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2007年6月30日土曜日

電波解析レポート〜「まもなく宇宙人が到着します」第五章

さて、第五章をやりたいのですが、ここはめちゃ政治の話なので、サイエンティフィックな突っ込みをかましたい小官にとってはちょっとアレであります。

なので内容の概説と常識的な突っ込みから。
まず、レオ・ワンタというアメリカ財務省の工作員の方がいて、レーガン時代にルーブルを操作し、ベルリンの壁を崩壊させ、ソビエト連邦を解体へ誘導したのだと。
その時発生した三千兆円近い資本をレーガンは国際的な支援活動に供するため信託基金を作ってそこへ入れておくように支持したと。

ところが、その資本がパパブッシュ、クリントン、現ブッシュと三代の大統領を経るうちに全て消滅した。
なぜならば、この三人の大統領はいずれも人類を秘密裏に独裁支配している秘密結社「イルミナティ」のメンバーであり、その組織を維持するためにこのワンタ資金は横領され、関係するイスラエルの銀行ネットワークに流れていたのだと。
で、ワンタ資金はアメリカ国民のものであるとの裁定が2003年度に下っており、アメリカ国内で使われた分に関してはともかく、イスラエルに流れていた件に関しては問題だという事で、この事件に関わった人々をどんどん捕まえていっていると。
今はブッシュ大統領とチェイニー副大統領を弾劾裁判にかける事が企画されており、この七月にはイギリスのブレア首相もやめることになる。
当然アメリカべったりの日本にも影響がある。
ってな話です。

で、つかみの部分で2007年2月にチェイニーが来日したのは、ワンタ資金関連で五百兆円をアメリカ財務省に返さないとタイーホとなるので、日本へカネの無心に来たのだと言ってます。
しかし判らんのはこのワンタ資金ってやつです。
「皆さんの中には、もう数十年前の話だから、もう洩れ伝わっていて、知っているかもしれませんが、ワンタ資金というのを聞いたことがありますか。」
とありますが、少なくとも小官は聞いた事がありません。
小学生の時に平成が始まったので、ベルリンの壁崩壊もニュースで見た記憶があるのですが、やっぱり初耳です。
で、アメリカ連邦裁判ではワンタ資金の正当な所有者はアメリカ国民であるとの裁定が下ったとの事なのですが、ソビエトを崩壊させて得た資本ならば、常識的に考えてこれはかつての東側諸国からかっぱらったものだとは考えられないでしょうか。小官も寒空のもと、あらかた商品の消え失せた食料品店に長蛇の列を作って並ぶ灰色の人達のニュース映像を目にした事があります。
その後、モスクワにマクドナルドが出来たときの取材映像も。
更に、アメリカ国内で使われた分はともかく、イスラエルに流れていたことが問題だと言われているようですが、んな事を理由に政治家をとっ捕まえる事ができるのなら、GDPで日本を追い抜いたと言いつつも日本から貰ったカネで軍拡という「平和国家日本」の理念に反するような事をやっている国へ国民から徴収した税金を流して続けている連中は、みなブタ箱へ入らねばならぬ筈です。

だいたいお金ってのは額面が大きい場合など特にその傾向が強いのですが、きちんと運用しなければそれこそ蜃気楼のように消え去る物なのです。
ましてや大きな国ってのは政府の内部で常に天文学的な量のカネが動いていますから、いくら三千兆円が消えて無くなったとは言っても、これはワンタ資金の一時預け先として設立された信託基金「アメラリスト・グループ」の経営に問題があったと考えるのが妥当でしょう。

なによりも、本章はイルミナティ陰謀論の色彩が強いのですが、実際に書店に赴いてイルミナティについて書かれた書物を立ち読みしてみたところ、その内容の大半は世界的に成功している人々を名指しで引っぱって来て、その母方の曾祖父にユダヤ人がいるというような事をスキャンダルとリンクさせて述べている…といった感じのもので、これは立派なレーシズムです。
小官も少々驚いたのですが、こういった
「自分たちが成功できないのは、才能が無いからではない。悪の秘密結社によって正当な競争の機会を奪われているからだ」という主張が行間から透けて見えるような本を引用してこの「まもなく宇宙人が到着します」という本は書かれていたのです。
本書の著者の方は、このお花畑ビジョンがじつは「国家社会主義ドイツ労働党」の主張していた事と大して変わらないという点に気付いているのか?
おそらく気付いてはおられないでしょう。
そこへ持って来て宇宙人とかオアカルティズムとか出てくると、ナチについて「紺碧の艦隊レベル」の知識しか持っていない方でも容易にその香ばしさを感じ取れる筈ですが…義務教育でしか社会科を学んでいない人は苦もなくダマされるといったところなのでありましょう。

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