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2008年2月2日土曜日

反戦軍事学を笑う その四 ホホイよさらば

なんやかんやで二月に入ってしまいましたが、「反戦軍事学」第四章
「市民の安全なくして「国防」なし」開始します!

艦長、とりあえずここのところで反戦軍事学は結論が述べられて、結びとなるわけですね。

ま、そーゆう事になるかな。
見たところ第四章の内容は憲法改正論議と日本の平和戦略のようだ。
とりあえず、これまでの「解釈改憲」では最早限界だから、一度憲法を改正して自衛隊の法的な位置づけをきちんとしておくべきだというホホイ大先生の言い分に異論は無い。

ただし、言い回しは気に喰いませんがね。
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 このように、国家がテロリストを操っているケースは、テロではなく「低強度紛争」と呼ぶ。テロと戦争の中間的な形態、と考えておけば、そう大きなマチガイにはならないが、いずれにせよ、憲法九条が禁じている「国権の発動たる戦争」には該当しない。
 このレベルのことを、安倍氏が本当に知らないとしたら、そもそも安全保障や憲法解釈を語る資格がない。
 テロリストとか工作船とかいった言葉を持ち出せば、国民が素直に共感してくれる、と考えただけの話で、本音は別のところにある、と見るのが自然だろう。ただ、人の頭の中までは分からないから、これ以上、断定的なことは述べずにおく。
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自分が軍事常識について述べた章でひどい印象操作をやってるのに、他人にはコレですもん。

まあ自称ジャーナリストならば、もっとストレートに
「どうせアメリカさんにそうするように言われたんでしょ」とやった方が良かったろうね。…結局ありきたりの文面になっちゃうが。
ところが、ホホイ大先生はその直後にこんな事言っちゃってる
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 文化だの国柄だの家族意識などというものを、軍事力でどうやって守れるというのか。
 さらに言えば、自衛隊が国民の生命、財産を守る事を前提としない武装集団であるというのなら、そんなものをどうして税金で維持しなければならないのか、理解に苦しむ。
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一般的に、「いざという時に」軍隊が国民の生命や財産を護るのは当然の事ではあるんだが、無論それだけが軍隊の存在意義ではない。
軍隊ってのは「外交の手段」でもあるのだ。
核兵器をちらつかせて恫喝外交とか、イヤでも現実に「ある」。
仮におのれに他者を恫喝する意図が無くても、降り掛かる火の粉を払うためには結局抑止力の存在が必要になってくる。
それを「そんなものをどうして税金で維持しなければならないのか」だなんて、ホホイ大先生が本当に理解できないのだとしたら、それこそ次の段で「二 世界基準で語る憲法改正」なんてねぇ…

いや、その段では交戦権をも否定した憲法から「侵略戦争はしない」という事を明記した憲法に書き換えようみたいな事言ってますから、多分はタカ派を叩きたいがための行き過ぎ言い過ぎでしょう。
ただし、「日本独自の平和戦略」というのがある程度有効だってのは事実ではあるらしいですが。

いや、やっぱ判ってないみたいだよ。
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「戦争はイヤだ、やりたくない」
 と思う人ほど、軍事をきちんと勉強してもらいたい。そうすれば、軍備拡大と日米同盟の強化だけを、なし崩し的に追認しようという、安倍政権の憲法改正論議など、「愚かしい国へ」向かう道でしかないことが、すぐに分かる。
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ところが「軍事をきちんと勉強した人」が言うには、日本はここのところ防衛予算の削減を続けており、MDなんかも「本当に最低限」の中からどうにかこうにかやりくりして資金を作ってるんだそうだ。
更に言うと、安全保障のやり方ってのには大きく分けて
1.強い国と同盟して自国は軽武装
2.あくまでも独立独歩で重武装
という二通りの方法があるわけなんだが、むろん前者の方が軍事費の負担は軽くなる。
で、日本は前者、スイスは後者の典型例だな。
当然、今以上にアメリカとの同盟関係を強化するとなれば、その分軍備に費やす予算は今より少なくて済むって話になるわな。
で、日本はまさしくそっちの方へ向かっていると考えられるのだが…
「軍備拡大と日米同盟の強化だけ」なんて書いちゃうとは、どう考えてもここの部分でホホイ先生は軍事上の事実関係ではなく自分勝手な思い込みを元に語っていると考えざるを得ないんだよね。
こういう人が「戦争反対の立場から憲法改正論議を受けて立つ」なんて事になったら…

…逆に平和が遠のきますね、確実に。
ホホイ先生の言う通りにすると、日本は軍事的にアメリカから分離した上に自衛隊の戦力も大幅削減って話じゃないですか。

そこで、「三 平和戦略の再構築を」だぞ?
国連を通じて、冷戦終結以降の世界秩序の再構築に貢献するために日本に何ができるかを真剣に考えるべきであった…ってのはまだいいとしても、湾岸戦争に際してはペルシャ湾に護衛艦の二隻も派遣した上でフセイン政権に武器を流した国々の責任を追求して。国連で兵器輸出の規制強化を訴えていれば国際世論は拍手喝采だったに違いない
って…お花畑じゃねえかコレ。

世論とか色々あって、結局当時の日本には護衛艦を派遣する事すら不可能だったからカネを出して済ませたって話なのにねぇ。
第一部のシュミレーションといい、こりゃもうこの本は仮想戦記だと思った方がいいんじゃないですかね。

仮想戦記だってここまで酷いかぁ?
で、「四 視野を広げれば、道は開ける」
に入ると電界密度は更にアップする。
お約束の日本がリーダーになって世界平和を推進してゆくべきだって話なんだが、このテの本に往々にしてありがちな
「おいおい。そんなにうまくいくものなのかよ」ってな妄想が展開されて、大団円となっている。
いやはや…「知識を蓄え、情緒的にではなく論理的に、戦争に反対しようではないか。」と言うのならば、もっと資料を掘り下げた上で勝手な妄想や推測を排除して書いてくれれば、駄作どころか名作にもなり得た切り口であるだけに残念だ。
逆にミリヲタの裾野を広げるための広報活動として、軍事ネタを披露するのが目的であったならば、別にノンフィクションにこだわる必要は無かっただろう。
小官が思うに、やはりホホイ先生の適性はノンフィクションとは別のところにあるんじゃないかと思う。
では先任、ここいらでホホイ先生とはひとまずのお別れとしよう。

そうですね、とりあえずはここいらで終わりという事にしましょう。

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