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2009年2月15日日曜日

反地球の地誌について

 らばQにこういうネタがありましたので、ちょいと悪乗りしてこの「反地球」の地誌について考察してみようと思います。
…ネタ自体としてはかなり昔からあるんですが。

 反地球は太陽から約1億5000万キロメートル離れた軌道を公転する半径6300キロメートル程の惑星である。
改めて説明するまでもない事だが、反地球は地球から見て常に太陽の反対側に位置するように動いているため、地球からこれを直接観測する事はできない。
NASAはこの反地球の存在を隠蔽しているが、わずかに漏洩した情報から一部の人間には「惑星ヤハウェ」の名で知られている。

反地球は地表のおよそ七割を陸地が占める大陸惑星で、地図からも容易に判るように海洋は地球のそれより面積が小さく、しかも大陸間に掛かった陸橋によって分断されている。

…この事実は反地球の環境が地球より幾分過ごし辛いものである事を物語っている。

地球の場合、北極海で冷却された海水が海洋の深層へ沈降する働きによって、「熱塩循環」というものが発生し、これが海流を駆動することによって全地球規模での熱の移動を促している。
ヨーロッパが緯度の割には温暖な気候であるのもこの循環作用によって海洋から熱が輸送されてくるためである。

反地球にはここまで大規模な熱の輸送機構は存在しない。
何と言っても南極海が他の海と連絡していないのが大きい。
大ユーラシア海、アフリカ海、北米海、南米海、オーストラリア海といったおもだった海にも地球と同じく熱塩循環による低緯度地帯から高緯度地帯への熱の輸送は存在するものの、その規模は地球のそれと比較すると、じつに限られたものである。

つまり、反地球は高緯度地帯は氷に閉ざされ、緑があるのは海沿いの地域くらいであとはだいたい砂漠という惑星なのだ。

更には相互に殆ど海水の連絡がない海洋がまちまちな緯度に分布している事によって、これらの海洋の間には塩分濃度や平均水温のみならず、沿岸地域の気候にもかなり大きな差異が現れてくる。

 例えば、南極海はその大部分が高緯度地帯にあるため、ほぼ一年中氷山に閉ざされた冷たい海であるのに対して、アフリカ海は赤道を挟んで低緯度地帯に大きく広がっているため、水温が高く、常に大量の水蒸気を発生させているといった具合である。
こういった点も地球には見られない現象であろう。

 さて、ここからは反地球の陸の部分に存在する国々について語る事にしよう。

 らばQにて紹介された地図では、南北太平王国、南北アトランティック王国、インド王国(海に名前がついてる国って強いですね!)等の国が紹介されている。
しかし、地政学上より注目せねばならぬのはアフリカ海とユーラシア海を隔て、北アトランティックとインドを連絡する巨大な陸橋地帯でもある「地中列島(Mediterranean islands)」であろう。

それぞれが陸橋でつながったイオニア島、ティレニア島、エーゲ島といった島々は、地球で言えば日本とほぼ同緯度にあり、南のアフリカ海と北の大ユーラシア海から供給される豊富な水蒸気によって天然の沃野が育まれる反地球で最も豊かな地域である。

 地球ではイラクの辺りで始まり、そこから東西に広まったとされる農耕文明だが、反地球ではまず間違いなく地中列島から始まり、陸路と海路でアフリカ海北部沿岸と大ユーラシア海南部へ伝搬してゆく事であろう。
こうして反地球史のかなり早い段階で東洋のインド王国と西洋の南北アトランティック王国という構図が出来上がる筈である。

一方、反地球のほぼ反対側にある南北太平王国に文明が芽生えるのはもう少し時間が必要になるであろう。

 単体で反地球のかなりの面積を占める太平大陸は、大陸の外側を取り巻くように幾つもの地溝帯が存在し、大陸の内部は海洋から離れているために広大な砂漠が広がる人を寄せ付けない場所である。
(問題の地図では海嶺が山脈として描かれていたので、
 今回は海溝を地溝として扱います。)

 ここに人類が移り住むためには、まずインド王国が陸橋伝いに入植してゆく「東洋ルート」が考えられる。
インド王国がその版図を東へ広げる過程で、ベンガル半島方面からアンダマン盆地、南シナ盆地という経路か或いは、北オーストラリア盆地から東ティモール地方を経由するという経路でフィリピン盆地や西カロリン盆地に文明圏ができるというルートである。

このあたりは緯度が低く、大きな湖が多数存在するので、アフリカ海沿岸部程ではないにせよ、そこそこの農地が確保できそうである。
また、オーストラリア海の東にはカーペンタリア半島やサンゴ盆地といった地域があり、どうもこのあたりが南太平王国の中心地になりそうな感じがする。

 もう一つのルートとして考えられるのが、北アトランティック王国が北米海の対岸へ入植する「西洋ルート」である。
南北アトランティックの国境地帯にあたるシエラレオネ盆地から西に進むか、或いは気合いでアトランティック中央山脈を突破すると、そこにはギアナ盆地やカリブ地方、メキシコ半島などがある。

この付近には南米海と北米海から水蒸気が供給されるので、ほどなくして北アトランティックを支える穀倉地帯に生まれ変わるであろう。

ところが、そこで調子こいて距離的にも近いからと対岸に渡ると、湖は無いわ中央アメリカ地溝帯に行く手を遮られるわで、パナマ半島やニカラグア島、カリフォルニア半島といった所にちょこちょこと植民都市を造る程度の事しかできないであろう。
北太平王国の始まりはかなり険しい道となりそうである。

 さて、ここまで述べたのだから日本についても少々触れておこう。
反地球の日本は東ユーラシア海沿岸の寒冷湿潤な国である。
南の本湖と、東の北海湖によって太平大陸とは隔てられており、朝鮮湾を挟んで西に渤国と黄国があり、その南には東シナがある。

位置的に地の果てにも等しい場所にあり、インド王国や南太平王国の方が国力も地力も遥かに優れているため国際的にもあまり存在感のある国ではない。

って、何やってんだろ…

疲れてるのかな。

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