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2007年3月29日木曜日

ソニーの敵、日本の敵

細かいことですが前回の記事に誤植があったので、直しときました。
で、新しい記事を書くための資料を探してると、
「マイクロニューク」と検索をかけたとたん、
1ページ目にわがブログがヒット。
…なんだかがっくり来ました。
そりゃ、意図的にマイナーかつマニアックなネタばっかり選んでるつもりでしたけど、自分がアップした電波記事が電脳空間を還流して新しい記事を書くための一次資料に混じって網にかかってくるなんて… なんかイヤ。

で、気分を変えようと他のページへ行ったところ、
(そこでパソコンの前から離れないのが小官がヲタだの厨房だの言われる所以である)
http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0703/28/news053.html
マイクロソフトが「360」をマイナーアップデートですって。
んん? このブラックの曲面、微妙にPS3に似てないか…
こないだPS3が欧州に出てった時は
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703261831
「テメーは遅すぎ」とか言ってたくせに…

そういえばあの会社の企業体質ってすべからくこんな感じでしたね。
…そりゃ「名を捨てて実を取ればいい」というのは戦略として「正解のひとつ」ではあるのですが、こうもあざといやり方でやられると、小官のような人間は
http://tcnweb.ne.jp/~folth/contents/colums/os_tron.htm
この話を思い出して、
「仕事に必要じゃなきゃ誰がんな会社の商品を使うかよ」
と、思ってしまうんですが。

と、いうわけで本題のごとく
ソニーの敵、日本の敵
とやってしまうぷちナショナリズムがここに発生するわけです。

あ…でも小官はネトウヨじゃなくてリベラル派ですよ。
http://seiji.yahoo.co.jp/feature/toitsuchiho07/position/index.html
ここのテストで確かめたから間違いありません。

そもそも国家主義=右翼となってしまう認識にこそ問題があるんですが、今回は小型核の話を中心にやっているのでその話題はまたいつかにしましょう。
それではバイちゃ!!

2007年3月26日月曜日

たのしい核物理学講座その2~ご多分に漏れず矢鱈つまらない話

さてさて、本題に入る前にまず
「核」という単語をきちんと定義
しておいた方がいいと思います。

だから今回は題名の通り面白くも何ともない記事になるとは思いますが、何卒ご容赦を。
だって核兵器とダーティボムの違いが判らない人とか本当にいちゃうんだもん!

それでは奥様、こちらの資料をお読み下さい。
http://cherun.dyndns.org/cherun/no01/01add.html
基本的に高校レベルの内容なんで、少し努力すれば文系の子にもご理解頂けるかと思います。

例によってぶっちゃけますと、原子ってやつはプラスの電荷を帯びた原子核の周りをマイナスの電荷を帯びた電子がぴゅんぴゅん飛び回っています。
そして原子核はプラスの電荷を帯びた陽子と電荷のない中性子がそれぞれいくつか集まってできてます。

当然プラスの電荷とマイナスの電荷は引っ張り合いますから、この電子は基本的にそう遠くへ行ったりはしません。
そして原子は外界に対して電気的に中性の状態を保とうとするので、原子核の中の陽子と、原子核の周りをほっつき歩いてる電子の数は基本的に同じです。

ただし、近くに別の原子がやってくると、一番外側の電子はお隣さんとの間を行ったり来たりするようになるので、この二つの原子は問題の電子でもってお互いにテキトーな距離を保ってくっつくことになります。
こいつが「化学結合」ってやつです。


しかしながら、今回お話しするのは化学結合のことではありません。プラスの電荷をもった「原子核」のことです。
…おかしいとは思いませんか?
プラスの電荷を持った陽子は同じプラスの電荷を持った陽子とはお互いに反発する筈です。
ならば、原子核がたった一個の陽子でできている「水素」はともかく、その他の種類の元素の原子核はその反発力でそれこそ芸術的にバクハツするはずです。

それを妨げているのが今回の主役「核力」です。
http://www2.kutl.kyushu-u.ac.jp/seminar/MicroWorld3/3Part3/3P32/nuclear_force.htm

原子核の中で陽子と中性子は大体電子の200倍くらいの重さがある「π中間子」というものをやり取りすることで固く結びついています。
ただし、完全にカチンコチンかというと、意外とそうでもなくて、陽子も中性子も原子核の中心にある「核力の重心」とでもいうべき部分の周りを(まあ、素粒子という意味では同じようなものですから)電子みたいにぴゅんぴゅん飛んでます。
このため、化学的に安定な「希ガス元素」というものがあるのと同じく、核物理的にも安定な「マジックナンバー核種」ってものがあったりします。
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2002/020404/index.html
(これはちょっと理系向けのマニアックな資料ですけどね)

で、原子核の中で電気的な結合力よりはるかに強い核力にふんじばられながらも陽子や中性子は元気にぴゅんぴゅん飛んでるわけです。
そんな原子核を、どうにかしてぶっ壊せば、こいつらはアリエネエ勢いで散り散りばらばらにすっ飛んでいくことになりますよね?
このすっ飛ぶ勢いが核のエネルギーであるわけです。

そのパワーたるや、電気的な力に基づく「化学エネルギー」の百万倍とも一億倍とも言われます。ここに「エネルギー密度が高い」という核の特徴が現れるわけです。


ただし、フツーに見かけるそこいら辺の物質は原子核がそのめちゃめちゃつよい核力できっちりと結合しているので、並大抵な手段でぶっ壊すことはほとんど不可能です。
まあ、粒子加速器を使って発生させた中間子を叩っ込めばそうでもありませんが。

しかしながら、そこで懲りないのが人類という生き物です。
つまり「壊れやすい物質を探せばいい」と。
実際、核の中で陽子と中性子の数がバランス取れてなかったり、或いはあんまり大所帯で陽子が多すぎたりといった理由によって不安定な状態にある原子核は、そのストレスから自分の身内を追い出してしまうことがあります。
で、やっぱり追い出された素粒子はアリエネエ速さでかっ飛んでいきます。
私たちはこのような原子核を持った物質を「放射性物質」というわけです。
なかでも酷いのが「アクチノイド元素」というとてもとても重たい元素の一群です。

普通の放射性物質はある程度の法則性に従って自分の身内を村八分する程度ですが、この「アクチノイド元素」は時々激しい抗争の末、真っ二つに割れてしまいます。これを「核分裂」というわけです。
ただ、核分裂の発見は最初からそれが目的だったわけではありませんが。

…どうですか?益々判らなくなったでしょう。
本格的なホームページでもないブログで物事の説明をするなんてこんなもんです。

2007年3月23日金曜日

ウランダイエットオソロシス

今日は「ITメディア」から。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0703/23/news025.html
ネットで買ったヤセ薬(正体は危険物質)を服用なさったカナダのおばはんが名誉の戦死を遂げられたそうですって。 うあぁぁ…

ってゆうかさ、小官が
「さあさあ、嬢ちゃん坊ちゃん寄っといで。原爆の作り方を教えるよ!」
ってやってるところへ何だって同じネタでこんなエポックメイキングなニュースが発生するかな。
敢えてマニアックなネタばかりを選んでる筈なのに…

ちなみに問題の薬に含まれてた危険物質の内訳
(ウラン、ストロンチウム、アルミニウム、ホウ素など)を見る限り、こいつはおそらく原子炉を解体した廃材が入っていたんだと思われます。
似たような話では、香港あたりでマンションの鉄筋にこれもまた原子炉の廃材が入ってて住民が被曝しまくったって話もありましたっけね。

別のソースでは「テクノバーン」の筋で
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703201639
これと
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703211940
これから
「少なくともアメリカでは宇宙開発は官から民へ移行しつつあるようです」
とか、
http://yojyouhan.blogspot.com/2007/03/blog-post.html
この記事で「こめ国に神罰が下った」とやったのに、
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703161407
結局自分たちだけダメージを受けずに済むなんて…
ずるい!ずる過ぎるぞ!!

って話もあったりなかったり… この調子で漫然とやってると核物理学の話がなかなか進まないんだがなぁ。

2007年3月20日火曜日

銀河の中で一つの星が...またたいて消えた。

http://obiekt.seesaa.net/article/36316953.html
林信吾大先生、とうとうやってしましました。

…って、小官は何故人の不幸を喜ぶようなことをやってるんですか!?
まあ、流石に「自称サヨク」の中でも彼のように極端な存在はマイノリティでありましょうが。

つまるところ林信吾御大はジャーナリストではなくクリエイターだったというだけの話ですかね?
まあ、そうなると「ネタにマジ突っ込みしてる」という点で小官もJSFの旦那も同じことをやってるという話になりますが。

ちなみにこの記事の題名は銀英伝から取ってきてます。
昨日の記事の内容が内容なので猿の惑星だと思われる方もおられるかもしれませんが、あしからず。

2007年3月19日月曜日

たのしい核物理学講座その1~鉄板とカリホルニウムとマイクロニューク

林信吾祭りはまだ賑わっているようです。
http://obiekt.seesaa.net/article/36100514.html

最早何が何なのやら…

で、問題の「反戦軍事学」とかゆーすんばらしい本は未だに入手しておらんので、 (辺境ゆえの物流の問題か、それともけっこうアカイ方であるわが県の文壇に於いてすら残念な人の書いたネタ本と認識されてるのか)
関連記事を書くこともできましぇーん!

このままだと、このブログではあの愉快な「逝け面闘士」と対面することは金輪際無さそうですが、かと言って何も書かないというのもアレなんで、ちょっと前にに新書店で読んで吹きそうになった本からネタを拾ってくることに致します。

副官      :「艦長、超兵器『鉄板原爆』接近であります!!」
http://www.goma-books.com/archives/2006/07/post_482.html
ハインフェッツ:「ちっ、ダーティボムかよ。」
副官      :「いや、原ば…」
ハインフェッツ:「貴様、士官学校に逆戻りしたいのか?」

なんてコントをやってても理系でない人にはかなり判り辛いと思います。
問題の本の内容にしても、問題作というのは明らかに誇大広告で、実質的にはいかにも正義や平和といった単語を軽々に使うような人たちが好きそうなものでして…
ただし、「なるようになるさ」という連中に任せておいたらこの国は悲惨なことになるというメッセージはとおぉぉーくから聞こえてきます。
…というような書評も文系の人達に丸投げしときましょう。
(それはそれで恐ろしい事になりそうな気もするんだが)

で、ここまで駄文を連ねた挙句、小官が何を言いたかったのかと申し上げますと、この本に出てくる「鉄板原爆」なる兵器について考証しようってわけです。

問題の本には
「テロリストがどこにでも仕掛けられる超小型原爆」
としてこの未来兵器が登場するわけですが、内容を読んだ限りでは
・チタン板の中に放射状のトンネルが彫ってある
・その中には兵器級ウランのパチンコ玉と高性能爆薬が仕込まれている
という仕組みで、雷管に電気を流すと、ウランのパチンコ玉はトンネルの中央部で「ごっつんこ」して臨界量を突破し、ボンバイエする… ってなシロモノらしいです。
アホか?核物理学なめんじゃねぇ!!

…とかキレてもいっかな話が進まないので、それでは
「具体的にウランをどーすりゃボンバイエできるのよ」
といったあたりからはじめようと思います。

さあ、「たのしい核物理学講座」の始まり始まり~ パチパチパチ
(こういう題名の本に限ってたいてい分厚いだけでクソ面白くもありません)
まーね、最新のニュースでは
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703051748
こんなのがあって、その中身は
http://www.gensuikin.org/gnskn_nws/0405_2.htm
多分こんなものだろうなんて話もしながら、いいかげん長くなったので今日は予告編だけにしておきましょう。

ま、気長に付き合って下さい。

2007年3月14日水曜日

まんだらげにご注意

知事閣下は天候不調を理由に尖閣諸島の視察を延期なさるそうです。
強気に見せかけて引いてみせたりといった政治的駆け引きもなかなかの腕前ですな!
とか勘ぐってみるよ?

あと、洋上発射ロケットの事故原因は
「エンジンに金属片が入った」ことだそうです。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703141816
安物買いの銭失いとはこういうのをいうのでしょう。

しかしながら、今回小官が紹介したいのはこちらのお話です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070314-00000168-mailo-l40
チョウセンアサガオをオクラと間違えて
…って、モニターの前で思わず「ウソだろー!!」って叫んじゃいました。
だって、漢方では麻酔薬にも使われる劇物ですよ?
ですが… ま、
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin//////////dokusou/01.html
こいつを見て一応納得。

小官の地元でも
http://www.eikanken-okinawa.jp/news/news13/news1301.htm
こんな話があったくらいですからねぇ。

ほかにも
http://www.pref.okayama.jp/hoken/seiei/tyousenasagao.htm
この記事にあるように「まんだらげ」はいろんなものに間違えられて誤食事件をおこしてるみたいです。
しかも観賞用としてけっこう広く栽培されてますから、なかなか怖いことです。

似たようなところではトウゴマとかトリカブトとかあとニガヨモギなんてものもあるんですが、こういう事例を見ると、軍事とかに限らず正しい知識を身に付けることが本当に大事なんだって思わされます。

あ… またどうでもいいようなネタをやっちまった。

2007年3月13日火曜日

わが県の知事もやってくれました

なんかここんとこ小官がネタを披露するより早くおもろいニュースがポンポン出てくるもんで、「無限更新地獄かよ!おっかねー」的状況が発生してるんですが。
例によって更新したばっかでこんなのが入ってきました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070305i112.htm

ですって。
まあ、彼は元が財界の人でしかも電力会社の関係者ですからな。
こういったエネルギー外交に関しては首相よりよほど造詣が深いのでせう。

本当ならばこういった政治的なお話は週刊オブイェクトあたりが扱いそうな感じなんでですが、今あそこでは「林信吾フェア」
http://obiekt.seesaa.net/article/34667203.html

をやってるんで、どうもスルーっぽいです。
ってなわけで、今回はそんな勇気ある我等が知事閣下に対する励ましの声をいくつか取り上げたいと思います。
http://blog.goo.ne.jp/misky730/e/ce4dbf84276dda882b0a524b63a2f159
http://blog.goo.ne.jp/gokenin168/e/8d271453401b47b1d2c295bf923a3b8f
http://itnews.blog17.fc2.com/blog-entry-1528.html

これらを「ネット右翼の遠吠え」とか仰る方は、「尖閣諸島問題」で少々検索なさった方がよろしいかと思います。
つまるところ今までの知事ははっきり言って「懐柔されてた」って事です。
そうでなくとも、今では「尖閣諸島が日本の固有領土」ということは右派だけでなく左派までもが言い始めている「日本人としての共通認識」であります。

むしろ、「少々エキセントリックな思想・信念」が何故か「外患誘致」に繋がっちゃう今までの活動家の方々が異常であったわけですが。

しかしまあ、今回の知事の行動は少々軽率な気がしないでもありません。
昨日の今日ですが、今回のアクションに対して中国(と台湾の親中派)がどんな対応に出るかもまた興味深いところです。

ああ、 そしてまた無限更新地獄が…
レールガンの記事を書けるのは何時の事になるのやら。

2007年3月12日月曜日

福音?

いつ、どこで、どうやって入信したのかはまたの機会に語るとして、
実はソニー信者である小官にとって、たいへん喜ばしい報せが届いたので、他人事ながら我が事のように自慢げに言いふらかしてみるのです。
じゃんっ!
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703102032

またしてもやってくれました。
小官はアメリカぢんのこういったクレイジーさが大好きです!!
あ… でもこういうのはちょっと勘弁な。
http://www3.kcn.ne.jp/~a400lbs/sfs/page024.html

こういった危険なネタは放置しといて、ついでに
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703121708

こういった続報なんかも放置で言いたいのは、
プレステ3は2Tフロップスの演算性能があるので、こいつを8台束ねれば16Tフロップスになるわけです。
そのパワー、地球シュミレータの半分弱!!

ファンタースティック!!

というのは無論煽り文句で、これにはきちんとウラがあります。

というのは、プレステ3の演算性能のおよそ9割方は
つまるところグラボのパワーであるということです。
グラボはどう転んでもグラボ。はっきし言ってお絵かきしかできませんから、
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/060619/index.html
結局こいつとおなし穴のムジナです。

で、そうでない部分は当然プレステ3のCPUであるCellプロセッサなわけですが、こいつの演算性能はおおむね250Gフロップスであります。
だから実効性能としては1.6Tフロップスってとこでしょうね。

まあ、過去にもプレステ2をクラスタ化して「なんちゃってスパコン」を作った話もありますんで、ご存知の方には本当に「何を今更」かも知れませんが、プレステ3はハードディスク標準搭載で、OSもリナックスらしいので、こういった用途には大変面白いマシンであるわけです。

もちろん、この記事にもあるとおり浮動小数点が遅いとかメモリが少ないとかいう不満はありましょうが、「一台6万円のブレードサーバなぞない」という点でも、これはひじょうに興味深いお話であるわけです。

さて、そこで小官がプレステ3を購入に走るかと言えば、そんなことはありません。

今買えばソニー様が損失を被られます。
決して初期不良の噂とかが聞こえてきたからではありません。
半年もしてパーツの値段が下がり、ソニー様が十分利益を出せるようになった頃を見計らって信仰を表明させて頂きます。

ふはははは。

2007年3月8日木曜日

ステルスの話その2

今までは伝聞に過ぎなかったのですが、ラプタンの航法システムのバグとはやはり
「日付変更線問題」だったみたいです。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703081555

さて、昨日庵居仁さんにコメントを頂いて、
(オブイェクトがらみ以外ではお客さん第一号ですよ。これからはきちんと読者を意識して文章を書かねば!)

「あと、設計上の問題点はSEMと同根なのかなとボンヤリ思っていたのですが、主には空力との整合を取ることが難しいからなのでしょうか?」

との事でしたので、この辺の事情についてまたしても定性的で大雑把な話にはなるんですが、
(そもそも難解な数式を駆使できるだけのスキルが筆者には無い
追加で説明致したいと思います。

 まず、前回の記事で小官が漫然と言ってたことについてですが、資料をもっかいひっくり返してみたところ、同様の内容をよりスマートに説明したページがありましたので、クダクダ言わずにリンクを貼り付けときます。
http://homepage1.nifty.com/sm/main/senior/word/s/stealth.html

で、「ステルス設計の問題点は主として空力との整合を取ることが難しいからなのか?」という点についてですが、この資料をちょっと引用することにいたします。
http://www.f5.dion.ne.jp/~mirage/hypams07/b2.html
この資料の「■[ノースロップ社 B-2戦略重爆撃機 開発過程]」
のくだりの部分にこんなことが書かれています
------------------------------
ロッキード社のF-117ナイトホークは、当時高性能なコンピューターが無かった為膨大な計算を必要とする「物理工学的解析理論」の三角形の面の数を減らす設計手法が取られて、平面を組み合わせた機体デザインとなっている。このステルス技術は、レーダー波を照射を受けた方向に反射させない手法だが、平面構成の機体デザインは空力特性を犠牲にする最大の欠点があった。ノースロップ社が採用したコンピューター支援設計による「連続した湾曲」は、平面構成のステルス技術をさらに発展させたもので、第二世代ステルス技術と呼ばれている。CAD/CAMによって設計された滑らかな曲線によるデザインは、空力特性を犠牲にせずステルス特性を最大限に引き出せる事がTACIT BLUE(タシットブルー)でも実証されている。
------------------------------
よーするに「スパコンの性能が上がったおかげでB2は空力との整合がとても良くなりましたよ」てな事が書かれているわけです。
で、「ヨタカ」の設計に使われた「エコー1プログラム」が
「精神」(B2のこと)では「CAD/CAM」に入れ替わったということで、けっこう大勢の人が 「より洗練された強力なアルゴリズムのおかげで曲面を取り入れることが可能となり、空力との整合を取ることが容易となった」 と読み違えちゃってるようなところがあります。
まあ、あのカクカクしたスタイルと、逆にある意味なまめかしさすら感じさせる曲面を見比べたら、そう思ってしまうのも無理はないのですが。

しかしくれぐれも注意してほしいのですが、大事な事はこの資料の中にもきちんと明記されています
「ノースロップ社が採用したコンピューター支援設計による「連続した湾曲」は、平面構成のステルス技術をさらに発展させたもので、第二世代ステルス技術と呼ばれている。」
と。

つまり、この二つの「ステルス設計プログラム」にはまったく異なる理論が使用されているわけではなく、あくまでも「後者は前者の発展形」なわけです。
では、コンピュータの性能で何が違ってくるのか?
シュミレーションか何かの物理研究を目的としてコンピュータを触ったり、あと、3DCGなんかをやったことのある方なら、たぶんピンと来るかと思います。

こっからは大分に憶測を含んだ内容とはなりますが、その「違い」とは即ち、
「ポリゴン(もしくはメッシュ)を細かくできる」ということです。
詳しくはこちらの内容を参照
http://www.awahei.com/seizougyou/hinomarupc.htm

大事なとこだけ抜き出すと、
「それぞれの格子は相互に影響を及ぼし合った末に全体としての動きが決まっていくため、計算は非常に複雑で時間がかかる。格子を細かくすればするほど計算精度は高まるが、細かくし過ぎると計算に何カ月どころか何年もかかってしまう。」
之です。

そもそも「ステルス設計と空力の整合」とは、
ウフィムツェフの「物理工学的解析理論」を機体外形全面の設計に適用することで、かなり解決できると考えられます。
ただし、「ヨタカ」の場合、「計算しなきゃならない点」の数を少しでも減らすために、あとの部分を「難しい計算が必要ない」平面でごまかしてたわけなんです。 で、これが「精神」になると、ポリゴンメッシュをより細かく切ることが可能となった上に、前回からの研究開発の遺産もあるものですから、本当の意味でステルス設計を空力と整合させることが高いレベルで実現できたと思われます。

で、こいつのプロトタイプ初号機の設計が許可されたときのスパコンがこれ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/Cray_X-MP
たぶんジュラシックパークの原作に出てきたやつです。
性能は最大構成でもプレステ2の半分以下。

で、基礎理論はオープンな情報なわけですから、韓国はおろか中国までもが 「よーし独自のステルス機を開発するぞー」
と言い出すわけです。

しかし、これがまさに「言うは易し」というやつで、現場でのノウハウがない上に、ただでさえ困難な「航空機の開発」にステルス設計まで取り入れるわけですから、やはりアメリカ以外の国がステルス機を飛ばすのは早くとも2010年代後半以降になるんじゃないかと思います。

さて、その時列国が先を争うように飛ばす数多のステルス機の中にこの
http://www.jda-trdi.go.jp/topi1805.html
「心神」がある事を祈りましょう。

2007年3月6日火曜日

ニュースがドバー

神罰を喰らったシャトルが発射台へ後戻りするようです。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703061809
あと、中国が衛星破壊実験をやってさんざん叩かれてたわけですが、
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200701191525
ロシヤも意図せずして似たようなことをしでかしてしまったみたいです。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703051905

これらのネタは置いといて、今回特に紹介したいのはこちらのトピックスです。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200703051737
前の記事で
「20年後にはステルスは特別な技術ではなくなる。
だけど、そのころには更に20年進んでるのがアメリカだ」
みたいな事を言ったんですが、やってくれましたねぇ。

じつは小官も(今のところ光学ステルスは無いから、このへんが使えそうだな)とは思っていて、戦闘機に高解像度の全周カメラと大量の画像データを処理するためのコンピュータを搭載してパイロットを支援するための「COFINシステム」みたいなアビオニクスができないかな
・・・とかぼんやりと妄想してたわけですが、そうか・・・他にも同じこと考えてた人がいたのか。

いやはや世間は狭いですなぁ。

2007年3月5日月曜日

ようやっとステルスの話

ある程度資料も集まったので、ここで一応
「ステルス設計」についての話をしようと思います。
まあ、ウィキでざっと調べるだけでもステルス技術には
・対レーダーステルス
・対赤外線ステルス
・対可視光ステルス
・対音波ステルス

てな具合にいろいろあるという話になってややこしいのですが、ここではよく一般に言われる意味の
「対レーダーステルス」についてやります。

まあ、一般的な知識として、
http://rouge.pinky.ne.jp/military/clm7.html
これなんかにも解説されている通り、ステルス設計の技術とはぶっちゃけ
「レーダー波を元の方角へ返さないようにする」
という設計の技術であるわけです。

で、こっからがかなり大勢の人が誤解しているところなんですが、
「レーダー波を元の方角へ戻さないためには」
「多数の平面で乱反射させる」
という認識が一般化しちゃってるようなところがあります。

そこで、説明いたしますが、「レーダーで索敵する」ということは
「暗闇の中でサーチライトを振り回して目標を探す」
ようなものだと思って下さい。(まあ、これはかなり単純化された例えで、また他所でもけっこう使われてるのですが)

すると当然判るかも知れませんが、一番よく見えるのは
「自転車の反射板」みたいなものです。
レーダー場合、このテのものはコーナーリフレクタと申しまして、
http://iss.sfo.jaxa.jp/shuttle/flight/sts99/CR/doc01.html
ポイントは「複数の平面が直角に交わること」だからステルス設計でこればかりはやっちゃいけないということになってるわけです。
そして、その次によく見えるものが
「白っぽいもの」
まあ、金属製のものとかフツーに電波をよく反射するものがこれにあたります。

これとは逆に見えにくくなるのが
「黒っぽいもの」
機体に電波吸収塗料を塗るなどといった方法がこれにあたります。

まあ、このへんは諸国の兵器類には一般的に施されている対策でして、こいつはステルスというよりかは「RCS低減策」と言った方がよいでしょう。

無論最新のレーダーが相手の場合、「まったく役に立たない」という事は無いにせよ、「レーダーに殆ど写らない」というレベルには至りません。

さて、そこで「レーダー波を乱反射」させたらどうなるでしょう?
「ミラーボールにサーチライトを当てる」という状況を想像して下さい。
見つけるなと言う方が無理ですよね?

おそらくこの誤解は「ヨタカ」(F-117)の平面で構成された奇抜な形状が招いたものだと思われます。
ただ、少し注意して見ていただければ判ると思いますが、複数の平面で構成されたこの機体でも、
「垂直に交わる面を徹底して排除」という点に加えて、
「すべての面がいくつかの限定された角度に指向されている」
という設計が為されています。
「レーダー波を乱反射させるミラーボール」は後者の条件を満たしておりません。

「Jウィング」の記事でも平面整合という設計技術が使用されていると書かれていますが、その後がいかんせんあやふやな記述でよろしくありませんでした。

それでは「レーダーにとても写りにくくする」ためにはどうするか?
結論から申し上げましょう。
「一枚のとてもよく磨かれた鏡」を想像して下さい。
鏡の面を正確にサーチライトの光に向けてやらなければ、
「光源の方向へ光が戻ってゆく」ことはありませんよね?
実際にやってみるとよく判りますが、真っ暗な場所を懐中電灯の光を頼りに歩くと、銀色の鏡と透明なガラスは殆ど見分けが付きません。
この辺は戦闘ヘリのキャノピーが平面ガラスで構成されているのと同じ理由です。
つまり重要なのは
「電波を乱反射させる」のではなく、
「電波が反射されうる角度をきつく限定してしまう」という事なのです。
するとどうなるか?
「レーダーに写りうる角度がきつく限定される」という事になります。
つまりはそのための「平面整合」であるわけです。

ただ、軍用機は前方の目標を攻撃するようにできているので、この
「レーダーに写りうる角度」が真正面では意味がありません。
「前方からのレーダー面積」(fRCS)が重要とされるのはここに理由があります。
平面で構成されたF-177も微妙な曲面で構成されたラプタンも、これらの条件を満たすように設計された上でRAM等が使用されているため、
「超低探知性を備えた機体である」つまり、ステルス機であるわけです。

まあ、定性的な話を致しましたが、実際には電波というやつは可視光と比較して波長が長いので、回折やミー散乱なんかもファクターに含めた上で、以上の条件を満たすように厳密に設計してやる必要があるわけです。

で、その航空機のステルス技術ですが、たしかに空力との整合を取るのが難しいこと等から
「少なくとも今現在に於いては」アメリカの専売特許のようになってはいますが、あくまでも既存の理論に立脚したものである以上、
「やり方さえ分かってしまえば」日本やEU、或いはイスラエルのように第一線級の技術力を持った国ならばけっこう簡単にマネできてしまうと思います。
まあ、戦闘機の開発期間はおおむね20~30年程度なので、その頃には
「航空機のステルス設計の技術」は
「プルトニウム原爆の技術」と同じ末路を辿る事になるかと。

ただ、アメリカの事ですから、
その頃には更に20~30年のアドバンテージを得ていることでしょう。

2007年3月2日金曜日

宇宙開発の退歩

こめ国に神罰が下ったみたいですね。
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200702281802
京都議定書を批准しないからこんなことになるんですよ!

という危険な冗談は置いといて、世の中不景気になったからでしょうか、それとも以前ほどきちんとカネと労力をつぎ込まなくなったからでしょうか?
どうも近頃航空宇宙分野はトホホなニュースが多いみたいです。
海上発射ロケットが爆発しちゃったりとか。

そんな中H2Aの打ち上げを成功させたJAXAはてえしたもんです。
まあ、「センサーが故障してました」なんてオチかも知れませんがね。

しかしやっぱ有人宇宙船は打ち上げないんですかね?
失敗を恐れさえしなければ日の丸技術でもけっこういいとこまで往けると思うんですがね。
ほら、「ふじ構想」とか。
http://www.shokabo.co.jp/keyword/2002_01_humanspaceflight.html
あと、民間でもけっこう面白いことやってるんですよ。
http://www.nissinfoods.co.jp/news/news_release050727.html

だがまあ、「成功させることよりノウハウの蓄積が重要」って原理があの組織に社会文化としてきちんと浸透するまでは、いくら第一線級の技術力を持っていても結局諸外国の後塵を拝する立場に甘んじるんでしょうな。

さてと、次こそは「ステルス」の記事書きます。 ・・・たぶん