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2013年11月13日水曜日

LNT仮説というものについて説明

 前回のグラボ不調の件ですが、デルのサイトからBIOSアップデート落とす前にグラボのドライバソフト削除したところ、PCが勝手にドライバを再設定してぬるぬる動きはじめました。
・・・今までの苦労は一体何だったんだ。

今週はジェット機男が富士山に来たなんて事もありましたが、件のアホに続いてなんと小泉元総理が反原発過激派を始めたようなのでここいらでもう一度放射線についての話でもやりましょう。
・・・まあ、人間は好奇心強いから放射性廃棄物埋めておいたら何語で警告しておいても必ず掘り出して被曝するに違いない云々と明らかに誰かさんからの受け売りと思しき極論を展開している時点で怪しさ大爆発なんですけど。

 まず、一般的に環境中に放射性物質がまき散らされた結果人間が被ばくするというようなケースに関してリスクを見積もる際、現在一般的に用いられてるのはLNT仮説ってもんです。

これは端的に言ってしまえば、一年以内に浴びた放射線量の積算値を何も数字を弄らずに発がんリスクに上乗せしようというきわめてシンプルな仮説です。
勿論被ばく量は少ないに越したことは無い。

で、これに対して年間100ミリシーベルト以下の被ばく量に関して

・リスクが小さすぎるので考えても意味が無い”だからリスクは無い事にしよう”(閾値あり仮説)

・統計を取ってみたらLNTより被ばく量当たりのリスクが増えてる事例があるので、”他の事例は無視して”微量放射線には人知では計り知れない害があると結論付けよう(反原発過激派)

・統計を取ってみたら逆にリスクが減った事例も確認されるので、ある程度の放射線は”むしろ人体に有益と考えよう”(ホルミシス仮説)

・・・といった派閥が出来てギャーギャー喚いており、その一方でお役所や多少なりともマトモな知識を持った一般人は低線量にもLNTをそのまんま適用する閾値なし仮説に足場を置くといった感じになっております。

 で、何故にこういう事になってしまうのかと申しますとそれはLNT仮説自体の内容によります。
小学生レベルの算数ができれば判る話ですが、主に広島や長崎の被爆者などを調べた結果から1シーベルト被ばくしたグループでは発がん率が5%増えたので、その十分の一に当たる100ミリシーベルトを被ばくしたなら0.5%増えるものと見做そう。
・・・この大雑把な見積もりがLNT仮説の大元です。
で、その後の統計調査でも被ばくによる余剰発がんリスクなどはだいたいこの仮説を元に設定された線を中心に分布する傾向を見せていることから、これは大雑把ではあるけどまあまあ正しい見積もりだろうねというのが大方の見方です。

 では、何故件のような派閥が出来てギャーギャー喚く事になっているのかと言えば、それはアンケートを取った事のある人なら容易に想像できる事でしょう。
1シーベルトの被ばくで余剰発がんリスクが5%という事は、天然の放射性物質すら存在しない環境で平均100人発がんするグループに1シーベルト浴びせると期待値上105人が発がんするだろうと見込めるという意味です。
従ってその十分の一の100ミリシーベルトだと、0.5人。
当然の事ながら、こんな小数点以下に隠れてしまうような数字では統計を取ったその時々で変動する数人程度の誤差に埋没してしまい、よっぽど母集団が大きくない限り正確な見積もりは事実上不可能になってしまうわけです。

言い方を変えるなら、LNT仮説に従うと年間100ミリシーベルトを被ばくする地域で放射線のためにガンに罹った人が1人居ると、その背後には放射線があろうが無かろうが関係なく発がんした人が200人居るので誰がそうなのか見分ける事ができない。
・・・だけど放射線のほとんど存在しない地域や逆に500ミリシーベルトあるような地域などと発がん率の平均値を比較するとだいたいLNT仮説の想定する線上に乗るので、201人のガン患者のうちまあ1人は放射線の影響でしょうねとは言えるというレベルの話であるわけです。

 で、福島が今どの程度ヤバいかと言うとこれは今現在リアルタイムの値が公開されていますね。

凡例では線量が一時間当たりのマイクロシーベルトで示されているので、これを年間の数字に直すには24時間×365日の8760時間を掛ければいいわけです。
つまり深緑の地点で年間8.8ミリ、黄色の地点で26.3ミリシーベルトです。
今までに述べた年間100ミリシーベルトあっても本来200人の筈のがん患者が201人に増える程度という疫学上の知見を予備知識としてこの地図を眺めてみると、風評被害というものがいかに被災地の復興を妨げ、香具師の増長を促しているかという事がよく判ります。


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