相も変わらない琉球新報の報道にはうんざり。
http://obiekt.seesaa.net/article/42261087.html
自称平和運動家の方がグリーン○ースまがいのことをやらかして危うく死人が出るところだったというのに
(もっとも、ご本家の方では既にああいった行為に走る情熱的な方は異端視されているそうですが)
防衛省いぢめを改めようともしない。
まあ、知事選と基地問題以外あんま政治ネタのない辺境で新聞なぞ書いていたら、遅かれ早かれこうなってしまうのかも知れませんが、
「よし、今度はどんな記事を書いて琉球新報を叩こうか」なんてやるのも大人気無いような気がしますし、こういったネタ作りの結果としてこのブログが政治色強くなってしまうのもあんま好ましいとは思いません。
と、ゆうわけで、こないだ本屋で見つけた
「もうすぐ宇宙人が到着します」という題名の本、
これ、強度のUFOビリーバーが書いてて、
(何でわら半紙に印刷されてないんだ)
と思うほどデムパゆんゆんな内容の本なんですが、こいつを購入し、しかるのち電波解析と称してこれの間違い探しと作者の心理に対する考察といったことをやってゆきたいと思います。
…まあ、ブログってやつはそもそも自虐ネタをやるためにあるような場所であって、他者への攻撃みたいな事は好もしくないのですが、フォトンベルトとか悪の秘密結社とか、デムパの世界において王道と言っても差し支えないような事ばっか書かれている本なんで、
「ミリタリーとSFそしてちょびっと政治」を看板としている我がブログとしては、サイエンティフィックな角度からこういったのに迫っていこうとまあ、こうゆうわけですね。
それでは乞うご期待。
2007年5月26日土曜日
2007年5月19日土曜日
あの人だって人間なんだ?
前回の記事で琉球新報について
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」
との印象を抱いてしまいますね。
なんて言ってたら・・・今日の朝刊の27面にこんなのがありました。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23882-storytopic-1.html
あとでリンク切れると困るので抜粋
-------------------------------
沖縄学の父が戦意高揚の寄稿文
沖縄学の双璧(そうへき)とされる伊波普猷(1876-1947年)と、東恩納寛惇(1882-1963年)が、相次いで戦意高揚を図る文書を東京新聞に寄稿していたことが、18日までに分かった。伊波は沖縄戦が始まった1945年4月3、4の両日、日本人として「真価を発揮する機会が到来した」「勇戦大きな期待を抱く」などと記述している。東恩納は組織的戦闘が終結した直後の6月27日付で「本土防衛に鉄壁布陣の時間を稼いだ」と守備軍の功績をたたえている。米軍の本土上陸に向け戦意高揚に一役買っている。
-------------------------------
で、この資料が埋もれていた理由について、
「民主主義者または時局批判者の伊波がこうしたものを書くはずがない、という思い込みや予断が研究者を含む多くの人たちの中に頑にあったためではないか」
と言われているそうです。
…判っていたさ、判っていたよ。物書きがこういう人種だって事は。
まあ、「沖縄に理解を示す人物だからといって必ずしも平和反戦ではない」という当たり前といえばごく当たり前の話で、また、沖縄学の父といえども、昨今主流となっている「オリジナリティーで勝負しろ」という意見を持っていたのではなく「沖縄人は日本人の一部」というのがその主張だったというわけでなかなかに興味深い資料ではあります。
ちなみに沖縄戦とその後の歴史について概略を述べますと、戦前、日本軍は沖縄を前線基地とは見なしておらず、国境は台湾海峡の辺りにありました。
事実、台湾大学の前身は旧帝大であります。
で、戦略上の失敗なんかもあって沖縄にはろくな地上兵力が集まらず、対馬丸の例にも見られる通り米軍の通商破壊で住民も避難できないうちに米軍が上陸してきて凄惨な戦いが繰り広げられます。
特に激戦が繰り広げられたのは宜野湾市、浦添市、西原町の付近で、いくつかの部隊はここで全滅したので、小官が小学生の頃まで嘉数高台公園には慰霊碑がたくさんありました。
ただし、戦後かなりの時間が経つと、遺族の中にもきちんとした情報を知っている人がいなくなって、糸満の平和記念公園へ行ったのに慰霊碑がないと苦情が来るようになったので、あらかたそっちへ移設されてしまい、現在嘉数高台に残っているのは「京都の塔」のみだという話です。
http://www.odnsym.com/spot/kakazu.html
http://www.odnsym.com/pic/m/kyoutotou.html
その後、沖縄がアメリカに占領されると、植民地として、前線基地として、生き残った沖縄の住民は苦しい生活を強いられることになりました。
事実、「アメリカは自由の国ではないのか」と問うた琉球政府の代表に対して、「いかにも、わが合衆国は自由の国である。しかしそれは琉球人には適用されない」と軍の高官が語ったというエピソードも残っています。
(今にして思えばかなり誇張が入っているような気もするが)
当然、そういった中で本土復帰への思いは強くなっていくのでした。
ところが、本土へ復帰して日本人になっても沖縄から米軍は出て行かなかった。
国から来るお金は一部の人にしか回らず、依然として経済格差は存在し続け、基地負担は減るどころか自衛隊まで来た。
こうして日本に対する失望が広まる中で昨今の
「オリジナリティーで勝負しろ」という主張が出てきたのです。
そしてそれはある程度成功を収めました。
が、結局のところ、沖縄の人々が理想と妥協の間で生きてゆかざるを得ない現状は変化しておらず、特に一部の人たちは極端な思想・行動に走ってしまう…
まあだいたいこんなところです。
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」
との印象を抱いてしまいますね。
なんて言ってたら・・・今日の朝刊の27面にこんなのがありました。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23882-storytopic-1.html
あとでリンク切れると困るので抜粋
-------------------------------
沖縄学の父が戦意高揚の寄稿文
沖縄学の双璧(そうへき)とされる伊波普猷(1876-1947年)と、東恩納寛惇(1882-1963年)が、相次いで戦意高揚を図る文書を東京新聞に寄稿していたことが、18日までに分かった。伊波は沖縄戦が始まった1945年4月3、4の両日、日本人として「真価を発揮する機会が到来した」「勇戦大きな期待を抱く」などと記述している。東恩納は組織的戦闘が終結した直後の6月27日付で「本土防衛に鉄壁布陣の時間を稼いだ」と守備軍の功績をたたえている。米軍の本土上陸に向け戦意高揚に一役買っている。
-------------------------------
で、この資料が埋もれていた理由について、
「民主主義者または時局批判者の伊波がこうしたものを書くはずがない、という思い込みや予断が研究者を含む多くの人たちの中に頑にあったためではないか」
と言われているそうです。
…判っていたさ、判っていたよ。物書きがこういう人種だって事は。
まあ、「沖縄に理解を示す人物だからといって必ずしも平和反戦ではない」という当たり前といえばごく当たり前の話で、また、沖縄学の父といえども、昨今主流となっている「オリジナリティーで勝負しろ」という意見を持っていたのではなく「沖縄人は日本人の一部」というのがその主張だったというわけでなかなかに興味深い資料ではあります。
ちなみに沖縄戦とその後の歴史について概略を述べますと、戦前、日本軍は沖縄を前線基地とは見なしておらず、国境は台湾海峡の辺りにありました。
事実、台湾大学の前身は旧帝大であります。
で、戦略上の失敗なんかもあって沖縄にはろくな地上兵力が集まらず、対馬丸の例にも見られる通り米軍の通商破壊で住民も避難できないうちに米軍が上陸してきて凄惨な戦いが繰り広げられます。
特に激戦が繰り広げられたのは宜野湾市、浦添市、西原町の付近で、いくつかの部隊はここで全滅したので、小官が小学生の頃まで嘉数高台公園には慰霊碑がたくさんありました。
ただし、戦後かなりの時間が経つと、遺族の中にもきちんとした情報を知っている人がいなくなって、糸満の平和記念公園へ行ったのに慰霊碑がないと苦情が来るようになったので、あらかたそっちへ移設されてしまい、現在嘉数高台に残っているのは「京都の塔」のみだという話です。
http://www.odnsym.com/spot/kakazu.html
http://www.odnsym.com/pic/m/kyoutotou.html
その後、沖縄がアメリカに占領されると、植民地として、前線基地として、生き残った沖縄の住民は苦しい生活を強いられることになりました。
事実、「アメリカは自由の国ではないのか」と問うた琉球政府の代表に対して、「いかにも、わが合衆国は自由の国である。しかしそれは琉球人には適用されない」と軍の高官が語ったというエピソードも残っています。
(今にして思えばかなり誇張が入っているような気もするが)
当然、そういった中で本土復帰への思いは強くなっていくのでした。
ところが、本土へ復帰して日本人になっても沖縄から米軍は出て行かなかった。
国から来るお金は一部の人にしか回らず、依然として経済格差は存在し続け、基地負担は減るどころか自衛隊まで来た。
こうして日本に対する失望が広まる中で昨今の
「オリジナリティーで勝負しろ」という主張が出てきたのです。
そしてそれはある程度成功を収めました。
が、結局のところ、沖縄の人々が理想と妥協の間で生きてゆかざるを得ない現状は変化しておらず、特に一部の人たちは極端な思想・行動に走ってしまう…
まあだいたいこんなところです。
2007年5月12日土曜日
楽しい核物理学講座その5~核を小型化するとはどういうことか
ラプたん帰りましたよ。
で、琉球新報は素直に喜びゃいいものを、一面トップで
「轟く爆音未明に離陸強行」
ですって。
ま、あえてそういう物の見方をすることで飯を食ってる人たちですから、放置しときましょう。
しかしアレですな、物言いが好戦的とまでは言わんが、このテの記事を読むと
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」との印象を抱いてしまいますね。
もっとも、小官がアマノジャクなせいかもしれんが。
さて質問です。
広島型原爆は64キログラムのウランを使用し、おおよそ15キロトンの破壊力を発揮しました。
それでは15トン相当の破壊力を発揮する核兵器をこさえるにはウランがどれくらい要るでしょうか?
64キログラムの千分の一で64グラム?
そんな事言ってる人は前の講義から読み直して下さい。
そもそも「核物質」は「超臨界状態」にならんと「核爆薬」として機能しないのです。
そして「超臨界状態」にできる最低限の量が一般的にはウランで15キロ、プルトで4キロと言われているというのが前回の講義の要点です。
では、爆発力の大きな原爆と小さな原爆では何が違うのか?
それは平たく言うと、燃焼の効率です。
例えば広島型だと、実際に「燃焼」したのは全体のせいぜい1%、つまり640グラム程度だと言われています。
単純計算すると、全部燃焼した場合、1.5メガトンの破壊力を発揮したことになりますが、リトルボーイはごく一部が燃焼してそれなりの熱量が発生した時点で爆弾自体が蒸発・爆散して超臨界状態が消滅し、連鎖反応が進行しなくなった結果、15キロトン止まりだったというわけです。
そして2の7乗が128ですから、リトルボーイでは連鎖反応が完了する7~8世代前にだいたい反応が停止したと考えてよいでしょう。
この燃焼の効率を高めるためには、当然連鎖反応途中まくりの核物質を爆散しないように十分長い時間狭い空間に閉じ込めておく必要がありまして、そのためにはとても重くて硬い物体でこれを閉じ込めておくという方法が一般的です。
そのための重くて硬い部品をタンパーといいまして、ファットマンなんかですと、中性子を反射して臨界量を小さく抑えることや、連鎖反応で発生した中性子で二次的に反応させることなども狙ってこの部品は劣化ウランで作りました。
当然、タンパーが軽く軟らかい物質だったり全く無かったりすると同じ量の核物質でも反応が十分に進んでいないより早い段階で核物質が爆散して威力低下となります。
要するに、不完全なタンパーを使えば核兵器の威力はいくらでも小さくできるのです。
一方、核兵器のサイズを小型化するためには、いろいろなアプローチがありますが、主となるのはコアの小型化と爆縮方式の簡略化です。
まあ、核兵器のサイズや重量を小さくすればそれだけ運用性も向上するので、じつを言うとこれはかなり研究が進んでいます。
コメ国の例で言いますと、1965年に重量177キログラムの核地雷をこさえ、後に重量70キログラム、破壊力0.1もしくは1キロトンの可変で歩兵がリュックに背負って歩けるというブツを作る。
ちなみにこいつは日本のテレビにアメリカの「核ミュージアム」が出てきたときに全国に紹介されていたはずです。
で、280ミリ核砲弾が後には小型化されて普通の榴弾砲から発射できるようになったり、
有名どころでは核バズーカの「デービークロケット」でしょうね。
こいつの開発が始まったのは1958年。
重量は35.5キログラムで破壊力はTNT20トン相当。
1961年から1965年までの間に400個生産され、実際に試し撃ちも行われております。
http://www.sonicbomb.com/modules.php?name=Content&pa=showpage&pid=56
まあ、現実的に鉄板原爆に近いのはこのあたりでしょうね。
こいつらは基本的に爆縮方式の簡略化によって小型化を達成しているみたいです。
具体的には「リニア・インプロージョン方式」といいまして、鉄パイプの両側にそれぞれ臨界量の半分のプルト半球と火薬を仕込んでおき、同時に点火して合体と爆縮を同時並行に行うと…
この辺のメカニズムは鉄板原爆に通ずるものがありますが、これとても核物質を臨界量以上用意しないといけないという点ではテロリストが簡単に製作できるようなシロモノではありえません。
加えて言うならば、誰でもすぐに推測できるように軸方向から来た衝撃波が周方向へ逃げる構造なので、当然爆縮効率もよろしくないです。
今ひとつのアプローチであるコアの小型化については、タンパーを中性子反射効率の高い素材(例えばベリリウム)で作ったり、爆縮効率の向上で達成できますが、特に後者である爆縮効率の向上については、これは爆縮レンズ系を大型化させぬように…とか考え始めると爆弾の小型化のためにはどうしてもトレードオフになりますんで、実験もなしに一回こっきりの特攻で確実に爆発させたいテロリストにとってはやはりハードルが高すぎると言わざるを得ないでしょう。
と、ゆうわけで、小官がテロリストならば俗に言うスーツケース原爆(平たくてスリムなロシア版の核地雷)を入手してそのまま使いますね。
小官が科学者ならば興味本位で鉄板原爆を作るかも知れんが、(臨界量の兵器級プルトを入手する時点で数十回はブタ箱行き確定だが)科学者だけに当然ハゲが怖いので製作は最低でもグローブボックスを使用し、爆発実験はタイマー付けて海溝にドボンし、地震計とにらめっこくらいの安全策はとりたい所です。
とりあえず核物理の講義はこれでおしまいと致しましょう。
ではでは。
で、琉球新報は素直に喜びゃいいものを、一面トップで
「轟く爆音未明に離陸強行」
ですって。
ま、あえてそういう物の見方をすることで飯を食ってる人たちですから、放置しときましょう。
しかしアレですな、物言いが好戦的とまでは言わんが、このテの記事を読むと
「こいつら時代が時代なら先頭に立って軍国主義を賛美してたんジャマイカ」との印象を抱いてしまいますね。
もっとも、小官がアマノジャクなせいかもしれんが。
さて質問です。
広島型原爆は64キログラムのウランを使用し、おおよそ15キロトンの破壊力を発揮しました。
それでは15トン相当の破壊力を発揮する核兵器をこさえるにはウランがどれくらい要るでしょうか?
64キログラムの千分の一で64グラム?
そんな事言ってる人は前の講義から読み直して下さい。
そもそも「核物質」は「超臨界状態」にならんと「核爆薬」として機能しないのです。
そして「超臨界状態」にできる最低限の量が一般的にはウランで15キロ、プルトで4キロと言われているというのが前回の講義の要点です。
では、爆発力の大きな原爆と小さな原爆では何が違うのか?
それは平たく言うと、燃焼の効率です。
例えば広島型だと、実際に「燃焼」したのは全体のせいぜい1%、つまり640グラム程度だと言われています。
単純計算すると、全部燃焼した場合、1.5メガトンの破壊力を発揮したことになりますが、リトルボーイはごく一部が燃焼してそれなりの熱量が発生した時点で爆弾自体が蒸発・爆散して超臨界状態が消滅し、連鎖反応が進行しなくなった結果、15キロトン止まりだったというわけです。
そして2の7乗が128ですから、リトルボーイでは連鎖反応が完了する7~8世代前にだいたい反応が停止したと考えてよいでしょう。
この燃焼の効率を高めるためには、当然連鎖反応途中まくりの核物質を爆散しないように十分長い時間狭い空間に閉じ込めておく必要がありまして、そのためにはとても重くて硬い物体でこれを閉じ込めておくという方法が一般的です。
そのための重くて硬い部品をタンパーといいまして、ファットマンなんかですと、中性子を反射して臨界量を小さく抑えることや、連鎖反応で発生した中性子で二次的に反応させることなども狙ってこの部品は劣化ウランで作りました。
当然、タンパーが軽く軟らかい物質だったり全く無かったりすると同じ量の核物質でも反応が十分に進んでいないより早い段階で核物質が爆散して威力低下となります。
要するに、不完全なタンパーを使えば核兵器の威力はいくらでも小さくできるのです。
一方、核兵器のサイズを小型化するためには、いろいろなアプローチがありますが、主となるのはコアの小型化と爆縮方式の簡略化です。
まあ、核兵器のサイズや重量を小さくすればそれだけ運用性も向上するので、じつを言うとこれはかなり研究が進んでいます。
コメ国の例で言いますと、1965年に重量177キログラムの核地雷をこさえ、後に重量70キログラム、破壊力0.1もしくは1キロトンの可変で歩兵がリュックに背負って歩けるというブツを作る。
ちなみにこいつは日本のテレビにアメリカの「核ミュージアム」が出てきたときに全国に紹介されていたはずです。
で、280ミリ核砲弾が後には小型化されて普通の榴弾砲から発射できるようになったり、
有名どころでは核バズーカの「デービークロケット」でしょうね。
こいつの開発が始まったのは1958年。
重量は35.5キログラムで破壊力はTNT20トン相当。
1961年から1965年までの間に400個生産され、実際に試し撃ちも行われております。
http://www.sonicbomb.com/modules.php?name=Content&pa=showpage&pid=56
まあ、現実的に鉄板原爆に近いのはこのあたりでしょうね。
こいつらは基本的に爆縮方式の簡略化によって小型化を達成しているみたいです。
具体的には「リニア・インプロージョン方式」といいまして、鉄パイプの両側にそれぞれ臨界量の半分のプルト半球と火薬を仕込んでおき、同時に点火して合体と爆縮を同時並行に行うと…
この辺のメカニズムは鉄板原爆に通ずるものがありますが、これとても核物質を臨界量以上用意しないといけないという点ではテロリストが簡単に製作できるようなシロモノではありえません。
加えて言うならば、誰でもすぐに推測できるように軸方向から来た衝撃波が周方向へ逃げる構造なので、当然爆縮効率もよろしくないです。
今ひとつのアプローチであるコアの小型化については、タンパーを中性子反射効率の高い素材(例えばベリリウム)で作ったり、爆縮効率の向上で達成できますが、特に後者である爆縮効率の向上については、これは爆縮レンズ系を大型化させぬように…とか考え始めると爆弾の小型化のためにはどうしてもトレードオフになりますんで、実験もなしに一回こっきりの特攻で確実に爆発させたいテロリストにとってはやはりハードルが高すぎると言わざるを得ないでしょう。
と、ゆうわけで、小官がテロリストならば俗に言うスーツケース原爆(平たくてスリムなロシア版の核地雷)を入手してそのまま使いますね。
小官が科学者ならば興味本位で鉄板原爆を作るかも知れんが、(臨界量の兵器級プルトを入手する時点で数十回はブタ箱行き確定だが)科学者だけに当然ハゲが怖いので製作は最低でもグローブボックスを使用し、爆発実験はタイマー付けて海溝にドボンし、地震計とにらめっこくらいの安全策はとりたい所です。
とりあえず核物理の講義はこれでおしまいと致しましょう。
ではでは。
2007年5月5日土曜日
戦勝国の傲慢
うちがソースに使ってる「テクノバーンが」なんかごたごたしてるもんですから、
http://obiekt.seesaa.net/article/38636331.html
過去の記事なんかにリンク切れが続出して改めて無限更新地獄の恐ろしさを思い知らされているハインフェッツです。
これじゃ正直手が回りませんよ。
で、本来ならば今回は「デービークロケット」なんかの話から
「そもそも核兵器の小型化とはどういうことか」という流れで鉄板原爆の検証に行くつもりだったんですが、情報収集の最中に
「んんんー?」と思うような事がありましたんで、政治の記事に差し替えさせていただきます。
問題は「ニューズウィーク日本語版」のゴールデンウィーク合併号。
43ページにテンプル大学ジャパンキャンパス教授のフィル・ディーンズってジャーナリストが書いている
「日本だけじゃない歴史のごまかし」ってコラムです。
日本の過去を公然と批判する中韓にも「歴史の汚点は存在する」という視点には同意できますが、結論がねぇ…
というわけで、
「マスコミは権力の監査機関、ネットはマスコミの監査機関」という言葉もあることですし、問題のコラムの結論の部分を転記しておきます。
-------------------------------
もちろん、日本と近隣諸国が患う「歴史健忘症」には大きな違いがある。中国、北朝鮮、韓国、台湾は過去の嫌な出来事を隠そうとする罪を犯しているかもしれない。だが、中国がチベットに、国民党が台湾に、北朝鮮が韓国に与えた苦痛は、国境が争点になっていたとはいえ、主に国内問題といえる。これに対して、日本は次々と他国を侵略し、人々を苦しめた占領者である。
日本は第二次世界大戦で無条件降伏し、侵略戦争の責任を公式に認めた。日本政府は自らの歴史に特別な責任を負っているのだ。その責任を誠実に果たさないかぎり、アジアにおいて歴史を政治問題化する動きは終わらない。
-------------------------------
よーするに日本は無条件降伏したとき、「あれは侵略戦争でした」とやったのだからほかの国がやってることは国内問題でも太平洋戦争は日本の侵略戦争なのだと。
そして侵略戦争だと認めた以上は相応の責任を果たさねばならぬのだと。
(この責任の概念がかなり曖昧で、時系列に従って拡大解釈されてゆくのがリベラルを名乗りながら中共の手先と成り下がった知識人に特徴的な主張のパターンである)
つまり、中国が石油欲しさに南シナ海を獲っちゃった一件も、先方が侵略だとは認めていないので、国内問題ってわけです。
勝てば官軍でつか!
まあ、それが国際社会の不文律なんですけどね。…
たしかに小官も、
「一度過去をきちんと清算しないかぎり、まずまともな外交というものをやるための前提条件が整わないではないか」
と思っていた時期もありましたけど、今では歴史ネタはたいていの場合日本叩きと金銭せびりが目的だと知ってしまいましたからねぇ…
まあ、あれです、このての人にはまずこう言ってみます。
「あなたは先方の要求を全面的に呑むことが騒音おばさんに常識を弁えさせる最良の方法だと思われますか?」と。
さてと、次回こそは鉄板原爆をやりましょうね。
http://obiekt.seesaa.net/article/38636331.html
過去の記事なんかにリンク切れが続出して改めて無限更新地獄の恐ろしさを思い知らされているハインフェッツです。
これじゃ正直手が回りませんよ。
で、本来ならば今回は「デービークロケット」なんかの話から
「そもそも核兵器の小型化とはどういうことか」という流れで鉄板原爆の検証に行くつもりだったんですが、情報収集の最中に
「んんんー?」と思うような事がありましたんで、政治の記事に差し替えさせていただきます。
問題は「ニューズウィーク日本語版」のゴールデンウィーク合併号。
43ページにテンプル大学ジャパンキャンパス教授のフィル・ディーンズってジャーナリストが書いている
「日本だけじゃない歴史のごまかし」ってコラムです。
日本の過去を公然と批判する中韓にも「歴史の汚点は存在する」という視点には同意できますが、結論がねぇ…
というわけで、
「マスコミは権力の監査機関、ネットはマスコミの監査機関」という言葉もあることですし、問題のコラムの結論の部分を転記しておきます。
-------------------------------
もちろん、日本と近隣諸国が患う「歴史健忘症」には大きな違いがある。中国、北朝鮮、韓国、台湾は過去の嫌な出来事を隠そうとする罪を犯しているかもしれない。だが、中国がチベットに、国民党が台湾に、北朝鮮が韓国に与えた苦痛は、国境が争点になっていたとはいえ、主に国内問題といえる。これに対して、日本は次々と他国を侵略し、人々を苦しめた占領者である。
日本は第二次世界大戦で無条件降伏し、侵略戦争の責任を公式に認めた。日本政府は自らの歴史に特別な責任を負っているのだ。その責任を誠実に果たさないかぎり、アジアにおいて歴史を政治問題化する動きは終わらない。
-------------------------------
よーするに日本は無条件降伏したとき、「あれは侵略戦争でした」とやったのだからほかの国がやってることは国内問題でも太平洋戦争は日本の侵略戦争なのだと。
そして侵略戦争だと認めた以上は相応の責任を果たさねばならぬのだと。
(この責任の概念がかなり曖昧で、時系列に従って拡大解釈されてゆくのがリベラルを名乗りながら中共の手先と成り下がった知識人に特徴的な主張のパターンである)
つまり、中国が石油欲しさに南シナ海を獲っちゃった一件も、先方が侵略だとは認めていないので、国内問題ってわけです。
勝てば官軍でつか!
まあ、それが国際社会の不文律なんですけどね。…
たしかに小官も、
「一度過去をきちんと清算しないかぎり、まずまともな外交というものをやるための前提条件が整わないではないか」
と思っていた時期もありましたけど、今では歴史ネタはたいていの場合日本叩きと金銭せびりが目的だと知ってしまいましたからねぇ…
まあ、あれです、このての人にはまずこう言ってみます。
「あなたは先方の要求を全面的に呑むことが騒音おばさんに常識を弁えさせる最良の方法だと思われますか?」と。
さてと、次回こそは鉄板原爆をやりましょうね。
2007年4月28日土曜日
玉虫色のF-X選定
過疎だ過疎だと言っていますが、それでもたまーに通行人が現れるみたいで、さっきチェックしたら、5日にpianさんという方からコメントを頂いてました。
ところで航空自衛隊の次期F-XはF-15FXとラプたんの二段構えに決定したらしいです。
http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007042101000645.html
次期F-Xについては軍オタの間でも前々から
「米空軍が使ってるのと同じ機体を入れてるからラプたんにケテーイでしょ」
「いや、ラプたんは政治の問題でダメっぽいよ。F-15FXでしょ」
てな事が言われてたんですが、その議論をそのまま先送りしちゃったような形で、「F-15FXとラプたんでハイローミックス」とやっちゃった防衛省には、
「やっぱりお役人の集団であったか。」
としか思えないのですが、とりあえずおめでとうございますとでも言っておきましょう。
しかし…小官は個人的にラプたんの輸入解禁に時間がかかるのなら、むしろライトニング2が手に入らないだろうかとも思います。
そりゃコストの関係なんかもありますけれど、さらに大きいのはアビオニクス、いや、ずばり言うと運用思想です。
ラプたんの場合、自前のレーダーも使えないことはないですが、基本的には自分からは電波を出さずに(ステルス機が逆探知されたら笑い話ですからね)空中管制機が捉えたターゲットを叩きに行くというのが基本戦術なんで、効率的な運用にはどーしても連携が必要で、そのための周辺機材なんかが必要になってしまいます。
一方ライトニング2の場合、限られた数で運用する艦載機であることもあって、自分で目標を探す能力が高いらしい。
具体的にはラプたんが持っていない赤外線探知機を備えているらしい。
ここに例の「スナイパーポッド」なんかと類似の光学策敵機材(ただし日本で独自に開発したもの)を乗せてやれば、お安くコンパクトな防空戦力を組み立てることが出来そうです。
それにライトニング2は最初から輸出を前提とした機体なんで、防衛省としてはクリアせにゃならん課題は派閥争いくらいのもの… となれば、結構おいしそうなんですがどうでしょうね。
ところで航空自衛隊の次期F-XはF-15FXとラプたんの二段構えに決定したらしいです。
http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007042101000645.html
次期F-Xについては軍オタの間でも前々から
「米空軍が使ってるのと同じ機体を入れてるからラプたんにケテーイでしょ」
「いや、ラプたんは政治の問題でダメっぽいよ。F-15FXでしょ」
てな事が言われてたんですが、その議論をそのまま先送りしちゃったような形で、「F-15FXとラプたんでハイローミックス」とやっちゃった防衛省には、
「やっぱりお役人の集団であったか。」
としか思えないのですが、とりあえずおめでとうございますとでも言っておきましょう。
しかし…小官は個人的にラプたんの輸入解禁に時間がかかるのなら、むしろライトニング2が手に入らないだろうかとも思います。
そりゃコストの関係なんかもありますけれど、さらに大きいのはアビオニクス、いや、ずばり言うと運用思想です。
ラプたんの場合、自前のレーダーも使えないことはないですが、基本的には自分からは電波を出さずに(ステルス機が逆探知されたら笑い話ですからね)空中管制機が捉えたターゲットを叩きに行くというのが基本戦術なんで、効率的な運用にはどーしても連携が必要で、そのための周辺機材なんかが必要になってしまいます。
一方ライトニング2の場合、限られた数で運用する艦載機であることもあって、自分で目標を探す能力が高いらしい。
具体的にはラプたんが持っていない赤外線探知機を備えているらしい。
ここに例の「スナイパーポッド」なんかと類似の光学策敵機材(ただし日本で独自に開発したもの)を乗せてやれば、お安くコンパクトな防空戦力を組み立てることが出来そうです。
それにライトニング2は最初から輸出を前提とした機体なんで、防衛省としてはクリアせにゃならん課題は派閥争いくらいのもの… となれば、結構おいしそうなんですがどうでしょうね。
2007年4月21日土曜日
楽しい核物理学講座その4~原爆で3-.2-.1-.アフロー!!
カラー電子ペーパーが出たんで、話題になってるみたいですね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news069.html
一方、小官といえば、この一週間何も無い平穏な日々でした…と言ったらウソになりますね。
きっかけは例によってレム睡眠の最中に受信したデムパを「上位世界からの託宣」ということにして、「大人の科学」の「紙フィルム映写機」ってやつを買いに本屋へ行ったことです。
http://otonanokagaku.net/next/index.html
そしたら、何かの教材でしょうか。変な吹き替え版のDVDが流れてて、
ポパイが琉球語しゃべってた。
(「琉球語」は「うちなーぐち」と読んでください。どうもかっこよく書けないので。)
で、これらとは関係の無い「趣味の本」を読んでたら、
F-Xの記事の末尾に「次次期F-Xにコレはどうだ?」という煽り文句で
ストラマが載ってた。
しかし、これらのトピックスをいちいち扱っていたのでは、鉄板原爆の腱鞘炎…もとい検証編がぜんぜん進まないので、中性子の話もしたことだし、早速原爆の話を始めたいと思います。
そういえばあの妄想マルチロール戦闘機も核を搭載する予定だそうですね。
…というわけで、はい。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
同じものを何度も貼り付けるようですが、これが原爆の基本であり、素人向けの教科書といっても差し支えないものですから、ご容赦を。
日本人にとって非常に馴染み深いこの二発の原爆ですが、(最近は知らない莫迦も蔓延していると聞きます、小官の受けた教育に感謝。ただ、講師は皆反戦左翼でしたが。)広島型の場合、64キログラムのウラン235が使用され、長崎型には6.2キログラムのプルトニウム239が使用されたという情報が読み取れるかと思います。
これらの情報に追加させて頂くならば、この砲身式と爆縮式という二通りの原爆のうち、以後のメインストリームとなってゆくのは長崎型であるプルトニウム爆縮式でありました。
その理由はまあ、だいたい二つだと思います。
第一にプルトニウムは確保が容易であったということ。
天然ウランに必要な同位体であるウラン235は0.7%しか入っていません。
これを濃縮するのはえらいことです。
一方、黒鉛炉などに天然ウランを放り込んで何ヶ月か燃やしてやると、中性子のために燃料の中にプルトニウムができてきます。とても簡単で、しかも省資源です。
第二にプルトニウムは臨界量が小さいということ。
先にあげた資料からも読み取れる通り、プルトニウム原爆だと、核物質の量は少なくて済みます。
要するにプルトニウムの方が燃えやすいのですが、それは爆弾本体の小型化に直接関わってきます。このファクターは兵器として発展の余地が大きいことを示します。
かわぐちかいじの仮想戦記漫画「ジパング」では、和製原爆があまりにも大型化してしまったために、輸送手段として戦艦大和を使用するくだりがありますが、まさにその問題があるわけです。
ただし、プルトニウムに問題が無いわけじゃありません。
それは何度も言ってるように、プルト240の自発核分裂の問題です。
原爆の点火シークエンスというのは基本的に、火薬なり何なりを使って核物質を物理的に合体なり圧縮なりして、
「臨界量を突破したところへある程度まとまった数の中性子を放り込む」
というものです。
ウランの場合、砲身式でも確実に爆発させることができました。
ただ、資料を見るとやはり自発核分裂によって発生する中性子のリスクを回避するためか、タンパーには劣化ウランではなく炭化タングステンが使われていたみたいですが。
一方プルトニウムは最初から自発分裂の問題を回避することが無理でした。
この自発分裂によって核物質の中に最初から中性子が沢山存在すると、臨界に達する前にくすぶってプスプスやり始め、臨界をちょっと突破したあたりで核物質はプラズマ化して爆弾を蒸発させてしまう「未熟爆発」が起こります。
これは面白くないです。そもそも「核物質の臨界」というのは、
「連鎖反応を繰り返しても中性子が減らない」という条件のことです。
この一線をはるかに飛び越えて、
「もしも中性子が来たらバコバコ増えまくりますよ」
という「超臨界」になったところへすかさずまとまった数の中性子を放り込まないと爆発とは言えるような現象は発生しないでしょう。
ところが、プルトで砲身式をやると、自身の中性子が原因で「砲弾」が「目標」と合体するまでの0.5ミリ秒の間にこの「未熟爆発」が起こる危険性がありました。
そこで、臨界量をちょっと切るくらいのプルトニウム球に爆薬を使って数千気圧の「球形の衝撃波」を浴びせ、圧縮することで超臨界にしてやろうという爆縮型が生み出されたわけです。
例えば、あるプルトニウム球を爆縮して直径を半分にしてやると、原子の数は変化しないまま表面積は四分の一になります。
つまり単位質量あたり逃げてゆく中性子の数が四分の一になるわけです。
圧縮しなかったとすると、球の直径を四倍…つまり64倍の重さの球を作ったのと同じことになります。
…まあ、これは極端な計算ですが、爆縮方式がいかにすばやく効率的に超臨界を達成できるか、これでご理解いただけるかと思います。
ちなみに現在ではプルトニウム239では4キログラム、ウラン235では15キログラムほどあれば原爆に仕立て上げることは可能で、材料のグレードと、爆縮技術のレベルなどにもよりますが、最低2~1キログラムのプルトニウムがあれば原爆にできるとも言われています。(ただし、最高の技術と材料をこれでもかとばかりにつぎ込んだ場合の話)
なんか疲れましたが、たぶん次回で「原爆の小型化」から鉄板原爆の検証に入れると思います。
乞うご期待…という事にしといて下さい。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/20/news069.html
一方、小官といえば、この一週間何も無い平穏な日々でした…と言ったらウソになりますね。
きっかけは例によってレム睡眠の最中に受信したデムパを「上位世界からの託宣」ということにして、「大人の科学」の「紙フィルム映写機」ってやつを買いに本屋へ行ったことです。
http://otonanokagaku.net/next/index.html
そしたら、何かの教材でしょうか。変な吹き替え版のDVDが流れてて、
ポパイが琉球語しゃべってた。
(「琉球語」は「うちなーぐち」と読んでください。どうもかっこよく書けないので。)
で、これらとは関係の無い「趣味の本」を読んでたら、
F-Xの記事の末尾に「次次期F-Xにコレはどうだ?」という煽り文句で
ストラマが載ってた。
しかし、これらのトピックスをいちいち扱っていたのでは、鉄板原爆の腱鞘炎…もとい検証編がぜんぜん進まないので、中性子の話もしたことだし、早速原爆の話を始めたいと思います。
そういえばあの妄想マルチロール戦闘機も核を搭載する予定だそうですね。
…というわけで、はい。
http://www.ne.jp/asahi/hayashi/love/nuclear1.htm
同じものを何度も貼り付けるようですが、これが原爆の基本であり、素人向けの教科書といっても差し支えないものですから、ご容赦を。
日本人にとって非常に馴染み深いこの二発の原爆ですが、(最近は知らない莫迦も蔓延していると聞きます、小官の受けた教育に感謝。ただ、講師は皆反戦左翼でしたが。)広島型の場合、64キログラムのウラン235が使用され、長崎型には6.2キログラムのプルトニウム239が使用されたという情報が読み取れるかと思います。
これらの情報に追加させて頂くならば、この砲身式と爆縮式という二通りの原爆のうち、以後のメインストリームとなってゆくのは長崎型であるプルトニウム爆縮式でありました。
その理由はまあ、だいたい二つだと思います。
第一にプルトニウムは確保が容易であったということ。
天然ウランに必要な同位体であるウラン235は0.7%しか入っていません。
これを濃縮するのはえらいことです。
一方、黒鉛炉などに天然ウランを放り込んで何ヶ月か燃やしてやると、中性子のために燃料の中にプルトニウムができてきます。とても簡単で、しかも省資源です。
第二にプルトニウムは臨界量が小さいということ。
先にあげた資料からも読み取れる通り、プルトニウム原爆だと、核物質の量は少なくて済みます。
要するにプルトニウムの方が燃えやすいのですが、それは爆弾本体の小型化に直接関わってきます。このファクターは兵器として発展の余地が大きいことを示します。
かわぐちかいじの仮想戦記漫画「ジパング」では、和製原爆があまりにも大型化してしまったために、輸送手段として戦艦大和を使用するくだりがありますが、まさにその問題があるわけです。
ただし、プルトニウムに問題が無いわけじゃありません。
それは何度も言ってるように、プルト240の自発核分裂の問題です。
原爆の点火シークエンスというのは基本的に、火薬なり何なりを使って核物質を物理的に合体なり圧縮なりして、
「臨界量を突破したところへある程度まとまった数の中性子を放り込む」
というものです。
ウランの場合、砲身式でも確実に爆発させることができました。
ただ、資料を見るとやはり自発核分裂によって発生する中性子のリスクを回避するためか、タンパーには劣化ウランではなく炭化タングステンが使われていたみたいですが。
一方プルトニウムは最初から自発分裂の問題を回避することが無理でした。
この自発分裂によって核物質の中に最初から中性子が沢山存在すると、臨界に達する前にくすぶってプスプスやり始め、臨界をちょっと突破したあたりで核物質はプラズマ化して爆弾を蒸発させてしまう「未熟爆発」が起こります。
これは面白くないです。そもそも「核物質の臨界」というのは、
「連鎖反応を繰り返しても中性子が減らない」という条件のことです。
この一線をはるかに飛び越えて、
「もしも中性子が来たらバコバコ増えまくりますよ」
という「超臨界」になったところへすかさずまとまった数の中性子を放り込まないと爆発とは言えるような現象は発生しないでしょう。
ところが、プルトで砲身式をやると、自身の中性子が原因で「砲弾」が「目標」と合体するまでの0.5ミリ秒の間にこの「未熟爆発」が起こる危険性がありました。
そこで、臨界量をちょっと切るくらいのプルトニウム球に爆薬を使って数千気圧の「球形の衝撃波」を浴びせ、圧縮することで超臨界にしてやろうという爆縮型が生み出されたわけです。
例えば、あるプルトニウム球を爆縮して直径を半分にしてやると、原子の数は変化しないまま表面積は四分の一になります。
つまり単位質量あたり逃げてゆく中性子の数が四分の一になるわけです。
圧縮しなかったとすると、球の直径を四倍…つまり64倍の重さの球を作ったのと同じことになります。
…まあ、これは極端な計算ですが、爆縮方式がいかにすばやく効率的に超臨界を達成できるか、これでご理解いただけるかと思います。
ちなみに現在ではプルトニウム239では4キログラム、ウラン235では15キログラムほどあれば原爆に仕立て上げることは可能で、材料のグレードと、爆縮技術のレベルなどにもよりますが、最低2~1キログラムのプルトニウムがあれば原爆にできるとも言われています。(ただし、最高の技術と材料をこれでもかとばかりにつぎ込んだ場合の話)
なんか疲れましたが、たぶん次回で「原爆の小型化」から鉄板原爆の検証に入れると思います。
乞うご期待…という事にしといて下さい。
2007年4月14日土曜日
ラプたんの声
22日の参議院補欠選挙を応援するために明日、首相が来県なさるそうです。
こないだ政見放送見たんですがね、個人的には金城さん応援したいな。
他の候補者が「とりあえず頑張ります」みたいな事くらいしか言ってなかったのに、彼は
「尖閣諸島の油田を掘って県の経済を潤すのだ!」
とやってくれてましたから。
そうなんですよ。本当はあの油田、沖縄県の物なんですよ?
だけど彼、(保守ではあるが)無所属なんだよねぇ。
選挙資金が少ないのか、選挙運動もちょっと出足が遅かったし。
…結局のところ日本国民の総意としては、
「油田を与えてでも今は中国と仲良くすべし」
といったところみたいです。
…っと、何やってるんだ小官は。 危うく本題忘れるところでした。
先月のことです。
ジェット音が聞こえてきたので小官のオヤヂが「あれはラプたんの声だよ」
と言いました。そこで小官が窓から空を見上げてみると、
遠目にもイーグルと判るクリップドデルタ翼が去ってゆくところでした。
その後何度か同じような事があったので、小官は遂に重い腰を上げ、検証のために「砂辺ポイント」へデジカメ下げて向かいました。
ラプたんの鳴き声については、例によってオブイェクトのコメント欄にいろいろ書き込まれているので、そちらの方を参照なされるとよいでしょう。
http://obiekt.seesaa.net/article/33911354.html
砂辺ポイントは嘉手納基地の進入路と国道が交差する場所で、運がよければイーグルの着地を至近距離で拝む事ができます。
ただし、ちょっと谷がちになっているので、ここからは滑走路の方までは視線が届きません。
空撮マニヤの視点では、王道が安保の丘で、穴場狙いが砂辺ポイントってとこでしょう。
やっぱりご他聞にもれず、平日なのにワゴン車停めて望遠レンズのデジカメ持った人たちがそこそこいましたよ。
…が。
イーグルイーグル、イーグルばっかでラプたんらしき機影は影も形も無い!
仕方が無いので、空撮マニヤをちょっと離れたとこからデジカメで盗撮し、その辺を旋回しているイーグルをいい加減に写し、「今日はもう帰ろう」…と、考えた時。
「それ」が見えました。
ラプたんのダイヤ型な尾翼が誘導路の上を歩いてゆくのを。
これを撮らにゃお話にならん。
少し背伸びすると、ちょっとタイヤが隠れるくらいのアングルで、全体をフレームに収めることができたので、パシャパシャ撮りまくりました。
隣の滑走路へ向かうラプたんも、モデルさんか何かのようにくるっとターンしてくれたので、遠慮なく全周から撮りまくりました。…主におしりを。
で、多分対ステルス機戦闘の訓練でもするんですね。
ラプたん二匹に続いて、イーグルが二匹現れ、四匹でこっちにおしりを向けて滑走路の隅の誘導路に整列すると、順番に滑走路に入って飛び立って行きましたので、実地できちんと音を比較することができたわけです。
そんなラプたんは、帰り道でもちょくちょく北谷の上空に現れて旋回してったので、クルーズ時の音もちゃんと覚えることができました。
で、ラプたんの鳴き声ですが、後で動画を再生してみると、案外ジェット音より、自動車の音の方が大きくて驚いたりもしましたが、やっぱりラプたんは基本的に離陸のときも静かです。
はっきし言ってよほど注意してないと民間のジェット旅客機と聞き間違えるような音を出して離陸していきます。
これに対してイーグルは、下手すると苦痛すら感じかねないような激しいジェット音が自分の360度全周から降り注いできます。誇張ではなく本当に付近一帯の空気の塊を低周波で振動させます。
具体的なイメージで言うと、プロレスラーがリングの上でマイク片手に相手を挑発する声がイーグルなら、その後ろから聞こえてくる観客のヤジがラプたんというくらいの違いがあります。
そして、クルーズ時の音ですが、アフターバーナーを使わない限り、この種のジェットエンジンの出す音には大きく分けで二種類の成分があります。
一つは、「どごおおおぉぉぉ」という低周波の典型的なジェット音。
もう一つは「くぅぉぉぉぁぁぁ」という感じの強いて言えばハーモニカに似てなくも無い感じの比較的高音域の成分。
イーグルの場合、大抵は前者が先に来て、飛び去ってゆくときに後者が後から追いかけてきます。
これが、ラプたんだと、まず後者が聞こえ、その後から小さく前者が聞こえ始めます。
ただし、この「ハーモニカ」音は、タービンブレードが共鳴する音であるために特定の回転数でのみ出るのかは判りませんが、聞こえない場合がけっこうあるようです。
そのため、「ごおおぁぁぁ…」という遠いジェット音に「イーグルだな」と思って空を探すと、ほぼ真上に近い所をラプたんが二人組みで飛んでいた…なんてケースもままありました。
結論から言うと、ラプたんは静かで、ちょっと声が甲高い。
それは従来音波の形で空気中に捨てていたエネルギーを有効に使えるようになったことの裏返しである… といったあたりに落ち着くと思います。
こないだ政見放送見たんですがね、個人的には金城さん応援したいな。
他の候補者が「とりあえず頑張ります」みたいな事くらいしか言ってなかったのに、彼は
「尖閣諸島の油田を掘って県の経済を潤すのだ!」
とやってくれてましたから。
そうなんですよ。本当はあの油田、沖縄県の物なんですよ?
だけど彼、(保守ではあるが)無所属なんだよねぇ。
選挙資金が少ないのか、選挙運動もちょっと出足が遅かったし。
…結局のところ日本国民の総意としては、
「油田を与えてでも今は中国と仲良くすべし」
といったところみたいです。
…っと、何やってるんだ小官は。 危うく本題忘れるところでした。
先月のことです。
ジェット音が聞こえてきたので小官のオヤヂが「あれはラプたんの声だよ」
と言いました。そこで小官が窓から空を見上げてみると、
遠目にもイーグルと判るクリップドデルタ翼が去ってゆくところでした。
その後何度か同じような事があったので、小官は遂に重い腰を上げ、検証のために「砂辺ポイント」へデジカメ下げて向かいました。
ラプたんの鳴き声については、例によってオブイェクトのコメント欄にいろいろ書き込まれているので、そちらの方を参照なされるとよいでしょう。
http://obiekt.seesaa.net/article/33911354.html
砂辺ポイントは嘉手納基地の進入路と国道が交差する場所で、運がよければイーグルの着地を至近距離で拝む事ができます。
ただし、ちょっと谷がちになっているので、ここからは滑走路の方までは視線が届きません。
空撮マニヤの視点では、王道が安保の丘で、穴場狙いが砂辺ポイントってとこでしょう。
やっぱりご他聞にもれず、平日なのにワゴン車停めて望遠レンズのデジカメ持った人たちがそこそこいましたよ。
…が。
イーグルイーグル、イーグルばっかでラプたんらしき機影は影も形も無い!
仕方が無いので、空撮マニヤをちょっと離れたとこからデジカメで盗撮し、その辺を旋回しているイーグルをいい加減に写し、「今日はもう帰ろう」…と、考えた時。
「それ」が見えました。
ラプたんのダイヤ型な尾翼が誘導路の上を歩いてゆくのを。
これを撮らにゃお話にならん。
少し背伸びすると、ちょっとタイヤが隠れるくらいのアングルで、全体をフレームに収めることができたので、パシャパシャ撮りまくりました。
隣の滑走路へ向かうラプたんも、モデルさんか何かのようにくるっとターンしてくれたので、遠慮なく全周から撮りまくりました。…主におしりを。
で、多分対ステルス機戦闘の訓練でもするんですね。
ラプたん二匹に続いて、イーグルが二匹現れ、四匹でこっちにおしりを向けて滑走路の隅の誘導路に整列すると、順番に滑走路に入って飛び立って行きましたので、実地できちんと音を比較することができたわけです。
そんなラプたんは、帰り道でもちょくちょく北谷の上空に現れて旋回してったので、クルーズ時の音もちゃんと覚えることができました。
で、ラプたんの鳴き声ですが、後で動画を再生してみると、案外ジェット音より、自動車の音の方が大きくて驚いたりもしましたが、やっぱりラプたんは基本的に離陸のときも静かです。
はっきし言ってよほど注意してないと民間のジェット旅客機と聞き間違えるような音を出して離陸していきます。
これに対してイーグルは、下手すると苦痛すら感じかねないような激しいジェット音が自分の360度全周から降り注いできます。誇張ではなく本当に付近一帯の空気の塊を低周波で振動させます。
具体的なイメージで言うと、プロレスラーがリングの上でマイク片手に相手を挑発する声がイーグルなら、その後ろから聞こえてくる観客のヤジがラプたんというくらいの違いがあります。
そして、クルーズ時の音ですが、アフターバーナーを使わない限り、この種のジェットエンジンの出す音には大きく分けで二種類の成分があります。
一つは、「どごおおおぉぉぉ」という低周波の典型的なジェット音。
もう一つは「くぅぉぉぉぁぁぁ」という感じの強いて言えばハーモニカに似てなくも無い感じの比較的高音域の成分。
イーグルの場合、大抵は前者が先に来て、飛び去ってゆくときに後者が後から追いかけてきます。
これが、ラプたんだと、まず後者が聞こえ、その後から小さく前者が聞こえ始めます。
ただし、この「ハーモニカ」音は、タービンブレードが共鳴する音であるために特定の回転数でのみ出るのかは判りませんが、聞こえない場合がけっこうあるようです。
そのため、「ごおおぁぁぁ…」という遠いジェット音に「イーグルだな」と思って空を探すと、ほぼ真上に近い所をラプたんが二人組みで飛んでいた…なんてケースもままありました。
結論から言うと、ラプたんは静かで、ちょっと声が甲高い。
それは従来音波の形で空気中に捨てていたエネルギーを有効に使えるようになったことの裏返しである… といったあたりに落ち着くと思います。
登録:
投稿 (Atom)