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2011年5月11日水曜日

ビルゲイツ肝入りのアレについて

 マイクロソフトで財を成したビルゲイツ氏がTWRなる新型原子炉の開発に出資している事は知ってる人は知っている事ですが。
この度、福島の件に対する彼の見解が示されたようです。

ただ、小官はこの技術に関しては懐疑的な立場を示すものであります。

というのも、核分裂で発生した中性子をウラン238に吸収させて核燃料であるプルトニウム239を新たに作り出すというのは高速増殖炉と同じ原理で、進行波炉の場合は反応帯の移動を利用してメンテナンスのコストを最小化しようという着想なわけなんですが。

…技術的に基本となる高速増殖炉が今のところ頓挫してるんだよね。

また、高速増殖炉の場合は炉心から四方八方に飛び散る中性子をウラン製のブランケットで受けてプルトニウムを作るのですが、進行波炉の場合だと、ウラン238の反対側には燃えカスの核分裂片が残っている。

プルトニウムの核分裂では平均2.9個の中性子が出ると言われているのですが、ウランをプルトニウムにするのに一個。
そしてそのプルトニウムを燃やすのに更に一個必要なわけですから、
高速増殖炉なら多少中性子を無駄にしても成立するかもしれませんが、進行波炉のように反応帯から中性子のおよそ半分が燃えカスの側へ逃げてしまう構造だと、"少なくとも単純計算では"どうも原理的に原子炉として成立しないような気がするんですよね。

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