうか?」
 武田はそれには答えず、ぼくの方を見た。
「困るよ、お姉さん。これは個人的な話なんだから。高山さんは関係ない」
 姉は困ったような顔をした。しかしいくら姉が頼んでもここは曲げられない。
「まあ、いいでしょう。お座りなさい。」
 武田が言った
「恐れ入ります」
 高山は丁寧に頭を下げると、テーブルに着いた。そして名刺を武田に渡して自己紹介した。
「新聞記者ですか」
 武田は名刺を見て呟くように言った。その顔がちらりと曇った。
「今日は取材ではありません。あくまで個人的なお話に同席させていただくということで、よろしくお願いします。」
 高山は深々と頭を下げた。武田は黙って頷いた。
 ちょうど飲み物が運ばれてきた。
「話はのちほど、ゆっくりと部屋でしましょう」
 武田の言葉に、高山と姉もそれぞれウェイターに飲み物を注文した。
「ただし、電話でも申し上げましたが、私自身のこと、それと特攻のことは話しませんよ。話すのはあくまで宮部久蔵氏の思い出についてです」
 武田は紅茶にミルクを注ぎながら言った。
 突然、高山が口を開いた。
「なぜ、特攻のことを話されないのですか?」
 武田は高山を見た。
「私は武田さんが元特攻隊員であったということに大きな関心を持っています」
「私は特攻隊員ではない。特攻要員だったに過ぎない。特攻隊員とは特攻隊に選ばれた者です」
「僭越ですが、私は武田さんのような方が特攻の体験を語ることは、大変貴重なことと思います」
「特攻の体験は語りたくない。特にあなたには」
「なぜですか?」
 高山は大きく息を吐くと、高山の顔を見据えて言った。
「私はあなたの新聞社を信用していないからだ」
 高山の表情が強ばった。
「あなたの新聞社は戦後変節して人気を勝ち取った。戦前のすべてを否定して、大衆に迎合した。そして人々から愛国心を奪った」
「戦前の過ちを検証し、戦争と軍隊を否定したのです。そして人々の誤った愛国心を正しました。平和のために」
「軽々しく平和という言葉を持ち出さないで貰いたい」
 武田の言葉に、高山は表情を変えた。
 しばしの重苦しい沈黙の後、高山は言った
「一つ質問させてください。特攻隊員は特攻要員から選ばれるのですか?」
「そうだ」
「特攻要員は志願ですね?」
「そういう形をとっていた」
「すると、武田さんも志願されたのですね?」
 武田はそれには答えず、紅茶のカップを口に運んだ。
「ということは、あなたにも、熱烈な愛国者だった時代があったということですね?」
 武田のカップを持つ手が止まった。高山はかまわず続けた
「あなたは戦後立派な企業戦士となられましたが、そんなあなたでさえ、愛国者であった時代があったということが、私には大変興味があります。あの時代は、あなたのような人でさえそうだったように、すべての国民が洗脳されていたのですね」
 武田はカップを皿に戻した。スプーンとぶつかって派手な音を立てた。
「私は愛国者だったが、洗脳はされていない。死んでいった仲間たちもそうだ」
「私は特攻隊員が一時的な洗脳を受けていたと思っています。それは彼らのせいではなく、あの時代のせいであり、軍部のせいです。しかし戦後、その洗脳は解けたと思っています。だからこそ、戦後日本は民主主義になり、あれだけの復興を遂げたと思っています」
 武田は小さな声で「何と言うことだ」と呟いた。
 高山は畳みかけるように言った。
「私は特攻はテロだと思っています。あえて言うなら、特攻隊員は一種のテロリストだったのです。それは彼らの残した遺書を読めばわかります。彼らは国のために命を捨てることを嘆くよりも、むしろ誇りに思っていたのです。国のために尽くし、国のために散ることを。そのには、一種のヒロイズムさえ読み取れました」
「黙れ!」
 いきなり武田は怒鳴った。ウェイターが驚いて振り返った。
「わかったようなことを言うな!我々は洗脳などされておらんわ」
「しかし、特攻隊員の遺書を読めば、殉教的精神は明らかだと思いますが」
「馬鹿者!あの遺書が特攻隊員の本心だと思うのか」
 武田は怒りで顔をまっかにさせた。周囲の人がこちらを見たが、武田はまったく気にしなかった。
「当時の手紙類の多くは、上官の検閲があった。時には日記や遺書さえもだ。戦争や軍部に批判的な文章は許されなかった。また軍人にあるまじき弱々しい事を書くことも許されなかったのだ。特攻隊員たちは、そんな厳しい制約の中で、行間に思いを込めて書いたのだ。それは読む者が読めば読み取れるものだ。報国だとか忠孝だとかいう言葉にだまされるな。喜んで死ぬと書いてあるからといって、本当に喜んで死んだと思っているのか。それでも新聞記者か。あんたには想像力、いや人間の心というものがあるのか」
 武田の声は怒りで震えていた。武田の妻がそっと夫の腕に手を添えた。
 高山は挑戦的に身を乗り出して言った
「喜んで死を受け入れる気のない者がわざわざそう書く必要はないでしょう」
「遺族に書く手紙に『死にたくない!辛い!悲しい!』とでも書くのか。それを読んだ両親がどれほど悲しむかわかるか。大事に育てた息子が、そんな苦しい思いをして死んでいったと知った時の悲しみはいかばかりか。死に臨んでせめて両親には、澄み切った心で死んでいった息子の姿を見せたいという思いがわからんのか!」
 武田は怒鳴った。
「死にたくないという本音が書かれていなくとも、愛する家族にはその気持ちはわかる。なぜなら、多くの遺書には愛する者に対する限りない思いが綴られているからだ。喜んで死ににいく者に、あれほど愛のこもった手紙を書けるものか」
 武田は涙を流した。さきほどからウェイターがじっと見ていた。
「新聞記者だと―。あんたは死にいく者が、乱れる心を押さえに押さえ、残されたわずかな時間に、家族に向けて書いた文章の本当の心の内を読み取れないのか」
 涙を流して語る武田に、高山は口元に冷ややかな笑みを浮かべた。
「私は書かれた文章をそのまま受け取ります。文章というものはそいういうものでしょう。出撃の日に、今日は大いなる喜びの日と書いた特攻隊員もいます。また天皇にこの身を捧げる喜びを書いた者もいます、同じような事を書いた隊員たちは大勢います。そんな彼らは心情的には殉教的自爆テロのテロリストと同じです」
「馬鹿者!」
 武田は手のひらで机を叩いた。コップが音を立てた。ウェイターが思わず一歩近づいた。先程からずっと周囲の人たちがこちらを見ていた。
「テロリストだと―ふざけるのもいい加減にしろ。自爆テロの奴らは一般市民を殺戮の対象にしたものだ。無辜の民の命を狙ったものだ。ニューヨークの飛行機テロもそうではないのか。答えてみろ」
「そうです。だからテロリストなのです」
「我々が特攻で狙ったのは無辜の民が生活するビルではない。爆撃機や戦闘機を積んだ航空母艦だ。米空母は我が本土を空襲し、一般市民を無差別に銃爆撃した。そんな彼らが無辜の民というのか」
 高山は一瞬答えにつまった
「空母は恐ろしい殺戮兵器だった。我々が攻撃したのは、そんな最強の殺戮兵器だ。しかも、特攻隊員たちは性能の劣る航空機に重い爆弾をくくりつけ、少ない護衛戦闘機しかつけて貰えずに出撃したのだ。何倍もの敵戦闘機に攻撃され、それをくぐり抜けた後は凄まじい対空砲火を浴びたのだ。無防備の貿易センタービルに突っ込んだ奴らとは断じて同じではない!」
「しかし、信念のために命を捨てるという一点において、共通項は認められ―」
「黙れ!」
 武田は言葉を封じた
「夜郎自大とはこのことだ―。貴様は正義の味方のつもりか。私はあの戦争を引き起こしたのは、新聞社だと思っている。日露戦争が終わって、ポーツマス講和会議が開かれたが、講和条件をめぐって、多くの新聞社が怒りを表明した。こんな条件が呑めるかと、紙面を使って論陣を張った。国民の多くは新聞社に煽られ、全国各地で反政府暴動が起こった。日比谷公会堂が焼き討ちされ、講和条約を結んだ小村寿太郎も国民的な非難を浴びた。反戦を主張したのは徳富蘇峰の国民新聞くらいだった。その国民新聞もまた焼き討ちされた」
 高山は「それは」と言いかけたが、武田はかまわず言った。
「私はこの一連の事件こそ日本の分水嶺だと思っている。この事件以降、国民の多くは戦争賛美へと進んでいった。そして起こったのが五・一五事件だ。侵略路線を収縮し、軍縮に向かいつつある時の政府首脳を、軍部の青年将校たちが殺したのだ。これが軍事クーデターでなくて何だ。ところが多くの新聞社は彼らを英雄と称え、彼らの減刑を主張した。新聞社に煽られて、減刑嘆願運動は国民運動となり、裁判所に七万を超える嘆願書が寄せられた。その世論に引きずられるように、首謀者たちには非常に軽い刑が下された。この異常な減刑が後の二・二六事件を引き起こしたと言われている。現代においてもまだ二・二六事件の首謀者たちは『心情において美しく、国を思う心に篤い憂国の士』と捉えられている向きがある。いかに当時の世論の影響が強かったかだ。これ以後、軍部の突出に刃向える者はいなくなった。政治家もジャーナリストもすべてがだ。この後、日本は軍国主義一色となり、これはいけないと気付いた時には、もう何もかもが遅かったのだ。しかし軍部をこのような化け物にしたのは、新聞社であり、それに煽られた国民だったのだ。」
「たしかに戦前においてはジャーナリストの失敗もあります。しかし戦後はそうではありません。狂った愛国心は是正されました」
 高山は胸を張って言った。
 武田の妻が再び夫の腕をそっと押さえた。武田は妻の方を見て小さく頷いた。それからまるで呟くように言った。
「戦後多くの新聞が、国民に愛国心をすてさせるような論陣を張った。まるで国を愛することは罪であるかのように。一見戦前と逆のことを行っているように見えるが、自らを正義と信じ、愚かな国民に教えてやろうという姿勢はまったく同じだ。その結果はどうだ。今日、この国ほど、自らの国を軽蔑し、近隣諸国におもねる売国奴的な政治家や文化人を生み出した国はない」
 そして高山に向かってはっきりした声で言った。
「君の政治思想は問わない。しかし、下らぬイデオロギーの視点から特攻隊を論じることはやめてもらおう。死を決意し、我が身なき後の家族と国を思い、残る者の心を思いやって書いた特攻隊員たちの遺書の行間も読み取れない男をジャーナリストとは呼べない」
 武田の言葉に、高山は傲然と身を反らせた。そして腕を組んで言った。
「いかに表面を糊塗しようと、特攻隊員の多くはテロリストです」
 武田はじっと高山を見つめた。そして静かに言った。
「貴様のような男を口舌の徒というのだ。帰ってくれたまえ」
「わかりました、失礼します」
 高山は憮然とした顔で立ち上がった。姉は一瞬迷った表情を見せたが、すぐにそのあとを追った。
「君は帰らないのか?」
 武田は一人残ったぼくに聞いた。
「ぼくの祖父は特攻隊で死にました」
「そうだったな。宮部さんのお孫さんだったな」
「ぼくは祖父の最後を知りません。我が家には祖父の遺書も残っていません。ですが、今、武田さんのお話を伺って、祖父の苦しみが幾分か理解出来たような気がします」
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 以上、長々と引用しましたが、本文ではこの後もしばらくマスコミの変節のせいで軍神から狂信者へと運命を翻弄された人々の話や軍内部での立場の弱い者から半ば詰め腹を切らせるような形で死地へと追いやっておきながら戦後はのうのうと生き延びた旧軍高官に対する恨み言が綴られたのち、この話のもう一人の主人公であるところの宮部久蔵一飛曹の運命を決定付けることになる事件の回想へとつながります。
 まあ、このあたりの部分をごっそり削ってしまわない限りはあのテの人達はこの話を右翼だなんだと言って批判するでしょうね。
だって自分たちの先輩の罪過が名指しで批判されているんですから。

・・・もっとも、小官の私見を述べれば、マスコミが過ちではなく故意に日本を負ける戦争へと誘導した実例としてあまりにも有名な尾崎・ゾルゲ事件に触れなかったり、件の狂った軍国主義者たちは単なる暴力革命論者の利己主義者だったので口先では忠君愛国と唱えながら実際には昭和天皇を弑逆しかねなかった、というかむしろ事実、玉音盤を奪おうと皇居を襲撃したといったその筋では有名な話に触れないだけまだまだ手心親心だろうに、いったい何時まで自分の過去から目を背け続けてカマトトこいてやがるんだこいつらわと思うのですけどね。