キャプテン・ハインフェッツ レポート
エスニックジョーク漫画「ヘタリア」アニメ版の内容について
状況報告:
米国在住の日本人漫画家、日丸屋秀和氏の創作によるエスニックジョーク漫画「ヘタリア・アクシズパワーズ」のアニメ放映は某国からの猛抗議によって阻止された。
しかしながら、アニメ自体は限りなく完成に近い状態にあり、制作者サイドからその動画がウェブ上に公開されている。
今回、腐女子であるところの小官の妹がその動画を取得し、必然的に小官もその内容を直接的に視聴する機会を得たので、その内容と問題点について報告させて頂く。
作品の内容:
今回公開された第一話の内容は基本的に幻冬社コミックスでも出版されている内容の冒頭部分をなぞったものとなっている。
まず第一部の内容は、第一次大戦に於いて大した抵抗にも遭わずあっさり国境を突破したドイツ兵が唐突にトマトの箱を発見。
これを不審に思って中身を確認したところ、中からイタリア兵が出て来て号泣しながら命乞いをし、国境の森の中に
「なんでもするから撃たないで!」
という情けない悲鳴がこだまするというものであった。
次に第二部の内容であるが、ここでは舞台が中世に移り、イタリアは幼児、フランスや神聖ローマ帝国、スペインなども擬人化された状態で「イタリアが虐められっ子になったわけ」が説明された。
…と言えば聞こえは良いが、実際のところは
「ヨーロッパの国々にとって、素晴らしい文化も肥沃な
土地も持っていたイタリアは格好の獲物だったのです。」
というナレーションを背景にこれらの国々がイタリアを蹴鞠にして遊ぶ様子が流されるという至って残酷極まりないものであった。
最後に第三部だが、第一部で捕虜になったイタリア兵が塀の中のメシを有り難がって脱走しようとしないので、看守のドイツ兵もさすがに精神に変調をきたし、収容所の扉をわざと開けたままにしておいたところ、やる気無く逃走したかと思われたイタリア兵は町でおにゃのこをナンパした後、メシを食べにふらふらと戻って来てドイツ兵を落胆させるというところでエンディングテーマが入り、その後このドイツ兵は部下から「イタリアが味方になりました」との報告を受け、更に落胆するという内容であった。
結論として:
この作品「ヘタリア・アクシズパワーズ」にはイタリア人の名誉を不必要に毀損し、加えてイタリア人に対する偏見を助長する描写や表現が豊富に含まれており、このような企画がアニメ化の審査を通過する時点で淘汰できなかったという深刻な事実は、日本のアニメ界全体に企業活動、文化活動としての根本的な欠陥が存在するのみならず、自浄作用までもが完全に失われている事の証明である。
従って、日本国政府はイタリアに対して公式に謝罪し、可及的速やかに損害を賠償、問題の原因となったサイトは閉鎖するべきである。
えっ、韓国?
なんで抗議するの?
これが例えば日清・日露戦争ネタで
「極東の国々にとって、素晴らしい文化も肥沃な
土地も持っていた韓国は格好の獲物だったのです」
というナレーションを背景に、小ちゃい韓国を日本・中国・ロシヤが蹴鞠にして遊ぶような描写があったというのならともかく、
(注:これはマジネタ。皆さんご存知の通り、ビゴーという作家が
当時描いた朝鮮を魚、日・中・露を釣り人に例えて揶揄する漫画
が歴史の教科書にも載っていますね)
今回は名前すら出て来てないじゃん。
…以上、無闇矢鱈に長いジョークに付き合って下さってありがとうございました。
いえね、実際創作物は「あくまでもフィクションとして」楽しむべきだと思うんですよ。
例えば今回のイタリア関連で言うと、ルーチョ・チェーヴァ作で日本では河出書房から出てる「枢軸万歳」なんて仮想戦記がありますが、これはぶっちゃけ「今度は日本抜きでやろうぜ」だったりします。
今手元にあるミリクラ22号の138ページにレビュー記事が載ってますが、記者の印度洋一郎氏はまったくもって冷静なもんです。
日本は独逸の支援を受けられずこてんぱんにやられるという話ですがだからと言って感情的になる様子も見られません。
…これがもしも小官だったらいいかげん胸くそ悪いし、編集部に剃刀の入った手紙が届くのも怖いから記事にすらしないところですが。
という冗談も置いといて、仮想戦記ならまだしも明らかにジョークだってのに因縁をつけられて放映中止に追い込まれた「ヘタリア」は非常に残念な事例だと思います。
あ、放送再開の署名活動はこっちからですよ。
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