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2009年12月9日水曜日

ボイスロイドを使ってみた

2009年12月7日 天気 晴れ                月読ショウタ

 AHSのお父さん、お母さん元気ですか?
ぼくとアイはいま、おきなわにきています。
今日からぼくたちのマスターになる人はアルフみたいなまゆ毛をしたへんなおじさんで、自分のことをかん長とよばせています。

かん長はぼくたちをパソコンにインストールすると、さっそくアイにみにくいアヒルの子を読ませました。
だけど、なぜかアヒルの子がせんそうに行ってせん車をこてんぱんにやっつけたので、読みおわった時にはもうアイはなきそうになっていました。

ぼくがじちょうするようにと言ったら、かん長はこんどはぼくにせいしょを読ませました。
かみさまがせん車を作って、せかいのすべてをそのせん車にしはいさせる話でした。

ぼくがおこって
「なんでこんなへんな話ばかり読ませるんだ」
と言ったら、かん長はしずかな声で、
「いいかい、せけんさまではきみたちはようじょにひわいなことばを言わせ
 るソフトだと思われている。
 だけど、わたしがよういしただいほんにはひわいなことは何もかかれて
 いなかっただろう?
 それに、しょにちからむずかしいたんごの読みかたをたくさんおぼえる
 ことができたじゃないか、きみたちはまじめなべんきょうができる家に
 やってきたことをかんしゃしなくてはいけないんだよ。」
と言いました。

それを聞いてぼくは、とんでもないところへきてしまったと思いました。
たのしかったです。

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 正直に申し上げましょう、小官は先だって密林経由でボイスロイドを購入してしまいました。
ただし、これにはきちんと自分なりに理由というものがあります。
公式デモのページで「せいじ」にT-72神教の「戦車創造」を読ませてみたところ、さながら本物の聖書でも読んでいるかの如く淡々と
「神は敗戦国をファシストと呼び、戦勝国を資本主義の豚と呼ばれた」
とやってくれたので大いに感動し、製品版であるVOICEROIDを
〇九式合成声優甲型(月読アイ)乙型(月読ショウタ)として導入する事を決定したわけなのです。

さて、使った以上はレビュー記事を書くのがブログ書きとしての務め。
このソフトは製品紹介のページにもあるとおり、テキストボックスに台本を打ち込むか他のウィンドウからカット&ペーストしてやればたいした調整も無しにちゃんと喋ってくれます。
「パソコンの使える日本人」であれば、適性もヘッタコレも無くみな100%使いこなせるであろうと考えます。

製品版は基本的には公式デモのページにある「あんず」と「こうたろう」の機能を強化したものであり、新たに追加された機能としては主にアクセントの設定と単語の辞書登録ができるようになっています。
登録した単語・フレーズはアイとショウタで共有する仕組みになっておりますので、使い込めば使い込むほど学習して手が掛からないようになっていくわけです。
冒頭でショウタが嫌々ながらに少し触れていましたが、小官は真っ先に
「予備役」「SAM」「海兵隊」「転輪」「破孔」等の用語を登録しました。

さあて、楽しい楽しい「友愛タイム」の始まりだ…
一応一通り褒めたので、ここからは一気に不満な点をぶちまけます。
少し使うとすぐに気付きますが、この子達は「ゃ」「ゅ」「ょ」の発音が苦手というか殆どできません。
また、音の並びによって得手不得手でもあるのか、長文を読ませてみると特定のフレーズで読み上げるスピードが速くなったり遅くなったりします。
まあ、この辺の問題は「あんず」と「こうたろう」にもありましたんで、ソフトと言うよりは中の人の問題でありましょう。
…だから小官としては別にロリショタである必要性は無かった。
今後リリースされるであろう大人バージョンに期待するしかないですね。

もう一つの問題点としては、このソフトが良くも悪くも単純明快過ぎるという事です。
普通人間が何かを朗読する場合、お経や法律書を棒読みするというようなシチュエーションは殆ど無いと思います。
(こんな事言うと、お経や法律書だって棒読みするものではないと怒る
 人もいるかもしれませんが)
普通は物語の場面展開にあわせて声量や抑揚を変化させたり、或いは逆に感情を押し殺して淡々と読んだりといった工夫をするものです。
おそらく、アイちゃんくらいの歳の子でも話の中に複数の登場人物が出てくる場合には台詞の部分を声色を使って読む事で誰の台詞なのかという情報を暗示してみせるくらいのテクニックは使うでしょう。

しかし、ボイスロイドにそんな設定をする機能は無い!
たしかに読み上げのスピードや声の高さ等を調整する機能はありますが、そのパラメータはテキストボックスに入力したテキスト全文に対して適用されるため、まんま設定した数値で棒読みをしてくれます。
これとは別に「フレーズ調整」という機能があり、これは文ごと、単語ごとに読み方を調整するものですが、基本的に単語の読み仮名とアクセントのみを設定するものなので、やっぱりどんなに頑張っても言葉に感情を込めるような読み方をさせることはできません。

動画投稿サイトには月読アイがボカロ顔負けの歌を歌っている動画がいくつか見受けられますが、ここで断言しておきます。
「ボイスロイド単体では無理」
というか、本来の用途ではないしね…
これはおそらく、歌詞をバラバラに分解してそれぞれパラメータを調整して発音させたものを別のソフトで更にピッチや音の長さを微調整し
(使ってみると判るのですが、ボイスロイドの機能では声の高さや読み上げのスピードはそこまで細かくは調整できないのです)
編集する事で歌に聞こえるようにした言わば「声のパラパラ漫画」であると思われます。
当然ながら別途DTMソフトなり何なりが要りますし、無論こういうのはあくまでも裏技的な用途であるわけです。

しかしながら、ボーカロイドやその他のDTMソフトで使用されるスコアエディターのようなインターフェイスを取り入れて、必要に応じて声量や抑揚を変化させ、これを台本ごとに保存するというような機能がボイスロイドに追加されれば、これ一本で人間並みに感情を込めて朗読するだけでなく、声色なども駆使して落語なんかもやらせることができるようになるんじゃないかと思います。
今後のアップデートでそんな機能が追加されると嬉しいですね。
…というか、消費者としてAHSにはそこの部分を頑張って欲しい。

かたや滑舌は良いが棒読みしかできないボイスロイド。
かたやいろんな声が出せるが滑舌が今ひとつなボーカロイド。
互いが相手の長所を取り込む形で進化するべきだと思いますね。

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