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2008年10月29日水曜日

純粋水爆実現の可能性

先々週くらいですか…書店でみかけた「軍事研究」にちょっと面白い記事が載ってたので、去る週末本屋さんへ行ったのですが、うちの近所には無かったのでけっこう遠出してどうにか手に入れました。

 ところがどっこい、目を通してみたものの問題の記事が無い。
で、帰りに近所の本屋で別の雑誌を調べてみたところ、果たせるかな「丸」に載ってました…

ま、いいです。
「軍事研究」にもXP-1とかグリペンとか整形炸薬弾とか勉強になる話が載ってましたので。


で、問題の記事ですが…
「丸」の150ページにあるニューウェポン・クローズアップという
コーナーの「ハフニウムγ線爆弾」ですね。
この記事の内容は、基本的に2003年にとある筋から出てきた話をなぞったものみたいです。

ぶっちゃけどういう話かと言うと、例えばテキトーな原子にテキトーな波長の光(もしくはそれ以外のエネルギーなど)を吸収させてやると、原子核の廻りを回っていた電子が運動エネルギーを上乗せされて一時的にエネルギー準位の高い軌道へ移り、原子自体が「励起状態」というのになるわけなんですが、これは原子核を構成する核子にも当てはまる話で、この話の場合だとハフニウム原子核の励起状態であるHf178m2というモノが兵器として使えますよって話です。

では具体的にどういう兵器として使えるのかと言うと、ハフニウムは1グラムあたりTNT50キログラム相当のエネルギーを溜め込む能力があり、エネルギーを溜め込んで励起状態となったHf178m2
に90kev程度のX線を当ててやれば一瞬でそのエネルギーのほとんどがγ線として放出されるので、従来の核分裂連鎖反応を一切使う事無く中性子爆弾じみた放射線爆弾が出来ますよって事です。

しかも核分裂を使用する従来型の核兵器の場合、どんなに
「わーい兵器級プルトを手に入れたぞー♪」
とやったところで、それが臨界量以上ないと爆弾一発作れないわけなんですが、ハフニウムにはそういう制限は無い。
(ただし、あんま大量のHf178m2を一カ所に集めとくと
 宇宙線や自然崩壊のγ線で勝手にドカンと逝くかも)

また、従来型水爆は原爆が爆発する時に発生する大量のγ線を利用して核融合燃料に点火する仕掛けになってるのですが、この爆弾も大量のγ線を出すので、設計次第では俗に言う「純粋水爆」の実現にも使えそうだぞってお話です。

でまあ、大本の2003年の記事によると五年以内に供給できるようになるとかいう話がある一方で、実験によって確認されたエネルギーはあんま大きくないので兵器としての実用性には疑問があるという見方もあったりという感じになっています。

…ただ、このあと今回の「丸」の記事まで続報が入ってきた様子が無い上に、今回の記事にも目新しい情報が入ってないのです。

これは研究が頓挫したか、それとも機密指定されちゃったか…

まあ、実用化されるとしても数十年先って話でしょうが、SFのネタなんかとしては面白そうではあります。
なんてったってN-ジャマーが開発されるより先にN-ジャマーの効かない核兵器が実用化できそうだって話ですからね。

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