このブログを検索

2009年3月18日水曜日

太平洋を渡ったムトウハップ

昨年度、我が国では硫化水素自殺というものが流行って大変でした。

 具体的に何が大変かと言うと、巻き添え被害です。
例えば自動車や浴室のドアに「危険!有毒ガス発生中」なんて張り紙を発見し、慌てて戸をこじ開けると例によってリーサルな濃度のガスが流れ出してきて「あうあうあー」となるわけです。

ちょいと調べたところによると、けっこう日常的な物質であるにもかかわらず、青酸と同等の毒性があるとか。

一般的には硫化水素が0.2%以上含まれた空気を吸えば確実に死ねると言われているようですが、
200〜300ppmで目や気道を激しく刺激、
500〜700ppmでは30〜60分後に意識喪失や呼吸停止
1000ppm以上だと数呼吸で昏倒との事。

1000ppmは0.1%ですので、レオのユニットバスで派遣切りされた人が0.2%の硫化水素を発生させて死に、軽率な第一発見者が浴室の戸を開けてそのガスを拡散させたと仮定した場合、キッチン周辺まで拡散すると500ppm強、寝室まで拡散してもまだ200ppmくらいはあるという勘定になります。

…あらためて説明するまでもありませんが、第一発見者は確実に1000ppm以上のガスを吸い込むハメになりますので、NBC防護服でも着ていない限りほぼ確実に残念な事になります。

しかも硫化水素は激しく臭いのです。
普段通り生活していて、いきなり刺激的な香りが漂ってくる。
で、「下水工事か?」とか思っていたら近所でマヌケが毒ガス自殺を図ったとの情報が入ってくる次第ですから、そりゃパニックテロ呼ばわりされても仕方ないわけです。

こういった硫化水素の特性と、2ちゃん等で
「ムトウ8ップとサソポールを混ぜれば楽に死ねまちゅよ」
とか書くアホたれのせいでかなり大きな問題になったものでした。

次いでに言うと、「楽に死ねる」などというのも実は大嘘で、部屋の気密が悪かったり、ガスの量を間違えたりで濃度が低かった場合
”200〜300ppmで目や気道を激しく刺激”つまり
「ゲホゲホ、ぬおお…目が…目がああ…」となるわけです。

そんな迷惑極まりない硫化水素自殺ですが、こないだワイアードを読んだところ、なんと昨年の半ばにもう米国に上陸しており、救急隊員たちに対して「巻き添え注意」の警告が発せられているとの事です。

んな悪い事までマネしなくても良さそうなものなのに…

0 件のコメント: