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2008年6月11日水曜日

二大宗教タイトルマッチ?

ミヤコン・グレビッチ!
(意訳:貴方にミヤコン設計局の叡智がありますように。)

ダ!カピテン。ミヤコン・グレビッチ!
(意訳:艦長にも叡智がありますように。)
…って艦長、何ですか今回の趣向は?

あーあ、いきなり台無しにしちゃったよこの先任は。

台無しとか言わんで何があったのか説明して下さい、

先週の週末、本屋へ行ったのだ。
そしたら五次元文庫が「キリスト教の超不都合な真実200」というこれまた大妖作を出していたのだ。

五次元文庫…
うちのブログでネタにしている「超不都合な科学的真実」を出している所ですね、それでまたこんな事を始めたわけですか?
見たところ十章二百節もあるようですが。

いーや、神学宗教学の類いは基本的に小官の守備範囲外だからこの本についてはそこまで突っ込んだ話はしないよ。
しかし「世界の宗教と歴史研究会」とやらの連中、
「キリスト教はカルトです。
マインドコントロールの巣窟です。
ちょっとばかり巨大で、歴史がありますが、
それゆえ恐ろしいのです」
だそうだ。
どうやらキリスト教との対決を望んでいるらしい。
…相手にされないだろうがね。

で、艦長は何をなさりたいのですか?

うん、ざっと目を通した感想を引用も交えてUPしておこうと思う。
この本の内容は学術的な立場からキリスト教にかかわる醜聞やアレげなトリビアをご紹介〜ってな感じだ。
まあ、キリスト教の内部腐敗は事実だし、ダ・ヴィンチ・コードの例にもあるように、「キリスト教」自体の出所もなんだか怪しいって話も事実だ。
この辺の問題については、なるしまゆり氏の著作でも読んで頂ければ大まかな雰囲気はつかんでもらえると思う。
 ところがこの本、文章の内容・論理展開の手法が、学者や研究者というよりゴシップ紙の記者に近いんだよな。
これ系の研究者ならばほぼ確実に言及するネストリウス派の話も出てこないし。
なのに、例えば250ページには現教皇ベネディクト16世がユーゲント上がりだということがさも鬼の首でも取ったように書かれている。
何を今更…

即位した時、独逸大喜びでしたよね。
ちゃんとニュース見てる人なら覚えてると思いますけど。

うむ、このテの扇動的な文章には小官はどうしても反感を感じるね。
例えば41ページ。
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 驚くべき事実を紹介しよう。
 ローマ・カトリック教会は、なんと現在でも悪魔の存在を唱えているのだ。そして実際に、教皇自身も悪魔払いの儀式を行っている。
 中世を彷彿とさせるような、オカルトを大の大人たちが夢中になって実践しているのだから笑うに笑えない。
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「驚くべき事実」って、カトリックのエクソシストは映画になるくらい有名な話じゃないか。
というか、もうほとんどオカルト書の集まりみたいな「五次元文庫」が他者をオカルト呼ばわりするかね?

痛い記述と言えば、58ページにはこんなのもありますね
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 しかし、”改革”とは名ばかり。ルターが行った事は、ヨーロッパを中世に引き戻すことだった。実際には改革の正反対、ルターは完全な復古主義者であり、キリスト教の迷妄に民衆を引きずり込んだのだった。
 ルターの出現により、キリスト教はますます原理主義的で危険な宗教になっていった。
 またルターは徹底的な差別主義者・反ユダヤ主義者であり、悪魔の存在を信じていた。
 ルターは悪魔のたとえを使って民衆を震え上がらせ、キリスト教を無理やり信じ込ませたのだ。
 むやみに”改革”を唱える人間には注意が必要だ。
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むやみに”改革”を唱える人間には注意が必要…
秀逸なジョークじゃありませんか。
中近世に限らず現代でもNESARAで世界が変わると言いふらしたりアセンションしないと生き残れないとか言って民衆を震え上がらせているがいますよね、艦長。

奴らの話は今は置いておこう、しっかし…
・キリスト教の迷妄に民衆を引きずり込んだ
・悪魔の存在を信じていた
ルターは神父だぞ?
この時代の神父なら誰でもやってるような事じゃないか、
この文章書いたやつは一体どんな認識に基づいて文章を組み立てておるのだ?

認識の問題と言えば、80ページにはキリスト教の修道士が無闇矢鱈に瀉血をやって大勢の人を犠牲にし、医療の水準も後退させたって話がありますが、現代でも不完全な知識に基づく血清療法を推進したり、樟脳から作ったミディクロリアンもどきをリンパ管へぶち込んだりする香具師がいますよねぇ。
人の振り見て何とやら…

のーこめんと。
あと、言論の面では90ページでハリーポッター焚書式の件に関して
「彼らは現実とフィクションの違いすらわからなくなっているのだろうか?」とかました直後、92ページでキリスト教系出版社が聖書を漫画化した話を批判しとる。
…少なくとも聖書の漫画化はいい事だと思うぞ。
昨今は「えゔぁ」とかいう黙示録の劣化コピーの解釈を巡って、神学論争が勃発するようなご時世だから、「これが元ネタです」ってのが平易な形態で世に出れば、いくらなんでもあんまりな事を言うマヌケはいなくなるだろう。
ちなみに、「エヴァンゲリヲン」とは本来、ワイシャツにヘルメット姿でMBT…もといMTBに乗って行動する二人組のジェントルメンとか、平日の昼間に正装に日傘で住宅地を徘徊してる集団とかの事だ。
…これにジャックナイフ持った陰気な中学生を絡めたら、中々におもろい話になりそうだね。

妄想乙です、艦長。
それにしてもキリスト教徒の言論弾圧を批判した直後に今度は自分達がキリスト教徒の口を塞ごうっていうんですか?

反論されて間違いを指摘されるのが怖いからじゃないかねぇ?
例えば145ページとかこんな具合だ。
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ユダヤ教は現実に即し、日常生活に密着した宗教である。よって、複雑な神学や宗教哲学は発達せず、ユダヤ人社会の外へ拡張してゆくということはなかった。
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複雑な神学や宗教哲学は発達せず…ウソこけ。
ユダヤ教じゃ宗教が生活に密着し過ぎて、空港の金属探知機に関して宗教的な解釈が出てきたりするくらいなんだぞ?
そうやって聖典を実生活とすり合わせてゆく上でどんだけ神学や宗教哲学のノウハウが必要になると思ってるんだ?
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 イスラム教では、全知全能の唯一神であるアッラーを信仰するが、他民族に信仰を強制するようなことはなかった、イスラム教は布教にそれほど興味が無いのだ。また、イスラム教の聖典である『コーラン』は神が語った言葉とされているので、長い間他の言語に翻訳されたものは認められなかった。そのせいで、イスラム教が急速に拡大するということはなかった。
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またまたダウト。
イスラム教の領主たちはイスラム教徒の領民を税制面で優遇した。
だから、こういった土地では領民はみんなイスラム教を信じるようになってイスラム教がどんどん広がっていった歴史がある。
更に言えば、イスラム教では宗教戦争ジハードを
「異教徒に正しい教えを教えてあげるためのもの」と定義している。
これで「布教に興味が無い」だなんて、結論ありきで論理を組み立ててるのが見え見えじゃないか。
よくもまあ「世界の宗教と歴史研究会」とか名乗れたもんだ。

…艦長、この本って終始こんな感じなんですか?

この程度で済んでればまだよかったのだがね、終盤に入ってくると、室町や安土桃山の頃のイエズス会の行状を絡めながら、キリスト教とアメリカや韓国を結びつけるようになる。
しまいにゃ言うに事欠いて西暦の起源まで攻撃している。
213ページの記事だ。
A.D.が「アノ・ドミニ」・B.C.が「ビフォア・クライスト」だくらいきちんと歴史の授業を聴いてれば知ってて当然、更に言えばキリストの生年に関しては議論が出ていることも多少知識のある人なら知っている筈なのに、これがさも大事であるかのように取り上げて
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 日本人なら日本の元号を使いたいものだが、世界中に普及している西暦の便利さに屈してしまうのが辛いところだ。
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だそうだ。

暦と言えば、日本は戦中まで「皇記」とかいう独自規格の暦を採用していたんですよね、しかも「皇記世紀は西暦より600年古い!」とか主張して得意になってた…
アメリカ批判の中でこういった事が主張されるようになるって、ヤバくないですか?

うむ、こういう連中が民衆の支持を集めるようになったら、たしかにヤバいだろうね。
で、終章でも例によってこんな論調でスキャンダルを紹介したり初期キリスト教を批判したりしているわけだが、相変わらず認識や論理の構成に問題がね…
258ページなんかでは死海文書の発見を
「イエス以前からキリスト教が存在した証拠」として提示している。
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 そして大事なことは、イエスが語ったとされるキリスト教の教義のほとんどが、「死海文書」の中に見いだせるということだ。
 つまり、キリスト教の教義は、イエスの誕生のはるか以前に存在していたということである。
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と、こうだ。
ところがどっこい、170ページの記事の冒頭で既に
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 原始キリスト教は中東で発生した。イエスがユダヤ教の異端だったことは明らかだ。しかし、キリスト教がローマの国教になる際、ユダヤ教の名残を巧妙に消し去った。それで、キリスト教会はイエスがユダヤ教徒だったことを決して認めようとはしないのだ。
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と、こうやっている。
イエスが「ユダヤ教徒だった」なら、死海文書の内容と同じようなことをイエスが言っていても不思議はないじゃないか。
大体、新約聖書の中には度々イエスがパリサイ人と論争するくだりが出てくるが、その時にはしばしば「聖書」を引用している。
言うまでも無くここに出てくる「聖書」ってのは旧約聖書のことだ。
この時代にはまだ新約聖書は書かれていないからな。
つまり、死海文書と殆ど同じものだと考えて構わない。
要するに「キリスト教はユダヤ教から分派した」という歴史的事実をさもさも大事件であるかのように書きたててプロパガンダしてる。
すべからくこんな調子じゃあ他の記事に正しい内容が含まれていても「ちょっと待てよ?」と斜に構えて読まざるを得ないよねぇ…

ええ、こんな本を何の予備知識も無く馬鹿正直に読んで、シンプルに「キリスト教=悪」という図式を刷り込まれてしまう人がいるかと思うと背筋が寒くなりますね、末はカンチガイ右翼かテロリストか。
…あれ?
艦長、最後のページにこんなのがありますよ
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 いよいよ、最後のコラムになった。
 ローマ教皇庁が二〇〇〇年九月五日に発表した文書『ドミヌス・イエズス』によると、イエスは「排他的、普遍的、絶対的」な存在であり、カトリック教会は他のキリスト教各派に比べて、絶対的優位性を持つものだという。
 同時に、他の宗教は「救い」に関して重大な欠陥があるものだと決めつけた。この文書は、ローマ教皇庁教理省が作成し、教皇ヨハネ・パウロ二世が承認している。
 二〇〇七年七月一〇日には、ローマ教皇ベネディクト一六世が、カトリック教会だけが唯一の正統だとする文書『教会についての教義をめぐる質問への回答』を公表した。前教皇の
立場を引き継ぎ、他宗教、他教派を不完全なものとしている。
 ここまで本書をお読みになった方にとっては、冗談にしか聞こえないだろう。
 「重大な欠陥」をもつ宗教は、果たしてどちら側なのか?
 そこは読者の判断にゆだねたい。
 最後までお読みいただきありがとうございました。
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「重大な欠陥を持つ宗教」ね…そんなの決まってるじゃないか。
アセンション教の欠陥がいちばん重大だよ!

そういうオチになっちゃうんだ…
ま、キリスト教もキリスト教で問題があるのも事実ですけどね。

しかし先任、面白いと思わんか?

何がです?

アセンション教徒のことだ。
連中サ○ババの手品を信じるくらい低能だから、この記事を読めば必ずやトサカを立ててわがブログをキリスト教認定するに違いない!

そんなきな臭い事が目的だったんですか!?

恐れることは無い。我らにはミヤコン設計局の叡智がある!!
ミヤコン・グレビッチ!

ダー!ミヤコン・グレビッチ!
あーあ…

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