ネクソンが鋼鉄の咆哮シリーズをMMO化したような艦隊戦ゲームを用意しておるようです。
ただ・・・公式ページの内容見た感じでは鋼鉄の咆哮の魅力の過半を占めていると言っても過言でないHLGが使えなかったり、操作は基本キーボードだったりと、色々微妙な感じです。
って言うかコーエー何してやがる
さて、このほど小官は副島隆彦氏と武田邦彦氏のケンカ対談なる本を入手しましたよ。
あとがきにもありますが、両者がネット上でもめた事をきっかけに副島氏が武田氏を福島の郡山市に呼び出して対談と相成った内容を纏めたものとなります。
が・・・法学部卒の筈の副島氏が武田氏の言動に対して
国際放射線防護委員会(ICRP)が年間百ミリシーベルトまでなら安全だと言っているのに、あなたは年間一ミリシーベルト以上は危険だと頑なに主張し続ける。
これはどういう事か
というのに対して理系卒の筈の武田氏が、いや自分たち原子力の専門家の間ではずっと前から年間1ミリシーベルトという基準で合意してきたのだからこれ以上は許容できぬのだとの一点張りを続けるというものでありました。
ちなみに、今では知ってる人は知ってることですが原発事故も何もない天然の状態でも自然環境の放射線量は世界平均で年間2.4ミリシーベルト、日本平均で1.3ミリシーベルト程度であり、ぶっちゃけ今頃飲料水がリッターあたり50ベクレルだなんだと騒ぐのは全くのナンセンスってのはナンセンスです。
・・・それより事故発生から一年以上が経過した今頃とは比べものにならない線量が被災地で観測されていたまさにその時に、被災者の避難を怠って二階から目薬と言われるようなほとんど意味の無いパフォーマンスをしてた連中の非があたかも東電より軽いかのごとく扱われているのはいかなることか!
というのが小官の主張するところであります。
2011年5月18日水曜日
某きっこが福島原発への核攻撃を提案した件
結局福島原発はメルトダウンしてたようですね。
しかし、日米共同開発のおむつのお陰で未だに核物質の大部分は発電所の内部に留まっているんですがね。
…軽水炉で想定しうる最悪に限りなく近い状況が発生しているとはいえ、チェルノとは根本的に違うんですよ。
ところが、これに対してネットのとある有名人が面白すぎるというか、最早キチガイの発想としか思えぬ事を主張しておったようです。
==============================
ハッキリ言います。もう福島第一原発は誰にも止められません。あとは高濃度の放射性物質が何十年間も流れ続けるだけです。
人類が経験したことのないレベルの放射能汚染がジワジワと広がり続けるだけです。だからあたしは言い続けます。
1日も早い避難を。1日も早い移住を。
本当の情報を掴んでいる政府としては、年間1mSvの許容量を100mSvに引き上げ、さらに200mSvに引き上げ、あとは野となれ山となれ‥‥ということなのです。
チェルノブイリでさえも5mSv以上は強制避難だったのに、子供に20mSvを強要した時点で政府は国民を見捨てたのです
福島第一を止める唯一の方法は、あたしが震災直後から言って来たように、福島沖までアメリカ空母に来てもらい、戦闘機を発進させて小型の核弾頭ミサイルを福島第一にぶちこみ、すべてふっ飛ばすしかありません。
こうすれば日本の3分の2以上は死滅しますが、北半球の7〜8割は助かります。
奇跡が起こって最善の方向へ進んだとしても、地球を100個以上も死滅させられる量の核燃料が溶けて大気と海へ流れ出すのですから、地球は終わりです。
それなら日本は自分で責任を取って、被害が広がる前にあえて福島第一を攻撃して最低限の核爆発で済ませたほうが、地球規模で見ればマシなのです。
==============================
いやいやいや、その超チェルノ級の核物質が"爆破すれば消滅する"とでも思ってるんですか?
あなたが"じわじわ漏れ出す"と言ってるブツが一気に広範囲にまき散らされて完全に回収不可能になっちゃいますよ?
んな事したら一発で北半球壊滅ですからね?
というか発熱が収まっている今の状況を見る限り、かなり高い確度で再臨界は回避できていて、問題は建屋内部の核物質をいかに回収し処理するかという事なんですが。
…まあ東工大卒業した総理が「臨界ってなあに?」というレベルですからこういうのありがたがる奴がかなりの数居てもまあ驚きませんが。
しかし、日米共同開発のおむつのお陰で未だに核物質の大部分は発電所の内部に留まっているんですがね。
…軽水炉で想定しうる最悪に限りなく近い状況が発生しているとはいえ、チェルノとは根本的に違うんですよ。
ところが、これに対してネットのとある有名人が面白すぎるというか、最早キチガイの発想としか思えぬ事を主張しておったようです。
==============================
ハッキリ言います。もう福島第一原発は誰にも止められません。あとは高濃度の放射性物質が何十年間も流れ続けるだけです。
人類が経験したことのないレベルの放射能汚染がジワジワと広がり続けるだけです。だからあたしは言い続けます。
1日も早い避難を。1日も早い移住を。
本当の情報を掴んでいる政府としては、年間1mSvの許容量を100mSvに引き上げ、さらに200mSvに引き上げ、あとは野となれ山となれ‥‥ということなのです。
チェルノブイリでさえも5mSv以上は強制避難だったのに、子供に20mSvを強要した時点で政府は国民を見捨てたのです
福島第一を止める唯一の方法は、あたしが震災直後から言って来たように、福島沖までアメリカ空母に来てもらい、戦闘機を発進させて小型の核弾頭ミサイルを福島第一にぶちこみ、すべてふっ飛ばすしかありません。
こうすれば日本の3分の2以上は死滅しますが、北半球の7〜8割は助かります。
奇跡が起こって最善の方向へ進んだとしても、地球を100個以上も死滅させられる量の核燃料が溶けて大気と海へ流れ出すのですから、地球は終わりです。
それなら日本は自分で責任を取って、被害が広がる前にあえて福島第一を攻撃して最低限の核爆発で済ませたほうが、地球規模で見ればマシなのです。
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いやいやいや、その超チェルノ級の核物質が"爆破すれば消滅する"とでも思ってるんですか?
あなたが"じわじわ漏れ出す"と言ってるブツが一気に広範囲にまき散らされて完全に回収不可能になっちゃいますよ?
んな事したら一発で北半球壊滅ですからね?
というか発熱が収まっている今の状況を見る限り、かなり高い確度で再臨界は回避できていて、問題は建屋内部の核物質をいかに回収し処理するかという事なんですが。
…まあ東工大卒業した総理が「臨界ってなあに?」というレベルですからこういうのありがたがる奴がかなりの数居てもまあ驚きませんが。
2011年5月11日水曜日
ビルゲイツ肝入りのアレについて
マイクロソフトで財を成したビルゲイツ氏がTWRなる新型原子炉の開発に出資している事は知ってる人は知っている事ですが。
この度、福島の件に対する彼の見解が示されたようです。
ただ、小官はこの技術に関しては懐疑的な立場を示すものであります。
というのも、核分裂で発生した中性子をウラン238に吸収させて核燃料であるプルトニウム239を新たに作り出すというのは高速増殖炉と同じ原理で、進行波炉の場合は反応帯の移動を利用してメンテナンスのコストを最小化しようという着想なわけなんですが。
…技術的に基本となる高速増殖炉が今のところ頓挫してるんだよね。
また、高速増殖炉の場合は炉心から四方八方に飛び散る中性子をウラン製のブランケットで受けてプルトニウムを作るのですが、進行波炉の場合だと、ウラン238の反対側には燃えカスの核分裂片が残っている。
プルトニウムの核分裂では平均2.9個の中性子が出ると言われているのですが、ウランをプルトニウムにするのに一個。
そしてそのプルトニウムを燃やすのに更に一個必要なわけですから、
高速増殖炉なら多少中性子を無駄にしても成立するかもしれませんが、進行波炉のように反応帯から中性子のおよそ半分が燃えカスの側へ逃げてしまう構造だと、"少なくとも単純計算では"どうも原理的に原子炉として成立しないような気がするんですよね。
この度、福島の件に対する彼の見解が示されたようです。
ただ、小官はこの技術に関しては懐疑的な立場を示すものであります。
というのも、核分裂で発生した中性子をウラン238に吸収させて核燃料であるプルトニウム239を新たに作り出すというのは高速増殖炉と同じ原理で、進行波炉の場合は反応帯の移動を利用してメンテナンスのコストを最小化しようという着想なわけなんですが。
…技術的に基本となる高速増殖炉が今のところ頓挫してるんだよね。
また、高速増殖炉の場合は炉心から四方八方に飛び散る中性子をウラン製のブランケットで受けてプルトニウムを作るのですが、進行波炉の場合だと、ウラン238の反対側には燃えカスの核分裂片が残っている。
プルトニウムの核分裂では平均2.9個の中性子が出ると言われているのですが、ウランをプルトニウムにするのに一個。
そしてそのプルトニウムを燃やすのに更に一個必要なわけですから、
高速増殖炉なら多少中性子を無駄にしても成立するかもしれませんが、進行波炉のように反応帯から中性子のおよそ半分が燃えカスの側へ逃げてしまう構造だと、"少なくとも単純計算では"どうも原理的に原子炉として成立しないような気がするんですよね。
2008年10月29日水曜日
純粋水爆実現の可能性
先々週くらいですか…書店でみかけた「軍事研究」にちょっと面白い記事が載ってたので、去る週末本屋さんへ行ったのですが、うちの近所には無かったのでけっこう遠出してどうにか手に入れました。
ところがどっこい、目を通してみたものの問題の記事が無い。
で、帰りに近所の本屋で別の雑誌を調べてみたところ、果たせるかな「丸」に載ってました…
ま、いいです。
「軍事研究」にもXP-1とかグリペンとか整形炸薬弾とか勉強になる話が載ってましたので。
で、問題の記事ですが…
「丸」の150ページにあるニューウェポン・クローズアップという
コーナーの「ハフニウムγ線爆弾」ですね。
この記事の内容は、基本的に2003年にとある筋から出てきた話をなぞったものみたいです。
ぶっちゃけどういう話かと言うと、例えばテキトーな原子にテキトーな波長の光(もしくはそれ以外のエネルギーなど)を吸収させてやると、原子核の廻りを回っていた電子が運動エネルギーを上乗せされて一時的にエネルギー準位の高い軌道へ移り、原子自体が「励起状態」というのになるわけなんですが、これは原子核を構成する核子にも当てはまる話で、この話の場合だとハフニウム原子核の励起状態であるHf178m2というモノが兵器として使えますよって話です。
では具体的にどういう兵器として使えるのかと言うと、ハフニウムは1グラムあたりTNT50キログラム相当のエネルギーを溜め込む能力があり、エネルギーを溜め込んで励起状態となったHf178m2
に90kev程度のX線を当ててやれば一瞬でそのエネルギーのほとんどがγ線として放出されるので、従来の核分裂連鎖反応を一切使う事無く中性子爆弾じみた放射線爆弾が出来ますよって事です。
しかも核分裂を使用する従来型の核兵器の場合、どんなに
「わーい兵器級プルトを手に入れたぞー♪」
とやったところで、それが臨界量以上ないと爆弾一発作れないわけなんですが、ハフニウムにはそういう制限は無い。
(ただし、あんま大量のHf178m2を一カ所に集めとくと
宇宙線や自然崩壊のγ線で勝手にドカンと逝くかも)
また、従来型水爆は原爆が爆発する時に発生する大量のγ線を利用して核融合燃料に点火する仕掛けになってるのですが、この爆弾も大量のγ線を出すので、設計次第では俗に言う「純粋水爆」の実現にも使えそうだぞってお話です。
でまあ、大本の2003年の記事によると五年以内に供給できるようになるとかいう話がある一方で、実験によって確認されたエネルギーはあんま大きくないので兵器としての実用性には疑問があるという見方もあったりという感じになっています。
…ただ、このあと今回の「丸」の記事まで続報が入ってきた様子が無い上に、今回の記事にも目新しい情報が入ってないのです。
これは研究が頓挫したか、それとも機密指定されちゃったか…
まあ、実用化されるとしても数十年先って話でしょうが、SFのネタなんかとしては面白そうではあります。
なんてったってN-ジャマーが開発されるより先にN-ジャマーの効かない核兵器が実用化できそうだって話ですからね。
ところがどっこい、目を通してみたものの問題の記事が無い。
で、帰りに近所の本屋で別の雑誌を調べてみたところ、果たせるかな「丸」に載ってました…
ま、いいです。
「軍事研究」にもXP-1とかグリペンとか整形炸薬弾とか勉強になる話が載ってましたので。
で、問題の記事ですが…
「丸」の150ページにあるニューウェポン・クローズアップという
コーナーの「ハフニウムγ線爆弾」ですね。
この記事の内容は、基本的に2003年にとある筋から出てきた話をなぞったものみたいです。
ぶっちゃけどういう話かと言うと、例えばテキトーな原子にテキトーな波長の光(もしくはそれ以外のエネルギーなど)を吸収させてやると、原子核の廻りを回っていた電子が運動エネルギーを上乗せされて一時的にエネルギー準位の高い軌道へ移り、原子自体が「励起状態」というのになるわけなんですが、これは原子核を構成する核子にも当てはまる話で、この話の場合だとハフニウム原子核の励起状態であるHf178m2というモノが兵器として使えますよって話です。
では具体的にどういう兵器として使えるのかと言うと、ハフニウムは1グラムあたりTNT50キログラム相当のエネルギーを溜め込む能力があり、エネルギーを溜め込んで励起状態となったHf178m2
に90kev程度のX線を当ててやれば一瞬でそのエネルギーのほとんどがγ線として放出されるので、従来の核分裂連鎖反応を一切使う事無く中性子爆弾じみた放射線爆弾が出来ますよって事です。
しかも核分裂を使用する従来型の核兵器の場合、どんなに
「わーい兵器級プルトを手に入れたぞー♪」
とやったところで、それが臨界量以上ないと爆弾一発作れないわけなんですが、ハフニウムにはそういう制限は無い。
(ただし、あんま大量のHf178m2を一カ所に集めとくと
宇宙線や自然崩壊のγ線で勝手にドカンと逝くかも)
また、従来型水爆は原爆が爆発する時に発生する大量のγ線を利用して核融合燃料に点火する仕掛けになってるのですが、この爆弾も大量のγ線を出すので、設計次第では俗に言う「純粋水爆」の実現にも使えそうだぞってお話です。
でまあ、大本の2003年の記事によると五年以内に供給できるようになるとかいう話がある一方で、実験によって確認されたエネルギーはあんま大きくないので兵器としての実用性には疑問があるという見方もあったりという感じになっています。
…ただ、このあと今回の「丸」の記事まで続報が入ってきた様子が無い上に、今回の記事にも目新しい情報が入ってないのです。
これは研究が頓挫したか、それとも機密指定されちゃったか…
まあ、実用化されるとしても数十年先って話でしょうが、SFのネタなんかとしては面白そうではあります。
なんてったってN-ジャマーが開発されるより先にN-ジャマーの効かない核兵器が実用化できそうだって話ですからね。
2008年8月6日水曜日
DU問題
先任、ぼちぼち始めようか
今日は「超不都合な科学的真実」の第九章ですね。
だと思うだろ?
ところがどっこい今回はウランの話をする。
ウランですか…原爆の日に。
タイムリーだろ?
「軍事研究」の八月号に丁度劣化ウラン弾の話が載ってたし、あの後追加で色々と調査したのでな、今日はその成果を少々紹介しようというわけなのだ。
「軍事研究」の劣化ウランの話と言うと66ページからの
現代戦車砲の主用砲弾APFSDS
という記事ですね。
多少なりとも軍事を知ってる人には常識かも知れませんが、初心者の人にはまず「APFSDSって何?」という話からしなきゃならんと思いますが。
えー?
そんなのいいじゃん、どうせ軍ヲタしかチェックしないようなブログなんだから「みんな読んでるよね?」という前提で…
……
あーはいはい。
分かりました、分かりましたから睨まないでください。
「APFSDS」ってのは縦文字で「離脱装弾筒付翼安定徹甲弾」と言いまして、戦車が戦車を撃つ時に使う弾です。
戦車は硬くて分厚い鋼の板で身を守っているので、これを射抜いて中の人をいぢめるためには、とにかく貫通力の強い弾丸が必要です。
では貫通力を高めるためにはどうするか?
基本は重たい弾丸をとにかく大きな速度で打ち出してやる事ですが、これを普通にやろうとすると、怪物みたいな大砲が必要になるのでいささか実用的じゃありません。
そこで、重たくて硬い素材で爪楊枝のような形の小さな弾丸を作り、これに装弾筒という軽合金のアジャスターを噛ませて戦車砲の砲身から撃ち出せるようにしてやるわけです。
はい先任。
ええっと…この弾丸はたしかに重たくて硬い素材で出来ていますが、本体は通常の弾丸よりだいぶ小さいので結局「軽い」です。
軽い弾丸を同じ量の火薬、同じ規格の砲身から撃ち出すわけですから弾丸のスピードはかなり速くなる理屈です。
でもって弾丸が細い分、敵戦車の装甲を貫通するときにあんま太い穴を開ける必要がありませんから、同じエネルギーでより深く効率よく貫通する事ができるわけです。
…とまあ、大まかにAPFSDSについての説明が終わったところで劣化ウランの話に入ろう。
先にも説明した通り、APFSDSの素材には「重たくて硬い」という性質が求められるわけだが、この要件を満たそうとすると必然的に
「タングステン合金」が候補に挙がる。
代表的な組成ではタングステンが九割であとがニッケルと鉄。
比重は17.5というから水の17倍程度。
引張り強さは1650N/平方ミリだからまあ、特殊鋼並みということだな。
それじゃアメリカはなんだって劣化ウランなんか使うんですか?
うむ、劣化ウランには「とにかく重たい」という長所がある。
アメリカがAPFSDSに使用している合金は劣化ウランにチタンをちょびっと加えたもので、比重は18.5。
引張り強度は700N/平方ミリくらいだそうだ。
ただし、比重では若干有利なものの、やっぱり強度が弱い。
…では強度が低い分、劣化ウラン弾の方が貫通力が小さいかと言うとその逆で劣化ウラン弾の方が10%くらい勝っているのだそうだ。
やっぱり比重の大きさが効いているんですか?
いや、それがなんでも「セルフシャープニング効果」というのが作用しているらしい。
どういう事かと言うと、APFSDSが装甲にぶつかるとき、装甲に穴を掘りながらAPFSDS自身も先端からどんどん潰れてキノコの傘のような形に変形してゆくのだが、タングステン合金の場合この傘が大きく成長するのに対して、劣化ウラン合金は傘が成長する前に崩れてしまうので尖った状態で装甲の中を進む事が出来る。
なので、劣化ウラン弾の方が若干貫通力が高くなるそうなんだな。
しかし、それなら何だって他の国は劣化ウランをAPFSDSに使おうとしないんですか?
そりゃまあ、優れているとは言っても10%程度だからな。
しかも撃破された敵戦車から放射能が出るとなりゃ…ね。
更に言えばアメリカはタングステンの資源量が少ない上に、劣化ウランの在庫をごっそり抱えている。
その結果、劣化ウランをタングステンの代用に…という流れが出来てしまうわけだな。
そりゃまた迷惑な…
ところが日本もこの問題と無関係というわけにはいかない。
劣化ウランは原子力発電の燃料である「低濃縮ウラン」を作る過程でどうしても出来てしまう。
アメリカが48万トンの劣化ウランを貯蔵している一方で日本もまた一万トンくらいは貯蔵している。
アメリカよりは少ないとはいえ、核燃料を作れば作るほど出来てしまうし、原子炉じゃ燃やせないしで困ったものだ。
燃えないとは言っても一応放射性物質なんですよね。
しかも何ですか、通常は六フッ化ウランの形で高圧ボンベに充填して貯蔵されるのだとか。
ウランを濃縮する工程で一度六フッ化ウランにするからね。
酸化ウランにでもしておけば、少しは保管しやすくもなるだろうが、
分離が済んだら製品にならないものは処理もせずそのまんまポイって感じなんだろうねぇ…たぶん。
それにしても処理する方法無いんですかコレ。
じつは無くもないんだよね。
劣化ウランは中性子を浴びるとプルトニウムに変化する。
事実、殆どの原子炉の中ではこの反応によって作られたプルトニウムが分裂する事で発生したエネルギーが大体三割を占めている。
だから「少なくとも理論的には」劣化ウランも原子炉で燃やす事はできる。
ああ、プルサーマルってやつですね。
使用済みの燃料から分裂可能なプルトを取り出して、劣化ウランに混ぜて燃やす。本来ゴミである劣化ウランも燃やせてウマーと。
ところがこれをやると核燃料が分裂して燃えてゆく一方で、一部の原子核は中性子を吸収して超ウラン元素に成長してゆく。
こいつらを「マイナーアクチニド」という。
通常型の原子炉じゃ燃えないから、使用済みの核燃料をプルサーマルで再処理して使い回しているとこいつがゴンゴン出来てくるんだが、これがめちゃめちゃ放射能強い。
酷いのになると自分勝手に核分裂して中性子まで出す始末。
しかも放射性の強い物質はたいがい半減期短いのに、こいつらは寿命も長いから、今のところ地層処分だねって話。
酷い…
ただし、将来的にはあながち処理不能というわけでもない。
一般的な原子炉が使用する「熱中性子」はスピードが遅いのでこれらの厄介な核種を分裂させる事が出来ないが、核分裂で発生してすぐの「高速中性子」ならばこいつらから優先的に分裂させるという特性がある。
だから、この「高速中性子」を使用する「高速炉」であればマイナーアクチニドを殆ど発生させずにMOX燃料を燃やす事ができる。
実際に日本でも開発計画があるようだな。
なるほど、中々に良さそうですね。
ところがどっこい、ここに日本特有の問題があったりする。
というのは、原子炉の中で出来るプルトニウムはマイナーアクチニド(正確にはプルトニウム240)のせいで、とてもじゃないが核兵器になぞ使えたシロモノではないのだが、高速炉や高速増殖炉で核燃料を燃やすと、マイナーアクチニドから先に燃えて無くなっていくので、核兵器に転用可能な立派なプルトニウムが出来るのだ。
核武装万歳!
わあが日本のオオォォ!科学力はアァァ!!
やめなさいよ艦長。
今日原爆の日でしょ?
まあ、そういうわけでな。
日本としては今のまま劣化ウランを溜め込んでゆくか、それとも核開発を疑われてでも高速炉を開発するかという困った話なんだ。
「核なんか捨てろ」と言っても地球温暖化の昨今じゃ難しい話だし、太陽光発電や風力発電なんかも日本の気象だとアレだし。
はあ…なるほどね。
※追記:その後入った未確認の情報ですが、松岡理氏の「新版プルトニウム物語」という本によると高速増殖炉と言えど作り出せるプルトニウム239の濃度はせいぜい70%程度で、やっぱり核の材料には使えそうも無いようなものらしいです。
なので、どうやら核開発を疑われずに高速増殖炉を研究・稼働する事は出来そうです。
…まあ、そうなると高速炉とてマイナーアクチニドの消却効率はさほど高くもないという残念な話でもあるわけですが。
今日は「超不都合な科学的真実」の第九章ですね。
だと思うだろ?
ところがどっこい今回はウランの話をする。
ウランですか…原爆の日に。
タイムリーだろ?
「軍事研究」の八月号に丁度劣化ウラン弾の話が載ってたし、あの後追加で色々と調査したのでな、今日はその成果を少々紹介しようというわけなのだ。
「軍事研究」の劣化ウランの話と言うと66ページからの
現代戦車砲の主用砲弾APFSDS
という記事ですね。
多少なりとも軍事を知ってる人には常識かも知れませんが、初心者の人にはまず「APFSDSって何?」という話からしなきゃならんと思いますが。
えー?
そんなのいいじゃん、どうせ軍ヲタしかチェックしないようなブログなんだから「みんな読んでるよね?」という前提で…
……
あーはいはい。
分かりました、分かりましたから睨まないでください。
「APFSDS」ってのは縦文字で「離脱装弾筒付翼安定徹甲弾」と言いまして、戦車が戦車を撃つ時に使う弾です。
戦車は硬くて分厚い鋼の板で身を守っているので、これを射抜いて中の人をいぢめるためには、とにかく貫通力の強い弾丸が必要です。
では貫通力を高めるためにはどうするか?
基本は重たい弾丸をとにかく大きな速度で打ち出してやる事ですが、これを普通にやろうとすると、怪物みたいな大砲が必要になるのでいささか実用的じゃありません。
そこで、重たくて硬い素材で爪楊枝のような形の小さな弾丸を作り、これに装弾筒という軽合金のアジャスターを噛ませて戦車砲の砲身から撃ち出せるようにしてやるわけです。
はい先任。
ええっと…この弾丸はたしかに重たくて硬い素材で出来ていますが、本体は通常の弾丸よりだいぶ小さいので結局「軽い」です。
軽い弾丸を同じ量の火薬、同じ規格の砲身から撃ち出すわけですから弾丸のスピードはかなり速くなる理屈です。
でもって弾丸が細い分、敵戦車の装甲を貫通するときにあんま太い穴を開ける必要がありませんから、同じエネルギーでより深く効率よく貫通する事ができるわけです。
…とまあ、大まかにAPFSDSについての説明が終わったところで劣化ウランの話に入ろう。
先にも説明した通り、APFSDSの素材には「重たくて硬い」という性質が求められるわけだが、この要件を満たそうとすると必然的に
「タングステン合金」が候補に挙がる。
代表的な組成ではタングステンが九割であとがニッケルと鉄。
比重は17.5というから水の17倍程度。
引張り強さは1650N/平方ミリだからまあ、特殊鋼並みということだな。
それじゃアメリカはなんだって劣化ウランなんか使うんですか?
うむ、劣化ウランには「とにかく重たい」という長所がある。
アメリカがAPFSDSに使用している合金は劣化ウランにチタンをちょびっと加えたもので、比重は18.5。
引張り強度は700N/平方ミリくらいだそうだ。
ただし、比重では若干有利なものの、やっぱり強度が弱い。
…では強度が低い分、劣化ウラン弾の方が貫通力が小さいかと言うとその逆で劣化ウラン弾の方が10%くらい勝っているのだそうだ。
やっぱり比重の大きさが効いているんですか?
いや、それがなんでも「セルフシャープニング効果」というのが作用しているらしい。
どういう事かと言うと、APFSDSが装甲にぶつかるとき、装甲に穴を掘りながらAPFSDS自身も先端からどんどん潰れてキノコの傘のような形に変形してゆくのだが、タングステン合金の場合この傘が大きく成長するのに対して、劣化ウラン合金は傘が成長する前に崩れてしまうので尖った状態で装甲の中を進む事が出来る。
なので、劣化ウラン弾の方が若干貫通力が高くなるそうなんだな。
しかし、それなら何だって他の国は劣化ウランをAPFSDSに使おうとしないんですか?
そりゃまあ、優れているとは言っても10%程度だからな。
しかも撃破された敵戦車から放射能が出るとなりゃ…ね。
更に言えばアメリカはタングステンの資源量が少ない上に、劣化ウランの在庫をごっそり抱えている。
その結果、劣化ウランをタングステンの代用に…という流れが出来てしまうわけだな。
そりゃまた迷惑な…
ところが日本もこの問題と無関係というわけにはいかない。
劣化ウランは原子力発電の燃料である「低濃縮ウラン」を作る過程でどうしても出来てしまう。
アメリカが48万トンの劣化ウランを貯蔵している一方で日本もまた一万トンくらいは貯蔵している。
アメリカよりは少ないとはいえ、核燃料を作れば作るほど出来てしまうし、原子炉じゃ燃やせないしで困ったものだ。
燃えないとは言っても一応放射性物質なんですよね。
しかも何ですか、通常は六フッ化ウランの形で高圧ボンベに充填して貯蔵されるのだとか。
ウランを濃縮する工程で一度六フッ化ウランにするからね。
酸化ウランにでもしておけば、少しは保管しやすくもなるだろうが、
分離が済んだら製品にならないものは処理もせずそのまんまポイって感じなんだろうねぇ…たぶん。
それにしても処理する方法無いんですかコレ。
じつは無くもないんだよね。
劣化ウランは中性子を浴びるとプルトニウムに変化する。
事実、殆どの原子炉の中ではこの反応によって作られたプルトニウムが分裂する事で発生したエネルギーが大体三割を占めている。
だから「少なくとも理論的には」劣化ウランも原子炉で燃やす事はできる。
ああ、プルサーマルってやつですね。
使用済みの燃料から分裂可能なプルトを取り出して、劣化ウランに混ぜて燃やす。本来ゴミである劣化ウランも燃やせてウマーと。
ところがこれをやると核燃料が分裂して燃えてゆく一方で、一部の原子核は中性子を吸収して超ウラン元素に成長してゆく。
こいつらを「マイナーアクチニド」という。
通常型の原子炉じゃ燃えないから、使用済みの核燃料をプルサーマルで再処理して使い回しているとこいつがゴンゴン出来てくるんだが、これがめちゃめちゃ放射能強い。
酷いのになると自分勝手に核分裂して中性子まで出す始末。
しかも放射性の強い物質はたいがい半減期短いのに、こいつらは寿命も長いから、今のところ地層処分だねって話。
酷い…
ただし、将来的にはあながち処理不能というわけでもない。
一般的な原子炉が使用する「熱中性子」はスピードが遅いのでこれらの厄介な核種を分裂させる事が出来ないが、核分裂で発生してすぐの「高速中性子」ならばこいつらから優先的に分裂させるという特性がある。
だから、この「高速中性子」を使用する「高速炉」であればマイナーアクチニドを殆ど発生させずにMOX燃料を燃やす事ができる。
実際に日本でも開発計画があるようだな。
なるほど、中々に良さそうですね。
ところがどっこい、ここに日本特有の問題があったりする。
というのは、原子炉の中で出来るプルトニウムはマイナーアクチニド(正確にはプルトニウム240)のせいで、とてもじゃないが核兵器になぞ使えたシロモノではないのだが、高速炉や高速増殖炉で核燃料を燃やすと、マイナーアクチニドから先に燃えて無くなっていくので、核兵器に転用可能な立派なプルトニウムが出来るのだ。
核武装万歳!
わあが日本のオオォォ!科学力はアァァ!!
やめなさいよ艦長。
今日原爆の日でしょ?
まあ、そういうわけでな。
日本としては今のまま劣化ウランを溜め込んでゆくか、それとも核開発を疑われてでも高速炉を開発するかという困った話なんだ。
「核なんか捨てろ」と言っても地球温暖化の昨今じゃ難しい話だし、太陽光発電や風力発電なんかも日本の気象だとアレだし。
はあ…なるほどね。
※追記:その後入った未確認の情報ですが、松岡理氏の「新版プルトニウム物語」という本によると高速増殖炉と言えど作り出せるプルトニウム239の濃度はせいぜい70%程度で、やっぱり核の材料には使えそうも無いようなものらしいです。
なので、どうやら核開発を疑われずに高速増殖炉を研究・稼働する事は出来そうです。
…まあ、そうなると高速炉とてマイナーアクチニドの消却効率はさほど高くもないという残念な話でもあるわけですが。
2007年8月11日土曜日
核祭り2007〜NHKスペシャル「核くらい知る!」
昨日ドラマで「はだしのゲン」がやっていたのですが、こいつはどうも酷い時代考証ですね。
まあ、原作者の中沢啓治氏にしてからが書く漫画書く漫画なぜか好戦的な平和主義者が主人公で、問題の作品も盆踊りのシーンで被爆者団体からの抗議を受けたというエピソードがあったりします。
しかしながら、つかみの小咄で
「そこはグラマンじゃなくてマスタング!」とか
「劇中で人口40万都市とか言いながらなんで学校が変に緑豊かな環境にあるんだ?」
「うぃ?終戦間際に入隊して海軍航空隊ぃ?!」
「あんたら、よう資料も掘り下げんとそんなとりあえずカネかけましたってな仕事しててよく平和ボケした現代に伝えたいメッセージとか言えるよなぁ?」
…といった野暮な話を延々とやる気も無いので、とっとと本題に入りませう。
今回は先週やってたNHKスペシャル「核クライシス」シリーズに対する感想と考察が主となります。
先ず、前編の前半「地上爆発」ですが、番組では広島型と同威力の核兵器が現代の広島市の路上で爆発したというシチュエーションを想定していました。
まあ、これはこれで同威力の核兵器が上空と地上で爆発した場合どれくらいの違いが出るのかというシュミレーションとしてはいいのですが、テロリストが都市の中に核爆弾を持ち込むというシナリオでは、全く無いわけではないにせよ、ちょっと不正確かなと思います。
敵拠点へ破壊活動を仕掛ける事を目的として使用される小型核兵器は「ADM」と称しまして、冷戦のかなり初期に開発が進んでおります。
大型のクーラーボックスくらいの重量約70キログラムのやつで威力は1キロトン。
更に小型化されたものはADMではありませんが、有名な「デービークロケット」で、威力は20トン。
基本的に広島型の数十分の一の破壊力と考えて頂ければ間違いはありません。
ただし、核兵器は核兵器。爆発したときの汚染はちょっと想像したくないくらいのヤバさがあります。
恐ろしい事に所謂ADMとして有名な「スーツケース爆弾」などは、旧ソ連崩壊のどさくさで百基近くが行方不明となっており、既にテロリストの手に渡っちゃってるんじゃないかと言われております。
あ、ちなみにこいつの威力は0.3キロトン(TNT300トン相当)って言われてます。
そして後半の「高高度爆発によるEMP攻撃」ですが、これはまあまあ正確です。
しかしながら、これに対する防御手段が「ファラデーの鳥籠方式」以外述べられていないのはちょっと…
現在では既に「サージ電流をカットする素子」とか「ホトカブラー」といったものがありますので、いざという時にダウンしては困るところにこういった対策を施しておく事で、精密な電子回路もかなりの確率で保護できると思います。
そもそも高高度爆発自体冷戦期に色々とやられているので、アメリカさんもこういった事に対する対処法は着々と研究しておるのではないでしょうか。
となれば日本も…となる筈なのですが、なんかね、徒に「核の恐怖」を煽っているような印象を受けました。
最後にIAEAとイランの攻防を描いた「核クライシス」の後編ですが、こいつはちょっとイラン脅威論が過ぎるのではないでしょうか?
少なくとも北朝鮮の方が問題かと。
…というのは小官が所謂「熱湯浴」だからではなく、核についてある程度の知識を持っているから言う事なのですが、少なくとも小官が「核武装を目論む独裁者」であるのならば、ウラン235なぞ願い下げです。
天然ウランの中に0.7%しか入っていない上に、化学的性質が全く同じなので比重の差を利用して分離するしか無いブツなぞ…ねぇ。
一方プルトは使用済み核燃料を再処理して手に入れる事が出来るし、ウランより少ない量で原爆が作れます。
ただし、核燃料があんまり長い時間中性子を浴びるとプルトはプルトでも到底原爆には使えそうも無い質の悪い同位体(主としてプルト240)が出来てくるので、原爆を作る為には核燃料をちょびっと炙っては再処理工場へ送るという方法をとる必要があるでしょう。
…となれば、核エネルギー開発を装って核兵器をこさえる為には、
「これは日本もやってるプルサーマルですよ」とか言いながら旧ソ連型の原子炉と再処理工場の組み合わせを稼働するという方法が一番簡単だと思います。
旧ソ連型の原子炉は、図体こそでかい黒鉛炉ですが、基本的に天然ウランをそのまま燃やせるので濃縮工場が不要で、燃料棒が軽水炉で言うところの圧力容器の役割も果たしているので、任意の時期に燃料棒を引っこ抜いて再処理工場へ送る事が可能です。
軽水炉だと、炉心自体が一つのタンクの中に密閉されちゃうからこうはいかない。
仮に、本気で核開発を企んでいるにも関わらずウラン235に固執するとすれば、それはIAEAにマークされる黒鉛炉を使わずに済ませたいか、原子炉を稼働させる為に必要な技術や人材が根本的に不足しているので天然の分裂性核種をどうにかして濃縮したいかのどちらかでしょう。
…すると、いちばんありそうな話としてはイラクはやはり独自の技術で軽水炉をこさえたいと考えているのではないでしょうか。
だけどそうなると、アメリカは自分たちの原子炉を買って貰えなくなる上に、ひょっとすると石油の値段まで釣り上げられてしまうかもしれない。
そこで、IAEAに斬り込み隊長をやらせて…といいう推測の元にこの後編をもう一度見返してみると、やはりこれは軍事目的だろうが平和利用だろうがイラクに独自の核技術を保有させたくないというアメリカの意思が働いているように思われます。
公共放送なんだからさ、もうちょっと、もうちょっとね、勉強して番組作りをして欲しいものです。
まあ、原作者の中沢啓治氏にしてからが書く漫画書く漫画なぜか好戦的な平和主義者が主人公で、問題の作品も盆踊りのシーンで被爆者団体からの抗議を受けたというエピソードがあったりします。
しかしながら、つかみの小咄で
「そこはグラマンじゃなくてマスタング!」とか
「劇中で人口40万都市とか言いながらなんで学校が変に緑豊かな環境にあるんだ?」
「うぃ?終戦間際に入隊して海軍航空隊ぃ?!」
「あんたら、よう資料も掘り下げんとそんなとりあえずカネかけましたってな仕事しててよく平和ボケした現代に伝えたいメッセージとか言えるよなぁ?」
…といった野暮な話を延々とやる気も無いので、とっとと本題に入りませう。
今回は先週やってたNHKスペシャル「核クライシス」シリーズに対する感想と考察が主となります。
先ず、前編の前半「地上爆発」ですが、番組では広島型と同威力の核兵器が現代の広島市の路上で爆発したというシチュエーションを想定していました。
まあ、これはこれで同威力の核兵器が上空と地上で爆発した場合どれくらいの違いが出るのかというシュミレーションとしてはいいのですが、テロリストが都市の中に核爆弾を持ち込むというシナリオでは、全く無いわけではないにせよ、ちょっと不正確かなと思います。
敵拠点へ破壊活動を仕掛ける事を目的として使用される小型核兵器は「ADM」と称しまして、冷戦のかなり初期に開発が進んでおります。
大型のクーラーボックスくらいの重量約70キログラムのやつで威力は1キロトン。
更に小型化されたものはADMではありませんが、有名な「デービークロケット」で、威力は20トン。
基本的に広島型の数十分の一の破壊力と考えて頂ければ間違いはありません。
ただし、核兵器は核兵器。爆発したときの汚染はちょっと想像したくないくらいのヤバさがあります。
恐ろしい事に所謂ADMとして有名な「スーツケース爆弾」などは、旧ソ連崩壊のどさくさで百基近くが行方不明となっており、既にテロリストの手に渡っちゃってるんじゃないかと言われております。
あ、ちなみにこいつの威力は0.3キロトン(TNT300トン相当)って言われてます。
そして後半の「高高度爆発によるEMP攻撃」ですが、これはまあまあ正確です。
しかしながら、これに対する防御手段が「ファラデーの鳥籠方式」以外述べられていないのはちょっと…
現在では既に「サージ電流をカットする素子」とか「ホトカブラー」といったものがありますので、いざという時にダウンしては困るところにこういった対策を施しておく事で、精密な電子回路もかなりの確率で保護できると思います。
そもそも高高度爆発自体冷戦期に色々とやられているので、アメリカさんもこういった事に対する対処法は着々と研究しておるのではないでしょうか。
となれば日本も…となる筈なのですが、なんかね、徒に「核の恐怖」を煽っているような印象を受けました。
最後にIAEAとイランの攻防を描いた「核クライシス」の後編ですが、こいつはちょっとイラン脅威論が過ぎるのではないでしょうか?
少なくとも北朝鮮の方が問題かと。
…というのは小官が所謂「熱湯浴」だからではなく、核についてある程度の知識を持っているから言う事なのですが、少なくとも小官が「核武装を目論む独裁者」であるのならば、ウラン235なぞ願い下げです。
天然ウランの中に0.7%しか入っていない上に、化学的性質が全く同じなので比重の差を利用して分離するしか無いブツなぞ…ねぇ。
一方プルトは使用済み核燃料を再処理して手に入れる事が出来るし、ウランより少ない量で原爆が作れます。
ただし、核燃料があんまり長い時間中性子を浴びるとプルトはプルトでも到底原爆には使えそうも無い質の悪い同位体(主としてプルト240)が出来てくるので、原爆を作る為には核燃料をちょびっと炙っては再処理工場へ送るという方法をとる必要があるでしょう。
…となれば、核エネルギー開発を装って核兵器をこさえる為には、
「これは日本もやってるプルサーマルですよ」とか言いながら旧ソ連型の原子炉と再処理工場の組み合わせを稼働するという方法が一番簡単だと思います。
旧ソ連型の原子炉は、図体こそでかい黒鉛炉ですが、基本的に天然ウランをそのまま燃やせるので濃縮工場が不要で、燃料棒が軽水炉で言うところの圧力容器の役割も果たしているので、任意の時期に燃料棒を引っこ抜いて再処理工場へ送る事が可能です。
軽水炉だと、炉心自体が一つのタンクの中に密閉されちゃうからこうはいかない。
仮に、本気で核開発を企んでいるにも関わらずウラン235に固執するとすれば、それはIAEAにマークされる黒鉛炉を使わずに済ませたいか、原子炉を稼働させる為に必要な技術や人材が根本的に不足しているので天然の分裂性核種をどうにかして濃縮したいかのどちらかでしょう。
…すると、いちばんありそうな話としてはイラクはやはり独自の技術で軽水炉をこさえたいと考えているのではないでしょうか。
だけどそうなると、アメリカは自分たちの原子炉を買って貰えなくなる上に、ひょっとすると石油の値段まで釣り上げられてしまうかもしれない。
そこで、IAEAに斬り込み隊長をやらせて…といいう推測の元にこの後編をもう一度見返してみると、やはりこれは軍事目的だろうが平和利用だろうがイラクに独自の核技術を保有させたくないというアメリカの意思が働いているように思われます。
公共放送なんだからさ、もうちょっと、もうちょっとね、勉強して番組作りをして欲しいものです。
2007年5月12日土曜日
楽しい核物理学講座その5~核を小型化するとはどういうことか
ラプたん帰りましたよ。
で、琉球新報は素直に喜びゃいいものを、一面トップで
「轟く爆音未明に離陸強行」
ですって。
ま、あえてそういう物の見方をすることで飯を食ってる人たちですから、放置しときましょう。
しかしアレですな、物言いが好戦的とまでは言わんが、このテの記事を読むと
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」との印象を抱いてしまいますね。
もっとも、小官がアマノジャクなせいかもしれんが。
さて質問です。
広島型原爆は64キログラムのウランを使用し、おおよそ15キロトンの破壊力を発揮しました。
それでは15トン相当の破壊力を発揮する核兵器をこさえるにはウランがどれくらい要るでしょうか?
64キログラムの千分の一で64グラム?
そんな事言ってる人は前の講義から読み直して下さい。
そもそも「核物質」は「超臨界状態」にならんと「核爆薬」として機能しないのです。
そして「超臨界状態」にできる最低限の量が一般的にはウランで15キロ、プルトで4キロと言われているというのが前回の講義の要点です。
では、爆発力の大きな原爆と小さな原爆では何が違うのか?
それは平たく言うと、燃焼の効率です。
例えば広島型だと、実際に「燃焼」したのは全体のせいぜい1%、つまり640グラム程度だと言われています。
単純計算すると、全部燃焼した場合、1.5メガトンの破壊力を発揮したことになりますが、リトルボーイはごく一部が燃焼してそれなりの熱量が発生した時点で爆弾自体が蒸発・爆散して超臨界状態が消滅し、連鎖反応が進行しなくなった結果、15キロトン止まりだったというわけです。
そして2の7乗が128ですから、リトルボーイでは連鎖反応が完了する7~8世代前にだいたい反応が停止したと考えてよいでしょう。
この燃焼の効率を高めるためには、当然連鎖反応途中まくりの核物質を爆散しないように十分長い時間狭い空間に閉じ込めておく必要がありまして、そのためにはとても重くて硬い物体でこれを閉じ込めておくという方法が一般的です。
そのための重くて硬い部品をタンパーといいまして、ファットマンなんかですと、中性子を反射して臨界量を小さく抑えることや、連鎖反応で発生した中性子で二次的に反応させることなども狙ってこの部品は劣化ウランで作りました。
当然、タンパーが軽く軟らかい物質だったり全く無かったりすると同じ量の核物質でも反応が十分に進んでいないより早い段階で核物質が爆散して威力低下となります。
要するに、不完全なタンパーを使えば核兵器の威力はいくらでも小さくできるのです。
一方、核兵器のサイズを小型化するためには、いろいろなアプローチがありますが、主となるのはコアの小型化と爆縮方式の簡略化です。
まあ、核兵器のサイズや重量を小さくすればそれだけ運用性も向上するので、じつを言うとこれはかなり研究が進んでいます。
コメ国の例で言いますと、1965年に重量177キログラムの核地雷をこさえ、後に重量70キログラム、破壊力0.1もしくは1キロトンの可変で歩兵がリュックに背負って歩けるというブツを作る。
ちなみにこいつは日本のテレビにアメリカの「核ミュージアム」が出てきたときに全国に紹介されていたはずです。
で、280ミリ核砲弾が後には小型化されて普通の榴弾砲から発射できるようになったり、
有名どころでは核バズーカの「デービークロケット」でしょうね。
こいつの開発が始まったのは1958年。
重量は35.5キログラムで破壊力はTNT20トン相当。
1961年から1965年までの間に400個生産され、実際に試し撃ちも行われております。
http://www.sonicbomb.com/modules.php?name=Content&pa=showpage&pid=56
まあ、現実的に鉄板原爆に近いのはこのあたりでしょうね。
こいつらは基本的に爆縮方式の簡略化によって小型化を達成しているみたいです。
具体的には「リニア・インプロージョン方式」といいまして、鉄パイプの両側にそれぞれ臨界量の半分のプルト半球と火薬を仕込んでおき、同時に点火して合体と爆縮を同時並行に行うと…
この辺のメカニズムは鉄板原爆に通ずるものがありますが、これとても核物質を臨界量以上用意しないといけないという点ではテロリストが簡単に製作できるようなシロモノではありえません。
加えて言うならば、誰でもすぐに推測できるように軸方向から来た衝撃波が周方向へ逃げる構造なので、当然爆縮効率もよろしくないです。
今ひとつのアプローチであるコアの小型化については、タンパーを中性子反射効率の高い素材(例えばベリリウム)で作ったり、爆縮効率の向上で達成できますが、特に後者である爆縮効率の向上については、これは爆縮レンズ系を大型化させぬように…とか考え始めると爆弾の小型化のためにはどうしてもトレードオフになりますんで、実験もなしに一回こっきりの特攻で確実に爆発させたいテロリストにとってはやはりハードルが高すぎると言わざるを得ないでしょう。
と、ゆうわけで、小官がテロリストならば俗に言うスーツケース原爆(平たくてスリムなロシア版の核地雷)を入手してそのまま使いますね。
小官が科学者ならば興味本位で鉄板原爆を作るかも知れんが、(臨界量の兵器級プルトを入手する時点で数十回はブタ箱行き確定だが)科学者だけに当然ハゲが怖いので製作は最低でもグローブボックスを使用し、爆発実験はタイマー付けて海溝にドボンし、地震計とにらめっこくらいの安全策はとりたい所です。
とりあえず核物理の講義はこれでおしまいと致しましょう。
ではでは。
で、琉球新報は素直に喜びゃいいものを、一面トップで
「轟く爆音未明に離陸強行」
ですって。
ま、あえてそういう物の見方をすることで飯を食ってる人たちですから、放置しときましょう。
しかしアレですな、物言いが好戦的とまでは言わんが、このテの記事を読むと
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」との印象を抱いてしまいますね。
もっとも、小官がアマノジャクなせいかもしれんが。
さて質問です。
広島型原爆は64キログラムのウランを使用し、おおよそ15キロトンの破壊力を発揮しました。
それでは15トン相当の破壊力を発揮する核兵器をこさえるにはウランがどれくらい要るでしょうか?
64キログラムの千分の一で64グラム?
そんな事言ってる人は前の講義から読み直して下さい。
そもそも「核物質」は「超臨界状態」にならんと「核爆薬」として機能しないのです。
そして「超臨界状態」にできる最低限の量が一般的にはウランで15キロ、プルトで4キロと言われているというのが前回の講義の要点です。
では、爆発力の大きな原爆と小さな原爆では何が違うのか?
それは平たく言うと、燃焼の効率です。
例えば広島型だと、実際に「燃焼」したのは全体のせいぜい1%、つまり640グラム程度だと言われています。
単純計算すると、全部燃焼した場合、1.5メガトンの破壊力を発揮したことになりますが、リトルボーイはごく一部が燃焼してそれなりの熱量が発生した時点で爆弾自体が蒸発・爆散して超臨界状態が消滅し、連鎖反応が進行しなくなった結果、15キロトン止まりだったというわけです。
そして2の7乗が128ですから、リトルボーイでは連鎖反応が完了する7~8世代前にだいたい反応が停止したと考えてよいでしょう。
この燃焼の効率を高めるためには、当然連鎖反応途中まくりの核物質を爆散しないように十分長い時間狭い空間に閉じ込めておく必要がありまして、そのためにはとても重くて硬い物体でこれを閉じ込めておくという方法が一般的です。
そのための重くて硬い部品をタンパーといいまして、ファットマンなんかですと、中性子を反射して臨界量を小さく抑えることや、連鎖反応で発生した中性子で二次的に反応させることなども狙ってこの部品は劣化ウランで作りました。
当然、タンパーが軽く軟らかい物質だったり全く無かったりすると同じ量の核物質でも反応が十分に進んでいないより早い段階で核物質が爆散して威力低下となります。
要するに、不完全なタンパーを使えば核兵器の威力はいくらでも小さくできるのです。
一方、核兵器のサイズを小型化するためには、いろいろなアプローチがありますが、主となるのはコアの小型化と爆縮方式の簡略化です。
まあ、核兵器のサイズや重量を小さくすればそれだけ運用性も向上するので、じつを言うとこれはかなり研究が進んでいます。
コメ国の例で言いますと、1965年に重量177キログラムの核地雷をこさえ、後に重量70キログラム、破壊力0.1もしくは1キロトンの可変で歩兵がリュックに背負って歩けるというブツを作る。
ちなみにこいつは日本のテレビにアメリカの「核ミュージアム」が出てきたときに全国に紹介されていたはずです。
で、280ミリ核砲弾が後には小型化されて普通の榴弾砲から発射できるようになったり、
有名どころでは核バズーカの「デービークロケット」でしょうね。
こいつの開発が始まったのは1958年。
重量は35.5キログラムで破壊力はTNT20トン相当。
1961年から1965年までの間に400個生産され、実際に試し撃ちも行われております。
http://www.sonicbomb.com/modules.php?name=Content&pa=showpage&pid=56
まあ、現実的に鉄板原爆に近いのはこのあたりでしょうね。
こいつらは基本的に爆縮方式の簡略化によって小型化を達成しているみたいです。
具体的には「リニア・インプロージョン方式」といいまして、鉄パイプの両側にそれぞれ臨界量の半分のプルト半球と火薬を仕込んでおき、同時に点火して合体と爆縮を同時並行に行うと…
この辺のメカニズムは鉄板原爆に通ずるものがありますが、これとても核物質を臨界量以上用意しないといけないという点ではテロリストが簡単に製作できるようなシロモノではありえません。
加えて言うならば、誰でもすぐに推測できるように軸方向から来た衝撃波が周方向へ逃げる構造なので、当然爆縮効率もよろしくないです。
今ひとつのアプローチであるコアの小型化については、タンパーを中性子反射効率の高い素材(例えばベリリウム)で作ったり、爆縮効率の向上で達成できますが、特に後者である爆縮効率の向上については、これは爆縮レンズ系を大型化させぬように…とか考え始めると爆弾の小型化のためにはどうしてもトレードオフになりますんで、実験もなしに一回こっきりの特攻で確実に爆発させたいテロリストにとってはやはりハードルが高すぎると言わざるを得ないでしょう。
と、ゆうわけで、小官がテロリストならば俗に言うスーツケース原爆(平たくてスリムなロシア版の核地雷)を入手してそのまま使いますね。
小官が科学者ならば興味本位で鉄板原爆を作るかも知れんが、(臨界量の兵器級プルトを入手する時点で数十回はブタ箱行き確定だが)科学者だけに当然ハゲが怖いので製作は最低でもグローブボックスを使用し、爆発実験はタイマー付けて海溝にドボンし、地震計とにらめっこくらいの安全策はとりたい所です。
とりあえず核物理の講義はこれでおしまいと致しましょう。
ではでは。
2007年4月21日土曜日
楽しい核物理学講座その4~原爆で3-.2-.1-.アフロー!!
カラー電子ペーパーが出たんで、話題になってるみたいですね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news069.html
一方、小官といえば、この一週間何も無い平穏な日々でした…と言ったらウソになりますね。
きっかけは例によってレム睡眠の最中に受信したデムパを「上位世界からの託宣」ということにして、「大人の科学」の「紙フィルム映写機」ってやつを買いに本屋へ行ったことです。
http://otonanokagaku.net/next/index.html
そしたら、何かの教材でしょうか。変な吹き替え版のDVDが流れてて、
ポパイが琉球語しゃべってた。
(「琉球語」は「うちなーぐち」と読んでください。どうもかっこよく書けないので。)
で、これらとは関係の無い「趣味の本」を読んでたら、
F-Xの記事の末尾に「次次期F-Xにコレはどうだ?」という煽り文句で
ストラマが載ってた。
しかし、これらのトピックスをいちいち扱っていたのでは、鉄板原爆の腱鞘炎…もとい検証編がぜんぜん進まないので、中性子の話もしたことだし、早速原爆の話を始めたいと思います。
そういえばあの妄想マルチロール戦闘機も核を搭載する予定だそうですね。
…というわけで、はい。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
同じものを何度も貼り付けるようですが、これが原爆の基本であり、素人向けの教科書といっても差し支えないものですから、ご容赦を。
日本人にとって非常に馴染み深いこの二発の原爆ですが、(最近は知らない莫迦も蔓延していると聞きます、小官の受けた教育に感謝。ただ、講師は皆反戦左翼でしたが。)広島型の場合、64キログラムのウラン235が使用され、長崎型には6.2キログラムのプルトニウム239が使用されたという情報が読み取れるかと思います。
これらの情報に追加させて頂くならば、この砲身式と爆縮式という二通りの原爆のうち、以後のメインストリームとなってゆくのは長崎型であるプルトニウム爆縮式でありました。
その理由はまあ、だいたい二つだと思います。
第一にプルトニウムは確保が容易であったということ。
天然ウランに必要な同位体であるウラン235は0.7%しか入っていません。
これを濃縮するのはえらいことです。
一方、黒鉛炉などに天然ウランを放り込んで何ヶ月か燃やしてやると、中性子のために燃料の中にプルトニウムができてきます。とても簡単で、しかも省資源です。
第二にプルトニウムは臨界量が小さいということ。
先にあげた資料からも読み取れる通り、プルトニウム原爆だと、核物質の量は少なくて済みます。
要するにプルトニウムの方が燃えやすいのですが、それは爆弾本体の小型化に直接関わってきます。このファクターは兵器として発展の余地が大きいことを示します。
かわぐちかいじの仮想戦記漫画「ジパング」では、和製原爆があまりにも大型化してしまったために、輸送手段として戦艦大和を使用するくだりがありますが、まさにその問題があるわけです。
ただし、プルトニウムに問題が無いわけじゃありません。
それは何度も言ってるように、プルト240の自発核分裂の問題です。
原爆の点火シークエンスというのは基本的に、火薬なり何なりを使って核物質を物理的に合体なり圧縮なりして、
「臨界量を突破したところへある程度まとまった数の中性子を放り込む」
というものです。
ウランの場合、砲身式でも確実に爆発させることができました。
ただ、資料を見るとやはり自発核分裂によって発生する中性子のリスクを回避するためか、タンパーには劣化ウランではなく炭化タングステンが使われていたみたいですが。
一方プルトニウムは最初から自発分裂の問題を回避することが無理でした。
この自発分裂によって核物質の中に最初から中性子が沢山存在すると、臨界に達する前にくすぶってプスプスやり始め、臨界をちょっと突破したあたりで核物質はプラズマ化して爆弾を蒸発させてしまう「未熟爆発」が起こります。
これは面白くないです。そもそも「核物質の臨界」というのは、
「連鎖反応を繰り返しても中性子が減らない」という条件のことです。
この一線をはるかに飛び越えて、
「もしも中性子が来たらバコバコ増えまくりますよ」
という「超臨界」になったところへすかさずまとまった数の中性子を放り込まないと爆発とは言えるような現象は発生しないでしょう。
ところが、プルトで砲身式をやると、自身の中性子が原因で「砲弾」が「目標」と合体するまでの0.5ミリ秒の間にこの「未熟爆発」が起こる危険性がありました。
そこで、臨界量をちょっと切るくらいのプルトニウム球に爆薬を使って数千気圧の「球形の衝撃波」を浴びせ、圧縮することで超臨界にしてやろうという爆縮型が生み出されたわけです。
例えば、あるプルトニウム球を爆縮して直径を半分にしてやると、原子の数は変化しないまま表面積は四分の一になります。
つまり単位質量あたり逃げてゆく中性子の数が四分の一になるわけです。
圧縮しなかったとすると、球の直径を四倍…つまり64倍の重さの球を作ったのと同じことになります。
…まあ、これは極端な計算ですが、爆縮方式がいかにすばやく効率的に超臨界を達成できるか、これでご理解いただけるかと思います。
ちなみに現在ではプルトニウム239では4キログラム、ウラン235では15キログラムほどあれば原爆に仕立て上げることは可能で、材料のグレードと、爆縮技術のレベルなどにもよりますが、最低2~1キログラムのプルトニウムがあれば原爆にできるとも言われています。(ただし、最高の技術と材料をこれでもかとばかりにつぎ込んだ場合の話)
なんか疲れましたが、たぶん次回で「原爆の小型化」から鉄板原爆の検証に入れると思います。
乞うご期待…という事にしといて下さい。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news069.html
一方、小官といえば、この一週間何も無い平穏な日々でした…と言ったらウソになりますね。
きっかけは例によってレム睡眠の最中に受信したデムパを「上位世界からの託宣」ということにして、「大人の科学」の「紙フィルム映写機」ってやつを買いに本屋へ行ったことです。
http://otonanokagaku.net/next/index.html
そしたら、何かの教材でしょうか。変な吹き替え版のDVDが流れてて、
ポパイが琉球語しゃべってた。
(「琉球語」は「うちなーぐち」と読んでください。どうもかっこよく書けないので。)
で、これらとは関係の無い「趣味の本」を読んでたら、
F-Xの記事の末尾に「次次期F-Xにコレはどうだ?」という煽り文句で
ストラマが載ってた。
しかし、これらのトピックスをいちいち扱っていたのでは、鉄板原爆の腱鞘炎…もとい検証編がぜんぜん進まないので、中性子の話もしたことだし、早速原爆の話を始めたいと思います。
そういえばあの妄想マルチロール戦闘機も核を搭載する予定だそうですね。
…というわけで、はい。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
同じものを何度も貼り付けるようですが、これが原爆の基本であり、素人向けの教科書といっても差し支えないものですから、ご容赦を。
日本人にとって非常に馴染み深いこの二発の原爆ですが、(最近は知らない莫迦も蔓延していると聞きます、小官の受けた教育に感謝。ただ、講師は皆反戦左翼でしたが。)広島型の場合、64キログラムのウラン235が使用され、長崎型には6.2キログラムのプルトニウム239が使用されたという情報が読み取れるかと思います。
これらの情報に追加させて頂くならば、この砲身式と爆縮式という二通りの原爆のうち、以後のメインストリームとなってゆくのは長崎型であるプルトニウム爆縮式でありました。
その理由はまあ、だいたい二つだと思います。
第一にプルトニウムは確保が容易であったということ。
天然ウランに必要な同位体であるウラン235は0.7%しか入っていません。
これを濃縮するのはえらいことです。
一方、黒鉛炉などに天然ウランを放り込んで何ヶ月か燃やしてやると、中性子のために燃料の中にプルトニウムができてきます。とても簡単で、しかも省資源です。
第二にプルトニウムは臨界量が小さいということ。
先にあげた資料からも読み取れる通り、プルトニウム原爆だと、核物質の量は少なくて済みます。
要するにプルトニウムの方が燃えやすいのですが、それは爆弾本体の小型化に直接関わってきます。このファクターは兵器として発展の余地が大きいことを示します。
かわぐちかいじの仮想戦記漫画「ジパング」では、和製原爆があまりにも大型化してしまったために、輸送手段として戦艦大和を使用するくだりがありますが、まさにその問題があるわけです。
ただし、プルトニウムに問題が無いわけじゃありません。
それは何度も言ってるように、プルト240の自発核分裂の問題です。
原爆の点火シークエンスというのは基本的に、火薬なり何なりを使って核物質を物理的に合体なり圧縮なりして、
「臨界量を突破したところへある程度まとまった数の中性子を放り込む」
というものです。
ウランの場合、砲身式でも確実に爆発させることができました。
ただ、資料を見るとやはり自発核分裂によって発生する中性子のリスクを回避するためか、タンパーには劣化ウランではなく炭化タングステンが使われていたみたいですが。
一方プルトニウムは最初から自発分裂の問題を回避することが無理でした。
この自発分裂によって核物質の中に最初から中性子が沢山存在すると、臨界に達する前にくすぶってプスプスやり始め、臨界をちょっと突破したあたりで核物質はプラズマ化して爆弾を蒸発させてしまう「未熟爆発」が起こります。
これは面白くないです。そもそも「核物質の臨界」というのは、
「連鎖反応を繰り返しても中性子が減らない」という条件のことです。
この一線をはるかに飛び越えて、
「もしも中性子が来たらバコバコ増えまくりますよ」
という「超臨界」になったところへすかさずまとまった数の中性子を放り込まないと爆発とは言えるような現象は発生しないでしょう。
ところが、プルトで砲身式をやると、自身の中性子が原因で「砲弾」が「目標」と合体するまでの0.5ミリ秒の間にこの「未熟爆発」が起こる危険性がありました。
そこで、臨界量をちょっと切るくらいのプルトニウム球に爆薬を使って数千気圧の「球形の衝撃波」を浴びせ、圧縮することで超臨界にしてやろうという爆縮型が生み出されたわけです。
例えば、あるプルトニウム球を爆縮して直径を半分にしてやると、原子の数は変化しないまま表面積は四分の一になります。
つまり単位質量あたり逃げてゆく中性子の数が四分の一になるわけです。
圧縮しなかったとすると、球の直径を四倍…つまり64倍の重さの球を作ったのと同じことになります。
…まあ、これは極端な計算ですが、爆縮方式がいかにすばやく効率的に超臨界を達成できるか、これでご理解いただけるかと思います。
ちなみに現在ではプルトニウム239では4キログラム、ウラン235では15キログラムほどあれば原爆に仕立て上げることは可能で、材料のグレードと、爆縮技術のレベルなどにもよりますが、最低2~1キログラムのプルトニウムがあれば原爆にできるとも言われています。(ただし、最高の技術と材料をこれでもかとばかりにつぎ込んだ場合の話)
なんか疲れましたが、たぶん次回で「原爆の小型化」から鉄板原爆の検証に入れると思います。
乞うご期待…という事にしといて下さい。
2007年4月6日金曜日
たのしい核物理学講座その3~中性子を制するものは核を制す!
前回は
核エネルギーってそもそも何よ?
って話をしました。
で、今回はその核エネルギーを引き出す方法についてやろうと思います。
原子核を構成している「核子」のパワー「核エネルギー」。
そいつを引っ張り出すには、早い話が「原子核をぶっ壊す」ことだというわけですが、原子核を直接ぶっ壊すには大きな障害があります。
それが「電磁力」具体的には、原子核に含まれている陽子がプラスの電荷を持っているので、原子核をぶっ壊すために何がしかの素粒子を叩き込んでやろうとすると、その電荷に邪魔されてしまうのです。
まあ、粒子加速器など使用すれば実験室レベルでやることは可能ですが、工業レベルでやろうとすると
http://www.keidanren.or.jp/mutsu/ITER.html
こんなブツが必要になったりするわけです。
もしかすると「原子核を壊してないじゃないか」と突っ込みたい人もいるかも知れませんが、「エネルギーの高い原子核をエネルギーの低い原子核に変換」することで余ったエネルギーを取り出すという原理は基本的にいっしょです。
で、超伝導磁石とかプラズマ制御だとか、んな超絶科学はっきり言ってやってられませんよね?
ところが、前世紀の初めに既に都合のいい存在が発見されていたのです。
「それ」は電荷を持たないので、原子核に簡単に接近することが可能です。
その上、核力の影響だけは受けるので、接近したあと、結構簡単に原子核に吸収されます。
それが今回の主役「中性子」なのです!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%80%A7%E5%AD%90
そんで、中性子を吸収した原子というのは、陽子の数が増えたわけじゃありませんから、化学的な性質は変化しないままちょっとだけ重くなります。
ただし、原子核の中での核力のバランスはばっちり崩れていますから、たいていの場合放射能を帯びます。
http://spiral_inspiration.at.infoseek.co.jp/ri.html
ちなみに、放射性元素はその種類によって、エネルギーが違うので、成分の判らない「資料X」を一時的に原子炉の中に放り込んで、戻ってきた「資料X」から出てくる放射線のエネルギーを、半導体検出器とかで測る事によって、「資料X」に入っていた元素の構成比を割り出す「放射化分析」という方法があったりします。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/ja3/qa/qa1.html
で、「とくに重たい元素」のケースですと、仲間割れが起こりそうなところをなんとかバランスを保っていたという状況に、「外部からの中性子」というかく乱要因が混ざりこむことで、致命的な結果を引き起こすわけですね。
これが「核分裂」ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E6%A0%B8%E5%88%86%E8%A3%82
そして、重要なことには、核分裂が起こると新たに中性子が発生するという点でです。
有名なウラン235の場合、(ソースにもよりますが)平均すると一回の核分裂で大体2.4個の中性子が出ると言われています。
で、この中性子が全部次のウラン235を分裂させると仮定した場合、二回目の反応で中性子は5.8倍、三回目で14倍・・・ってな具合に「不幸の手紙」よろしく増加していくわけです。
これが「核分裂連鎖反応」です。
ちなみに原爆の場合、大体80回くらいで核物質が全部燃えると言われていますが、それに要する時間はなんと0.8マイクロ秒というきわめて短い時間だったりします。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/losalamos303.htm
ただ、中には「中性子を吸収しても分裂しないやつ」がいたり、「核物質の塊の外へ逃げていく中性子」(こいつが一番問題)があったりで、きちんと条件を整えてやらねばそうそう連鎖反応にはならないものです。
で、その問題をクリアーする一番の近道は「逃げていく中性子」を減らすことですが、そのためにはウランの塊をできるだけ大きくしてやればいい。
球の直径を二倍にすれば、容積が8倍になる一方、表面積は4倍にしかならないので、逃げる中性子はざっと半分になる。
そうして、「逃げてく中性子」と「核分裂で新しくできる中性子」がバランスする核物質の量を「臨界量」というわけです。
原爆を作るにせよ、原子炉を作るにせよ、核物質が臨界量以上無いと、連鎖反応は起こせないのです。
気の利いた小型原爆なんかでは、この臨界量を減らすために、核物質の周りを「中性子を反射する物質」で包むという工夫が為されていたりします。
最近は爆縮方式の改良などもあって、この臨界量はプルトだと(ソースによっては)1キログラム程度で済むそうです。
一方の原子炉では、「中性子を食べてしまう物質」でできた「制御棒」を炉心に出し入れすることによって、「ちょうど臨界量」という状況を維持します。
と、いうわけで、「核技術」とは「中性子を制御する技術」に他ならないのでした。
…おぉ、おぉぉぉ!
珍しくきちんと纏まった。(本当か?)
核エネルギーってそもそも何よ?
って話をしました。
で、今回はその核エネルギーを引き出す方法についてやろうと思います。
原子核を構成している「核子」のパワー「核エネルギー」。
そいつを引っ張り出すには、早い話が「原子核をぶっ壊す」ことだというわけですが、原子核を直接ぶっ壊すには大きな障害があります。
それが「電磁力」具体的には、原子核に含まれている陽子がプラスの電荷を持っているので、原子核をぶっ壊すために何がしかの素粒子を叩き込んでやろうとすると、その電荷に邪魔されてしまうのです。
まあ、粒子加速器など使用すれば実験室レベルでやることは可能ですが、工業レベルでやろうとすると
http://www.keidanren.or.jp/mutsu/ITER.html
こんなブツが必要になったりするわけです。
もしかすると「原子核を壊してないじゃないか」と突っ込みたい人もいるかも知れませんが、「エネルギーの高い原子核をエネルギーの低い原子核に変換」することで余ったエネルギーを取り出すという原理は基本的にいっしょです。
で、超伝導磁石とかプラズマ制御だとか、んな超絶科学はっきり言ってやってられませんよね?
ところが、前世紀の初めに既に都合のいい存在が発見されていたのです。
「それ」は電荷を持たないので、原子核に簡単に接近することが可能です。
その上、核力の影響だけは受けるので、接近したあと、結構簡単に原子核に吸収されます。
それが今回の主役「中性子」なのです!
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%80%A7%E5%AD%90
そんで、中性子を吸収した原子というのは、陽子の数が増えたわけじゃありませんから、化学的な性質は変化しないままちょっとだけ重くなります。
ただし、原子核の中での核力のバランスはばっちり崩れていますから、たいていの場合放射能を帯びます。
http://spiral_inspiration.at.infoseek.co.jp/ri.html
ちなみに、放射性元素はその種類によって、エネルギーが違うので、成分の判らない「資料X」を一時的に原子炉の中に放り込んで、戻ってきた「資料X」から出てくる放射線のエネルギーを、半導体検出器とかで測る事によって、「資料X」に入っていた元素の構成比を割り出す「放射化分析」という方法があったりします。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/ja3/qa/qa1.html
で、「とくに重たい元素」のケースですと、仲間割れが起こりそうなところをなんとかバランスを保っていたという状況に、「外部からの中性子」というかく乱要因が混ざりこむことで、致命的な結果を引き起こすわけですね。
これが「核分裂」ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E6%A0%B8%E5%88%86%E8%A3%82
そして、重要なことには、核分裂が起こると新たに中性子が発生するという点でです。
有名なウラン235の場合、(ソースにもよりますが)平均すると一回の核分裂で大体2.4個の中性子が出ると言われています。
で、この中性子が全部次のウラン235を分裂させると仮定した場合、二回目の反応で中性子は5.8倍、三回目で14倍・・・ってな具合に「不幸の手紙」よろしく増加していくわけです。
これが「核分裂連鎖反応」です。
ちなみに原爆の場合、大体80回くらいで核物質が全部燃えると言われていますが、それに要する時間はなんと0.8マイクロ秒というきわめて短い時間だったりします。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/losalamos303.htm
ただ、中には「中性子を吸収しても分裂しないやつ」がいたり、「核物質の塊の外へ逃げていく中性子」(こいつが一番問題)があったりで、きちんと条件を整えてやらねばそうそう連鎖反応にはならないものです。
で、その問題をクリアーする一番の近道は「逃げていく中性子」を減らすことですが、そのためにはウランの塊をできるだけ大きくしてやればいい。
球の直径を二倍にすれば、容積が8倍になる一方、表面積は4倍にしかならないので、逃げる中性子はざっと半分になる。
そうして、「逃げてく中性子」と「核分裂で新しくできる中性子」がバランスする核物質の量を「臨界量」というわけです。
原爆を作るにせよ、原子炉を作るにせよ、核物質が臨界量以上無いと、連鎖反応は起こせないのです。
気の利いた小型原爆なんかでは、この臨界量を減らすために、核物質の周りを「中性子を反射する物質」で包むという工夫が為されていたりします。
最近は爆縮方式の改良などもあって、この臨界量はプルトだと(ソースによっては)1キログラム程度で済むそうです。
一方の原子炉では、「中性子を食べてしまう物質」でできた「制御棒」を炉心に出し入れすることによって、「ちょうど臨界量」という状況を維持します。
と、いうわけで、「核技術」とは「中性子を制御する技術」に他ならないのでした。
…おぉ、おぉぉぉ!
珍しくきちんと纏まった。(本当か?)
2007年4月2日月曜日
核物理学講座外伝其の壱~仮想戦記的核武装シュミレーション
えっとですね、このブログで原爆の話をやってるもんですから、ネタ集めの一環としてこんな本を買って読んでみました。
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=07181826
内容としてはまあ、「日本核武装論」という主題についていろんな意見を持った人たちが自説を展開するという形式となっております。
(まあ、平均して「右巻き」っぽい傾向はありますが、左巻きっぽい人たちがこの話題にきちんと触れたがらないのでこれはある意味仕方のないことでしょう)
で、「日本核武装論」については置いておくとして、この本の中でちょっとあんまりなガセビアを披露なさっている方がおられましたので、一応突っ込んでおきたいと思います。
問題の記事は176ページから始まる
「核兵器製造から配備までのシュミレーション」という記事で、筆者は
政軍史研究家・評論家の 天国 太平 となっております。
で、しょっぱなから日本中に有り余っているプルトニウムから核が作れると、”爆縮式ではプルトニウム239の割合が、六%~十%でもなんと爆発するのである。つまり不純物のプルトニウム240が九四%以下ならば、必ず爆発するからだ。”とやっちゃってます。
この人、多分「真夏の危機」って話を知らないんだと思います。
どういう事かというと、原子炉で生産されたプルトニウム239には不純物としてプルトニウム240が入ってます。
が、このプルト240、勝手に核分裂して中性子をぼこぼこ出すので、これで原爆を作ろうとすると、未熟爆発の原因になるんです。
原爆とは基本的に合体したときに臨界量を突破するように作った二つの核物質の半球を、火薬の爆発で合体させると同時に中心部で中性子を発生させてやることで「核分裂連鎖反応」を起こします。
で、プルト240が勝手に中性子を出しまくっていると、二つの半球が合体する前に連鎖反応が始まって爆弾本体を蒸発させちゃうので、核爆発が起こることは起こるのですが、その威力はまともに爆発したときのたかだか十分の一から百分の一程度の「不完全燃焼」になってしまう。
これが「未熟爆発」です。
アメリカで最初の原爆が開発された時、当初はプルトニウムについても広島型と同じ「砲身式」を使用するつもりでしたが、「パイル」で作った「ブツ」にプルト240が思った以上に多く含まれていて、そのままではプルトニウムは原爆に使えそうにないぞ… どーすんだよぉ!!
というお話がこの「真夏の危機」のあらましです。
で、この問題を解決するために開発されたより効率の高い点火方式が「爆縮式」というわけなのです。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
詳細についてはこちらをご参照下さい。
このときに問題となったプルトニウムの濃度はたかだか0.9%です。
「連鎖反応」の引き金となるので、こんな僅かな割合でも大問題となりうるわけです。
因みに、
http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ReneN_P_P1.html
この記事にもありますように、標準的な「兵器用プルトニウム」の組成は
239が94%以上240が6%以下。対して「燃料用」の組成は
339が56.4%で240が23.9%程度であります。
で、一応これでもいたって性能の低いものならば原爆を作ることは可能なのですが、
http://www.nucpal.gr.jp/website/support/plutonium/plutonium_08.html
この記事で指摘されている通り、こういった軽水炉から取れるプルトニウムは兵器用の五倍近い放射能があるので、取り扱いがかなり厄介です。
ところが、 問題の記事を読む限り、天国 太平 氏 はかような問題を引き起こすプルト240を、天然ウランに含まれている「分裂しないウラン238」と一緒に「不純物」とくくって処理してしまっているようなところがあります。
というわけで、まあ日本中にプルトニウムが有り余っているというのは事実なのですが、これが即兵器に転用可能かと言いますと、以上の理由からかなり難しいわけです。
じゃ、どうやれば兵器に転用できるのか?
そのためには何よりもまず質の良いプルト239を確保せにゃなりません。
で、そのためにはウラン燃料をちょびっと炙っては再処理するという方法で燃やしてやらねばならないのです。
日本で発電に使用されている「軽水炉」はそういった運転には不適です。
一方「黒鉛炉」は運転中に燃料棒をとっ替えることが簡単なので、結構簡単に「兵器級プルト」が作れてしまいます。
兵器転用のことで黒鉛炉が問題になるのはこういった事情があるからなのです。
ただし、「溶融塩原子炉」って研究中の新型原子炉があります。
http://msr21.fc2web.com/FUJI.htm
こいつは液体の核物質を再処理しつつ循環させながら燃焼させるので、やりようによっては結構簡単にハイグレードなプルト239を取り出せそうです。
或いは在来型の軽水炉でも一応「中性子源」としての役目は果たせるので、その炉心の中にジルカロイのパイプを通しておいて、そこへ硝酸ウラニルとかの水溶液を還流させる…という方法でもプルト239が確保できそうです。
しかしながら、こういったアプローチを取ったとしても、「今ある燃料用プルト」がすぐ核兵器に転用できるというわけではなく、新しい原子炉を作るか在来型の原子炉を改造するといった手間がかかるので、天国 太平 氏が主張するような「物理的に日本は即座に核武装可能」という主張は、はっきり言って仮想戦記の世界のお話であると結論付けなければならないわけです。
あ、本編の投稿よりはるかに長文化してやがる…
http://www.7andy.jp/books/detail?accd=07181826
内容としてはまあ、「日本核武装論」という主題についていろんな意見を持った人たちが自説を展開するという形式となっております。
(まあ、平均して「右巻き」っぽい傾向はありますが、左巻きっぽい人たちがこの話題にきちんと触れたがらないのでこれはある意味仕方のないことでしょう)
で、「日本核武装論」については置いておくとして、この本の中でちょっとあんまりなガセビアを披露なさっている方がおられましたので、一応突っ込んでおきたいと思います。
問題の記事は176ページから始まる
「核兵器製造から配備までのシュミレーション」という記事で、筆者は
政軍史研究家・評論家の 天国 太平 となっております。
で、しょっぱなから日本中に有り余っているプルトニウムから核が作れると、”爆縮式ではプルトニウム239の割合が、六%~十%でもなんと爆発するのである。つまり不純物のプルトニウム240が九四%以下ならば、必ず爆発するからだ。”とやっちゃってます。
この人、多分「真夏の危機」って話を知らないんだと思います。
どういう事かというと、原子炉で生産されたプルトニウム239には不純物としてプルトニウム240が入ってます。
が、このプルト240、勝手に核分裂して中性子をぼこぼこ出すので、これで原爆を作ろうとすると、未熟爆発の原因になるんです。
原爆とは基本的に合体したときに臨界量を突破するように作った二つの核物質の半球を、火薬の爆発で合体させると同時に中心部で中性子を発生させてやることで「核分裂連鎖反応」を起こします。
で、プルト240が勝手に中性子を出しまくっていると、二つの半球が合体する前に連鎖反応が始まって爆弾本体を蒸発させちゃうので、核爆発が起こることは起こるのですが、その威力はまともに爆発したときのたかだか十分の一から百分の一程度の「不完全燃焼」になってしまう。
これが「未熟爆発」です。
アメリカで最初の原爆が開発された時、当初はプルトニウムについても広島型と同じ「砲身式」を使用するつもりでしたが、「パイル」で作った「ブツ」にプルト240が思った以上に多く含まれていて、そのままではプルトニウムは原爆に使えそうにないぞ… どーすんだよぉ!!
というお話がこの「真夏の危機」のあらましです。
で、この問題を解決するために開発されたより効率の高い点火方式が「爆縮式」というわけなのです。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
詳細についてはこちらをご参照下さい。
このときに問題となったプルトニウムの濃度はたかだか0.9%です。
「連鎖反応」の引き金となるので、こんな僅かな割合でも大問題となりうるわけです。
因みに、
http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ReneN_P_P1.html
この記事にもありますように、標準的な「兵器用プルトニウム」の組成は
239が94%以上240が6%以下。対して「燃料用」の組成は
339が56.4%で240が23.9%程度であります。
で、一応これでもいたって性能の低いものならば原爆を作ることは可能なのですが、
http://www.nucpal.gr.jp/website/support/plutonium/plutonium_08.html
この記事で指摘されている通り、こういった軽水炉から取れるプルトニウムは兵器用の五倍近い放射能があるので、取り扱いがかなり厄介です。
ところが、 問題の記事を読む限り、天国 太平 氏 はかような問題を引き起こすプルト240を、天然ウランに含まれている「分裂しないウラン238」と一緒に「不純物」とくくって処理してしまっているようなところがあります。
というわけで、まあ日本中にプルトニウムが有り余っているというのは事実なのですが、これが即兵器に転用可能かと言いますと、以上の理由からかなり難しいわけです。
じゃ、どうやれば兵器に転用できるのか?
そのためには何よりもまず質の良いプルト239を確保せにゃなりません。
で、そのためにはウラン燃料をちょびっと炙っては再処理するという方法で燃やしてやらねばならないのです。
日本で発電に使用されている「軽水炉」はそういった運転には不適です。
一方「黒鉛炉」は運転中に燃料棒をとっ替えることが簡単なので、結構簡単に「兵器級プルト」が作れてしまいます。
兵器転用のことで黒鉛炉が問題になるのはこういった事情があるからなのです。
ただし、「溶融塩原子炉」って研究中の新型原子炉があります。
http://msr21.fc2web.com/FUJI.htm
こいつは液体の核物質を再処理しつつ循環させながら燃焼させるので、やりようによっては結構簡単にハイグレードなプルト239を取り出せそうです。
或いは在来型の軽水炉でも一応「中性子源」としての役目は果たせるので、その炉心の中にジルカロイのパイプを通しておいて、そこへ硝酸ウラニルとかの水溶液を還流させる…という方法でもプルト239が確保できそうです。
しかしながら、こういったアプローチを取ったとしても、「今ある燃料用プルト」がすぐ核兵器に転用できるというわけではなく、新しい原子炉を作るか在来型の原子炉を改造するといった手間がかかるので、天国 太平 氏が主張するような「物理的に日本は即座に核武装可能」という主張は、はっきり言って仮想戦記の世界のお話であると結論付けなければならないわけです。
あ、本編の投稿よりはるかに長文化してやがる…
2007年3月26日月曜日
たのしい核物理学講座その2~ご多分に漏れず矢鱈つまらない話
さてさて、本題に入る前にまず
「核」という単語をきちんと定義
しておいた方がいいと思います。
だから今回は題名の通り面白くも何ともない記事になるとは思いますが、何卒ご容赦を。
だって核兵器とダーティボムの違いが判らない人とか本当にいちゃうんだもん!
それでは奥様、こちらの資料をお読み下さい。
http://cherun.dyndns.org/cherun/no01/01add.html
基本的に高校レベルの内容なんで、少し努力すれば文系の子にもご理解頂けるかと思います。
例によってぶっちゃけますと、原子ってやつはプラスの電荷を帯びた原子核の周りをマイナスの電荷を帯びた電子がぴゅんぴゅん飛び回っています。
そして原子核はプラスの電荷を帯びた陽子と電荷のない中性子がそれぞれいくつか集まってできてます。
当然プラスの電荷とマイナスの電荷は引っ張り合いますから、この電子は基本的にそう遠くへ行ったりはしません。
そして原子は外界に対して電気的に中性の状態を保とうとするので、原子核の中の陽子と、原子核の周りをほっつき歩いてる電子の数は基本的に同じです。
ただし、近くに別の原子がやってくると、一番外側の電子はお隣さんとの間を行ったり来たりするようになるので、この二つの原子は問題の電子でもってお互いにテキトーな距離を保ってくっつくことになります。
こいつが「化学結合」ってやつです。
しかしながら、今回お話しするのは化学結合のことではありません。プラスの電荷をもった「原子核」のことです。
…おかしいとは思いませんか?
プラスの電荷を持った陽子は同じプラスの電荷を持った陽子とはお互いに反発する筈です。
ならば、原子核がたった一個の陽子でできている「水素」はともかく、その他の種類の元素の原子核はその反発力でそれこそ芸術的にバクハツするはずです。
それを妨げているのが今回の主役「核力」です。
http://www2.kutl.kyushu-u.ac.jp/seminar/MicroWorld3/3Part3/3P32/nuclear_force.htm
原子核の中で陽子と中性子は大体電子の200倍くらいの重さがある「π中間子」というものをやり取りすることで固く結びついています。
ただし、完全にカチンコチンかというと、意外とそうでもなくて、陽子も中性子も原子核の中心にある「核力の重心」とでもいうべき部分の周りを(まあ、素粒子という意味では同じようなものですから)電子みたいにぴゅんぴゅん飛んでます。
このため、化学的に安定な「希ガス元素」というものがあるのと同じく、核物理的にも安定な「マジックナンバー核種」ってものがあったりします。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2002/020404/index.html
(これはちょっと理系向けのマニアックな資料ですけどね)
で、原子核の中で電気的な結合力よりはるかに強い核力にふんじばられながらも陽子や中性子は元気にぴゅんぴゅん飛んでるわけです。
そんな原子核を、どうにかしてぶっ壊せば、こいつらはアリエネエ勢いで散り散りばらばらにすっ飛んでいくことになりますよね?
このすっ飛ぶ勢いが核のエネルギーであるわけです。
そのパワーたるや、電気的な力に基づく「化学エネルギー」の百万倍とも一億倍とも言われます。ここに「エネルギー密度が高い」という核の特徴が現れるわけです。
ただし、フツーに見かけるそこいら辺の物質は原子核がそのめちゃめちゃつよい核力できっちりと結合しているので、並大抵な手段でぶっ壊すことはほとんど不可能です。
まあ、粒子加速器を使って発生させた中間子を叩っ込めばそうでもありませんが。
しかしながら、そこで懲りないのが人類という生き物です。
つまり「壊れやすい物質を探せばいい」と。
実際、核の中で陽子と中性子の数がバランス取れてなかったり、或いはあんまり大所帯で陽子が多すぎたりといった理由によって不安定な状態にある原子核は、そのストレスから自分の身内を追い出してしまうことがあります。
で、やっぱり追い出された素粒子はアリエネエ速さでかっ飛んでいきます。
私たちはこのような原子核を持った物質を「放射性物質」というわけです。
なかでも酷いのが「アクチノイド元素」というとてもとても重たい元素の一群です。
普通の放射性物質はある程度の法則性に従って自分の身内を村八分する程度ですが、この「アクチノイド元素」は時々激しい抗争の末、真っ二つに割れてしまいます。これを「核分裂」というわけです。
ただ、核分裂の発見は最初からそれが目的だったわけではありませんが。
…どうですか?益々判らなくなったでしょう。
本格的なホームページでもないブログで物事の説明をするなんてこんなもんです。
「核」という単語をきちんと定義
しておいた方がいいと思います。
だから今回は題名の通り面白くも何ともない記事になるとは思いますが、何卒ご容赦を。
だって核兵器とダーティボムの違いが判らない人とか本当にいちゃうんだもん!
それでは奥様、こちらの資料をお読み下さい。
http://cherun.dyndns.org/cherun/no01/01add.html
基本的に高校レベルの内容なんで、少し努力すれば文系の子にもご理解頂けるかと思います。
例によってぶっちゃけますと、原子ってやつはプラスの電荷を帯びた原子核の周りをマイナスの電荷を帯びた電子がぴゅんぴゅん飛び回っています。
そして原子核はプラスの電荷を帯びた陽子と電荷のない中性子がそれぞれいくつか集まってできてます。
当然プラスの電荷とマイナスの電荷は引っ張り合いますから、この電子は基本的にそう遠くへ行ったりはしません。
そして原子は外界に対して電気的に中性の状態を保とうとするので、原子核の中の陽子と、原子核の周りをほっつき歩いてる電子の数は基本的に同じです。
ただし、近くに別の原子がやってくると、一番外側の電子はお隣さんとの間を行ったり来たりするようになるので、この二つの原子は問題の電子でもってお互いにテキトーな距離を保ってくっつくことになります。
こいつが「化学結合」ってやつです。
しかしながら、今回お話しするのは化学結合のことではありません。プラスの電荷をもった「原子核」のことです。
…おかしいとは思いませんか?
プラスの電荷を持った陽子は同じプラスの電荷を持った陽子とはお互いに反発する筈です。
ならば、原子核がたった一個の陽子でできている「水素」はともかく、その他の種類の元素の原子核はその反発力でそれこそ芸術的にバクハツするはずです。
それを妨げているのが今回の主役「核力」です。
http://www2.kutl.kyushu-u.ac.jp/seminar/MicroWorld3/3Part3/3P32/nuclear_force.htm
原子核の中で陽子と中性子は大体電子の200倍くらいの重さがある「π中間子」というものをやり取りすることで固く結びついています。
ただし、完全にカチンコチンかというと、意外とそうでもなくて、陽子も中性子も原子核の中心にある「核力の重心」とでもいうべき部分の周りを(まあ、素粒子という意味では同じようなものですから)電子みたいにぴゅんぴゅん飛んでます。
このため、化学的に安定な「希ガス元素」というものがあるのと同じく、核物理的にも安定な「マジックナンバー核種」ってものがあったりします。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2002/020404/index.html
(これはちょっと理系向けのマニアックな資料ですけどね)
で、原子核の中で電気的な結合力よりはるかに強い核力にふんじばられながらも陽子や中性子は元気にぴゅんぴゅん飛んでるわけです。
そんな原子核を、どうにかしてぶっ壊せば、こいつらはアリエネエ勢いで散り散りばらばらにすっ飛んでいくことになりますよね?
このすっ飛ぶ勢いが核のエネルギーであるわけです。
そのパワーたるや、電気的な力に基づく「化学エネルギー」の百万倍とも一億倍とも言われます。ここに「エネルギー密度が高い」という核の特徴が現れるわけです。
ただし、フツーに見かけるそこいら辺の物質は原子核がそのめちゃめちゃつよい核力できっちりと結合しているので、並大抵な手段でぶっ壊すことはほとんど不可能です。
まあ、粒子加速器を使って発生させた中間子を叩っ込めばそうでもありませんが。
しかしながら、そこで懲りないのが人類という生き物です。
つまり「壊れやすい物質を探せばいい」と。
実際、核の中で陽子と中性子の数がバランス取れてなかったり、或いはあんまり大所帯で陽子が多すぎたりといった理由によって不安定な状態にある原子核は、そのストレスから自分の身内を追い出してしまうことがあります。
で、やっぱり追い出された素粒子はアリエネエ速さでかっ飛んでいきます。
私たちはこのような原子核を持った物質を「放射性物質」というわけです。
なかでも酷いのが「アクチノイド元素」というとてもとても重たい元素の一群です。
普通の放射性物質はある程度の法則性に従って自分の身内を村八分する程度ですが、この「アクチノイド元素」は時々激しい抗争の末、真っ二つに割れてしまいます。これを「核分裂」というわけです。
ただ、核分裂の発見は最初からそれが目的だったわけではありませんが。
…どうですか?益々判らなくなったでしょう。
本格的なホームページでもないブログで物事の説明をするなんてこんなもんです。
2007年3月19日月曜日
たのしい核物理学講座その1~鉄板とカリホルニウムとマイクロニューク
林信吾祭りはまだ賑わっているようです。
http://obiekt.seesaa.net/article/36100514.html
最早何が何なのやら…
で、問題の「反戦軍事学」とかゆーすんばらしい本は未だに入手しておらんので、 (辺境ゆえの物流の問題か、それともけっこうアカイ方であるわが県の文壇に於いてすら残念な人の書いたネタ本と認識されてるのか)
関連記事を書くこともできましぇーん!
このままだと、このブログではあの愉快な「逝け面闘士」と対面することは金輪際無さそうですが、かと言って何も書かないというのもアレなんで、ちょっと前にに新書店で読んで吹きそうになった本からネタを拾ってくることに致します。
副官 :「艦長、超兵器『鉄板原爆』接近であります!!」
http://www.goma-books.com/archives/2006/07/post_482.html
ハインフェッツ:「ちっ、ダーティボムかよ。」
副官 :「いや、原ば…」
ハインフェッツ:「貴様、士官学校に逆戻りしたいのか?」
なんてコントをやってても理系でない人にはかなり判り辛いと思います。
問題の本の内容にしても、問題作というのは明らかに誇大広告で、実質的にはいかにも正義や平和といった単語を軽々に使うような人たちが好きそうなものでして…
ただし、「なるようになるさ」という連中に任せておいたらこの国は悲惨なことになるというメッセージはとおぉぉーくから聞こえてきます。
…というような書評も文系の人達に丸投げしときましょう。
(それはそれで恐ろしい事になりそうな気もするんだが)
で、ここまで駄文を連ねた挙句、小官が何を言いたかったのかと申し上げますと、この本に出てくる「鉄板原爆」なる兵器について考証しようってわけです。
問題の本には
「テロリストがどこにでも仕掛けられる超小型原爆」
としてこの未来兵器が登場するわけですが、内容を読んだ限りでは
・チタン板の中に放射状のトンネルが彫ってある
・その中には兵器級ウランのパチンコ玉と高性能爆薬が仕込まれている
という仕組みで、雷管に電気を流すと、ウランのパチンコ玉はトンネルの中央部で「ごっつんこ」して臨界量を突破し、ボンバイエする… ってなシロモノらしいです。
アホか?核物理学なめんじゃねぇ!!
…とかキレてもいっかな話が進まないので、それでは
「具体的にウランをどーすりゃボンバイエできるのよ」
といったあたりからはじめようと思います。
さあ、「たのしい核物理学講座」の始まり始まり~ パチパチパチ
(こういう題名の本に限ってたいてい分厚いだけでクソ面白くもありません)
まーね、最新のニュースでは
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703051748
こんなのがあって、その中身は
http://www.gensuikin.org/gnskn_nws/0405_2.htm
多分こんなものだろうなんて話もしながら、いいかげん長くなったので今日は予告編だけにしておきましょう。
ま、気長に付き合って下さい。
http://obiekt.seesaa.net/article/36100514.html
最早何が何なのやら…
で、問題の「反戦軍事学」とかゆーすんばらしい本は未だに入手しておらんので、 (辺境ゆえの物流の問題か、それともけっこうアカイ方であるわが県の文壇に於いてすら残念な人の書いたネタ本と認識されてるのか)
関連記事を書くこともできましぇーん!
このままだと、このブログではあの愉快な「逝け面闘士」と対面することは金輪際無さそうですが、かと言って何も書かないというのもアレなんで、ちょっと前にに新書店で読んで吹きそうになった本からネタを拾ってくることに致します。
副官 :「艦長、超兵器『鉄板原爆』接近であります!!」
http://www.goma-books.com/archives/2006/07/post_482.html
ハインフェッツ:「ちっ、ダーティボムかよ。」
副官 :「いや、原ば…」
ハインフェッツ:「貴様、士官学校に逆戻りしたいのか?」
なんてコントをやってても理系でない人にはかなり判り辛いと思います。
問題の本の内容にしても、問題作というのは明らかに誇大広告で、実質的にはいかにも正義や平和といった単語を軽々に使うような人たちが好きそうなものでして…
ただし、「なるようになるさ」という連中に任せておいたらこの国は悲惨なことになるというメッセージはとおぉぉーくから聞こえてきます。
…というような書評も文系の人達に丸投げしときましょう。
(それはそれで恐ろしい事になりそうな気もするんだが)
で、ここまで駄文を連ねた挙句、小官が何を言いたかったのかと申し上げますと、この本に出てくる「鉄板原爆」なる兵器について考証しようってわけです。
問題の本には
「テロリストがどこにでも仕掛けられる超小型原爆」
としてこの未来兵器が登場するわけですが、内容を読んだ限りでは
・チタン板の中に放射状のトンネルが彫ってある
・その中には兵器級ウランのパチンコ玉と高性能爆薬が仕込まれている
という仕組みで、雷管に電気を流すと、ウランのパチンコ玉はトンネルの中央部で「ごっつんこ」して臨界量を突破し、ボンバイエする… ってなシロモノらしいです。
アホか?核物理学なめんじゃねぇ!!
…とかキレてもいっかな話が進まないので、それでは
「具体的にウランをどーすりゃボンバイエできるのよ」
といったあたりからはじめようと思います。
さあ、「たのしい核物理学講座」の始まり始まり~ パチパチパチ
(こういう題名の本に限ってたいてい分厚いだけでクソ面白くもありません)
まーね、最新のニュースでは
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703051748
こんなのがあって、その中身は
http://www.gensuikin.org/gnskn_nws/0405_2.htm
多分こんなものだろうなんて話もしながら、いいかげん長くなったので今日は予告編だけにしておきましょう。
ま、気長に付き合って下さい。
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