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2008年2月27日水曜日

UFOの材料はぴょんぴょん豆!?

一昨日、本屋さんに行ったところ「むう」とかいうオカルト雑誌にて問題の自称サイエンスライター、ケイ・ミズモリ氏が昆虫反重力の記事で大反響があったとか調子こいておりましたので、またしても予定を変更する事に致します。
では、電波解析コント「超不都合な科学的真実」開始します!

久々のコントですが…
艦長、また予定変更ですか。

仕方ないだろう、放っておくとダマされるやつが増えるんだから。
誰とは言わないが、「昆虫反重力」でググると、実際にダマされている人のブログがわんさか採れるぞ?
(なぜ直リンクしないかはお察しください)
もっとも、今回の記事はあまりにもアレ過ぎで電波というよりむしろネタの色彩が強いんだがね。

とりあえず、今回のネタになっているのは第十章の
「昆虫から授かった超先端テクノロジー」ですね。
「ムー」の記事も基本的にはこの章のコピペなんですが…
この章はどうやら、ロシヤのグレベニコフって昆虫学者が偶然の発見から反重力装置を制作したという話みたいです。

少し詳しく言うと、今回の主役はロシヤのノボシビルスク郊外にある農業アカデミー科学センターのヴィクトル・S・グレベニコフ教授。
なんでも彼は「空洞構造効果」の発見者として知られる世界的な昆虫学者なのだそうだ。

…世界的って割には、はじめて聞く名前ですがね。
大体「空洞構造効果」って何なんですか?

蜂の巣とかストローの束とか、ようは穴ぼこが規則的に並んでると、そこから反重力場が発生してその中に包まれたものはただ浮かぶだけではなく、透明になって目に見えなくなってしまうんだそうだ。
なんでも、グレベニコフ教授は90年代にこれを応用した装置で空を飛び回ってたんだそうだが…90年代に人間が宙に浮いた話と言うと小官はどうしても「例のニセ行者」が座禅でジャンプしてる写真を思い出しちゃうんだよな。

ああ、あの隠し部屋で札束抱いて寝てた人ですね。
しかし、この人はそれとは別のネタでしょう?

ところがそうとも言い切れないんだな。
この章の中にはグレベニコフ教授が反重力を発見したいきさつが書かれているんだが、なんでも81年のある日に見つけた3ミリ程のハチの繭がぴょんぴょんと5センチばかり飛び跳ねたんだそうだ。
こいつは冷暗所では動かないが、光を当てたり温めたりすると飛び跳ね始める。
なんだこりゃ、コメツキムシのようなもんかいなと思って簡単には跳ねられないように綿の上に置いてもみたが、やっぱり跳ねる。
…どうもこれはただのジャンプじゃない。で、教授は考えた。
繭が5センチ跳ねたところをつかまえて、そこから更に5センチ跳ねさせる…でもってそいつをまたつかまえてという具合に…

明らかにネタですね。ウナギで同じ事をやって天空へ上っていくという落語を聞いた事があります。

というか昆虫学者を名乗る人物ならば、この繭の正体を見抜けぬ時点で問題だろうよ。
こいつが跳ねるカラクリは、多分メキシカン・ジャンピングビーンズというやつと同じだろう。

何ですか、そのジャンピングビーンズってのは?

海外の童話とかに出てくる「ぴょんぴょん豆」って知らないか?
まあ、こいつは実際には豆ではなくて虫コブで、これも例の繭と同様に光を当てるなど刺激するとぴょんぴょんを始める。
…なんでも豆を内側から幼虫がどつくのが原因らしいがね。

ずいぶん根性のある虫ですね…
というか、あきらかに反重力とか関係無いし。

本の内容に戻ると、グレベニコフ教授なんだが、彼は二つの理由から反重力の発見を秘密にしておいたのだそうだ。
第一に、反重力は見つけたがこれを科学的に検証して解き明かすための時間と労力が不足している事。
第二に、装置を作るためにある種の昆虫を利用したんだが、この事を公表すると虫採りが殺到してその虫が絶滅するおそれがあった事。
…結局グレベニコフ教授は99年頃から体調を崩して入院し、01年に秘密を持ってあの世へ行ってしまった。
例の装置も秘密保持のために破壊したんだそうだ。

真相は闇の中ってわけですか。
しかし、自分で装置を壊したんじゃさすがに闇の権力云々言うわけにはいかないでしょう。

うん、実際この章の中には陰謀論は出てこないな。
が、困った事にこれが自然保護とリンクされちゃってる。
シーシェパードといい、こういう変な人達が大声を出すから真面目に環境保護をやっている人達が迷惑すると思うんだがな。

ま、ネタでやっている私達が言えた事じゃないですがね。

とはいえ、知識を持ってる人にとっては実際ネタにしかならないような話なんだがね。

2008年2月20日水曜日

軍人チョンボ四連発

「ヒラリーさん来ましたね」なんて言ってたらオバマさんが伸びておるそうで、傍目には中々に面白い政局ではあります。

一方、我が国では昨日未明に最新鋭イージス艦「あたご」が房総沖でその破壊能力を証明してくれました。
…という言い方をすると不謹慎になりますが、「しらね」の火災の原因がCICに無断で持ち込まれた缶コーヒー保温機であった事が明らかになったり、どうしても「今中国かロシヤに仕掛けられたらヤバイかも」ってな感想を抱かざるを得ません。

事実、今回の事件では例によって関係閣僚への連絡が大幅に遅れたとかで与党への風当たりが強くなりそうだとの見方が出ています。

で、また小官の地元でも先週あたりから海兵隊員が女子中学生に不埒な事をしようとした事案で綱紀粛正をしていたのに、舌の根も乾かぬうちに今度は泥酔した別の海兵隊員が民家に侵入して爆眠していたとかで、もうみんなエキサイト!
だもんで遂に「基地から出ちゃダメ!」というお達しが出てしまったようです。

こういうの、ごく最近の現象かと思ったらどっこい。
資料を掘ってみると、98年2月3日にイタリアのチェルミス山で海兵隊のプラウラーが訓練飛行中にケーブルカーのケーブルに接触してゴンドラを落とし、中の人を皆殺しにした事例があったり、
こちらは人死にこそ出なかったものの、リムパック96に参加した護衛艦「ゆうぎり」が的と間違えて的を引っぱっているイントルーダーを撃墜した事例があったりと、けっこう笑い事じゃ済まないような事を仕出かした記録が出てきます。

また、最近も海上自衛隊やアメリカ海兵隊とは違いますが、日本人女性がレイセオン社を起訴した事がありました。
ただ、この件は自動敵味方識別装置が正常に作動せずに、米軍が味方の戦闘機をミサイルで撃墜し、パイロットの妻であった日本人女性が兵器の製造会社を訴えたという、ちょっとややこし過ぎて頭が痛くなるような事の次第であります。

いやはやなんとも…

2008年2月14日木曜日

警戒せよ、架空請求あり!

今日、こんなメールが入っておりました。
===============================

(株)ORP
担当木谷と申します。
この度、現在お客様ご使用中の携帯端末より、
許可ネットワーク認証事業者センターを介入し、発信者端末電子名義認証し、以前ご登録いただいた、「総合情報サイト」から、無料期間中に退会処理がされていない為に、登録料金が発生し、現状未払いとなった状態のまま長期放置が続いておりますが、本通達より
再度これ以上放置が続きますと、利用規約に伴い、住民票取得、お客様の身辺調査了承後後日回収機関により、調査費回収費用含め、ご自宅、お勤め先、第三者への満額請求と代わります。

現在調査保留中の額面にて、処理をご希望であれば、早期に清算退会処理データ抹消手続きをお願いします。

大事なお知らせですので、よくお読みになって当社の方まで早急にご連絡下さい。
 03−3831−4069
担当 木谷迄 受付時間
平日 09:30〜18:00迄

尚 ご連絡なき場合 手続き開始ご了承とさせて頂きます。
===============================
…なんだよ、シフト明けで気持ちよく寝てたのに。
ORP?…携帯から総合情報サイト?…んな事やったか?
未払いの状態で長期放置ねぇ…
しかも調査回収費用含め家や会社へ満額請求って…
どうも詐欺っぽいな?
とまあ、こんな感じでした。

しかし、本文中には所々誤植があるし、どうも業務中に急いでタイプした文面にも見えます。
ところが、文面には「長期放置が続いている」とあります。
だとすれば、先方は登録料金が発生しているにも関わらず、今まで一度もこっちに連絡を取ってこなかった事になります。
これは先方の落ち度でしょう。
なのにんな強硬手段に出られるなんて全く合点がゆきません。

なので、抗議も含めて連絡を取ろうと思ったのですが、ここでハタと気付く。
そうだ、このORPとやらいう会社が「ある程度カタギな会社」ならばホームページくらいあるだろう。
総合情報サイトを扱っているのなら、それくらい当然の筈だと。

で、早速ブラウザを起動し「(株)ORP」とググってみる。
したらばトップにヒットしたのが、このページ
以下引用
===============================

昨日こんなメールがきました。
㈱ORPからのお知らせ

(株)ORP
担当 新井と申します。
この度、現在お客様ご使用中の携帯端末より、
認可ネットワーク認証事業者センターを介入し、発信者端末電子名義認証し、以前ご登録いただいた、「総合情報サイト」から、無料期間中に退会処理がされてない為に、登録料金が発生し、現状未払いとなった状態のまま長期放置が続いておりますが、本通達より
再度これ以上放置が続きますと、利用規約に伴い、住民票取得、お客様の身辺調査了承後後日 回収機関により、調査費 回収費用含め、ご自宅、お勤め先、第三者への満額請求と代わります。

現在調査保留中の額面にて、処理をご希望であれば、早期に精算 退会処理データ抹消手続きをお願いします。

大事なお知らせですので、よくお読みになって当社の方まで早急にご連絡下さい。
03-3831-4069
担当 新井迄 受付時間 平日 09:30~18:00迄

尚 ご連絡なき場合 手続き開始ご了承とさせて頂きます。


消費者センターに連絡して架空請求とわかったのですが知らない番号から何回も着信がありますっ。同じ番号でっ。基本知らない番号からわ出ないのですが友達かもって思ってしまいますっ。
どうしたらいいでしょうか?


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担当者名以外全く同じ文面。
…やはり詐欺であったか。
しかもこの人は後で電話攻勢に遭ってるようで…
そうかそうか、小官の携帯にもかかってきたら
「お宅のホームページ、見ましたよ。」
と言ってやろう。…

と、いうわけで今回の教訓
「変な会社から連絡が入ったら、ぐぐるべし。」
皆さんもお気をつけて下さいね。

2008年2月13日水曜日

厨房に新戦車にと騒がしかった話

 今週はしょっぱなから色々と騒がしかったですね。
まずソウルの顔である南大門が焼失しました。
木造建築物である以上、たとえ文化財だろうが火災に遭わないないなんて事は無いわけで、法隆寺や金閣寺だって焼失した事があります。
ところが、燃えた日付が悪かった。
火の手が上がったのは前日の夜でしたが、燃え落ちて無惨な姿をさらす事になった11日の月曜日はよりにもよって日本の建国記念日。
だもんで、当然のように「日本の右翼がテロをやった!」と騒ぐ人達が現われ、軍板にも次々と関連のスレが建っては、あっという間にレスが1001に達してしまう次第。
というか、今週前半は昼当直だった小官の与り知らぬところでレスが建てられては埋まってゆくなんて、こいつら昼間っから何非建設的な事やってるんだよ…

で、フタを開けてみたら土地取引に不満のあったおっさんがシンナーばらまいて放火した事を自供したそうで、まったく人騒がせな話であります。

一方、国内でも海兵隊の二等軍曹が女の子に変な事しようとして、えらい騒ぎになりました。
軍人ってそもそも「制服を着た公務員」なんだから、この辺はもっときちんとするべきだと思うんですが…
まあ、日本の公務員も飲酒運転して親子連れを車ごと海に突き落としたりしてますから、そうそうえらそうな事は言えないですけど。

それはそうと、自衛隊の新型戦車が公開されたそうですね。
とりあえず、専門家達による事前の分析では「40トンにします!」と言ってるけど、90式と同等の防御性能を維持するためには一割くらいの重量増は許容せざるを得ないだろうから、44トンになるだろうと言われていましたが、公開された情報は全くその通り。
90式を一回り小さくしてC4Iの充実を図ったもので、重量は44トンだそうです。
オブイェクトにも関連の記事が出ており、リンク先の写真など見る限りではこれはこれで中々にかっこいいものですが、なんというか砲塔がちょっと大きめな印象を受けます。
名前は「10式戦車」にでもなるんでしょうか?
まあ、開発は順調に進んでいるようでとりあえずは良いことです。

2008年2月6日水曜日

「たてごと」作戦の巻

こないだ「四畳半電波塔」でぐぐってみたらば
前やった電子レンヂの記事が上がっていたので何事かと思ったのですが、HekatonCarefulな日記ってところで紹介されてたんですねー。
過疎だ過疎だと言いつつも、ぢつはばっちり見られてるわけで、ブロガーというのはなかなか気がぬけない仕事ですな!
だけどねぇ…
「すげぇ。そんな珍説を堂々と書いてる本があるのか。いや、珍説と言うより「ただの妄想」といった方が良いか?」
って、だって本当にあったんだもん。
このケイ・ミズモリって「自称ジャーナリスト」がまぢでそう書いてるんだもん。

ってな感じで、電波解析コント「超不都合な科学的真実」始めます!

艦長、ネット対応乙です。
今回は第四章ですから、「万病の元は食生活にあり」の横田学説をやるわけですね。

そいつは不燃ネタだから次回に回すよ。
今回は関連するニュースが入ったんで、タイムリーに「竪琴作戦」をやるよ。

竪琴?…ああ、第五章のHAARPの件ですね。

左様、例の「北米大停電政府の陰謀説」だ。
この本の中では、携帯電話の混線や車載電子機器等のトラブルから、電磁波の影響ではないかという事を言ってるが、やっぱミズモリ氏は電磁波の事を何も判っていないと見えて、明らかにおかしな事例も書いてる。
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 また、大停電の際、外にいたトロントのある女性は、頭上を飛ぶ飛行機を見上げると、なんらかの化学物質をスプレーされたかのように、目が刺すように痛んだことを報告している。
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…こりゃぁ多分ケムトレイルとかいうやつの陰謀論の話だと思うんだが、どうやら電磁波の話と混ざっちゃってるみたいだな。

ケムトレイルって、たしかジェット機から毒物が散布されているに違いないって陰謀論でしたよね?
電磁波の話をしているところへそんなものを持ち込むなんて、一体どういうつもりなんでしょう。

さあな?
本題に戻ると、この本の中にあるHAARP陰謀論ってのはテスラ博士の考案した世界システムを軍事目的で悪用しているのがHAARPなんだって話だ。
HAARPというのは実際にアラスカで米軍がやってる研究で、こいつの短波アンテナが広大な土地にびっしりと並んでいる。
で、ここの敷地は、グーグルアースでは黒塗りになってたりする。
研究では、こいつから電磁波を照射して地球高層大気の電離層に影響を与えるんだが、陰謀論者の主張するところでは、コレを使って地球全体に超低周波の電磁波を発生させ、人間の脳波に干渉して大勢の人を一度にマインドコントロールしちゃおうというのがHAARPの目的なんだそうだ。

超低周波って言うと、ELFってやつですね。
比較的深度が浅ければ水中や地中にも届くんで、潜水艦との通信手段にも検討されてたそうですが、たしか周波数が低過ぎるために一分間に数文字程度の通信速度しか得られないとか…

うむ、故にこれを使って人間の脳みそに直接メッセージを送り込めるとは考えにくいな。
なので、小官はHAARPについては、送受信装置を多数配置することによってOTHレーダーの策敵性能をアップさせようという研究なんじゃないかと考えていた。
こいつは従来型のレーダーより遠くまで見渡すことができるし、何と言っても、ステルス機が映る!という利点がある。
ただし、使用周波数が低いために今までは「何か飛んでくるよ」という程度のデータしか得られなかったのだ。
 ならば、広い土地に送受信機を多数配置しといて各アンテナが受信したデータをコンピュータで処理すれば…という事を米軍の技術者は考えたんだろうねと。
…使用している送信電波の波長も結構近いように見えるしな。
そしたら、今回ワイアードに該当の記事が出たって次第だ。

なるほど、たしかにタイムリーではありますね。

とりあえず、問題の記事では米軍が電離層操作技術を軍事利用できる可能性を調査するためにHAARP計画が行われてたとあるな。
卑近な例で言うと、秋になると電離層の状態が変化して韓国のテレビ放送が入ってくる事があるが、電離層に電磁波を照射することでアレを起こし、軍用無線の到達距離を伸ばすとか、電離層でプラズマを発生させ上空から赤外線照明だとか。

まあ、それは「裏技」の例ですけどね。
基本的には電離層を制御する事で、VHFとかUHFといった波長の電磁波の伝搬に影響を与えたり、電離層の自然電流を制御する事でELF送信機として使うなんて事が考えられてるって書かれてます。

うむ、これは重要な点だよな。
上手に使えば、例えばこちらから攻撃をかけるのに先立って、敵側のレーダーや通信を妨害できる。
さっきも言ったOTHレーダーなんかだと、まさにその波長の電波を使うわけだから、ステルス機をもつアメリカにとって、これは大きい。
更に上空から赤外線を発生させれば、ステルス機を探知するもう一つの手段である赤外線探知機も潰せる。

そらグーグルアースでも黒塗りにするわけだわ。

ただしこの記事によると、公開された情報はあくまでも軍部が許可したものだけで、本当はもっとヤバい事も軍部は考えてるみたいですよ…ってな感じになっているな。

ううむ、空恐ろしいぞ?
アメさんは一体何を考えているのやら…

うむ、元の本からは離れちゃったけど、結局はまあまあマトモなネタになったわね。

2008年2月2日土曜日

反戦軍事学を笑う その四 ホホイよさらば

なんやかんやで二月に入ってしまいましたが、「反戦軍事学」第四章
「市民の安全なくして「国防」なし」開始します!

艦長、とりあえずここのところで反戦軍事学は結論が述べられて、結びとなるわけですね。

ま、そーゆう事になるかな。
見たところ第四章の内容は憲法改正論議と日本の平和戦略のようだ。
とりあえず、これまでの「解釈改憲」では最早限界だから、一度憲法を改正して自衛隊の法的な位置づけをきちんとしておくべきだというホホイ大先生の言い分に異論は無い。

ただし、言い回しは気に喰いませんがね。
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 このように、国家がテロリストを操っているケースは、テロではなく「低強度紛争」と呼ぶ。テロと戦争の中間的な形態、と考えておけば、そう大きなマチガイにはならないが、いずれにせよ、憲法九条が禁じている「国権の発動たる戦争」には該当しない。
 このレベルのことを、安倍氏が本当に知らないとしたら、そもそも安全保障や憲法解釈を語る資格がない。
 テロリストとか工作船とかいった言葉を持ち出せば、国民が素直に共感してくれる、と考えただけの話で、本音は別のところにある、と見るのが自然だろう。ただ、人の頭の中までは分からないから、これ以上、断定的なことは述べずにおく。
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自分が軍事常識について述べた章でひどい印象操作をやってるのに、他人にはコレですもん。

まあ自称ジャーナリストならば、もっとストレートに
「どうせアメリカさんにそうするように言われたんでしょ」とやった方が良かったろうね。…結局ありきたりの文面になっちゃうが。
ところが、ホホイ大先生はその直後にこんな事言っちゃってる
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 文化だの国柄だの家族意識などというものを、軍事力でどうやって守れるというのか。
 さらに言えば、自衛隊が国民の生命、財産を守る事を前提としない武装集団であるというのなら、そんなものをどうして税金で維持しなければならないのか、理解に苦しむ。
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一般的に、「いざという時に」軍隊が国民の生命や財産を護るのは当然の事ではあるんだが、無論それだけが軍隊の存在意義ではない。
軍隊ってのは「外交の手段」でもあるのだ。
核兵器をちらつかせて恫喝外交とか、イヤでも現実に「ある」。
仮におのれに他者を恫喝する意図が無くても、降り掛かる火の粉を払うためには結局抑止力の存在が必要になってくる。
それを「そんなものをどうして税金で維持しなければならないのか」だなんて、ホホイ大先生が本当に理解できないのだとしたら、それこそ次の段で「二 世界基準で語る憲法改正」なんてねぇ…

いや、その段では交戦権をも否定した憲法から「侵略戦争はしない」という事を明記した憲法に書き換えようみたいな事言ってますから、多分はタカ派を叩きたいがための行き過ぎ言い過ぎでしょう。
ただし、「日本独自の平和戦略」というのがある程度有効だってのは事実ではあるらしいですが。

いや、やっぱ判ってないみたいだよ。
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「戦争はイヤだ、やりたくない」
 と思う人ほど、軍事をきちんと勉強してもらいたい。そうすれば、軍備拡大と日米同盟の強化だけを、なし崩し的に追認しようという、安倍政権の憲法改正論議など、「愚かしい国へ」向かう道でしかないことが、すぐに分かる。
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ところが「軍事をきちんと勉強した人」が言うには、日本はここのところ防衛予算の削減を続けており、MDなんかも「本当に最低限」の中からどうにかこうにかやりくりして資金を作ってるんだそうだ。
更に言うと、安全保障のやり方ってのには大きく分けて
1.強い国と同盟して自国は軽武装
2.あくまでも独立独歩で重武装
という二通りの方法があるわけなんだが、むろん前者の方が軍事費の負担は軽くなる。
で、日本は前者、スイスは後者の典型例だな。
当然、今以上にアメリカとの同盟関係を強化するとなれば、その分軍備に費やす予算は今より少なくて済むって話になるわな。
で、日本はまさしくそっちの方へ向かっていると考えられるのだが…
「軍備拡大と日米同盟の強化だけ」なんて書いちゃうとは、どう考えてもここの部分でホホイ先生は軍事上の事実関係ではなく自分勝手な思い込みを元に語っていると考えざるを得ないんだよね。
こういう人が「戦争反対の立場から憲法改正論議を受けて立つ」なんて事になったら…

…逆に平和が遠のきますね、確実に。
ホホイ先生の言う通りにすると、日本は軍事的にアメリカから分離した上に自衛隊の戦力も大幅削減って話じゃないですか。

そこで、「三 平和戦略の再構築を」だぞ?
国連を通じて、冷戦終結以降の世界秩序の再構築に貢献するために日本に何ができるかを真剣に考えるべきであった…ってのはまだいいとしても、湾岸戦争に際してはペルシャ湾に護衛艦の二隻も派遣した上でフセイン政権に武器を流した国々の責任を追求して。国連で兵器輸出の規制強化を訴えていれば国際世論は拍手喝采だったに違いない
って…お花畑じゃねえかコレ。

世論とか色々あって、結局当時の日本には護衛艦を派遣する事すら不可能だったからカネを出して済ませたって話なのにねぇ。
第一部のシュミレーションといい、こりゃもうこの本は仮想戦記だと思った方がいいんじゃないですかね。

仮想戦記だってここまで酷いかぁ?
で、「四 視野を広げれば、道は開ける」
に入ると電界密度は更にアップする。
お約束の日本がリーダーになって世界平和を推進してゆくべきだって話なんだが、このテの本に往々にしてありがちな
「おいおい。そんなにうまくいくものなのかよ」ってな妄想が展開されて、大団円となっている。
いやはや…「知識を蓄え、情緒的にではなく論理的に、戦争に反対しようではないか。」と言うのならば、もっと資料を掘り下げた上で勝手な妄想や推測を排除して書いてくれれば、駄作どころか名作にもなり得た切り口であるだけに残念だ。
逆にミリヲタの裾野を広げるための広報活動として、軍事ネタを披露するのが目的であったならば、別にノンフィクションにこだわる必要は無かっただろう。
小官が思うに、やはりホホイ先生の適性はノンフィクションとは別のところにあるんじゃないかと思う。
では先任、ここいらでホホイ先生とはひとまずのお別れとしよう。

そうですね、とりあえずはここいらで終わりという事にしましょう。