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2013年1月9日水曜日

新年なので、未来技術の話

 あけおめっす。
今日は免許の更新に行きましたよ。
さて、小官はちょっと前CPUの創りかたという本を読んで影響された話をしましたが、今回はその関連で上がってきたネタを致します。

 件の本の中でも言われてた事ですが、ああいう個人レベルで計算機やマイコンもどきを作ろうとなった場合、普通はCPLDやFPGAってデバイスを使用するもんらしいです。
で、こいつが具体的に何かと言うと、要はエンドユーザーが内部構造を自由に組み替えることのできる集積回路らしい。
ただし、内部構造を組み替えると言っても、LSIの中身がナノマシンか何かでカッシャンカッシャン動き回るとかそういう現実離れしたテクノロジーが使われてるわけではなく、あらかじめ論理回路を構成する最小要素とそれらの間を連絡するデータバスを無数に作っておいて、両者の接点の部分にあるスイッチを外部からプログラムで制御するって仕組みです。
まあ、くわしくはググるかアルテラ社のサイトにでも行けば説明されてるはずです。

 まあ、自分好みの集積回路をエンドユーザーが自由に組めると言っても、PICだのH8だのというマイコンやこれで電子工作をしようというキットと比べるとどうしてもお高く、更に言えば回路自体をプログラミングするために新しくHDLとかいう言語を勉強する必要があるわけなんですが。
ただし、電機メーカーの開発部門なんかではエンジニアが設計した回路を半導体工場へ発注する前に正常に動作するか検証する目的でだいぶ前から広く使われているものではあるようです。

 で、その筋でちょっと古めですがこんな感じのニュースにも遭遇しました。
マイコンやスマホなどに使われてるARMというMPUを問題のFPGAと合体させたLSIが出るよ~という話です。

こいつの何が凄いのかということを説明するには、十年前までアナログ放送をパソコンで録画するにはどうしていたかという事を考えるといいです。
あれはインテルとAMDのクロック競争が終盤に差し掛かった頃の話だったと思いますが、当時アナログ放送をパソコンに録画するためには地上波放送の電波をリアルタイムでAVIだのMPEGだのといった動画ファイルに変換しながらハードディスクに書き込んでゆく必要がありました。
で、そのためには大きく分けてソフトエンコとハードエンコという二つのやり方があった。

前者は地上波放送を動画ファイルに作り変える作業は主にパソコンのCPUが受け持って、USBとかで接続する外付けチューナーは基本的に受信したテレビ放送を画面に映すだけの機械という方式。
これは機械自体は安く済むのですが、性能的に悲惨なパソコンで録画に挑んだ日にはすぐに熱暴走という代物でした。
そして後者は、外付けチューナーにテレビ放送を動画ファイルに変換するための専用チップを積んだもので、ノパソでも快適に録画できるのですが、なにぶんにも高い、とにかく高い。

…が、これが今後例えばパソコンやスマホのMPUにFPGAでできた領域が入る時代になるとどうなるか?
まったくシンプルな話で、テレビを録画する時だけMPUの一部をドライバソフトを使ってハードウェアエンコーダーに変化させて利用すればいいわけです。

 あるいはこれもちょっと前のネタになりますが、この技術によってJAVAプロセッサの復権もある意味かなりの確度で"ある"と言えるでしょう。
このJAVAプロセッサとは何ぞやと申しますと、現在覚えやすくて様々なマシンで動くことから圧倒的な人気を誇るJAVAというプログラミング言語がありますが、こいつがどういう仕組みであらゆるマシンに対応しているのかと言うと、それはJAVA VMという架空のプロセッサを基本的な規格として設定し、それぞれのマシンが内臓するプロセッサにこのバーチャルマシンをエミュレートさせるという方式を用いています。
…すると当然のことながら、このJAVA VMそのものか、もしくは互換性のあるマシン語で動くプロセッサを設計すれば必然的にデファクトスタンダードになるんだよというわけで、これを作って売り出したメーカーがあったが…客が集まらずぶっちゃけコケた。
しかし、PCもスマホもそのMPUにFPGAでできた領域を内蔵するようになれば、その種のMPUでJAVAを動かす…つまりJAVA VMをエミュレートする場合、必然的にFPGA領域にJAVAプロセッサを構成してハードウェアエミュレートという形になります。
もっと言ってしまえば、昔のMacが使っていたパワーPCや、更に前のMacや他社のPCが使用していたものの、競争に負けて消えて行った68000系もハードウェアレベルでエミュレートできてしまうという冗談のようなプロセッサが出来上がるわけです。

 と、いうわけで小官はこの技術はおそらく、現在全盛のマルチコア化の限界が見えてくる頃に流星のように現れて文字通りの革命を起こすんではないかと愚考する次第であります。

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