カラー電子ペーパーが出たんで、話題になってるみたいですね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news069.html
一方、小官といえば、この一週間何も無い平穏な日々でした…と言ったらウソになりますね。
きっかけは例によってレム睡眠の最中に受信したデムパを「上位世界からの託宣」ということにして、「大人の科学」の「紙フィルム映写機」ってやつを買いに本屋へ行ったことです。
http://otonanokagaku.net/next/index.html
そしたら、何かの教材でしょうか。変な吹き替え版のDVDが流れてて、
ポパイが琉球語しゃべってた。
(「琉球語」は「うちなーぐち」と読んでください。どうもかっこよく書けないので。)
で、これらとは関係の無い「趣味の本」を読んでたら、
F-Xの記事の末尾に「次次期F-Xにコレはどうだ?」という煽り文句で
ストラマが載ってた。
しかし、これらのトピックスをいちいち扱っていたのでは、鉄板原爆の腱鞘炎…もとい検証編がぜんぜん進まないので、中性子の話もしたことだし、早速原爆の話を始めたいと思います。
そういえばあの妄想マルチロール戦闘機も核を搭載する予定だそうですね。
…というわけで、はい。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
同じものを何度も貼り付けるようですが、これが原爆の基本であり、素人向けの教科書といっても差し支えないものですから、ご容赦を。
日本人にとって非常に馴染み深いこの二発の原爆ですが、(最近は知らない莫迦も蔓延していると聞きます、小官の受けた教育に感謝。ただ、講師は皆反戦左翼でしたが。)広島型の場合、64キログラムのウラン235が使用され、長崎型には6.2キログラムのプルトニウム239が使用されたという情報が読み取れるかと思います。
これらの情報に追加させて頂くならば、この砲身式と爆縮式という二通りの原爆のうち、以後のメインストリームとなってゆくのは長崎型であるプルトニウム爆縮式でありました。
その理由はまあ、だいたい二つだと思います。
第一にプルトニウムは確保が容易であったということ。
天然ウランに必要な同位体であるウラン235は0.7%しか入っていません。
これを濃縮するのはえらいことです。
一方、黒鉛炉などに天然ウランを放り込んで何ヶ月か燃やしてやると、中性子のために燃料の中にプルトニウムができてきます。とても簡単で、しかも省資源です。
第二にプルトニウムは臨界量が小さいということ。
先にあげた資料からも読み取れる通り、プルトニウム原爆だと、核物質の量は少なくて済みます。
要するにプルトニウムの方が燃えやすいのですが、それは爆弾本体の小型化に直接関わってきます。このファクターは兵器として発展の余地が大きいことを示します。
かわぐちかいじの仮想戦記漫画「ジパング」では、和製原爆があまりにも大型化してしまったために、輸送手段として戦艦大和を使用するくだりがありますが、まさにその問題があるわけです。
ただし、プルトニウムに問題が無いわけじゃありません。
それは何度も言ってるように、プルト240の自発核分裂の問題です。
原爆の点火シークエンスというのは基本的に、火薬なり何なりを使って核物質を物理的に合体なり圧縮なりして、
「臨界量を突破したところへある程度まとまった数の中性子を放り込む」
というものです。
ウランの場合、砲身式でも確実に爆発させることができました。
ただ、資料を見るとやはり自発核分裂によって発生する中性子のリスクを回避するためか、タンパーには劣化ウランではなく炭化タングステンが使われていたみたいですが。
一方プルトニウムは最初から自発分裂の問題を回避することが無理でした。
この自発分裂によって核物質の中に最初から中性子が沢山存在すると、臨界に達する前にくすぶってプスプスやり始め、臨界をちょっと突破したあたりで核物質はプラズマ化して爆弾を蒸発させてしまう「未熟爆発」が起こります。
これは面白くないです。そもそも「核物質の臨界」というのは、
「連鎖反応を繰り返しても中性子が減らない」という条件のことです。
この一線をはるかに飛び越えて、
「もしも中性子が来たらバコバコ増えまくりますよ」
という「超臨界」になったところへすかさずまとまった数の中性子を放り込まないと爆発とは言えるような現象は発生しないでしょう。
ところが、プルトで砲身式をやると、自身の中性子が原因で「砲弾」が「目標」と合体するまでの0.5ミリ秒の間にこの「未熟爆発」が起こる危険性がありました。
そこで、臨界量をちょっと切るくらいのプルトニウム球に爆薬を使って数千気圧の「球形の衝撃波」を浴びせ、圧縮することで超臨界にしてやろうという爆縮型が生み出されたわけです。
例えば、あるプルトニウム球を爆縮して直径を半分にしてやると、原子の数は変化しないまま表面積は四分の一になります。
つまり単位質量あたり逃げてゆく中性子の数が四分の一になるわけです。
圧縮しなかったとすると、球の直径を四倍…つまり64倍の重さの球を作ったのと同じことになります。
…まあ、これは極端な計算ですが、爆縮方式がいかにすばやく効率的に超臨界を達成できるか、これでご理解いただけるかと思います。
ちなみに現在ではプルトニウム239では4キログラム、ウラン235では15キログラムほどあれば原爆に仕立て上げることは可能で、材料のグレードと、爆縮技術のレベルなどにもよりますが、最低2~1キログラムのプルトニウムがあれば原爆にできるとも言われています。(ただし、最高の技術と材料をこれでもかとばかりにつぎ込んだ場合の話)
なんか疲れましたが、たぶん次回で「原爆の小型化」から鉄板原爆の検証に入れると思います。
乞うご期待…という事にしといて下さい。
1 件のコメント:
一般的に言われているウランの臨界量について結構長期間ほうりっ放しになってた誤りがありましたので訂正しておきます。
× 16キログラム
○ 15キログラム
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